下痢

体質

心脾両虚:心と脾の密接な関係

- 心脾両虚とは -# 心脾両虚とは 東洋医学では、心と脾は互いに深く関係し合い、影響を与えながら体のバランスを保っていると考えられています。心臓は血液を全身に送り出すポンプのような役割を担い、精神活動や意識、思考などもつかさどっています。一方、脾は胃腸と協力して飲食物を消化吸収し、気や血を生み出す源です。この気は生命エネルギー、血は体を滋養する栄養豊富な液体を指します。 心脾両虚とは、この重要な働きを担う心と脾の両方が弱っている状態を指します。心の機能が低下すると、不安や不眠、動悸などの精神的な症状が現れやすくなります。また、脾の機能が低下すると、食欲不振や消化不良、疲れやすい、顔色が悪いなどの症状が現れます。 心脾両虚は、これらの心の症状と脾の症状が同時に現れることが特徴です。例えば、疲れやすく、食欲がなく、眠りが浅い、顔色が悪い、気分が落ち込みやすいといった症状が重なって現れることがあります。 心脾両虚は、過労やストレス、偏った食事、睡眠不足などによって引き起こされると考えられています。また、加齢によっても心身の機能が低下しやすくなるため、高齢者に多く見られる傾向があります。
内臓

慢性的な下痢:久泄について理解する

- 久泄とは -# 久泄とは 久泄とは、長期間にわたって下痢が続いたり、何度も繰り返したりする状態を指します。西洋医学でいう慢性的な下痢と同じように、一時的な消化不良とは異なり、体質や生活習慣、隠れている病気が原因となっていることが多く、根本的な治療が必要となります。 東洋医学では、久泄は体の水分代謝を司る「脾」という臓腑の機能低下が主な原因だと考えられています。脾は、飲食物から栄養を吸収し、全身に運ぶ役割を担っており、この機能が低下すると、水分をうまく処理できなくなり、下痢を引き起こすとされています。 また、久泄は「腎」の機能低下とも関連付けられます。腎は、体の成長や生殖、水分代謝などを調節する重要な臓器です。腎の機能が低下すると、体全体の水分バランスが崩れ、下痢を起こしやすくなります。 久泄の原因としては、暴飲暴食や冷え、過労、ストレス、老化などが挙げられます。これらの要因によって脾や腎の機能が低下し、久泄が起こると考えられています。 久泄を改善するためには、まず生活習慣の見直しが必要です。暴飲暴食を避け、消化の良いものを食べるように心がけましょう。また、体を冷やさないように注意し、十分な睡眠をとることも大切です。さらに、ストレスを溜め込まないように、適度な運動やリラックスできる時間を取り入れるようにしましょう。 これらの生活習慣の改善に加えて、東洋医学では、漢方薬や鍼灸治療なども有効な治療法として用いられます。症状や体質に合わせて適切な治療を受けることで、久泄の改善を目指します。
漢方の診察

東洋医学から見る泄瀉病

- 泄瀉病とは 泄瀉病とは、東洋医学において、排便の回数が増え、水分の多い、軟らかい便や水のような便が頻繁に出る状態を指します。西洋医学でいう下痢や軟便に相当しますが、東洋医学では、単なる消化器の病気としてではなく、体全体のバランスの乱れが消化器官に現れた状態として捉えます。 これは、体内の水分代謝の異常と考えられており、食事の不摂生や冷え、過労、ストレスなど、様々な要因によって引き起こされるとされています。 泄瀉病は、その症状や原因によって、さらに細かく分類されます。例えば、消化不良によるもの、冷えによるもの、体力低下によるものなど、様々なタイプがあります。それぞれのタイプによって、治療法も異なってきます。 東洋医学では、泄瀉病の治療において、患者の体質や症状、原因を総合的に判断し、漢方薬の処方や鍼灸治療などを行います。
漢方の診察

