呼吸困難

漢方の治療

呼吸を楽にする!東洋医学の瀉肺平喘とは?

{東洋医学では、病気の原因となる要素をまとめて「邪」と呼びます。この邪には、風邪、暑邪、湿邪、燥邪、寒邪の五種類があり、これらが体に侵入することで様々な不調を引き起こすと考えられています。 呼吸が苦しくなる症状を引き起こす肺の病邪は、主に風邪、寒邪、湿邪などが肺に侵入し、蓄積することで起こるとされています。 例えば、冷たい外気に触れたり、冷えたものを飲食したりすることで寒邪が体に侵入し、肺に影響を与えることがあります。また、雨や湿度の高い環境に長くいることで体内に湿気がたまり、それが原因で肺の働きが低下することもあります。さらに、風邪をひいた際に、体内に侵入した風邪の邪気が肺に影響を及ぼし、呼吸困難を引き起こすこともあります。 これらの邪が肺の働きを阻害することで、呼吸が浅くなったり、息苦しさを感じたりといった症状が現れます。 東洋医学では、呼吸困難の症状に対して、その原因となっている邪の種類や状態を把握した上で、漢方薬の処方や鍼灸治療など、体に負担の少ない方法で治療を行います。
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納氣平喘:呼吸困難を和らげる東洋医学的アプローチ

- 納氣平喘とは -# 納氣平喘とは 「納氣平喘」は、東洋医学において、息苦しさなどの呼吸困難を和らげるための治療法を指す言葉です。 この言葉は、「納氣」と「平喘」という二つの言葉から成り立っています。 まず「納氣」ですが、これは体の中を流れる目に見えないエネルギーのようなもの、「氣」を、本来あるべき場所に正しく収めることを意味します。 東洋医学では、この「氣」の流れが滞ったり、乱れたりすることが様々な不調の原因となると考えられており、呼吸困難もその一つとされています。 次に「平喘」ですが、これは読んで字のごとく「喘(あえ)ぎ」を「平(たいら)げる」、つまり呼吸を落ち着かせて楽にすることを意味します。 つまり「納氣平喘」とは、呼吸困難の原因となる「氣」の乱れを整え、正しい流れに戻すことで、呼吸を楽にする治療法と言えるでしょう。 具体的には、鍼灸や漢方薬を用いることで、体のバランスを整え、呼吸器系の機能を正常化していきます。
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東洋医学で探る咳嗽と呼吸困難の治療法

- 肺気の逆流と咳嗽、呼吸困難の関係 東洋医学では、咳や息苦しさといった呼吸器の症状は、肺自体だけの問題ではなく、体の全体の気の巡りの不調と密接に関係していると考えられています。特に、肺の働きである呼吸と深く関わる「肺気」の流れが逆流してしまう「肺気の逆流」は、様々な呼吸器症状を引き起こす原因の一つと考えられています。 通常、肺気は体の上に向かってスムーズに流れ、呼吸を助ける役割を担っています。これは、空気を吸い込むと同時に、体にとって必要な「気」も取り込み、全身に巡らせているからです。しかし、この肺気が何らかの原因で逆流してしまうと、咳が出たり、呼吸が苦しくなったりといった症状が現れると考えられています。 肺気の逆流を引き起こす原因は様々ですが、東洋医学では、風邪や冷えなどの外的な要因、ストレスや疲労、暴飲暴食といった内的な要因などが考えられています。これらの要因によって体のバランスが崩れ、肺気の正常な流れが阻害されることで、逆流が起こるとされています。 肺気の逆流は、咳や呼吸困難だけでなく、痰や喘鳴、声がれなどの症状を引き起こすこともあります。また、長期間にわたって肺気の逆流が続くと、呼吸器の機能が低下し、喘息などの慢性的な呼吸器疾患に発展する可能性もあると考えられています。 東洋医学では、肺気の逆流に対して、体のバランスを整え、肺気の正常な流れを回復させることを目的とした治療が行われます。具体的には、漢方薬の処方、鍼灸治療、食事療法、呼吸法などが挙げられます。
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咳と下痢に効く?斂肺澁腸藥とは

