皮膚疾患

その他

東洋医学から見る丹毒

- 丹毒とは 丹毒は、皮膚が急激に赤く腫れ上がる病気です。東洋医学では、体内の毒が熱を持ち、肌表面に噴き出すことで発症すると考えられています。その名の通り、まるで赤い毒が体の中を巡っているようなイメージから「丹毒」と名付けられました。 -# 丹毒の症状 丹毒は、主に顔や脚に発症しやすく、患部は境界線がはっきりとした赤みを持ち、触ると熱く、強い痛みを伴います。まるで焼けたように感じることもあります。また、水ぶくれや皮むけを伴う場合もあります。さらに、発熱や悪寒、頭痛、倦怠感などの全身症状が現れることもあります。重症化すると、リンパ節が腫れたり、炎症が周囲の組織に広がり、蜂窩織炎などを引き起こすこともあります。 -# 東洋医学における丹毒 東洋医学では、丹毒は「熱毒」によって引き起こされると考えられています。熱毒とは、偏った食事や過労、ストレス、睡眠不足などが原因で、体内に過剰に生じた熱のことで、これが気血の流れを阻害し、肌表面に噴き出すことで、炎症を引き起こすとされています。 -# 丹毒の予防 丹毒を予防するには、体の免疫力を高め、熱毒を溜めないようにすることが大切です。バランスの取れた食事を心がけ、十分な睡眠をとり、適度な運動をするようにしましょう。また、ストレスを溜めないように、リラックスできる時間を作ることも大切です。
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流注:転移性癰の脅威

- 流注とは -# 流注とは 東洋医学では、人間の体には「気・血・津液」と呼ばれる生命エネルギーが流れており、これらが体内をくまなく巡ることで健康が保たれると考えられています。そして、このエネルギーの通り道となるのが「経絡」と呼ばれるものです。 「流注」とは、体の中に侵入した病気の原因となる邪気が、この経絡の流れに沿って移動し、別の場所に到達して新たな病気を引き起こす現象を指します。 特に、皮膚に生じる悪性の腫れ物である「癰(よう)」が、元の場所から離れた場所に現れることを「流注」と呼ぶことが多く、これは西洋医学でいう「転移性癰」に相当します。 癰は、放置すると重症化しやすく、命に関わる場合もあるため注意が必要です。流注は、癰以外にも、様々な病気の発生や悪化に関係すると考えられており、東洋医学では重要な概念の一つとなっています。
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多発する開口部に注意!有頭疽とは?

- 有頭疽とは何か 有頭疽は、皮膚の奥深く、皮下組織と呼ばれる部分に細菌が感染することで起こる病気です。はじめは複数の毛穴が炎症を起こしているように見えますが、次第に炎症は広がり、皮膚の奥深くでつながっていきます。そして、皮膚の表面には複数の開口部を持つ腫れや、膿が溜まった塊を作ります。この開口部からは、膿や壊死した組織が出てくるのが特徴です。 有頭疽の原因となる細菌は、主に黄色ブドウ球菌と呼ばれるものです。黄色ブドウ球菌は、健康な人の皮膚にも存在することがありますが、皮膚に傷ができたり、免疫力が低下したりすると、体内に入り込んで増殖し、有頭疽を引き起こすことがあります。 有頭疽は、誰にでも起こる可能性のある病気です。特に、糖尿病などの基礎疾患がある人や、ステロイドなどの免疫抑制剤を使用している人は、注意が必要です。また、不衛生な環境や、皮膚を清潔に保たないことも、有頭疽のリスクを高める要因となります。有頭疽は自然に治ることはほとんどなく、適切な治療が必要です。そのため、疑わしい症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
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東洋医学から見る「發」:その病態と治療

- 「發」とは何か 「發」とは、東洋医学で使われる言葉で、現代医学でいうと、皮膚の浅い部分が広く急に炎症を起こし、膿が溜まる病気のことを指します。皮膚が赤く腫れ上がり、熱を持っていて、強い痛みを伴うのが特徴です。 現代医学では、この病気の原因は、主に細菌感染だと考えられています。しかし東洋医学では、単に細菌に感染したというだけでなく、体の中の熱のバランスが崩れ、「邪」と呼ばれる悪い気が体の中に入ってきた状態だと考えます。 東洋医学では、体の状態や症状に合わせて、熱を冷ます漢方薬を使ったり、鍼灸治療で体のエネルギーの流れを整えたりすることで、「邪」を追い出し、体のバランスを取り戻すことを目指します。
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臍癰:おへその炎症に潜む危険

