ツボ

漢方の診察

東洋医学における触診:按腧穴

- 按腧穴とは -按腧穴とは、東洋医学における重要な診断方法の一つで、体表に点在する特定の部位「経穴(けいけつ)」を指で触れて診断すること-を指します。 身体には「気」と「血」といった目には見えないエネルギーが循環しており、健康を保っていると考えられています。 この「気」と「血」の通り道である経絡には、体表上に360以上もの経穴が存在します。これらの経穴は、臓腑や器官と密接な繋がりを持つと考えられており、その状態を反映していると考えられています。 例えば、胃の調子が悪い場合は、胃と関連する経穴に圧痛や硬さ、熱感などが現れることがあります。逆に、特定の経穴を刺激することで、対応する臓腑や器官の機能を調整し、症状を改善に導くことも期待できます。 按腧穴は、患者さんの訴えや症状を把握する上で重要な手がかりとなります。東洋医学では、身体全体のバランスを重視し、病気の根本原因を探求していきます。そのため、問診や脈診、舌診などと共に、按腧穴を用いることで、より詳細な情報を得て、患者さん一人ひとりに合わせた適切な治療法を選択することが可能となります。
ツボ

東洋医学における結陽:むくみの原因を探る

- 結陽とは 東洋医学において、生命エネルギーである「気」は、体内をくまなく巡り、身体の機能を維持しています。この「気」の中でも、温かさや活動性を司るものを「陽気」と呼びます。「陽気」は、体の中心部にとどまらず、手足の末端まで行き渡ることで、全身のバランスを保っています。 しかし、何らかの原因で「陽気」が体内をスムーズに巡らなくなり、手足の末端まで届かなくなってしまうことがあります。この状態を「結陽」と呼びます。 「結陽」は、体の末端に「陽気」が不足するため、冷えを感じやすくなります。また、「陽気」は水分の代謝にも関与しているため、「結陽」の状態では、水分の巡りが滞り、むくみが生じやすくなると考えられています。 「結陽」は、体の冷えやむくみだけでなく、様々な不調を引き起こす可能性があります。東洋医学では、「結陽」の状態を改善するために、体質や症状に合わせた鍼灸治療や漢方薬の処方などを行います。
鍼灸

東洋医学における「所生病」:臓腑と経絡の関係

東洋医学では、生命エネルギーが全身をめぐる道筋を「経絡」と捉え、川の流れに例えられます。この経絡には、ちょうど川の水位を調整するための水門のように、「経穴(ツボ)」と呼ばれる重要なポイントが存在します。 経穴は、全身に数百カ所も点在し、それぞれが特定の内臓や器官と密接に関連していると考えられています。この経穴と内臓の結びつきは、まるで糸電話のように、一方が影響を受けると、もう一方にも変化が現れると捉えられています。 例えば、胃の不調を感じるとき、手首にある特定の経穴に反応が現れることがあります。これは、胃の不調が経絡を通じて、その経穴に繋がっているからだと考えられています。東洋医学では、このように経穴と内臓の関係性を利用することで、身体の内側から調子を整え、健康を促進することを目指します。
ツボ

歩くと痛い足の裏!その原因は足跟痛?

- 足の裏の痛み 私たちは普段、歩くという動作を何気なく行っていますが、この時、足の裏にかかる負担は想像以上に大きいものです。そして、その負担が積み重なることで、ある日突然、足の裏に痛みが走るようになることがあります。 この痛み、もしかしたら「足根骨痛」かもしれません。足根骨痛とは、かかとの骨とその周辺組織に痛みが生じる疾患です。朝起きた時や、長く座った後など、足の筋肉が緊張している状態から動き出す際に痛みが強くなるのが特徴です。 足の裏の痛みは、日常生活に支障をきたすだけでなく、放置すると歩行困難に繋がってしまうこともあります。そのため、痛みの原因を早期に突き止め、適切な対処をすることが大切です。
頭痛

