脾肺両虚:その原因と症状
東洋医学を知りたい
先生、『脾肺両虚』ってどういう意味ですか?
東洋医学研究家
いい質問ですね。『脾』は胃腸の働き、『肺』は呼吸器系の働きと関係が深いんです。脾肺両虚は、その両方が弱っている状態を指します。
東洋医学を知りたい
両方弱っているとどうなるんですか?
東洋医学研究家
食欲不振や疲れやすさに加えて、息切れや声が小さいといった症状が現れやすくなります。漢方では、それぞれの状態に合わせて治療していくんですよ。
脾肺兩虛とは。
「脾肺両虚」は、東洋医学で使われる言葉で、肺と脾臓の両方が弱っている状態を表します。脾臓は食べたものを体に必要な栄養に変える働き、肺は呼吸や体内の水分調節をする働きがありますが、「脾肺両虚」ではこれらの働きがどちらも弱まっている状態を指します。これは英語でlung-spleen qi deficiencyとも言います。
脾肺両虚とは
– 脾肺両虚とは
-# 脾肺両虚とは
東洋医学では、生命エネルギーである「気」が体の中をスムーズに巡っている状態が健康であると考えます。しかし、様々な要因でこの「気」が不足したり、流れが滞ったりすることがあります。
脾肺両虚とは、体の重要な機能を担う二つの臓器、「脾」と「肺」において、この「気」が不足している状態を指します。
「脾」は、飲食物から「気」を生成し、全身に栄養を運ぶ働きを担っています。また、「肺」は呼吸を通して体内に新鮮な「気」を取り込み、全身に巡らせる役割を担っています。
この二つの臓器の働きが弱まっている状態である脾肺両虚は、消化吸収機能の低下や呼吸機能の低下など、様々な不調を引き起こす原因となります。
現代社会では、不規則な生活習慣やストレス、食生活の乱れなどが原因で、多くの人がこの脾肺両虚の状態に陥りやすくなっていると言われています。
臓器 | 働き | 脾肺両虚の場合 |
---|---|---|
脾 | 飲食物から「気」を生成し、全身に栄養を運ぶ | 消化吸収機能の低下 |
肺 | 呼吸を通して「気」を取り込み、全身に巡らせる | 呼吸機能の低下 |
脾臓の働きと不調
– 脾臓の働きと不調
脾臓は、東洋医学では単なる臓器ではなく、生命エネルギーである「気」を生み出す重要な役割を担っています。その働きは多岐に渡り、私たちの健康を支える上で欠かせないものです。
まず、脾臓は「運化作用」によって、食べ物から栄養を吸収し、全身に届けるという重要な役割を担っています。この働きが弱まると、食欲が湧かなかったり、食事をしても栄養がうまく吸収されず、下痢や軟便といった消化不良の症状が現れます。
さらに、脾臓は「気」を生み出す源でもあります。脾臓の働きが低下すると、気虚と呼ばれる状態になり、全身にエネルギーが行き渡らなくなります。その結果、体がだるく感じたり、疲れやすくなったり、やる気が起きないといった、慢性的な疲労感や倦怠感、無気力感に悩まされることになります。
また、脾臓は体内の水分代謝にも深く関わっています。脾虚によって水分代謝が滞ると、余分な水分が体内に溜まり、むくみや水太りの原因になります。さらに、体内に湿気が溜まりやすくなるため、痰が増えたり、体が重だるく感じたりすることもあります。
このように、脾臓は私たちの健康に深く関わっており、その働きが弱まると様々な不調が現れます。日頃から脾臓を労り、健やかに保つことが大切です。
脾臓の働き | 働きが弱まった時の症状 |
---|---|
運化作用 (食べ物を栄養に変え、全身に届ける) |
食欲不振、消化不良(下痢、軟便など)、栄養不足 |
気(生命エネルギー)を生み出す | 気虚(慢性的な疲労感、倦怠感、無気力) |
体内の水分代謝 | むくみ、水太り、痰の増加、体の重だるさ |
肺の働きと不調
– 肺の働きと不調
肺は、私たちが生きていく上で欠かせない呼吸をつかさどる臓器です。息を吸うことで体内に酸素を取り込み、息を吐くことで不要になった二酸化炭素を排出しています。 この酸素を取り込む働きによって、全身の細胞にエネルギーが届けられ、生命活動が維持されています。
東洋医学では、肺は呼吸機能だけでなく、「気」の循環にも深く関わっていると捉えています。気とは、生命エネルギーのことで、全身を巡り、様々な働きを支えています。肺は、体外から新鮮な気を吸収し、全身に送り出すポンプのような役割を担っています。 肺の働きが順調であれば、気の流れもスムーズになり、心身ともに健康な状態を保つことができます。
しかし、何らかの原因で肺の機能が低下すると、体に様々な不調が現れます。この状態を、東洋医学では「肺虚(はいきょ)」と呼びます。
肺虚になると、呼吸が浅くなったり、少し動いただけで息切れしやすくなったりします。また、風邪などの呼吸器系の病気に罹りやすくなるのも特徴です。さらに、肺は皮膚や粘膜とも密接な関係があるため、肺虚になると、これらの防御機能も低下し、アレルギー症状が悪化したり、肌荒れしやすくなったりする可能性もあります。