- 臍癰とは -# 臍癰とは 臍癰(さいよう)は、読んで字のごとく、おへそ(臍)に癰(よう)と呼ばれる腫れ物ができてしまう病気です。 癰とは、毛穴から細菌が侵入し、化膿することで皮膚が赤く腫れ上がり、強い痛みを伴う症状です。 おへそは、身体の他の部位と比べて皮膚が薄く、その下にある皮下組織に直接つながっています。そのため、細菌が侵入しやすく、炎症を起こしやすい場所です。 ここに細菌感染が起き、膿が溜まってしまうと、おへそが赤く腫れ上がり、痛みを伴うようになります。これが臍癰です。 臍癰は、適切な処置を行わないと、周囲の組織に炎症が広がり、重症化することがあります。 最悪の場合、全身に細菌が巡る敗血症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。 早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
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深刻化する感染症:疫疔とその脅威

- 疫疔とは -# 疫疔とは 疫疔は、皮膚やその下の組織に起こる、重症化する恐れのある感染症です。主に黄色ブドウ球菌という細菌が原因で発症し、適切な治療を行わないと命に関わるケースもあるため、注意が必要です。 感染しやすい部位は、頭部、顔面、手足などです。初期症状としては、かゆみのある小さな赤いブツブツが現れます。これは毛穴に細菌が感染することで起こり、毛包炎やせつといった状態です。 初期の段階では、患部は比較的軽い症状にとどまります。しかし、症状が進行すると、患部が赤く腫れ上がり、強い痛みを伴います。さらに、悪寒や発熱といった全身症状が現れることもあります。 重症化すると、患部から膿が出るようになり、周囲のリンパ節が腫れることもあります。また、細菌が血液中に入り込み、敗血症を引き起こす可能性もあります。敗血症は、様々な臓器に障害をもたらし、命に関わる危険性があります。 疫疔は、免疫力が低下している人や、糖尿病などの基礎疾患がある人は特に注意が必要です。また、不衛生な環境や、傷口からの細菌感染も、発症のリスクを高める要因となります。 少しでも異常を感じたら、自己判断せずに、速やかに医療機関を受診することが大切です。
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繰り返す肌の悩み、癤病を東洋医学はどう考える?

- 癤病とは -# 癤病とは 癤病とは、皮膚の一部分に繰り返し癤(せつ)ができる状態を指します。癤とは、毛穴に細菌が入り込み、炎症を起こして膿が溜まった状態をいいます。 誰でも一度は経験する、いわゆる「おでき」のことですが、これが単発的にできるのではなく、慢性的に繰り返してできる場合、癤病と診断されます。 癤病は、一度治ったと思っても同じ場所に繰り返しできたり、複数の癤が同時にできてしまうなど、厄介な特徴があります。 癤は、毛穴に常在する細菌が、皮膚の抵抗力が弱まっている時に増殖することで発生します。そのため、疲労やストレス、睡眠不足、栄養の偏りなどは、癤病の大きな要因となります。 また、糖尿病などの基礎疾患が隠れている場合もあるため、繰り返し癤ができる場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
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螻蛄癤:頭部にできる複数の膿瘍

- 螻蛄癤とは -# 螻蛄癤とは 螻蛄癤(ろくしゅほ)は、頭にできる複数の膿瘍を指します。この病名は、土の中に巣穴を掘る昆虫である螻蛄(おけら)から来ており、膿を持った小さな吹き出物が、まるで螻蛄が土に掘った穴のように見えることに由来します。 螻蛄癤は、後頭部や側頭部に発症することが多く、皮膚の表面だけでなく毛根を含む皮下組織にまで炎症が広がるのが特徴です。そのため、患部は赤く腫れ上がり、強い痛みを伴います。初期症状としては、かゆみを感じる程度の軽いものもありますが、次第に痛みを伴うようになり、触れると強い痛みを感じます。 重症化すると、複数の吹き出物がつながって大きな腫れとなることもあります。また、発熱や患部近くのリンパ節が腫れることもあります。さらに症状が悪化すると、全身に影響が及ぶ敗血症や髄膜炎などを引き起こす可能性もあり、注意が必要です。 螻蛄癤は、細菌感染によって引き起こされます。そのため、患部を清潔に保ち、早期に適切な治療を受けることが大切です。自己判断で治療を行うことは避け、医療機関を受診するようにしましょう。
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侮れない坐骨瘡:東洋医学からの視点