{斂肺澁腸藥とは、東洋医学の考え方をもとに、咳や息切れといった呼吸器の不調と、長引く下痢などの消化器の不調、両方に効果があるとされる漢方薬の一種です。 名前の通り、肺の機能を正常な状態に整え、過剰な分泌を抑えて咳や呼吸困難を和らげます。同時に、腸の働きを整え、水分の吸収を促進することで、慢性的な下痢を改善する効果も期待できます。 主に、酸味と収斂作用を持つ生薬が配合されています。酸味は、体の組織を引き締める効果があり、収斂作用は、組織や器官を縮めて分泌や出血を抑える効果があります。これらの作用により、肺と腸の不調を改善すると考えられています。 ただし、体質や症状によっては、合わない場合もありますので、服用する際には、漢方に精通した医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
漢方薬

咳と息切れに:止咳平喘薬の役割

咳や息切れは、私たちの日常生活で頻繁に起こる症状です。咳は、体の中に入ってきた異物や、体に必要のない痰を外に出すための体の防衛反応です。しかし、咳が長く続くと体力を奪われ、夜も眠ることができなくなるなど、日常生活に大きな影響を与えます。 また、息切れは呼吸が苦しいと感じる症状で、呼吸の回数が増えたり、胸が締め付けられるような感覚を伴うこともあります。息切れの原因はさまざまで、肺炎や喘息などの呼吸器の病気、心臓の病気、貧血などが考えられます。 咳や息切れは、風邪など、比較的軽い病気のサインであることもありますが、中には命に関わる病気のサインである可能性もあります。そのため、自己判断せずに、医療機関を受診し、医師による適切な診断と治療を受けることが重要です。
漢方の診察

東洋医学における『喘』の理解

- 呼吸の苦しさ -# 呼吸の苦しさ 『喘』とは、息を吸ったり吐いたりすることが困難な状態を指します。 まるで、空気の通り道である気道が狭くなったように、息苦しさを感じます。 これは、気道が炎症を起こしたり、何らかの原因で狭くなったりすることで、スムーズな呼吸が阻害されてしまうために起こります。 息を吸うのも吐くのも苦しく、深く呼吸することができません。 そのため、常に息苦しさを感じ、まるで重たい荷物を背負って急な坂道を登っているような感覚に襲われます。 場合によっては、呼吸をするたびに胸が締め付けられるような痛みを伴うこともあります。 呼吸が苦しいと感じたら、まずは安静にして楽な姿勢を保ちましょう。 そして、深くゆっくりと呼吸をするように心がけてください。 それでも症状が改善しない場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。
漢方の診察

東洋医学における『哮』:その特徴と理解

- 呼吸の苦しさ息苦しさは何を訴えているのか? 東洋医学では、呼吸が困難で苦しい状態を『哮(こう)』と呼びます。これは、まるで笛を吹くように「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音が呼吸に伴って聞こえる状態を指します。まるで狭い竹筒に無理やり風を通そうとするように、空気の通り道が狭くなっている状態が『哮』の特徴です。 単に呼吸の回数が多くなる、あるいは呼吸が浅くなるといった状態とは異なり、『哮』は息を吸うのも吐くのも困難で、大きな努力を必要とします。空気の通り道である気道が狭くなっているため、十分な空気を体内に取り込めず、息苦しさを感じてしまうのです。 東洋医学では、この『哮』は、体の内部のバランスが崩れることで引き起こされると考えられています。特に、『肺』『脾』『腎』と呼ばれる臓腑の働きが深く関わっているとされています。これらの臓腑の働きが弱まったり、バランスが崩れたりすることで、体に必要なエネルギーや水分代謝が滞り、呼吸器系に影響を及ぼすと考えられています。 『哮』は、その原因や症状によって細かく分類され、それぞれに対応した治療法が選択されます。
その他