東洋医学から見る眉稜骨痛

- 眉稜骨痛とは -# 眉稜骨痛とは 眉稜骨痛とは、目の上の骨の辺り、いわゆる眉尻から眉頭にかけて感じる痛みのことを指します。ちょうど眉毛が生えているあたりに位置する骨が眉稜骨と呼ばれ、この骨の周辺に痛みを感じます。痛み方は人それぞれで、鈍く重い痛みを感じる人もいれば、ズキズキとした強い痛みを感じる人もいます。 眉稜骨痛は、目の奥の痛みや、こめかみの辺りがずきずきするといった症状を伴うこともあります。また、痛みの程度も、一時的に感じる軽いものから、日常生活に支障が出るほどの激しいものまで様々です。 眉稜骨痛の原因として、デスクワークやスマホの使いすぎが挙げられます。長時間画面を見続けることで、目の周りの筋肉が緊張し、血行不良を起こしやすくなります。また、猫背などの悪い姿勢も、首や肩の筋肉を凝り固まらせ、眉稜骨痛を引き起こす原因となります。 さらに、ストレスや不眠、疲労なども、自律神経のバランスを乱し、眉稜骨痛を引き起こす要因となります。精神的な緊張状態が続くと、身体が緊張状態になり、筋肉が硬直しやすくなるためです。 眉稜骨痛は、命に関わるような病気ではありませんが、放置すると慢性的な頭痛や肩こりに繋がる可能性もあります。症状が重い場合や、長期間続く場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
頭痛

東洋医学が考える頭痛の原因と治療法

ズキズキ、ガンガン、重苦しいなど、痛みの種類も様々で、多くの人が経験する頭痛。西洋医学では、原因が特定できない一次性頭痛と、くも膜下出血や髄膜炎などの病気によって起こる二次性頭痛に分けられます。東洋医学では、頭痛は体の不調を知らせる重要なサインと捉えます。痛みは体からのメッセージであり、その背後には様々な原因が潜んでいると考えます。 東洋医学では、頭痛の原因を、気血水の乱れと捉え、その原因を探っていきます。例えば、ストレスや不眠、過労などで気が滞ると、気滞による頭痛が起こると考えます。また、冷えや血行不良などにより血が滞ると、瘀血による頭痛が起こると考えます。さらに、水分の代謝が悪くなると、水毒による頭痛が起こると考えます。 このように、頭痛は一つの症状に過ぎず、その背景には様々な原因が考えられます。頭痛を繰り返す場合や、痛みが強い場合は、自己判断せず、医療機関を受診しましょう。
鍼灸

東洋医学における禁灸穴:知っておきたい身体のツボ

- 灸療法とツボの関係 東洋医学では、身体には「経絡(けいらく)」と呼ばれるエネルギーの通り道が存在し、その経絡上には「ツボ」と呼ばれる重要なポイントが無数に点在していると考えられています。ツボは、身体の臓腑や器官と密接に関係しており、気血の出入り口として重要な役割を担っています。 灸療法とは、ヨモギの葉を乾燥させた「艾(もぐさ)」を燃焼させ、その温熱をツボに伝えることで、滞った気の流れをスムーズにし、身体のバランスを整え、自然治癒力を高める治療法です。灸の熱は、皮膚の表面だけでなく、深部までじんわりと伝わり、血行を促進し、筋肉や組織を温めることで、痛みや冷え、コリなどを和らげる効果が期待できます。 適切なツボに灸を行うことで、肩こりや腰痛、冷え性、生理痛、消化不良、自律神経の乱れなど、様々な症状の改善に効果が期待できます。灸療法は、副作用が少なく、身体に優しい治療法として、古くから親しまれてきました。
鍼灸