- 坐骨瘡とは? 坐骨瘡は、長時間同じ姿勢を続けることで起こる病気です。特に、寝たきりや車椅子を常用されている方など、自力で体の向きを変えることが難しい方に多く見られます。 長時間、体重で圧迫され続けると、臀部への血流が悪くなってしまいます。すると、体の組織に栄養や酸素が行き渡らなくなり、皮膚やその下の筋肉などが傷ついてしまうのです。 初期症状としては、皮膚が赤くなる、熱を持つ、腫れるといったものがあります。さらに症状が進むと、水ぶくれや皮膚の剥離が起こり、ひどい場合には潰瘍になってしまうこともあります。 潰瘍は、皮膚の表面がえぐれた状態です。そこから細菌感染を起こしてしまうと、治りが遅くなるだけでなく、命に関わる危険性も出てきます。 坐骨瘡は、決して軽視できない病気です。日頃から、体の向きを変えたり、クッションを使ったりして、臀部への負担を軽減することが大切です。また、皮膚に異常を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
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東洋医学が診る瘡瘍:その原因と治療法

- 瘡瘍とは何か 瘡瘍とは、皮膚表面が赤く腫れ上がり、熱を持ち、痛みを伴う症状を総称した言葉です。これは、現代医学でいうところのニキビや癰、疽、蜂窩織炎など、様々な皮膚の病気を含みます。 西洋医学では、これらの症状は細菌感染などによって引き起こされると考えられていますが、東洋医学では少し異なる視点から捉えます。東洋医学では、体の表面に現れる症状は、体の内部、つまり内臓や気血の流れと密接に関係していると考えられています。つまり、瘡瘍は単なる皮膚の炎症ではなく、体の内部に潜む不調が表面に現れたサインと捉えるのです。 例えば、暴飲暴食や脂っこいものの食べ過ぎなど、不摂生な生活を続けていると、体に熱がこもりやすくなります。この熱が体の上部、特に顔に影響を与えると、ニキビができやすくなると考えられています。また、ストレスや疲労、冷えなどで体の免疫力が低下すると、皮膚のバリア機能も低下し、細菌感染を起こしやすくなります。これが、癰や疽などの化膿性の皮膚疾患に繋がると考えられています。 このように、東洋医学では瘡瘍の原因を体の内外の様々な要因から総合的に判断します。そして、その原因に基づいて、食事療法や漢方薬、鍼灸治療など、一人ひとりの体質や症状に合わせた治療法を行います。
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なかなか治らない唇の腫れ、それは「脣疔」かも?

- はじめに -# はじめに 唇は、私たちが日々当たり前のように行う食事や会話に欠かせない、大切な役割を持つ器官です。その唇に、小さくても強い痛みを伴い、なかなか治ることのない腫れが出現したら… それは一体どのような病気なのでしょうか? 今回は、東洋医学の観点から、このような症状を引き起こす「脣疔(しんてい)」について解説していきます。 脣疔とは、唇に発生する、腫瘍性病変を指します。 小さな腫れ物として始まり、次第に赤く腫れ上がり、激しい痛みを伴うようになります。 場合によっては、発熱や悪寒、頭痛などの全身症状が現れることもあります。 東洋医学では、この脣疔は、「熱毒(ねつどく)」と呼ばれる病理産物が、体の防御機能を突破して、唇に侵入することで発生すると考えられています。 熱毒とは、過剰な飲酒や偏った食事、睡眠不足、ストレスなどの生活習慣の乱れや、風邪や感染症などによって、体内に生じる熱の性質を持った有害物質のことです。 脣疔は、単なる口唇の炎症ではなく、体の内部からのサインとして捉え、根本的な原因である熱毒を解消していくことが重要です。
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鼻腔のトラブル:鼻疳について