東洋医学が考える下痢の原因と対処法

- 下痢とは -# 下痢とは 下痢は、私たちが日常的に経験する消化器系の不調の一つです。西洋医学では便の回数や状態に着目しますが、東洋医学では、単なる便通の異常として捉えるのではなく、体全体のバランスが崩れた状態として考えます。 東洋医学では、食べ物を消化吸収し、体に必要な栄養を送り出す働きを「脾」が担うと考えられています。また、「胃」は受け入れた食べ物を消化しやすい状態に変化させる役割を担います。下痢は、これらの「脾」や「胃」の機能が低下することで、食べた物が十分に消化吸収されずに、水分を多く含んだ状態で排泄されてしまうことで起こると考えられています。 また、東洋医学では「冷え」も下痢の原因の一つとして捉えます。「冷え」は胃腸の働きを弱めるため、下痢を起こしやすくなるとされています。冷たい飲食物の摂り過ぎや、冷房の効き過ぎた環境にいることなどが「冷え」に繋がります。 下痢が続く場合は、「脾」や「胃」の機能を高め、「冷え」を取り除くことが重要になります。食生活の見直しや、体を温める食材を積極的に摂るように心がけましょう。また、ストレスや睡眠不足も胃腸に負担をかけるため、十分な休息とリラックスも大切です。
便秘

東洋医学から見る泄瀉:原因と対策

- 泄瀉とは 泄瀉とは、東洋医学において、排便回数が増加し、水分の多い軟便、または水様便が続く状態を指します。西洋医学でいう下痢にあたり、その症状は一時的な消化不良から慢性的な消化器疾患まで、様々な原因が考えられます。 東洋医学では、この泄瀉は、身体のバランスの乱れが消化機能に影響を及ぼすことで起こると捉えます。これは、単に消化器官だけに問題があるのではなく、身体全体の調和が崩れている状態を表していると考えられています。 この身体のバランスの乱れは、主に飲食の不摂生、冷え、過労、ストレス、老化などによって引き起こされると考えられています。例えば、脂っこい食事や冷たい飲食物の過剰摂取は、消化機能を低下させ、泄瀉を引き起こしやすくなります。また、過労やストレスは、身体のエネルギー循環を阻害し、消化機能を弱める原因となります。 東洋医学では、泄瀉の治療において、その原因や症状、体質などを総合的に判断し、身体のバランスを整えることを重視します。具体的には、食事療法、漢方薬の処方、鍼灸治療などが用いられます。泄瀉は、適切な治療を行えば改善する可能性が高い症状です。日頃から、バランスの取れた食事や生活習慣を心がけ、身体の調和を保つことが大切です。
便秘

東洋医学から見る完穀下痢

- 完穀下痢とは -# 完穀下痢とは 完穀下痢とは、摂取した食物が十分に消化されないまま、未消化物の状態で便として排出される症状を指します。わかりやすく言えば、食べた物が消化されずに、そのままの形で排泄される下痢のことです。通常の軟便とは異なり、便の中に、食べた米粒や野菜などが未消化のまま混ざっており、目で見てはっきりと確認できることが特徴です。 これは、食べ物が胃や腸で十分に消化吸収される前に、腸を急速に通過してしまうために起こります。原因はさまざまで、暴飲暴食や冷えによる一時的な消化不良から、胃腸などの消化器官の機能低下、または消化器官の病気のサインである可能性も考えられます。 完穀下痢が続く場合は自己判断せず、医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。医師は、問診や身体診察、便検査などを通して原因を特定し、適切な治療法を提示します。自己判断で市販薬を使用する場合は、必ず薬剤師に相談し、用法・用量を守って服用することが大切です。食生活の見直しも重要で、消化の良い食事を心がけ、暴飲暴食を避け、よく噛んで食べるようにしましょう。また、身体を冷やさないようにすることも大切です。
便秘