猛疽:東洋医学からみるその脅威

- 猛疽とは -# 猛疽とは 猛疽とは、東洋医学で使われる言葉で、現代医学でいう悪性腫瘍、特に咽頭や喉頭にできる悪性の腫瘍がさらに悪化した状態を指します。この腫瘍は、まるで熱を持った毒を持った矢が刺さったように、患部が赤く腫れ上がり激しく痛みます。 猛疽は、腫れ物が急速に大きくなるという特徴があります。腫瘍が大きくなるにつれて、気道が圧迫され、呼吸が苦しくなります。さらに悪化すると、呼吸困難に陥り、命に関わる場合もあります。 東洋医学では、猛疽の原因は、体に溜まった熱毒だと考えられています。この熱毒は、不摂生やストレス、過労などが原因で体内に蓄積されるとされています。 猛疽の治療は、腫れを抑え、熱毒を取り除くことを目的とします。漢方薬の服用や鍼灸治療などが行われます。また、症状によっては、西洋医学的な治療と並行して行われることもあります。 猛疽は命に関わる病気であるため、早期発見、早期治療が重要です。喉の痛みや腫れ、呼吸困難などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
漢方の診察

喘鳴:その音と意味

- 喘鳴とは -喘鳴とは- 呼吸をする時に、ヒューヒューと笛のような音が聞こえる症状を喘鳴と呼びます。これは、空気の通り道である気道が狭くなったり、炎症を起こすことで、空気が通りにくくなるために起こります。 例えるならば、笛を吹く時に、息が狭い穴を通ることによって高い音が鳴るのと同じように、狭くなった気道を空気が通るときに、ヒューヒューという音が発生するのです。 この喘鳴は、風邪や気管支炎、喘息など、様々な呼吸器疾患で起こる可能性があります。そのため、喘鳴が聞こえる場合には、自己判断せずに医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。 喘鳴の音や症状には、病気の重さや種類によって様々な特徴があります。例えば、ゼーゼーという低い音の場合や、呼吸が苦しそうな場合には、重症化する可能性もあるため、注意が必要です。また、発熱や咳などの症状を伴う場合も多く見られます。 喘鳴は、特に乳幼児や高齢者においては、重症化するリスクが高いため、注意深く観察する必要があります。日頃から、呼吸の音や様子に気を配り、少しでも異常を感じたら、早めに医療機関を受診するように心がけましょう。
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東洋医学における喘促

- 喘促とは -# 喘促とは 喘促とは、息を吸ったり吐いたりすることがつらく、呼吸が速くなってしまう状態を指します。息苦しさや胸が締め付けられるような感覚を伴い、呼吸をするたびに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音が聞こえることもあります。 西洋医学では、喘息や慢性閉쇄性肺疾患(COPD)などの病名がつけられますが、東洋医学では、喘促は一つの病気として捉えるのではなく、体の様々な不調が呼吸器系に現れた結果だと考えます。 東洋医学では、体のエネルギーである「気」の流れが滞ったり、「気」そのものが不足したりすることで、様々な症状が現れると考えられています。喘促の場合、肺の機能をつかさどる「肺気」の不足や、体内の水分代謝に関わる「脾」や「腎」の機能低下、さらに、心の状態やストレスなども「気」の流れを阻害し、喘促を引き起こす要因になり得ると考えられています。 つまり、東洋医学では、喘促の症状だけに注目するのではなく、その人の体質や生活習慣、精神的な状態などを総合的に判断し、根本的な原因を探っていくことが重要になります。そして、食事療法や鍼灸治療、漢方薬などを用いて、体のバランスを整え、「気」の流れをスムーズにすることで、喘促の症状改善を目指します。
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命の危機!東洋医学が捉える「血脱証」とは?