- 鼻疳とは 鼻疳は、鼻の穴の入り口付近、医学的には鼻前庭と呼ばれる部分に生じる炎症です。この鼻前庭は、鼻毛が生えている部分であり、空気中のホコリや細菌を最初に捕らえる役割を担っています。 -# 鼻疳の症状 鼻疳になると、鼻の入り口が赤く腫れ上がり、熱っぽく感じます。また、触ると痛みやかゆみを感じることが多く、場合によっては、皮膚がむけてきたり、かさぶたができることもあります。さらに、症状が進むと、黄色っぽい膿が出てきて悪臭を放つこともあります。一般的には、鼻前庭炎と同じ意味合いで使われています。 -# 鼻腔と鼻前庭の違い 鼻の病気と一口に言っても、その発生部位によって呼び方が異なります。鼻の奥深くにある空間を鼻腔と呼びますが、鼻疳は鼻腔ではなく、その入り口にある鼻前庭に起こる炎症のことを指します。鼻腔に炎症が起こる場合は、鼻炎と呼ばれます。鼻炎は、くしゃみや鼻水、鼻詰まりといった症状が現れますが、鼻疳は鼻の入り口付近の症状が中心となる点が異なります。 -# まとめ 鼻疳は、鼻の入り口付近に生じる炎症で、赤み、腫れ、痛み、かゆみなどを伴います。重症化すると、皮膚がむけたり、膿が出てくることもあります。鼻の入り口付近に症状がある場合は、自己判断せずに、医療機関を受診しましょう。
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鼻の中の厄介な炎症、鼻瘡とは?

- 鼻の入り口で起こる炎症、鼻瘡 鼻瘡とは、鼻の入り口付近、具体的には鼻前庭と呼ばれる部分に生じる炎症性疾患を指します。この病気は、鼻の穴のすぐ内側に見られる皮膚に症状が現れるのが特徴です。医学的には鼻前庭炎とも呼ばれ、多くの人を悩ませる疾患の一つです。 鼻瘡の主な症状としては、患部の赤み、腫れ、痛み、かゆみなどが挙げられます。さらに症状が進行すると、患部から膿が出る、かさぶたができる、皮膚が硬くなるといった症状が現れることもあります。これらの症状により、鼻呼吸がしづらくなったり、嗅覚が鈍くなったりするなど、日常生活に支障をきたすこともあります。 鼻瘡は、細菌やウイルス感染、アレルギー反応、乾燥、鼻を触る癖など、様々な要因によって引き起こされます。また、鼻の粘膜が傷ついている場合や、免疫力が低下している場合にも発症しやすくなります。 鼻瘡は再発しやすい病気としても知られており、一度発症すると繰り返し症状に悩まされることがあります。そのため、日頃から鼻の清潔を保ち、鼻を触る癖を控えるなど、予防に努めることが大切です。また、症状が出た場合には、自己判断で市販薬を使用するのではなく、医療機関を受診し適切な治療を受けるようにしましょう。適切な治療とセルフケアを続けることで、症状の改善や再発の予防に繋がります。
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耳の後ろの腫れと痛み:耳根癰とは?

- 耳の後ろの腫れと痛みの原因 耳の後ろが腫れて痛みを伴う場合、「耳下腺炎」や「耳介周囲蜂窩織炎」、「リンパ節の腫れ」などが考えられます。これらの病気は、いずれも耳の後ろの組織に炎症が起こることで、腫れや痛みを引き起こします。 -耳下腺炎-は、耳の下にある唾液腺である耳下腺にウイルスが感染することで起こる病気です。おたふく風邪としても知られており、特に幼児に多く見られます。耳下腺炎になると、片側または両側の耳の下が腫れて痛み、発熱や頭痛を伴うこともあります。 -耳介周囲蜂窩織炎-は、耳の周りの皮膚や皮下組織に細菌が感染することで起こる病気です。虫刺されやピアスの穴、外耳炎などが原因となることが多く、耳の後ろだけでなく、耳介(耳たぶを含む耳の外側の部分)全体が赤く腫れ上がり、強い痛みを伴います。 -リンパ節の腫れ-は、体に侵入した細菌やウイルスを退治しようと、リンパ節が活発に働くことで起こります。風邪や中耳炎などの炎症が原因となることが多く、耳の後ろ以外にも、顎の下や首筋のリンパ節が腫れることもあります。 これらの病気は、それぞれ原因や症状が異なるため、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。特に、高熱や強い痛み、膿が出るなどの症状がある場合は、早急に医療機関を受診してください。
その他