現代鍼灸治療:電気灸のススメ

- 電気の力で温めるお灸 -# 電気の力で温めるお灸 古来より、鍼灸治療において、身体を温めることを目的として用いられてきたお灸は、多くの人々に親しまれてきました。ヨモギの葉の裏側に生えている綿毛を乾燥させて作った「もぐさ」に火をつけ、その熱でツボを刺激することで、様々な効果が期待できます。 しかし近年、この伝統的なお灸に、現代の技術である電気を組み合わせた「電気灸」が注目を集めています。電気灸は、文字通り電気の力を利用して温熱を発生させるお灸です。もぐさを燃やす代わりに、電気を熱源として皮膚に温熱刺激を与えます。 電気灸は、従来のお灸と比べて、火を使わないため安全性が高く、煙や臭いも発生しないという利点があります。また、温度や時間のコントロールがしやすいという点も、電気灸ならではのメリットと言えるでしょう。そのため、病院や治療院だけでなく、家庭でも手軽に使えるお灸として人気が高まっています。
鍼灸

線香: 東洋医学の知恵

- 線香とは -# 線香とは 線香は、東洋医学、特に灸療法で用いられる、細い棒状の香です。主な原料は、よもぎの葉です。よもぎの葉を乾燥させ、細かくすることで作られます。線香は、燃焼時に独特の香りを放ちますが、単なる香りを楽しむためのものではありません。線香から発生する熱と煙には、体の特定の部位を温めて刺激し、気の流れを整える効果があるとされています。 線香は、その燃焼時間によって様々な種類があります。短いものでは数分、長いものでは1時間以上燃焼するものもあります。治療に用いる線香は、症状や目的に合わせて適切な長さのものを選びます。 線香の歴史は古く、中国から日本に伝わったとされています。古くから、お寺などで邪気を払うために焚かれてきた歴史があり、現代でも宗教儀式や仏事など幅広い場面で利用されています。また、最近では、リラックス効果や空気浄化効果を期待して、家庭で楽しまれる方も増えています。 線香は、自然の恵みであるよもぎの力と、 ancient な知恵が詰まった伝統的なアイテムと言えるでしょう。
鍼灸

鍼灸治療の奥義:雀啄灸

{雀啄灸とは} 雀啄灸は、東洋医学に古くから伝わる治療法である灸療法の一種です。灸療法は、ヨモギの葉を乾燥させて作った艾(もぐさ)に火をつけ、経穴と呼ばれる体の特定のポイントに熱刺激を与えることで、気の巡りを整え、様々な不調を改善することを目的としています。 数ある灸療法の中でも、雀啄灸は独特な手法を用いることで知られています。雀が地面をついばむ動作のように、艾炷(艾を円錐形にしたもの)を皮膚から少し離した位置で、リズミカルに近づけたり離したりしながら温熱刺激を与えます。この動きが雀の仕草に似ていることから、「雀啄灸」と名付けられました。 雀啄灸は、温熱刺激を断続的に与えることで、皮膚への負担を軽減しながら、効果的に経穴を温めることができます。 また、心地よい温熱刺激は、リラックス効果も期待できます。 この灸法は、冷え性や胃腸の不調、婦人科系のトラブルなど、様々な症状に用いられます。特に、虚弱体質の方や、皮膚が敏感な方に向いていると言われています。
鍼灸

東洋医学の世界:優しい温かさで癒す麥粒灸

- 灸治療の一種、麥粒灸とは 灸治療は、乾燥させたヨモギの葉を原料とする艾(もぐさ)を燃焼させ、その熱で身体を温めることで、様々な不調を改善する東洋医学の治療法です。その中でも、麥粒灸は、米粒のように小さくした艾を用いるのが特徴です。 一般的な灸治療に用いられる艾炷と比べて、麥粒灸で使用される艾は非常に小さく、燃焼時間も短いため、お灸特有の強い熱さや痛みを感じにくいという利点があります。そのため、肌が敏感な方や、初めて灸治療を受ける方でも安心して受けることができます。 優しい温かさが身体の奥深くまでじんわりと伝わるため、冷えの改善やリラックス効果も期待できます。また、胃腸の働きを整えたり、気の流れを良くしたりする効果もあると言われています。 麥粒灸は、肩こりや腰痛、冷え症、便秘、生理痛など、様々な症状に用いられます。症状や体質に合わせて、鍼治療と併用したり、身体の複数のツボに施したりすることで、より高い効果が期待できます。
鍼灸