東洋医学から見る下痢淸穀:原因と対策

- 下痢淸穀とは? -# 下痢淸穀とは? 下痢淸穀とは、食べたものが十分に消化されないまま腸を速く通過してしまうために起こる、水の様な便が頻繁に出る状態を指します。東洋医学では、この状態を脾胃の機能低下が原因と考えます。脾胃とは、西洋医学でいう消化器系の働きをするもので、食べ物を消化し、栄養を体内に吸収する大切な役割を担っています。 下痢淸穀になると、未消化の食物が便に混ざって出てくることが特徴です。これは、脾胃の消化吸収力が弱まっているために、食べ物が十分に消化されずに腸に送られてしまうことが原因です。その結果、腸内では未消化物によって水分調整がうまくいかなくなり、水のような便が排出されてしまうのです。 この状態が続くと、身体は栄養不足に陥り、体力や気力の低下、免疫力の低下などを招きます。また、冷えやすい、疲れやすい、顔色が悪いといった症状が現れることもあります。 下痢淸穀は、暴飲暴食や冷たい食べ物、脂っこい食べ物の摂り過ぎ、過労やストレス、冷えなどが原因で引き起こされると考えられています。これらの要因によって脾胃がダメージを受け、正常な働きを損なってしまうのです。 下痢淸穀を改善するためには、脾胃の機能を高め、消化吸収を助ける食生活や生活習慣を心がけることが大切です。
便秘

東洋医学における「注泄」:その原因と治療法

- 注泄とは -# 注泄とは 注泄とは、東洋医学において、水が溢れ出すように勢いよく、水のような便が排出される激しい下痢の状態を指します。これは、西洋医学でいう「急性水様性下痢」や「outpour diarrhea」に相当すると考えられています。 この状態は、体内の水分バランス、すなわち「水液代謝」が乱れ、消化吸収を司る「脾」や、水分代謝を調整する「肺」「腎」などの機能が著しく低下していることを示唆しています。 注泄は、体内の水分や栄養分が急激に失われるため、適切な治療を行わなければ、脱水症状や栄養失調を引き起こし、生命に関わる危険性も孕んでいます。 単なる下痢と安易に考えず、速やかに専門家の診察を受けることが重要です。
漢方の診察

知っておきたい大便自利:原因と対策

- 大便自利とは -# 大便自利とは 大便自利とは、東洋医学において、自分の意志とは関係なく、自然と便がもれてしまう状態を指します。現代医学でいうところの下痢や腹痛を伴わない軟便の症状に当てはまります。日常生活で度々経験する方もいるかもしれませんが、東洋医学では体からの重要なサインと捉え、その原因を探ることが大切だと考えられています。 東洋医学では、大便自利は、体の水分代謝、特に「脾」の機能の低下が主な原因と考えられています。「脾」は、飲食物から栄養を吸収し、体に必要な「気」「血」「津液」を作り出す働きを担っています。この「脾」の働きが弱まると、水分代謝がうまくいかなくなり、体に余分な水分が溜まりやすくなります。その結果、便が水っぽくなり、大便自利の状態になると考えられています。 また、大便自利は、「脾」の機能低下だけでなく、冷えやストレス、暴飲暴食なども原因の一つと考えられています。冷えは「脾」の働きを弱め、水分の代謝を悪くします。また、ストレスや暴飲暴食は「脾」に負担をかけ、その機能を低下させる原因となります。 東洋医学では、大便自利の改善には、「脾」の機能を高め、水分の代謝を良くすることが重要と考えられています。そのため、日常生活では、温かいものを食べたり、体を冷やさないようにしたりするなどの養生法が大切です。また、ストレスを溜め込みすぎない、暴飲暴食を控えるなど、生活習慣の見直しも重要です。
漢方の診察

