胃腸

漢方の治療

健胃:消化を助ける東洋医学の知恵

- 健胃とは -# 健胃とは 健胃とは、東洋医学に基づいた考え方で、胃腸の働きを良くし、食べ物の消化をスムーズにするための治療法です。西洋医学では胃そのものに焦点を当てることが多いですが、東洋医学では、体全体のバランスを重視し、その一部として胃の働きを捉えています。 私たちの体は、食べた物を胃で消化し、そこから栄養を吸収することで健康を保っています。しかし、不規則な生活や冷え、ストレス、過労などは胃腸に負担をかけ、消化機能を低下させる要因となります。消化不良は、食欲不振や胃もたれ、栄養不足など、様々な不調につながる可能性があります。 そこで、東洋医学では、胃腸の働きを整え、消化機能を高める「健胃」という考え方が重要視されます。具体的には、食事療法、漢方薬、鍼灸、マッサージなどを用いて、胃腸に負担をかけずに消化を助ける方法や、胃腸の働きを活発にする方法などを総合的に行います。 健胃は、胃腸の不調改善だけでなく、体全体の健康増進にもつながると考えられています。消化機能が向上することで、栄養吸収が促進され、免疫力や自然治癒力の向上も期待できます。
内臓

寒泄:冷えからくるお腹の不調

- 寒泄とは 寒泄とは、東洋医学において、冷えが主な原因となって引き起こされる下痢を指します。 -# 寒泄の原因とメカニズム 東洋医学では、胃腸は熱によって正常に働くと考えられています。そのため、冷たい飲食物を過剰に摂取したり、身体が冷えたりすると、胃腸の働きが弱まり、消化吸収機能が低下してしまいます。その結果、消化が不十分なまま水分が腸に溜まり、下痢を引き起こすと考えられています。 具体的には、次のような状況で寒泄が起こりやすくなります。 * 冷たい飲食物、特に生ものや氷を多く含むものの過剰摂取 * 冷房の効き過ぎた室内での長時間の滞在 * 薄着、特に腹部を冷やす服装 * 秋から冬にかけての気温の低下 * 水仕事や冷水浴 -# 寒泄の症状 寒泄の主な症状としては、水のような便が挙げられます。その他にも、 * 下痢に伴う腹痛 * 吐き気 * 食欲不振 * 腹部膨満感 * 全身の倦怠感 などがみられることがあります。 寒泄は、一般的な下痢と比較して、冷えを伴うことが特徴です。また、温かいものを摂取したり、腹部を温めたりすることで症状が和らぐ傾向があります。
漢方の診察

東洋医学が考える「噫気」:その原因と改善策

- 「噫気」とは何か 「噫気(げき)」とは、東洋医学において用いられる言葉で、胃の中から空気やガスが、音とともに上がってくる状態を指します。西洋医学では「噯気(おくび)」と呼ばれるものとほぼ同じ現象を指します。 私たちは、食事をしたり話をしたりする日常の動作の中で、知らず知らずのうちに微量の空気を飲み込んでいます。胃の中に溜まった空気は、通常は特に意識することなく、口から自然と排出されます。しかし、様々な原因で胃の中に空気が溜まりすぎたり、排出の仕方が乱れたりすると、過剰な空気やガスが、音や時には臭いを伴って口から出てしまうことがあります。この状態を、東洋医学では「噫気」と診断します。 「噫気」は、必ずしも病気のサインというわけではありません。健康な人でも、炭酸飲料を飲んだ後や早食いをした後などに、一時的に「噫気」が起こることがあります。しかし、頻繁に「噫気」が起こる場合や、「噫気」とともに腹部の張りや痛み、吐き気などの症状が現れる場合には、胃腸の不調や病気の可能性も考えられます。その場合は、自己判断せずに、医療機関を受診し、適切な診察を受けるようにしましょう。
内臓