直接灸:皮膚に感じる熱で身体を温める

{直接灸とは、ヨモギの葉を乾燥させて作った艾(もぐさ)と呼ばれるものを円錐形に成形した艾炷(がいしゅ)に火をつけ、身体のツボである経穴(けいけつ)に直接熱を伝える灸療法の一つです。お灸と聞いて多くの方がイメージするのは、この直接灸ではないでしょうか。 皮膚に直接熱を加えるため、施術中はチクチクとした熱さを感じます。熱さに弱い方や、初めての方は少し刺激が強く感じるかもしれません。 直接灸は、熱の刺激によって血行を促進したり、免疫力を高めたり、身体を温める効果があるとされています。冷え性や肩こり、腰痛、婦人科系の悩みなど、様々な症状に効果が期待できます。 直接灸は、やけどのリスクがあるため、必ず専門家の指導のもと、適切な方法で行うようにしてください。
鍼灸

東洋医学の知恵!艾炷で温活を始めよう

- 艾炷とは? 艾炷とは、灸治療に用いる道具の一つです。灸治療は、東洋医学に基づいた治療法の一つで、体の特定の場所に熱刺激を与えることで、気の流れを整え、様々な症状を改善へと導きます。その熱刺激を与える際に用いるのが、この艾炷です。 艾炷の原料は、ヨモギの葉です。ヨモギの葉を乾燥させ、細かく砕いて綿状にしたものを艾絨といい、この艾絨を円錐形に固めたものが艾炷です。お灸と聞いて、この艾炷の形を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 艾炷を用いた灸治療は、直接灸と間接灸の二つに大きく分けられます。直接灸は、艾炷を直接皮膚の上に置いて燃焼させる方法で、より強い刺激を体に与えます。一方、間接灸は、艾炷と皮膚の間に、生姜やニンニク、味噌などを挟んで燃焼させる方法です。直接灸に比べて刺激は穏やかになります。 艾炷を使った灸治療は、古くから民間療法として親しまれてきました。肩こりや腰痛、冷え性など、様々な症状に効果があるとされています。
ツボ

東洋医学における山根の理解

- 山根の位置と基礎知識 顔の中心線を上下に貫く、ちょうど両目の間に位置する鼻の付け根の部分を「山根」または「鼻根」と呼びます。東洋医学では、身体に流れるエネルギーの通り道である「経絡」上にあり、その流れが集中する重要なポイントである「経穴(ツボ)」の一つとして、古くから重要視されてきました。 山根は、顔の中でも特に高く隆起した場所にあり、その人の健康状態や精神状態を反映する場所と考えられています。顔色を観察することで、病気の有無や進行状況、体質などを判断する「望診」においても、山根は重要な指標の一つとされています。健康な状態であれば、山根は明るくつややかな肌色をしていますが、体調不良や疲労が蓄積すると、山根の色つやが悪くなったり、黒ずんだりすることがあります。 また、山根は経絡治療の重要なツボとしても知られています。山根への刺激は、頭痛や鼻詰まり、目のかすみ、意識障害などの症状改善に効果があると期待されています。さらに、精神的なストレスを和らげ、リラックス効果をもたらすともいわれています。 このように、山根は東洋医学において、診断と治療の両面から重要な役割を担っています。日頃から山根の状態に気を配り、異変を感じたら、専門家に相談してみることをおすすめします。
その他

