上寒下熱証:体からのサインを見逃すな
- 上半身と下半身で異なる症状
東洋医学では、身体をひとつの繋がったものとして捉え、部分的な症状だけでなく、全体のバランスを重視して診断していきます。そのため、一見関連性がないように思える症状でも、身体の内側で繋がっていることがあります。
その一例として、「上寒下熱証」があげられます。「上寒下熱証」とは、文字通り上半身には冷えを、下半身には熱の症状が現れる状態を指します。具体的には、冷えやすい手足、頭痛、肩こりといった上半身の症状と、のぼせ、顔のほてり、便秘、足のむくみといった下半身の症状が同時に見られることがあります。
このような症状が起こる原因として、東洋医学では「気」「血」「水」のバランスの乱れが考えられています。例えば、過労やストレス、冷えなどによって身体のエネルギー源である「気」が不足すると、身体全体を温める力が弱まり、上半身に冷えが生じやすくなります。一方で、「気」の不足は「気」の流れを滞らせ、「血(けつ)」の巡りを悪くすることもあります。すると、熱が体の下部にこもりやすくなり、下半身に熱の症状が現れると考えられています。
「上寒下熱証」は、体からの重要なサインです。自己判断せず、専門家の診断を受けるようにしましょう。