婦人科

女性の悩み

熱入血室證:その原因と症状

- 熱入血室證とは -# 熱入血室證とは 熱入血室證は、東洋医学で使われる言葉で、体の中の熱のバランスが崩れ、その熱が血液の流れの中心である「血室」という場所にまで入り込んでしまうことで起こると考えられています。西洋医学では、「血室」は子宮や卵巣と関連付けられることが多く、女性の月経や妊娠、出産などに深く関わっています。 健康な状態では、体の中の熱はバランスを保っていますが、過労やストレス、不適切な食事、激しい運動などによって、このバランスが崩れることがあります。その結果、体に余分な熱(熱邪)が生じ、それが体の上部や外側へ向かうと、のぼせや顔面紅潮、喉の渇きなどの症状が現れます。 さらに熱が強まると、体の奥深く、特に血液循環の中心である「血室」にまで侵入してしまうことがあります。これが「熱入血室證」と呼ばれる状態です。血室は、月経や妊娠、出産など、女性の体に深く関わる重要な場所です。熱によって血室の働きが乱されると、月経周期の乱れ、月経痛の悪化、月経時の出血量の変化、不正出血、妊娠しにくくなる、流産しやすくなるなど、様々な症状が現れると考えられています。 熱入血室證は、あくまで東洋医学的な考え方であり、西洋医学的な検査で異常が見つからないこともあります。しかし、体の不調を感じたら、自己判断せずに、専門家の診察を受けるようにしましょう。
女性の悩み

女性を悩ます腸覃:その原因と東洋医学的アプローチ

- 腸覃とは何か 腸覃とは、東洋医学において、臍の下、特に下腹部に腫瘤のような硬いしこりが形成される病態を指します。\nこれは西洋医学の「子宮筋腫」「子宮内膜症」「卵巣嚢腫」といった婦人科疾患と関連付けられることが多く、特に月経周期との関連性が深い点が特徴です。 腸覃は、東洋医学では「気」「血」「水」の巡りが滞ること、すなわち「気滞」「瘀血」「痰湿」が原因となって発生すると考えられています。\n「気滞」とは、精神的なストレスや不規則な生活習慣などによって気の巡りが悪くなること、「瘀血」とは、血行不良により血液がドロドロと滞ってしまうこと、「痰湿」とは、体内の水分代謝が滞り、余分な水分が体内に溜まってしまうことを指します。 腸覃の症状としては、月経痛や月経不順、腹部膨満感などが挙げられます。\nまた、症状が進むと、腰痛や下肢の冷え、便秘、むくみなどを引き起こすこともあります。\n東洋医学では、これらの症状に合わせて、身体のバランスを整える治療を行います。\n具体的には、鍼灸治療や漢方薬の処方、食事指導、運動療法などを通じて、「気」「血」「水」の巡りを改善し、身体の内側から健康な状態へと導きます。
女性の悩み

東洋医学から見る難産の原因と対策

- 難産とは -# 難産とは 難産とは、お産がスムーズに進まない状態を指します。出産には通常であればある程度の時間がかかりますが、難産の場合、その時間が極端に長引いてしまうことがあります。 長時間におよぶお産は、母体にとって肉体的にも精神的にも大きな負担となるだけでなく、赤ちゃんにとっても低酸素などのリスクが伴います。 現代医学では、難産の診断は、子宮口の開き具合や赤ちゃんの大きさ、そしてお腹の中での赤ちゃんの位置などを総合的に判断して行われます。 子宮口がなかなか十分に開かなかったり、赤ちゃんが大きすぎる、あるいは逆子などの異常な位置にある場合は、難産になりやすいと考えられています。 一方、東洋医学では、こうした医学的な要因に加えて、お母さんの体質や生活習慣、そして心の状態なども、難産に深く関わっていると捉えています。 冷え性や貧血、体力不足などは、お産に必要な気や血、水の巡りを悪くし、難産を招きやすくなると考えられています。また、不安や緊張、恐怖心などの強いストレスも、気の流れを滞らせ、お産をスムーズに進みにくくする要因となります。 東洋医学では、妊娠中から、食事や生活習慣の改善、鍼灸治療、漢方薬の服用などによって、母体の体質改善や心身のバランスを整え、お産に向けて万全の準備をすることが大切だと考えられています。
女性の悩み