東洋医学が考える泄瀉とその対処法

- 泄瀉とは何か 泄瀉とは、東洋医学において、何度も軟便や水のような便が出る状態を指します。西洋医学でいう下痢と同じような状態ですが、単なる症状として捉えるのではなく、体内の水分の巡りや食べ物の消化・吸収といった機能の乱れが深く関係していると東洋医学では考えます。 泄瀉は、その原因や症状によって細かく分類されます。例えば、冷たいものを摂り過ぎたために起こるもの、暴飲暴食が原因となるもの、精神的なストレスが引き金となるものなど、さまざまなケースがあります。それぞれの原因に応じて、体質改善や生活習慣の見直し、適切な生薬を用いた治療などを行います。 東洋医学では、心と体は密接につながっていると考えます。そのため、泄瀉の治療においても、身体的な症状だけでなく、精神的な面にも配慮することが重要です。患者さん一人ひとりの状態を丁寧に診て、根本的な原因を探り、その人に合った治療法を見つけていくことが大切です。
漢方薬

咳と下痢に効く?斂肺澁腸藥とは

{斂肺澁腸藥とは、東洋医学の考え方をもとに、咳や息切れといった呼吸器の不調と、長引く下痢などの消化器の不調、両方に効果があるとされる漢方薬の一種です。 名前の通り、肺の機能を正常な状態に整え、過剰な分泌を抑えて咳や呼吸困難を和らげます。同時に、腸の働きを整え、水分の吸収を促進することで、慢性的な下痢を改善する効果も期待できます。 主に、酸味と収斂作用を持つ生薬が配合されています。酸味は、体の組織を引き締める効果があり、収斂作用は、組織や器官を縮めて分泌や出血を抑える効果があります。これらの作用により、肺と腸の不調を改善すると考えられています。 ただし、体質や症状によっては、合わない場合もありますので、服用する際には、漢方に精通した医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
漢方薬

東洋医学における固澁薬の役割

- 固澁薬とは -# 固澁薬とは 人間の体は、汗や尿、便、女性であれば経血など、様々なものを体外に出すことで、健康を保っています。 しかし、体力が落ちたり、病気によって体の働きが弱ってしまうと、これらの排出が過剰になったり、反対に出にくくなってしまったりして、体のバランスが崩れてしまうことがあります。このような状態を改善するために用いられるのが、東洋医学における-固澁薬-です。 固澁薬は、その名の通り、体の様々な分泌物や排出物を抑える働きを持つ生薬のことを指します。例えば、汗が出過ぎる場合は、体の水分を保つ力を高めることで発汗を抑え、下痢が続く場合は、腸の働きを整えて便通を改善します。また、頻尿や夜尿症などの症状に対しても、尿の出方を調整することで改善を目指します。 固澁薬は、単独で用いられることは少なく、他の生薬と組み合わせて、その人の体質や症状に合わせて処方されます。 東洋医学では、病気の原因や症状、体質などを総合的に判断して治療を行うため、同じような症状であっても、使用する生薬やその配合は異なります。 固澁薬は、正しく使えば、体のバランスを整え、健康な状態へと導く力を持っています。しかし、自己判断で服用することは大変危険です。体の不調を感じた場合は、必ず専門家の診断を受けて適切な治療を受けるようにしましょう。
その他

霍乱:突然の嘔吐と下痢に見舞われたら

- 霍乱とは 霍乱は、急激な激しい吐き気と水のような下痢を引き起こす病気です。この病気の特徴は、突然、米の研ぎ汁のような白く濁った水のような便や嘔吐が見られることです。これは、目に見えないくらい小さな生き物、例えば、細菌やウイルスなどが、食べ物や水などを通して私たちの体の中に入り込み、お腹や腸に炎症を起こしてしまうことで発症します。 霍乱になると、体の中の水分や塩分が急速に失われてしまいます。すると、脱水症状と呼ばれる状態に陥り、意識がなくなったり、最悪の場合、命を落としてしまうこともあります。特に、小さな子供やお年寄りの方など、体力の弱い人は注意が必要です。 霍乱は、衛生状態が悪い地域や、安全な水が手に入りにくい地域で流行しやすく、過去には世界中で何度も流行を繰り返してきました。現代では、衛生環境の改善や、ワクチンなどの予防策が進んだことで、日本ではほとんど見られなくなりましたが、海外では依然として患者が発生しています。もし、霍乱が疑われる症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診することが大切です。
漢方の診察

