
東洋医学で探る咳嗽と呼吸困難の治療法
- 肺気の逆流と咳嗽、呼吸困難の関係
東洋医学では、咳や息苦しさといった呼吸器の症状は、肺自体だけの問題ではなく、体の全体の気の巡りの不調と密接に関係していると考えられています。特に、肺の働きである呼吸と深く関わる「肺気」の流れが逆流してしまう「肺気の逆流」は、様々な呼吸器症状を引き起こす原因の一つと考えられています。
通常、肺気は体の上に向かってスムーズに流れ、呼吸を助ける役割を担っています。これは、空気を吸い込むと同時に、体にとって必要な「気」も取り込み、全身に巡らせているからです。しかし、この肺気が何らかの原因で逆流してしまうと、咳が出たり、呼吸が苦しくなったりといった症状が現れると考えられています。
肺気の逆流を引き起こす原因は様々ですが、東洋医学では、風邪や冷えなどの外的な要因、ストレスや疲労、暴飲暴食といった内的な要因などが考えられています。これらの要因によって体のバランスが崩れ、肺気の正常な流れが阻害されることで、逆流が起こるとされています。
肺気の逆流は、咳や呼吸困難だけでなく、痰や喘鳴、声がれなどの症状を引き起こすこともあります。また、長期間にわたって肺気の逆流が続くと、呼吸器の機能が低下し、喘息などの慢性的な呼吸器疾患に発展する可能性もあると考えられています。
東洋医学では、肺気の逆流に対して、体のバランスを整え、肺気の正常な流れを回復させることを目的とした治療が行われます。具体的には、漢方薬の処方、鍼灸治療、食事療法、呼吸法などが挙げられます。