水痘:東洋医学からの理解

- はじめに 子供の頃、誰もが経験するであろう、あの赤い発疹と、我慢できないほどの痒み。そうです、水痘です。医学ではウイルスによって引き起こされるとされていますが、東洋医学ではこの病気の原因をどのように考えているのでしょうか。 東洋医学では、水痘は体内に侵入した「風熱邪」と呼ばれる邪気が原因だと考えられています。 この邪気は、まるで春の嵐のように、急に体内に入り込み、熱と湿気を伴って、皮膚に赤い発疹や水ぶくれを引き起こすとされています。さらに、この邪気は体内をめぐり、高熱や喉の痛み、咳などの症状を引き起こすこともあります。 では、東洋医学ではどのように水痘を治療するのでしょうか? その答えは、体内のバランスを整えることにあります。具体的には、発疹や痒みを鎮めるために、熱を取り除き、湿気を乾燥させる漢方薬や、鍼灸治療が行われます。さらに、体力を回復させ、免疫力を高めるために、食事療法や生活習慣の改善も重要視されます。 現代医学とは異なる視点から、水痘の原因と治療法を探る東洋医学。その奥深さは、私たちに新たな健康観を与えてくれるでしょう。
その他

水疱:東洋医学からの視点

- 水疱とは -# 水疱とは 水疱は、一般的に「みずぼうそう」と呼ばれる、主に子どもがかかりやすい伝染性の高い病気です。東洋医学では、この病気を引き起こす原因は、主に「時毒(じどく)」と呼ばれる、季節の変化に伴って体内に入り込む邪気だと考えられています。時毒は、特に春から夏にかけて流行しやすく、空気を通して人から人へ感染します。 子どもは、大人に比べて抵抗力が弱く、邪気に侵されやすいため、水疱にかかりやすいと考えられています。また、春から夏にかけては、気温や湿度の変化が大きく、体の調節機能が乱れがちになるため、時毒の影響を受けやすくなるといわれています。 水疱の症状としては、発疹、発熱、かゆみなどがあります。発疹は、最初は赤い斑点として現れ、次第に水ぶくれに変化していきます。水ぶくれは、破れると、かゆみのあるかさぶたになります。 東洋医学では、水疱の治療には、主に漢方薬を用います。体質や症状に合わせて、熱を冷まし、解毒作用のある生薬を配合した漢方薬を服用することで、症状の改善を図ります。また、発疹には、かゆみ止め効果のある塗り薬を使用することもあります。 水疱は、通常は軽症で治りますが、まれに合併症を引き起こすことがあります。合併症には、肺炎、脳炎などがあります。特に、乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人は、重症化するリスクが高いため、注意が必要です。
漢方の治療

生肌斂瘡:傷を癒す東洋医学の力

- 生肌斂瘡とは -# 生肌斂瘡とは 生肌斂瘡は、東洋医学に基づいた治療法の一つで、皮膚の傷や潰瘍を治すことを目的としています。この言葉は、「生肌」と「斂瘡」の二つの言葉から成り立っています。「生肌」は、文字通り「肌を生やす」、つまり新しい皮膚を再生することを意味します。一方、「斂瘡」は、傷口をしっかりと閉じ、治癒を促すことを意味します。 生肌斂瘡は、単に傷口を塞ぐのではなく、体の自然な回復力を高めることを重視しています。東洋医学では、病気や怪我は体の内部のバランスが崩れた結果と考えられています。生肌斂瘡では、体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで、健康な皮膚の再生を促し、傷跡を残りにくくすることを目指します。 具体的な治療法としては、漢方薬の服用や、患部に塗布する軟膏の使用、鍼灸治療などが挙げられます。これらの治療法を組み合わせることで、より効果的に傷の治癒を促進します。
漢方の治療