東洋医学における「目上網」

- 「目上網」とは -# 「目上網」とは 「目上網」とは、東洋医学において、目の状態を解釈する上で重要な要素の一つとされています。西洋医学では、主にまぶたを持ち上げる役割を担う眼瞼挙筋などを指しますが、東洋医学では、単なる筋肉組織としてではなく、心身の健康状態を表す重要な指標として捉えられています。 東洋医学では、目は「五臓六腑の精が注ぎ集まるところ」と考えられており、体の内部の状態が目に現れるとされています。その中でも目上網は、感情や精神状態と密接に関係していると考えられています。例えば、目上網の緊張は、ストレスや不安、怒りなどの感情の高まりを示唆し、反対に、目上網の弛緩は、疲労や気力の低下を示唆するとされています。 また、目上網は、その人の性格や行動パターンを推察する上でも重要な手がかりになります。例えば、目上網が厚く力強い人は、意志が強く行動的な傾向があると見なされます。一方、目上網が薄く繊細な人は、感受性が豊かで内向的な傾向があると見なされます。 このように、東洋医学において目上網は、単なる身体の一部としてではなく、心身の健康状態や性格、行動パターンなどを理解するための重要な鍵とされています。
鍼灸

鍼で痛みを解消!壓痛点刺鍼とは?

- 壓痛点刺鍼とは -# 壓痛点刺鍼とは 肩や腰の凝り、手足の痺れなど、私たちの多くが日常的に経験する体の不調。これらの症状の原因の一つとして、東洋医学では「壓痛点」の存在を挙げます。壓痛点とは、筋肉やその周囲の組織に生じた硬く凝り固まった部分のことです。指で押すと痛みや不快感を伴うのが特徴で、その人の体の状態や症状によって、現れる場所も異なります。 この壓痛点に対して、鍼を用いて直接刺激を与える治療法が「壓痛点刺鍼」です。鍼を刺すことで、血行を促進し、筋肉や組織の緊張を緩和していきます。さらに、体の自然治癒力を高め、症状の根本的な改善を目指すことも、壓痛点刺鍼の大きな目的です。 西洋医学では、画像検査などではっきりと原因が特定できないような、慢性的な痛みやしびれに対しても、壓痛点刺鍼は効果を発揮することがあります。肩こりや腰痛の改善はもちろんのこと、頭痛や冷え性、自律神経の乱れなど、幅広い症状に効果が期待できる治療法として、近年注目を集めています。
鍼灸

体の不思議!発痛点ってどんなところ?

- 発痛点とは? 発痛点とは、身体の特定の部位を押したり揉んだり、何らかの刺激を加えることで、その場所だけでなく、離れた場所に痛みやしびれなどの症状が現れる点のことです。まるで、全身を繋ぐ地図上に、離れた場所と関係する秘密のスイッチが隠されているかのようです。 例えば、肩こりを感じて肩を揉んでいると、ある一点を刺激した時に腕や頭まで響くような痛みを感じることがあります。これが発痛点の特徴です。この場合、肩にある発痛点が刺激されることで、腕や頭に痛みが伝わるという現象が起きているのです。 では、なぜこのようなことが起きるのでしょうか? そのメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、神経の反射や筋肉の緊張の伝達などが関係していると考えられています。発痛点は、筋肉や筋膜にできた小さな「しこり」のようなもので、この「しこり」が神経を刺激することで、離れた場所に痛みやしびれなどの症状を引き起こすと考えられています。 発痛点は、肩こりや腰痛、頭痛など、様々な体の不調と関連している可能性があります。そのため、発痛点への理解を深めることは、これらの症状を改善する上で役立つと考えられています。
ツボ

東洋医学における淚堂

- 淚堂とは -# 淚堂とは 淚堂とは、東洋医学において、目の内側の角にある涙の出る部分を指す言葉です。 そこは、ただ涙が出る場所としてだけ捉えられているのではなく、体の状態を映し出す大切な場所と考えられています。 東洋医学では、顔の様々な部分と体の内側の状態は深く繋がっていると考えられており、淚堂もその例外ではありません。特に、「肝」との関わりが深いと考えられており、淚堂の状態を見ることで、「肝」の健康状態を推測することができるとされています。 例えば、淚堂が赤く腫れている場合は、「肝」に熱がこもっているサインだと考えられています。また、淚堂が乾燥している場合は、「肝」の働きが弱っているサイン、逆に、涙が多い場合は、「肝」が疲れているサインだと考えられています。 このように、東洋医学では、淚堂は体の内側の状態を反映する鏡のような存在だと考えられています。普段何気なく見ている淚堂ですが、その状態を注意深く観察することで、自身の健康状態を知る手がかりになるかもしれません。
ツボ