機能 | 詳細 | 肺虚になると |
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呼吸機能 |
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気の流れ |
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脾肺両虚がもたらす症状
– 脾肺両虚がもたらす症状
「脾肺両虚」とは、東洋医学において、体の中心的な働きをする「脾」と呼吸をつかさどる「肺」、この二つの臓腑の機能が共に低下した状態を指します。この状態になると、消化吸収を担う脾と呼吸を司る肺、それぞれの機能低下によって様々な症状が現れます。
まず、脾の機能低下による症状としては、食欲不振や消化不良、下痢や便秘などが挙げられます。食べ物が十分に消化吸収されず、体に必要な栄養が行き渡らなくなるため、全身に力が入らず、疲労感や倦怠感を覚えるようになります。また、顔色が悪くなるのも特徴です。
一方、肺の機能低下は、息切れや咳、痰などの呼吸器症状を引き起こします。さらに、体の防御機能である「衛気」が弱まるため、風邪を引きやすくなったり、アレルギー症状が出やすくなることもあります。
脾肺両虚の特徴は、これらの症状が単独ではなく、複合的に現れる点にあります。例えば、食欲不振と息切れ、疲労感と咳など、一見関係ないように思える症状が同時に起こることがあります。さらに、これらの症状は一過性のものではなく、慢性的に続くことが多く、日常生活に支障をきたすこともあります。
脾肺両虚は、体質や生活習慣、加齢などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。日頃から、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、心身ともに健康な状態を保つことが重要です。
臓腑 | 症状 |
---|---|
脾 | 食欲不振、消化不良、下痢、便秘、疲労感、倦怠感、顔色不良 |
肺 | 息切れ、咳、痰、免疫力低下(風邪、アレルギー) |
脾肺両虚への対策
– 脾肺両虚への対策
脾肺両虚とは、東洋医学の考え方で、体の重要な機能である消化吸収をつかさどる「脾」と呼吸をつかさどる「肺」、この両方が弱っている状態を指します。心当たりがある方もいるのではないでしょうか。ここでは、脾肺両虚を改善するための具体的な方法を紹介します。
日々の生活の中で、まず見直したいのが食事です。脾肺両虚の方は、胃腸が弱っていることが多いので、消化の良いものを心がけましょう。具体的には、温かいご飯やスープ、柔らかく煮込んだ野菜などがおすすめです。冷たい食べ物や飲み物は、胃腸に負担をかけるため、控えるようにしましょう。また、よく噛んで食べることも大切です。
次に、適度な運動を心がけましょう。脾肺両虚の方は、体力や気力が低下している場合が多く、激しい運動はかえって逆効果になることがあります。ウォーキングや軽いストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすようにしましょう。軽い運動は、血行を促進し、胃腸の働きを高める効果も期待できます。
そして、心身の疲労を回復するために、十分な睡眠をとりましょう。睡眠不足は、脾肺両虚の症状を悪化させる原因の一つです。質の高い睡眠を確保するために、寝る前にスマホやパソコンの画面を見る時間を減らし、リラックスできる環境を整えましょう。
さらに、ストレスを溜め込まないことも大切です。ストレスは、心身に悪影響を及ぼし、脾肺両虚の症状を悪化させる可能性があります。趣味の時間を楽しんだり、友人と話をしたりするなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
脾肺両虚を改善するには、根気強く、自分の体と向き合い続けることが重要です。今日からできることから、少しずつ生活に取り入れてみましょう。
対策 | 詳細 |
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食事 |
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運動 |
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睡眠 |
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ストレス |
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