心脾両虚:心と脾の密接な関係

- 心脾両虚とは -# 心脾両虚とは 心脾両虚とは、東洋医学において心と脾の両方が弱っている状態を指します。東洋医学では、心は単に血液を循環させる臓器ではなく、精神活動や意識、思考などもつかさどると考えられています。一方、脾は食べ物の消化吸収を行うだけでなく、飲食物から「気」と「血」を生み出し、全身に送り届ける重要な役割を担っています。 心と脾は互いに影響し合う関係にあります。脾が正常に働いて「気」と「血」を十分に作り出せば、心は安定し、精神活動も活発になります。しかし、過労や偏った食事、ストレスなどによって脾の働きが弱まると、「気」と「血」が不足し、心にも影響が出始めます。心が弱ると、動悸や不眠、不安感などが現れ、さらに脾の働きを低下させるという悪循環に陥ります。 心脾両虚になると、顔色が悪くなる、疲れやすい、食欲不振、動悸、息切れ、不眠、憂うつ感、集中力低下などの症状が現れます。これらの症状は、現代医学の自律神経失調症やうつ病などとも共通点が多い点が特徴です。 心脾両虚の改善には、心と脾の両方に働きかけることが大切です。規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレスを溜めないようにするなど、生活習慣を見直すことが重要です。また、漢方薬を用いる場合は、心と脾の両方を補う生薬を組み合わせた処方が用いられます。
漢方の診察

寒滯胃腸證:冷えが引き起こす胃腸の不調

- 寒滯胃腸證とは -# 寒滯胃腸證とは 東洋医学では、私達の身体は自然界の影響を常に受けていると考えられています。そして、そのバランスが崩れた時に不調が現れると考えられてきました。寒滯胃腸證もその一つです。 寒滯胃腸證は、東洋医学において「寒邪」と呼ばれる冷えの邪気が原因で起こるとされています。この寒邪は、冬の寒さだけでなく、冷たい飲食物の摂り過ぎや冷房の効き過ぎた部屋にいることなど、様々な要因で身体に侵入してきます。 胃腸は熱を生み出して食物を消化する働きをしていますが、そこに寒邪が侵入し、停滞してしまうことで様々な不調が現れます。これが寒滯胃腸證です。 現代医学の機能性消化不良や過敏性腸症候群と共通点が多く、特に冷えに敏感な方に多く見られるのも特徴です。 代表的な症状としては、急な腹痛、吐き気、嘔吐などがあります。また、腹部膨満感や食欲不振、軟便や下痢を伴うこともあります。 寒滯胃腸證は、身体を温めることで改善すると考えられています。普段から冷たい飲食物を避け、温かい食事を心がけましょう。また、腹部を冷やさないように腹巻やカイロなどで温めることも効果的です。
内臓

熱迫大腸を理解する

- 熱迫大腸とは -# 熱迫大腸とは 東洋医学では、健康を保つために体内の気・血・水のバランスが重要であると考えられています。このバランスが崩れることで様々な不調が現れると考えられており、その原因の一つとして「邪気」の影響を挙げます。 「熱迫大腸」は、この邪気の一種である「熱邪」が大腸に影響を与えることで引き起こされると考えられる症状です。熱邪は、まるで体に熱がこもったような状態を引き起こし、大腸の働きを阻害します。 この熱邪は、辛い物の食べ過ぎやアルコールの過剰摂取、過度のストレス、睡眠不足などの不規則な生活習慣、激しい運動などで生じると考えられています。これらの要因によって体内の水分バランスが乱れ、結果として大腸に影響を及ぼすとされています。 熱迫大腸は、便秘や下痢、腹痛、腹部膨満感などの症状を引き起こします。西洋医学では、過敏性腸症候群(IBS)などの病態と関連付けられることもあります。 東洋医学では、熱迫大腸の改善には、熱邪を取り除き、大腸の働きを整えることが重要と考えられています。具体的には、食生活の改善、ストレスの軽減、十分な睡眠などの生活習慣の見直し、漢方薬の服用などが有効とされています。
漢方の治療