東洋医学における小眥:その位置と意味

- 小眥ってどんなところ? 小眥とは、目の内側、鼻側に位置する部分を指します。 目頭とも呼ばれるこの部分は、東洋医学では体の状態を映し出す鏡と考えられており、健康状態を判断する上で重要な手がかりとなります。 西洋医学では「内眼角」と呼ばれるこの部分は、英語では「lesser canthus」と表現されます。一方、東洋医学では、小眥は単なる目の構造の一部としてではなく、全身の気血、つまり生命エネルギーと血液の流れと深く関係していると考えられています。 東洋医学の診察では、顔の様々な部位を観察することで体の状態を総合的に判断します。顔の中でも、特に目元は重要な情報源であり、小眥の色つやや潤い、腫れや窪みなどを細かく観察することで、肝臓や消化器などの内臓の働きや、体全体のバランスを知ることができます。 例えば、小眥が赤く充血している場合は、肝臓の機能低下やストレスが考えられます。また、小眥が乾燥している場合は、体の水分不足や血行不良の可能性があります。このように、小眥の状態を観察することで、自らの体の声を聞き、未病の段階で生活習慣を見直すきっかけを得ることができるのです。
ツボ

東洋医学における「大眥」:その場所と意味

- はじめにと題して 東洋医学では、人間は自然の一部であり、体内にも自然の摂理と同じ法則が働いていると考えられています。山や川、太陽や月など、自然界のあらゆるものが体内にも対応しており、それぞれが密接に影響し合っているという考え方です。 身体は単なる物質ではなく、自然の縮図ともいえる存在なのです。そのため、身体の各部位は単なる器官としてではなく、より深い意味を持つと考えられています。例えば、心臓は血液を循環させるという役割だけでなく、感情や精神活動の中心とも考えられています。 今回ご紹介する「大眥」も、東洋医学では単なる目尻の一点ではなく、身体と心の状態を反映する重要なポイントとして捉えられています。その奥深い意味を探っていくことは、私たち自身の心と身体への理解を深めることにも繋がるでしょう。
鍼灸

現代に蘇る光鍼灸: 穴位激光照射法

古来より、東洋医学ではツボと呼ばれる身体の特定の点が健康に深く関わっているとされてきました。鍼灸治療は、そのツボに鍼や灸を用いて刺激を与えることで、気の流れを調整し、心身の不調を改善へと導く伝統的な治療法です。 近年、この伝統的な鍼灸治療に、現代科学の光が当てられ、新たな治療法が生まれています。それが「穴位激光照射法」です。これは、鍼の代わりにレーザー光を用いてツボに刺激を与える治療法です。 レーザー光は、波長や出力を調整することで、身体の組織に様々な作用をもたらすことが可能です。穴位激光照射法では、これらの特性を活かし、ツボ周辺の細胞や組織に直接働きかけることで、血行促進、炎症抑制、痛み軽減などの効果が期待できます。 穴位激光照射法は、鍼治療と比べて痛みや出血のリスクがほとんどなく、安全性が高いことも大きな特徴です。また、レーザー光の照射時間はわずか数秒であるため、治療時間も短縮できます。 このように、穴位激光照射法は、伝統的な鍼灸治療の概念を継承しつつ、現代科学の技術を融合させることで、より安全で効果的な治療法として進化を遂げました。これは、まさに伝統と進化の融合と言えるでしょう。
鍼灸