東洋医学における托毒:癤・ただれ治療の鍵

- 托毒とは何か 托毒とは、東洋医学、特に中医において皮膚疾患に対して用いられる重要な治療法の一つです。この治療法は、皮膚に生じる腫れ物や潰瘍などの病変部から、体内に溜まった「毒素」を体外に排出することを目的としています。 東洋医学では、これらの皮膚疾患は単なる表面的な問題として捉えられていません。体の内部に何らかの不調が生じ、その結果として皮膚表面に症状が現れていると考えられています。この、体の不調を引き起こす原因となる存在を東洋医学では「毒素」と呼びます。「毒素」は、食事の不摂生や過労、精神的なストレスなど、様々な要因によって体内に蓄積すると考えられています。 托毒では、腫れ物や潰瘍といった病変部に直接、漢方薬を塗布したり、灸を据えたりします。こうすることで、「毒素」を皮膚表面から引き出し、体の外へと排出します。 托毒は、単に皮膚の症状を抑える対症療法ではなく、体の内側から病気を治癒させる根本治療を目指した治療法と言えるでしょう。
漢方の診察

皮膚疾患に潜む悪夢:風火熱毒証

- 風火熱毒証とは -# 風火熱毒証とは 東洋医学では、健康を保つには、体内の気・血・水の流れが滞りなく、陰陽のバランスが取れていることが重要と考えられています。しかし、様々な要因によってこのバランスが崩れると、体に不調が生じるとされています。その原因の一つとして考えられているのが、「邪気」と呼ばれるものです。 風火熱毒証とは、この邪気のうち、「風」「火」「熱」「毒」の四つが体内に過剰に蓄積してしまうことで発症すると考えられています。これらの邪気は、それぞれ異なる性質を持ち合わせています。「風」は体内を動き回り、「火」は熱を生み出し、「熱」は体内の水分を奪い、「毒」は体に炎症を引き起こします。 これらの邪気が組み合わさることで、皮膚や筋肉に強い炎症や痛み、発熱などを伴う症状が現れます。具体的には、皮膚の発疹やかゆみ、ニキビ、吹き出物、口内炎、喉の痛み、筋肉の痛みや腫れなどが挙げられます。まるで体内に熱を持った風が吹き荒れ、毒を含んだ炎が燃え盛っているような状態であり、放置すると更に悪化し、慢性的な症状に悩まされる可能性もあります。 風火熱毒証は、食生活の乱れや不規則な生活、ストレス、環境の変化などが原因で発症すると考えられており、これらの要因を改善することで、予防や症状の緩和が期待できます。
漢方の診察

濕熱下注證:症状と東洋医学的理解

- 湿熱下注証とは 湿熱下注証とは、東洋医学において、体内の水分代謝が滞り、余分な湿(しつ)と熱(ねつ)が体に溜まってしまうことで発症すると考えられています。特に、この湿熱が身体の下の方に滞ってしまう状態を指します。東洋医学では、おへそから下の部分を下焦(げしょう)と呼びますが、まさにこの下焦に湿熱が溜まっている状態が、湿熱下注証と呼ばれるものです。 下焦には、泌尿器、生殖器、消化器の下部などが含まれます。そのため、湿熱下注証になると、これらの臓腑の働きが乱れ、様々な症状が現れます。 例えば、排尿時の痛みや残尿感、尿の色が濃くなる、頻尿などの泌尿器系の症状や、おりものの増加や異臭、かゆみ、生理不順、性欲減退といった生殖器系の症状が現れることがあります。 また、下痢や便秘を繰り返す、お腹が張る、肛門部に熱っぽさや痛みを感じるといった消化器系の症状が現れることもあります。 さらに、湿熱は重だるい性質を持つため、下半身に症状が現れやすいのも特徴です。具体的には、足がむくみやすい、腰や足がだるい、重いといった症状がみられることがあります。 湿熱下注証は、食生活の乱れや不規則な生活、精神的なストレス、気候の影響などによって引き起こされると考えられています。
その他