胃もたれにご用心!:宿食とその対策

- 宿食とは? 「宿食」とは、食べた物が十分に消化されずに、胃や腸に停滞した状態を指します。まるで食べ物が宿に泊まるように、体の中に居座ってしまうイメージから、そのように呼ばれています。 夜遅くに食事をしたり、脂っこいものや甘いものを食べ過ぎたりすると、翌朝、胃が重だるく感じたり、食欲が湧かなかったりすることがあります。これはまさに、宿食のサインです。 東洋医学では、宿食は単なる食べ過ぎのサインではなく、様々な体の不調を引き起こす原因の一つと考えられています。 宿食が溜まると、胃腸に負担がかかり、その働きが弱まってしまいます。すると、消化吸収がうまくいかなくなり、体に必要な栄養が行き渡らなくなります。また、胃腸に負担がかかることで、体の他の部分にも影響を及ぼし、倦怠感や頭痛、肌荒れ、便秘などを引き起こすこともあります。 健康な状態を保つためには、胃腸に負担をかけず、未消化物を溜めないようにすることが大切です。規則正しい食生活を心がけ、暴飲暴食を避け、よく噛んで食べるようにしましょう。また、胃腸の働きを助ける食材を積極的に摂ることも効果的です。
内臓

東洋医学に見る「傷湿」:胃腸の不調と湿邪の関係

{「傷湿」という言葉は、あまり聞き馴染みがないかもしれませんね。これは、東洋医学の考え方で使われる言葉です。東洋医学では、私達の体や心に影響を与える要素の一つとして、「湿」というものがあります。 湿気は、梅雨の時期など、空気中に多く含まれますが、実は食べ物などからも、体の中に入ってきます。 「傷湿」とは、この湿気が過剰に体内に侵入し、胃腸の働きを低下させてしまう状態を指します。 例えるなら、湿気が多すぎると、食べ物がカビやすくなったり、腐りやすくなるのと同じように、私達の体の中でも、湿気が過剰になると、食べ物の消化吸収がうまくいかなくなってしまうのです。 傷湿の症状としては、 * 食欲不振 * 吐き気 * 下痢 * 便秘 * お腹の張り * 全身の倦怠感 などがあります。 西洋医学の考え方では、傷湿は、消化不良や胃腸炎、機能性胃腸症などに近いと考えられています。
漢方の診察

飲留胃腸証:胃腸の不調と水の滞り

- 飲留胃腸証とは 飲留胃腸証とは、東洋医学の考え方の一つで、体内の水分の流れが滞り、胃や腸といった消化器官に余分な水分が溜まっている状態を指します。 私たちの体は、食物を消化吸収し、不要なものを排泄することで健康を保っています。この過程において、水分の代謝は非常に重要です。東洋医学では、この水分の流れが滞ることで、体に様々な不調が現れると考えられています。飲留胃腸証も、こうした水の滞りによって起こると考えられており、胃腸の働きを弱め、食欲不振や胃もたれ、吐き気、下痢、便秘といった、様々な不快な症状を引き起こす原因となります。 飲留胃腸証は、病院で診断されるような特定の病気の名前ではありません。しかし、現代医学でいうところの機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった、消化器系の疾患と関連があると考えられており、これらの疾患の治療にも、東洋医学の考え方が応用されることがあります。
漢方の診察

東洋医学から見る胃腸病:弁証論治のススメ

{胃腸病は、西洋医学では胃や腸といった消化器官のみに焦点を当てて治療を行うことが多いです。しかし、東洋医学では、胃腸は単なる消化器官ではなく、心身のバランスと密接に関わっていると考えられています。そのため、胃の痛みや消化不良といった症状一つとっても、その原因は人それぞれ異なり、同じ病名であっても、治療法は一律ではありません。} {そこで重要になるのが「弁証論治」という考え方です。弁証論治とは、一人ひとりの体質、症状、生活習慣、そしてその時の状態などを総合的に判断し、個人に最適な治療法を見つけるという東洋医学独自の治療法です。} {例えば、胃の痛み一つをとっても、冷えからくる痛み、食べ過ぎによる痛み、ストレスによる痛みなど、原因は様々です。冷えが原因であれば身体を温める治療を、食べ過ぎであれば消化を助ける治療を、ストレスが原因であれば気持ちをリラックスさせる治療を行うなど、その人の状態に合わせて治療法を変えていく必要があるのです。} {このように、東洋医学では、胃腸病を心身のバランスの乱れとして捉え、一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドの治療「弁証論治」を行うことで、根本からの改善を目指します。}
便秘