- 血脱証大量出血が招く危機的な状態 東洋医学では、大量の出血によって生命が危険に晒される状態を「血脱証」と呼びます。これは、西洋医学でいう hemorrhagic shock (出血性ショック) に相当し、単に血液量が減るだけでなく、生命エネルギーである「気」も同時に失われてしまう深刻な状態です。 私たちの体は、「気」・「血」・「水」の3つの要素が調和することで健康が保たれています。「気」は生命エネルギーを、「血」は血液そのものや栄養を、「水」は体液全般を指します。 血脱証は、事故や手術、出産時の大出血など、様々な原因によって引き起こされます。出血によって血液量が減ると、体に必要な酸素や栄養が十分に行き渡らなくなり、生命活動が維持できなくなってしまうのです。 さらに、東洋医学では、「血」は「気」と密接な関係にあると考えられています。つまり、大量出血は「血」の不足だけでなく、「気」の損傷にも繋がってしまうのです。その結果、意識が朦朧としたり、顔色が悪くなったり、脈が弱くなったりといった、生命力が著しく低下した状態に陥ります。 血脱証は、緊急の対応が必要となるため、その特徴をよく理解しておくことが重要です。迅速な処置が生死を分けるため、少しでも異常を感じたら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
内臓

東洋医学における肺氣不宣:その原因と症状

- 肺氣不宣とは -# 肺氣不宣とは 東洋医学では、肺は単に呼吸をする器官ではなく、体中にエネルギーと栄養を届ける重要な役割を担っています。この働きを「気の宣発」と呼びます。「気」とは、生命エネルギーのようなもので、体の隅々まで行き渡ることで健康を保つと考えられています。 肺氣不宣とは、この「気の宣発」がスムーズに行われなくなった状態を指します。つまり、肺の機能が低下し、体全体に十分なエネルギーや栄養を届けられなくなっている状態と言えるでしょう。 この状態に陥ると、呼吸機能の低下はもちろんのこと、体の様々な部分に影響が現れます。例えば、風邪や咳、痰などの呼吸器症状だけでなく、皮膚の乾燥や、声のかすれ、食欲不振、倦怠感なども、肺氣不宣が原因で起こることがあります。 東洋医学では、病気の根本原因を探り、体全体のバランスを整えることで健康を回復しようとします。肺氣不宣の場合も、肺だけを診るのではなく、生活習慣や体質、心の状態なども考慮しながら、その人に合った治療法を見つけ出すことが大切です。
内臓

東洋医学における肺失清肅:その症状と意味

- 肺失清肅とは -# 肺失清肅とは 東洋医学では、人間の体は「気」という目に見えない生命エネルギーが体内をくまなく巡り、滞りなく流れることで健康が保たれると考えられています。この「気」は、私達が呼吸をするたびに、空気とともに体内に取り込まれ、全身に運ばれていきます。 肺は、呼吸をつかさどり、体内に「気」を取り込む重要な臓器です。新鮮な「気」を吸い込み、全身に送り届ける役割を担っています。「清」とは、濁りなく澄み切った状態、「肅」とは、滞ることなくスムーズに流れる状態を指します。 つまり、「肺失清肅」とは、肺の機能が低下し、呼吸によって体内に「気」を取り込み、全身に巡らせることがうまくできなくなっている状態を指します。 肺の機能が正常に働かないため、体内に十分な「気」を取り込めず、「気」の流れも滞りがちになります。その結果、様々な体の不調が現れると考えられています。
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東洋医学における肺津不布:その原因と症状

- 肺津不布とは -# 肺津不布とは 肺津不布とは、東洋医学において、肺が持つ体内の水分を適切に巡らせる機能が低下した状態を指します。東洋医学では、体内の水分全般を「津液」と呼び、この津液は、身体の隅々に栄養を届けたり、潤いを与えたりと、健康を保つ上で非常に重要な役割を担っています。 肺は、呼吸を通して体内に新鮮な空気を取り込むと同時に、この津液を全身に巡らせるポンプのような役割も担っているとされています。しかし、何らかの原因で肺の機能が低下すると、このポンプとしての働きが弱まり、津液が全身に行き渡らなくなってしまいます。この状態を、肺津不布と呼ぶのです。 肺津不布になると、咳や痰、息切れといった呼吸器系の症状が現れるだけでなく、皮膚の乾燥や便秘など、一見、肺とは関係ないように思える症状が現れることもあります。これは、津液が全身に行き渡らなくなることで、身体全体の水分バランスが崩れてしまうためです。 肺津不布は、風邪や気候の変化、過労、ストレスなど、様々な要因によって引き起こされると考えられています。