痰厥

漢方の診察

東洋医学における痰厥:その原因と症状

- 痰厥とは -# 痰厥とは 痰厥とは、東洋医学において、体内の水分代謝の乱れにより生じた「痰」と呼ばれる粘り気のある病理産物が、体内のエネルギーや情報の通り道である「気」の流れを阻害し、意識の消失や筋肉の痙攣といった「厥逆」と呼ばれる症状を引き起こす病態を指します。 東洋医学では、健康を保つためには、体内に存在する「気」「血」「水」と呼ばれる要素が滞りなく巡っていることが重要だと考えられています。これらのバランスが崩れると、様々な不調が現れるとされています。 痰厥の場合、「水」の代謝が乱れることで「痰」が生じ、この「痰」が「気」の流れを阻害することで厥逆症状が現れると考えられています。西洋医学でいう「痰」は、主に呼吸器系の分泌物を指しますが、東洋医学における「痰」は、体内の水液代謝の乱れによって生じる粘り気のある病理産物全般を指します。そのため、呼吸器系だけでなく、消化器系や循環器系など、様々な部位に影響を及ぼす可能性があります。 痰厥は、その原因や症状、体質などによって様々なタイプに分類され、それぞれに対応した治療法が選択されます。
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東洋医学における湧吐剤:その役割と適用

- 湧吐剤とは -# 湧吐剤とは 湧吐剤とは、その名の通り、体内に溜まった不要なものを吐き出すことで治療効果を目指す薬剤のことを指します。東洋医学では、病気の原因となる邪気が体内に侵入すると考えられており、特に消化器系に関連した症状が見られる際に、その邪気を速やかに体外へ排出することが重要視されます。 例えば、食べ過ぎや食あたり、誤って毒を摂取してしまった場合などが、湧吐剤を用いる代表的な例です。 湧吐剤は、口から服用するものだけに限りません。現代医学における胃洗浄の考え方に近いものがあります。体内に取り込まれた不要なものを、嘔吐という反応を引き起こすことで体外へ排出することを目的としています。 ただし、自己判断で安易に湧吐剤を使用することは非常に危険です。東洋医学に基づいた適切な診断と処方が不可欠となります。自己治療は避け、必ず専門家の指導の下で使用してください。
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化痰開竅:心身をクリアにする伝統療法

- 痰厥と痰濁内蒙心包東洋医学の考え方 東洋医学では、心と体の健康は、「気」「血」「水」という3つの要素のバランスによって保たれていると考えられています。このうち、「水」は体内の水分代謝を司り、正常な状態では潤いを与え、老廃物を排出する役割を担います。しかし、「水」の代謝が乱れると、体内に「痰」と呼ばれる粘液状の病的な物質が生成されてしまいます。 「痰」は、一般的に、咳や痰を伴う呼吸器疾患をイメージされることが多いですが、東洋医学では、呼吸器系だけでなく、体内の様々な場所に停滞し、心身に多岐にわたる悪影響を及ぼすと考えられています。 「痰厥」は、この「痰」が突然頭にのぼるように上昇し、意識障害や痙攣、言語障害などを引き起こす病態を指します。まるで、意識を司る場所が「痰」によって覆い隠されてしまうような状態であり、緊急性を要する病態と言えるでしょう。 一方、「痰濁内蒙心包」は、「痰」が心臓を取り囲むように停滞することで、精神活動や意識を阻害する病態です。具体的には、物忘れ、反応の遅延、意識混濁、精神不安、胸のつかえ感などを引き起こします。 このように、「痰厥」と「痰濁内蒙心包」は、どちらも「痰」が原因で心や頭の働きが阻害される病態ですが、「痰」が上昇するか、心臓を覆うように停滞するかの違いがあります。いずれの病態も、東洋医学の専門家による適切な診断と治療が必要とされます。