東洋医学における便秘:燥結とその対処法

- 東洋医学における便秘 東洋医学では、便秘は体の水分バランスの乱れ、特に「津液(しんえき)」と呼ばれる体液の不足が原因の一つと考えられています。津液は、体の中に存在する水分全般を指し、西洋医学の体液のように成分や循環経路によって分類されることはありません。 この津液は、飲食物から摂取した水分と体内で作られる水分から成り、消化吸収を助ける、体の各組織を潤す、体温調節をするなど、生命維持に欠かせない様々な役割を担っています。 この重要な津液が不足すると、体全体の水分バランスが崩れ、様々な不調が現れます。便秘もその一つです。津液が不足すると、腸管内が乾燥し、便が硬くなってスムーズに排出されにくくなります。その結果、便秘を引き起こすと考えられています。 東洋医学では、便秘の原因を体質や生活習慣、環境など様々な角度から総合的に判断します。そのため、便秘の治療法も、食事療法、生活習慣の改善、漢方薬の処方など、患者さん一人ひとりに合わせた方法が選択されます。
内臓

中寒 – 胃腸の冷えからくる不調

- 中寒とは -# 中寒とは 中寒とは、東洋医学において、身体の外から入り込んだ「寒邪(かんじゃ)」と呼ばれる冷えの邪気が、主に消化器系を司る「脾胃(ひい)」を冷やすことで起こると考えられています。 これは、冷たい飲食物を過剰に摂取したり、身体が冷える環境に長く身を置いたりすることで、寒邪が体内に侵入し、胃腸の働きを弱らせてしまうことが原因です。 中寒の症状としては、冷たい物を摂取した後に悪化する腹痛や、下痢、軟便などが代表的です。 また、胃腸の働きが低下することで、食欲不振や消化不良、膨満感などを引き起こすこともあります。さらに、冷えは身体の循環を悪くするため、手足の冷えや顔色の悪さ、倦怠感なども現れることがあります。 東洋医学では、身体を温める性質を持つ食材を積極的に摂取したり、身体を温める生活習慣を心がけることで、中寒の予防や改善を目指します。 具体的には、生姜やネギ、味噌、シナモンなどの食材を食事に取り入れることが有効です。また、冷えやすい服装を避けたり、適度な運動を習慣化したりすることも大切です。さらに、身体を温める効果のあるお灸や温湿布なども、症状の緩和に役立ちます。 中寒は、日常生活における冷えに対する意識を高め、適切な対策を講じることで予防・改善できる可能性があります。日頃から身体を冷やさないように心がけ、健康な状態を保つようにしましょう。
漢方の診察

東洋医学における「実火証」:症状と特徴

- 「実火証」とは -# 「実火証」とは 東洋医学では、体の状態や病気の原因を様々な角度から分析します。その分析方法の一つに「証」という概念があります。これは、体内の陰陽のバランスや気血水の巡りなどを総合的に判断して決定されるもので、病気の治療方針を決める上で非常に重要になります。「実火証」は、この「証」の一つであり、過剰な熱が体内にこもり、炎症や亢進状態を引き起こしている状態を指します。 例えるならば、激しい炎が燃え盛るように、体の機能が過剰に働いている状態をイメージすると分かりやすいでしょう。この過剰な熱は、体内の水分を奪い乾燥させるため、喉の渇きや便秘、赤い顔色、濃い尿などの症状が現れます。また、熱は上に昇る性質があるため、顔面紅潮や目の充血、頭痛、イライラしやすくなるなどの症状も特徴です。 「実火証」と診断された場合は、体内の熱を冷まし、バランスを整える治療が行われます。具体的には、熱を取り除く作用のある食材を積極的に摂ったり、鍼灸治療で気の流れを調整したりすることで、症状の改善を目指します。
内臓

胃家実: 東洋医学における胃腸の熱

- 胃家実とは -# 胃家実とは 東洋医学では、健康を保つには体内の「陰」と「陽」のバランスが重要であると考えられています。このバランスが崩れ、陽気が過剰になる状態を「実」と呼びますが、特に胃に熱がこもる状態を「胃家実」と言います。 胃家実は、暴飲暴食、脂っこい食事、甘い物の摂り過ぎ、アルコールの飲み過ぎなど、胃腸に負担をかける生活習慣によって引き起こされます。また、ストレスや不眠、過労なども胃に熱をため込み、胃家実の原因となります。 胃家実になると、胃の消化機能が低下し、様々な不調が現れます。 代表的な症状としては、食欲不振、胃の痛み、胃もたれ、胸焼け、吐き気、嘔吐、便秘、口渇、口内炎、口臭、顔色が赤い、イライラしやすいなどが挙げられます。 胃家実は、単独の病気ではなく、他の病気を引き起こす原因ともなり得ます。 例えば、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などを悪化させる可能性があります。また、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めることも懸念されます。 そのため、胃家実の症状が見られる場合は、早めに生活習慣を見直し、胃腸の調子を整えることが大切です。