鍼灸治療における禁鍼穴:安全な施術のために

- 禁鍼穴とは -# 禁鍼穴とは 人の身体には経絡と呼ばれるエネルギーの通り道があり、その流れにそって数多くの経穴(ツボ)が存在します。鍼灸治療では、これらのツボに鍼や灸を用いることで、気の流れを整え、様々な体の不調を改善へと導きます。しかし、身体には鍼を刺すことを禁じられている「禁鍼穴」と呼ばれる場所が存在します。 禁鍼穴は、生命維持に重要な役割を果たす臓器や、太い血管、神経が集中している場合が多く、鍼治療を行う上で注意が必要です。例えば、頭部には脳に繋がる血管や神経が多く集まっているため、禁鍼穴として広く認識されています。また、胸部や腹部にも心臓や肺、胃などの重要な臓器が存在するため、鍼の刺入は危険とされています。 禁鍼穴に誤って鍼を刺入してしまうと、内出血や神経損傷、臓器損傷、最悪の場合には死に至る可能性もあります。そのため、鍼灸師は解剖学の知識を深め、禁鍼穴の場所を正確に把握しておくことが重要です。長年の経験と実績を持つ鍼灸師は、禁鍼穴を熟知し、安全な施術を心がけています。 鍼灸治療を受ける際には、施術を受ける鍼灸師の資格や経験を確認し、疑問点があれば質問するなどして、安心して治療を受けられるように心がけましょう。安全な鍼灸治療によって、健康な状態を保つことができるのです。
ツボ

万能のツボ?太陽穴の秘密

- 太陽穴の位置と特徴 太陽穴は、東洋医学において重要なツボの一つとされています。その名の通り、太陽の光を浴びるように活力を取り込む場所と考えられており、様々な体の不調を整える効果があるとされています。 太陽穴の位置は、顔の側面、額の左右どちらかの側、ちょうど頬骨の上あたりにあります。 目尻を外側に伸ばしたラインと、耳の上から頭頂部に向かって引いたラインが交わる点が、まさに太陽穴です。骨が少し窪んだ部分にあり、軽く押すと脈打つような感覚があるのが特徴です。この脈打つ感覚は、すぐ近くを通る側頭動脈の拍動によるものです。 太陽穴は、目の疲れや頭痛、歯の痛み、顔面のむくみなどを和らげる効果があるとされ、古くからマッサージや指圧のポイントとして用いられてきました。 また、自律神経のバランスを整える効果も期待できます。ストレスを感じやすい現代社会において、太陽穴への刺激は、心身の緊張を解きほぐし、リラックス状態へと導く効果も期待できるでしょう。
ツボ

東洋医学における「太陽」の概念

- 太陽の部位としての解釈 東洋医学、特に鍼灸治療において、「太陽」という言葉は、空に輝く太陽だけでなく、私たちの顔の両側、ちょうど額の端からこめかみあたりにかけての領域を指すこともあります。この部位は、古代中国医学の古典『黄帝内経』の「霊枢・経脈」という章に記されている「太陽経」という経絡の走行と密接な関わりがあります。 経絡とは、体の中をくまなく巡り、生命エネルギーや血液の流れを司る道筋のことです。太陽経は、その中でも特に、目や鼻、耳といった感覚器官や、頭部の機能に影響を与えると考えられています。 ですから、東洋医学では、太陽の部位に何らかの異常が現れた場合、それは太陽経のエネルギーの流れが滞っているサインだと捉えます。例えば、頭痛や目の痛み、めまい、顔面の痺れなどは、太陽経の不調が原因で起こると考えられています。鍼灸治療では、太陽の部位にあるツボを刺激することで、太陽経のエネルギーの流れを調整し、様々な症状の改善を目指します。 このように、東洋医学では、人体を小宇宙と捉え、自然界と照らし合わせて健康状態を解釈します。太陽という、生命エネルギーの源である存在を身体の一部に重ねることで、より深く人体の mysteries を理解しようとしてきたのです。