崩中とは?:突然の出血への理解

- 崩中女性の身体からのサイン 崩中は、東洋医学の言葉で、現代医学でいう不正出血を指します。これは、月経期間以外、あるいは月経期間であっても、予想外の時期や量で子宮からの出血がみられる状態をいいます。女性の身体には、月経という自然なリズムが備わっていますが、崩中は、このリズムが崩れていることを知らせる大切なサインです。 この出血は、一時的なものから長く続くものまで様々で、その原因も多岐に渡ります。 ホルモンバランスの乱れは、崩中の大きな要因の一つです。ストレスの多い生活や過度なダイエット、睡眠不足などは、ホルモンバランスを乱しやすく、崩中に繋がることがあります。また、子宮筋腫や子宮内膜ポリープといった子宮の病気が原因で出血がみられることもあります。 さらに、甲状腺の病気や血液の病気が隠れている場合もあり、注意が必要です。 崩中は、身体からの重要なメッセージです。自己判断せず、出血が続く場合は、医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。
女性の悩み

月経過多:東洋医学からの視点

- 月経過多とは 月経過多とは、毎月の月経出血量が極端に多い状態を指します。普段通りの生活を送ることが難しくなったり、貧血によって疲れやすくなったり息切れがしたりするなど、生活の質を著しく低下させる可能性があります。 -# 月経過多の症状 月経過多と判断される目安には、以下のようなものがあります。 * 月経期間が7日以上続く * 一回の生理でナプキンを20枚以上使用する * 夜用のナプキンを使用しても経血が漏れてしまう * 貧血の症状(立ちくらみ、めまい、動悸、息切れ、顔面蒼白など)が現れる これらの症状に当てはまる場合、月経過多の可能性があります。 月経量は個人差が大きく、上記の基準に当てはまらなくても、普段の月経量と比べて明らかに多いと感じる場合は、一度医療機関を受診してみましょう。 月経過多の原因は様々で、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患が原因となっている場合もあります。月経過多が疑われる場合は、自己判断せずに、医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。
女性の悩み

東洋医学に見る避年:一年に一度の月経の謎

- 避年一年に一度の月経 避年とは、その名の通り一年に一度しか月経がない状態を指します。現代医学では、一般的に月経は月に一度訪れるものと考えられており、避年は月経周期の異常と診断されることが多いでしょう。しかし、東洋医学では、このような状態を一概に異常とは捉えません。 東洋医学では、人間の体は自然の一部であり、自然のリズムと調和して生きることで健康が保たれると考えられています。月経もまた、自然のリズムの一つであり、その周期は個人差が大きいものです。一年に一度しか月経がない場合でも、それがその人の体質や体力、生活環境などに合致しているのであれば、必ずしも問題視する必要はありません。 むしろ、東洋医学では、避年そのものよりも、その背景にある体質や生活習慣に着目します。例えば、冷え性や気血の不足、ストレス過多などが考えられます。これらの要因を改善することで、月経周期を整え、より健康な状態へと導くことが期待できます。 避年は、現代医学と東洋医学で捉え方が異なる症状の一例と言えるでしょう。重要なのは、自身の体と向き合い、その声に耳を傾けることです。もしも、一年に一度の月経に不安や疑問を感じるのであれば、一人で抱え込まずに、専門家の意見を聞くようにしましょう。
女性の悩み

3ヶ月に1回の月経「季経」とは?

- 季経とは -# 季経とは 季経とは、月経周期が通常よりも長くなり、約3ヶ月に1回の頻度で月経がみられる状態のことをいいます。 一般的に、正常な月経周期は25日から38日程度とされています。月経周期が39日以上続く場合や、2ヶ月以上月経がない場合は「稀発月経」と呼びます。そして、2~3ヶ月以上月経がない状態が続く場合は「続発性無月経」として扱われます。 しかし、季経の場合は、3ヶ月に1回程度の頻度で月経がみられるため、医学的には無月経とは区別されます。 季経の原因は、ホルモンバランスの乱れや卵巣機能の低下、ストレス、急激な体重変化、過度なダイエットなどが考えられます。 また、甲状腺疾患や脳下垂体腫瘍などの病気が隠れている場合もあるため、注意が必要です。 もし、3ヶ月に1回程度の頻度でしか月経が来ない場合は、自己判断せず、医療機関を受診し、医師に相談することをおすすめします。
女性の悩み