若い女性を悩ます皮膚の謎:瓜藤纏とは

- 瓜藤纏謎の皮膚疾患 瓜藤纏という病名を耳にしたことがある方は少ないのではないでしょうか。あまり聞き慣れないこの病気は、主に若い女性に発症する皮膚疾患です。今回は、謎の多い瓜藤纏について、その症状や原因、治療法などを詳しく解説していきます。 瓜藤纏は、まるで瓜の蔓が巻き付くように、皮膚に赤い斑点や丘疹が広がっていくことが特徴です。その名の通り、蔓が伸びていくように病変が拡大していくため、見た目にも強い不安感を抱く方が少なくありません。初期症状としては、かゆみを感じることがありますが、痛みを伴わない場合も多いようです。 この病気の原因は、まだはっきりと解明されていません。しかし、近年の研究では、免疫系の異常や、特定のウイルス感染との関連性が指摘されています。また、ストレスや疲労、ホルモンバランスの乱れなども、発症の要因として考えられています。 残念ながら、瓜藤纏を根本的に治療する方法は、まだ確立されていません。そのため、現在の治療は、症状を和らげ、病気の進行を抑えることを目的とした対症療法が中心となります。具体的には、かゆみを抑えるためのステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬などが処方されます。 瓜藤纏は、まだ謎の多い病気ですが、決して珍しい病気ではありません。適切な治療と生活習慣の改善によって、症状をコントロールし、日常生活を送ることは可能です。気になる症状がある場合は、自己判断せずに、早めに皮膚科専門医を受診し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
その他

猫眼瘡:原因と症状、そして治療法

- 猫眼瘡とは 猫眼瘡は、その名の通り猫の引っ掻き傷から感染する病気と思われがちですが、実際には猫の口腔内や爪などに生息するバルトネラ・ヘンセレアという細菌が原因で発症する感染症です。この細菌は、猫同士の間では唾液などを介して感染します。感染した猫に引っかかれたり、噛まれたりすることで、傷口から細菌が体内に侵入し、発症に至ります。 猫を飼育している人、特に子猫を飼育している人や、抵抗力が低下している人は注意が必要です。子猫はバルトネラ・ヘンセレアに感染している割合が高く、また、遊び盛りでよく人に引っ掻いたり噛みついたりすることが多いためです。また、抵抗力が低下している人は、健康な人に比べて感染症にかかりやすくなっているため注意が必要です。 猫眼瘡の主な症状としては、傷口付近にしこりや膿瘍ができ、発熱や倦怠感、リンパ節の腫れなどがみられます。症状は通常1~2週間で自然に治ることが多いですが、重症化すると髄膜炎や脳炎などを引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。猫と触れ合った後にこのような症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 猫とのふれあいは癒しを与えてくれますが、感染症のリスクがあることも知っておく必要があります。日頃から猫の健康状態に気を配り、清潔を心がけることが大切です。
慢性疾患

意外と知らない酒さの秘密

- 酒さとはどんな病気? 酒さは、顔の中心部に、赤みやほてり、赤い小さなブツブツが現れる皮膚の病気です。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すため、慢性的な皮膚疾患に分類されます。特に鼻や頬が赤くなることが多く、症状が進行すると鼻の皮膚が厚く盛り上がって硬くなってしまうこともあります。この状態を鼻瘤(びりゅう)と呼びます。 酒さは30代以降の女性に多く見られますが、男性や若い世代でも発症することがあります。はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、遺伝的な要因や、肌を守る機能の低下、顔ダニの増殖などが関係していると考えられています。 酒さの症状は、気温の変化や紫外線、刺激の強い食べ物、飲酒、ストレスなどによって悪化しやすいため、心当たりがある方は注意が必要です。また、症状が似ている病気もあるため、自己判断せず、皮膚科専門医を受診して適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
慢性疾患

気になる顔のブツブツ、粉刺って一体何?

- 粉刺とは 粉刺とは、顔や胸、背中などに見られる、皮膚が赤く腫れたり、膿を持つ症状のことです。これらの部位は、皮脂の分泌が活発な場所であり、毛穴に皮脂や古い角質が詰まりやすいため、炎症を起こし、粉刺として現れると考えられています。 粉刺は、思春期に多く見られる傾向があります。これは、第二次性徴に伴いホルモンバランスが変化し、皮脂の分泌が過剰になるためです。しかし、大人になってからも、食生活の乱れやストレス、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れ、化粧品や外用薬の刺激など、様々な要因によって発症することがあります。 粉刺は、放置すると悪化したり、跡が残ったりする可能性もあります。そのため、日々の生活習慣を見直し、適切なスキンケアを行うことが大切です。症状が改善しない場合は、皮膚科を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。