東洋医学が考える「油風」：その原因と治療法

東洋医学が考える「油風」：その原因と治療法

油風とは何か

– 油風とは何か

-# 油風とは何か

油風とは、ある日突然、頭髪の一部が円形に抜け落ちてしまう病気で、一般的には「円形脱毛症」という名で知られています。その名の通り、まるで誰かに丸く切り取られたかのように、境界線がはっきりとした円形に毛が抜け落ちてしまうのが特徴です。

髪の毛は、東洋医学では「血余」と呼ばれ、血液の余りと考えられています。つまり、髪の毛は体の栄養状態を反映しており、十分な栄養が行き届いていれば、豊かで艶やかな髪が生え、反対に、栄養が不足すると、髪はパサパサと乾燥したり、抜け毛が増えたりすると考えられています。

油風も、このように体の内部と密接に関係していると考えられています。東洋医学では、体のエネルギーである「気」、血液である「血」、そして体液である「水」、この３つの要素が体内を滞りなく巡っている状態が健康であると考えます。油風は、この「気・血・水」のバランス、特に気の巡りが悪くなることで、頭皮や毛根に十分な栄養が行き渡らなくなり、発症すると考えられています。

ストレスや不眠、過労、冷え性など、様々な要因によって気の巡りが乱れることで油風が引き起こされると考えられており、これらの要因を取り除きながら、心身ともに健康な状態を取り戻すことが、油風の改善には重要だと考えられています。

油風の原因

– 油風の原因

油風とは、頭皮から多量の脂が分泌され、ベタつきや臭い、かゆみなどを引き起こす症状です。東洋医学では、この油風は、単なる頭皮のトラブルではなく、体全体のバランスの乱れが頭皮に現れたものと考えられています。

油風を引き起こす要因として、東洋医学では主に以下の３つの点が挙げられます。

-１．心の乱れ-

過度なストレスや不安、緊張などの精神的な負担は、「気」の流れを滞らせます。この「気」は、全身を巡り、心と体のバランスを整える重要な働きをしています。「気」の流れが滞ると、血流が悪くなり、髪の毛に必要な栄養が頭皮まで行き届かなくなります。その結果、頭皮は乾燥を防ぐために、過剰に皮脂を分泌してしまうのです。

-２．生活習慣の乱れ-

不規則な食生活や睡眠不足、運動不足などの生活習慣の乱れも、油風を引き起こす大きな要因です。暴飲暴食は、胃腸に負担をかけ、「気」の生成を阻害します。また、睡眠不足は、体の疲労回復を妨げ、血行不良を引き起こします。さらに、運動不足は、「気」の循環を悪くし、体全体の代謝を低下させます。このように、生活習慣の乱れは、体内の「気」「血」「水」のバランスを崩し、油風だけでなく、様々な体の不調の原因となるのです。

-３．冷え-

体が冷えると、血管が収縮し、血行が悪くなります。特に、女性は男性に比べて筋肉量が少なく、冷えやすい体質の人が多いと言われています。体が冷えると、頭皮への血流も悪くなり、栄養不足に陥りやすくなります。その結果、頭皮は乾燥を防ぐために、より多くの皮脂を分泌するようになり、油風を引き起こしてしまうのです。

このように、油風は、体全体のバランスの乱れが頭皮に現れたサインと言えます。油風を改善するためには、心の安定を図り、生活習慣を整え、体を温めるなど、体質から根本的に改善していくことが大切です。

油風の治療法

– 油風の治療法

油風は、突然顔面神経が麻痺し、顔が歪んでしまう病気です。西洋医学ではベル麻痺とも呼ばれ、その原因はまだはっきりと解明されていません。東洋医学では、この油風は「風邪（ふうじゃ）」という、体に悪い影響を与える風の邪気が原因で起こると考えられています。特に体の抵抗力が落ちている時や、疲労が溜まっている時に、この風邪が顔面に侵入し、神経の働きを阻害することで発症すると考えられています。

油風の治療は、この風邪を取り除き、気・血・水のバランスを整え、滞ってしまった経絡の流れをスムーズにすることを目指します。そのために、主に次の３つの方法を組み合わせて治療を行います。

-１．食事療法-

体を温めることは、東洋医学では基本中の基本です。冷えは万病の元であり、油風の原因となる風邪も、体が冷えていると侵入しやすくなってしまいます。そこで、油風の治療には、ショウガやネギ、ニンニクなど、体を温める効果のある食材を積極的に食事に取り入れることが推奨されています。また、黒ゴマやひじき、ワカメなどの海藻類は、頭皮の血行を促進する効果があるとされ、油風の症状改善に効果が期待できます。さらに、栄養バランスの取れた食事を心がけることも、体の抵抗力を高め、油風を予防する上で重要です。

-２．生活習慣の改善-

十分な睡眠は、体の疲労を回復させ、免疫力を高めるために欠かせません。また、適度な運動は、血行を促進し、気の流れをスムーズにする効果があります。ストレスは、自律神経のバランスを乱し、様々な体の不調を引き起こす原因となります。油風の治療においても、ストレスを溜め込まない生活を送ることは非常に大切です。さらに、頭皮を優しくマッサージすることで、血行を促進し、神経の緊張を和らげることができます。

-３．漢方薬の使用-

漢方薬は、患者の体質や症状に合わせて、気・血・水のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目的としています。油風の治療にも、様々な漢方薬が用いられます。

油風は、自然に治ることもありますが、再発しやすい病気でもあります。東洋医学的なアプローチで、体質改善を含めた根本的な治療を行うことが大切です。