東洋医学が考える「並月」:2ヶ月に1度の月経のリズム

- 2ヶ月に1度の月経「並月」とは 「並月(へいげつ)」という言葉をご存知でしょうか?これは、2ヶ月に1度やってくる月経のことを指し、東洋医学で使われる言葉です。一般的に月経周期は28日周期と言われていますが、並月は約2ヶ月、つまり50日から60日周期で訪れます。 西洋医学では、月経不順や稀発月経といった月経周期の異常として捉えられることもありますが、東洋医学では、体質や体調、心の状態を反映したひとつのサインとして捉え、必ずしも病気と診断するわけではありません。 東洋医学では、月経はただ体が成熟したというだけでなく、心と体の状態を映し出す鏡と考えられています。そのため、並月だからといってすぐに治療が必要となるわけではなく、その人の体質や生活習慣、ストレスなどを総合的に判断します。 例えば、冷え性で血の巡りが悪い体質の場合、並月が見られることがあります。このような場合は、体を温め、血の巡りを良くするような食事や生活習慣を心がけることが大切です。また、過度なストレスや疲労、ダイエットなども月経周期に影響を与えるため、心身ともにリラックスできる時間を持ち、バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。
漢方の治療

東洋医学における塞流:婦人科疾患へのアプローチ

- 塞流とは何か 塞流とは、東洋医学、特に婦人科で広く用いられる治療法の一つで、月経過多や月経不順、不正性器出血といった、月経にまつわる出血が過剰な状態を改善することを目指します。 「塞」は「せき止める」、「流」は「流れ」を意味し、その名の通り、体から必要以上に流れ出ている血液を、適切な状態にまで抑えることを目的としています。 東洋医学では、このような過剰な出血は、身体のバランスが崩れている状態だと考えます。特に、「気」「血」「水」と呼ばれる生命エネルギーの循環が滞ることによって、出血が引き起こされると考えられています。 塞流では、漢方薬を用いることが多く見られます。漢方薬は、自然の生薬を組み合わせることで、身体の内側から優しく働きかけ、「気」「血」「水」のバランスを整え、過剰な出血を抑えようとします。 また、身体の特定のツボに鍼やお灸で刺激を与える鍼灸治療も、塞流において重要な役割を果たします。鍼灸治療は、経絡と呼ばれるエネルギーの通り道を調整することで、「気」「血」「水」の流れを改善し、身体のバランスを整えていきます。 塞流は、単に症状を抑える対症療法ではなく、身体の根本的な原因にアプローチし、自己治癒力を高めることで、健康な状態へと導いていく治療法と言えるでしょう。
女性の悩み

女性の不安と向き合う:乳衄の原因と対策

- 乳衄とは何か 乳衄とは、乳首から血液が混じった分泌物が出てくる症状を指します。生理前に少量の出血が見られることは珍しくありませんが、生理期間以外に頻繁に見られたり、出血量が多い場合は注意が必要です。 -# 乳衄の原因 乳衄は、乳腺の病気やホルモンバランスの乱れなど、さまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。 -乳腺の病気- 乳腺に炎症や腫瘍などができると、乳管から出血しやすくなり、乳衄として現れることがあります。乳腺の良性腫瘍である乳腺線維腺腫や、乳腺の組織に嚢胞ができる乳腺嚢胞症などが考えられます。 -ホルモンバランスの乱れ- 女性ホルモンのバランスが乱れると、乳腺が刺激され、乳衄が起こりやすくなることがあります。ストレスや睡眠不足、過労、極端なダイエットなどがホルモンバランスの乱れに繋がることがあります。 -薬の副作用- 避妊薬(ピル)やホルモン剤などの服用によって、乳衄が現れることがあります。 -# 乳衄の症状 乳衄の症状は、出血の色や量、頻度、痛みや腫れの有無などによって異なります。 * 出血の色鮮血から黒っぽい色まで様々です。 * 出血量少量のこともあれば、大量に出ることもあります。 * 頻度一度だけの場合もあれば、繰り返し起こる場合もあります。 * 痛みや腫れ痛みや腫れを伴うこともあれば、全くないこともあります。 -# 乳衄が疑われる場合 乳衄が疑われる場合は、自己判断せずに、速やかに医療機関を受診しましょう。乳腺外科など、専門医の診察を受けることをおすすめします。自己判断で放置すると、症状が悪化したり、適切な治療が遅れたりする可能性があります。