壮熱

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熱盛動風證:その症状と意味

- 熱盛動風證とは -# 熱盛動風證とは 熱盛動風證(ねつじょうどうふうしょう)は、東洋医学において、高熱に伴って痙攣や意識障害などの神経症状が現れる病態を指します。現代医学の特定の病気と完全に一致するわけではありませんが、髄膜炎や脳炎、破傷風などを疑わせるような深刻な状態を示唆している可能性があります。 熱盛動風證は、その名の通り、「熱」が体内で「盛ん」になり、「風」の邪気を「動」かしてしまう状態だと考えられています。東洋医学では、風は体の運動機能を司ると同時に、様々な病気を引き起こす要因の一つとされています。この風は、過剰な熱によって乱されてしまい、その結果として痙攣や意識障害といった神経症状が現れると考えられています。 熱盛動風證は、緊急を要する病態である可能性が高いため、西洋医学の診断と治療が不可欠です。自己判断で民間療法などに頼らず、速やかに医療機関を受診しましょう。医療機関では、西洋医学的な検査と並行して、東洋医学的な診察が行われることもあります。東洋医学では、脈診や舌診、腹診などを通して患者の状態を総合的に判断し、熱を取り除き、風の邪気を鎮めるための治療を行います。
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衛營同病證:複雑な熱性疾患の理解

- 衛營同病證とは -# 衛營同病證とは 衛營同病證とは、東洋医学において、流行性の熱病で見られることの多い病証です。この病証は、体を守る二つの重要な気、すなわち体の表面を巡り外邪の侵入を防ぐ「衛気」と、体の深部を流れ栄養を運ぶ「營気」の両方が、同時に侵入してきた熱邪の影響を受けている状態を指します。 衛營同病證は、激しい熱や意識障害といった熱病特有の症状に加え、寒気や頭痛、全身の筋肉痛など、一見熱病とは思えないような症状が同時に現れる点が特徴です。これは、熱邪が体の表面と深部の両方に影響を及ぼし、体の防御機能である「正気」と激しく闘っている状態を表しています。 例えば、初期には寒気や筋肉痛など、まるで風邪のような症状が現れますが、これは熱邪が体に侵入しようとしている段階で、衛気が懸命に戦っている状態を示しています。そして、病が進むにつれて高熱や意識障害、精神不安といった症状が現れます。これは熱邪が營気にまで影響を及ぼし、体の深部にまで侵入してしまった状態を表しています。 このように、衛營同病證は体の防衛機能である正気と熱邪が激しく攻防を繰り広げている状態であり、適切な治療を行わないと重症化する危険性も孕んでいます。
その他

小児の突然の発作!知っておきたい「急驚風」

- 急驚風とは? 急驚風とは、主に乳幼児期に見られる病気で、突然起こる痙攣発作が主な症状です。 高熱を伴い、意識がぼんやりすることもあります。 現代医学では、熱性痙攣などが原因として考えられています。 東洋医学では、子供は大人に比べて体力があまりないため、急な発熱や外部からの強い刺激によって、「風」の邪気が体内に侵入しやすくなると考えられています。 この「風」の邪気が体内に入ると、体内のエネルギーや水分を乱し、痙攣や意識障害といった急驚風の症状を引き起こすとされています。 急驚風は、適切な治療を行えば多くの場合、後遺症を残さずに回復する病気です。 しかし、繰り返し発症する場合や、痙攣が長く続く場合は、注意が必要です。 子供の容態が急変することがあるため、少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。
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熱極動風証:高熱と痙攣の背景

- 熱極動風証とは 熱極動風証とは、東洋医学における病理概念の一つで、激しい熱によって肝の機能が亢進し、風の症状が現れる状態を指します。簡単に言えば、高熱によって体のバランスが崩れ、神経系統に異常が生じる状態を意味します。 この病態は、まず高熱によって始まります。高熱は体内の水分を奪い、体液のバランスを崩します。この状態が続くと、体内の熱が肝に影響を与え、その機能を亢進させます。 肝は東洋医学では「疏泄(そせつ)」という、気の流れを調整する働きを担っています。しかし、熱によって肝の働きが過剰になると、この疏泄機能が乱れ、気が上昇しすぎる「肝陽上亢(かんようじょうこう)」という状態を引き起こします。 肝陽上亢になると、めまい、頭痛、顔面紅潮、怒りっぽくなる、痙攣、言語障害など、風の症状が現れます。 風の症状とは、めまい、震え、痙攣、しびれ、麻痺など、体の動きに異常が現れる症状のことです。 熱極動風証は、高熱が長く続く病気、例えば感染症や熱中症などが原因で起こることがあります。 また、体質的に熱がこもりやすい人や、ストレスを抱えやすい人も、この病態になりやすいと言われています。
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熱極生風證:高熱が招く体の危機

- 熱極生風證とは -# 熱極生風證とは 熱極生風證は、東洋医学における独特な病態概念の一つです。この概念では、体内に過剰に蓄積した熱が、ある限界を超えてしまうことで「風」を発生させると考えられています。この「風」は、西洋医学でいう風邪とは異なり、体の様々な機能を乱す原因となるものと考えられています。 私たちの体は、本来備わっている調節機能によって、常に一定の状態に保たれています。しかし、過労や睡眠不足、激しい感情の起伏、あるいは過剰な飲酒などによって、体内のバランスが崩れ、熱が生じることがあります。 この熱が適切に処理されずに蓄積し続けると、やがて「風」へと変化し、体の制御機能に影響を及ぼし始めます。その結果、震えや痙攣、意識障害、めまい、言語障害、顔面神経麻痺、手足の痺れなど、様々な神経症状が現れると考えられています。 熱極生風證は、その症状の現れ方から「内風」の一つに分類されます。「内風」は、主に体の内部の異常によって引き起こされる風のことを指し、体のバランスを崩す大きな要因の一つと考えられています。 熱極生風證は、適切な治療を行わなければ、生命に関わる深刻な状態に陥る可能性もあるため、注意が必要です。