知られざる病『脈痹』とは
- 脈痹の概要
脈痹とは、東洋医学で使われる言葉で、体の様々な場所に痛みやしびれが現れる病気のことを指します。西洋医学の特定の病気とは完全に一致しませんが、動脈硬化や末梢血管疾患などと関連付けられることもあります。
東洋医学では、体の中を「気・血・水」と呼ばれる生命エネルギーが常に巡っているとされており、この流れが滞ると体に様々な不調が現れると考えられています。この流れが滞ることを「瘀血(おけつ)」といい、脈痹もこの瘀血が原因で起こると考えられています。
脈痹は、特に血管の働きが低下することが原因で起こると考えられています。血管は、血液を全身に送り届ける重要な役割を担っていますが、加齢や生活習慣の乱れなどによって血管が硬くなったり、血管の内側にコレステロールなどが溜まったりすると、血液の流れが悪くなってしまいます。その結果、栄養や酸素が体の隅々まで行き渡らなくなり、痛みやしびれなどの症状が現れると考えられています。
脈痹の症状は、痛みやしびれの他に、冷え、こわばり、むくみ、皮膚の色が変化するなど、様々なものがあります。これらの症状は、どの血管にどの程度瘀血が生じているかによって異なります。そのため、東洋医学では、脈や舌の状態、お腹の状態などを総合的に判断し、その人に合った治療法を検討していきます。