東洋医学における固澁法:体の「漏れ」を止める方法

- 固澁法とは -# 固澁法とは 人間の体は、汗や尿、便、あるいは女性であれば月経など、様々なものを体外に排出してバランスを保っています。東洋医学では、この「出す」作用と同時に、「漏らさない」「閉じ込めておく」という働きも、健康を維持するためにとても重要だと考えています。そして、この「漏らさない」「閉じ込めておく」働きを強める治療法を「固澁法(こじゅうほう)」と呼びます。 固澁法は、体質や症状に合わせて、漢方薬や鍼灸、食事療法などを組み合わせて行われます。例えば、過剰な発汗に悩む場合は、体の潤いを保ちながら発汗を抑制する効果のある漢方薬を処方したり、鍼灸で特定のツボを刺激して発汗を調整したりします。また、下痢や頻尿が続く場合は、消化機能や泌尿器系の働きを整え、不要なものを排出し過ぎないようにする漢方薬を用いることもあります。 固澁法は、体の「気」や「血」を補いながら、「漏れ」を止めることを目的としています。単に「漏れ」を止めるだけでなく、体の根本的な力を高め、健康な状態へと導くことが、固澁法の重要なポイントと言えるでしょう。
漢方の診察

東洋医学: 表熱裏寒證を理解する

- 表熱裏寒證とは 表熱裏寒證は、東洋医学において複雑な病気の状態の一つとされています。体の表面部分には熱の症状が現れる一方で、体の内部には冷えが存在している状態を指します。 例えば、風邪などの外から来る悪い気が体内に侵入した際に、もともと体内の陽気が不足している場合に起こりやすいと考えられています。 具体的には、悪寒や発熱、頭痛、体の痛みといった風邪の初期症状に加え、手足の冷え、顔色が悪く唇が青白い、下痢、お腹の冷えや痛みといった冷えの症状が同時に見られます。 このような状態は、体の防衛力が低下しているために、外邪をうまく排出できないことが原因だと考えられています。つまり、外邪と体内の冷えが同時に存在することで、複雑な症状を引き起こしているのです。 表熱裏寒證の治療では、表面の熱を冷ましつつ、体の芯から温めることが重要になります。漢方薬を用いる場合は、それぞれの症状や体質に合わせて、適切なものを選択する必要があります。 自己判断は危険ですので、表熱裏寒證が疑われる場合は、専門家の診断を受けるようにしましょう。
漢方の診察

表裏俱虚証:その複雑さと対処法

- 表裏俱虚証とは -# 表裏俱虚証とは 表裏俱虚証とは、東洋医学において、体の防衛力である「気」が著しく低下し、体の外側と内側の両方が弱っている状態を指します。まるで、風雨から家を守るための屋根と壁が、どちらも傷んでしまっているような状態です。 通常、風邪などの外敵(外邪)が体に侵入しようとすると、私たちの体はそれを跳ね返そうとします。これが「正気」の働きです。しかし、過労や睡眠不足、偏った食事などによって正気が弱まっていると、外邪を十分に排除することができず、体内に侵入を許してしまいます。 さらに、正気が弱っていると、体内に入った外邪を追い出す力も衰えているため、風邪が長引いたり、回復したと思っても再発を繰り返したりすることがあります。これが表裏俱虚証の特徴です。 表裏俱虚証をそのままにしておくと、体の奥深くまで外邪が侵入し、慢性的な咳や倦怠感、食欲不振、下痢などを引き起こす可能性があります。また、免疫力の低下にもつながり、様々な病気にかかりやすくなるため、注意が必要です。