
陽極似陰:真熱が織りなす複雑な病態
東洋医学では、健康を保つためには「陰陽」のバランスが重要だと考えられています。この陰陽のバランスが崩れると、体に様々な不調が現れると考えられていますが、その中でも「陽極似陰」は、陰陽のバランスが極端に崩れた状態を指す言葉です。
「陽」は、体の熱やエネルギーを表します。この陽が過剰に高まりすぎると、本来であれば体を守るはずの「陽気」までもが衰えてしまうのです。これは、まるで燃え盛る炎が、自らを燃やすための燃料を全て使い果たしてしまうかのようです。「陽極似陰」は、このように体の奥深くに熱がこもり、生命力が弱まっている状態を指します。
陽極似陰は、一見すると体の表面は熱っぽく見えるものの、内側は冷えているという特徴があります。これは、過剰な熱によって体の表面の血管が拡張し、熱が体の外に逃げようとしている状態です。一方で、体の内部では陽気を失い、冷え切った状態となっています。このように、陽極似陰は、体の内側と外側で相反する症状が現れる複雑な状態と言えるでしょう。