脾気

内臓

脾痿:脾の気が招く体の衰弱

- 脾痿とは何か 脾痿とは、東洋医学における独特な概念で、体のエネルギー源である「気」を生み出す臓器「脾」の機能が低下し、同時に熱を持つことで、全身に様々な不調が現れる状態を指します。現代医学では、脾痿に完全に一致する病名はありません。しかし、その症状から、神経系や筋肉系の疾患と関連付けられることがあります。 東洋医学において、脾は単なる消化吸収器官ではなく、食べ物から「気」を生成し、全身に送る重要な役割を担うと考えられています。この脾の働きが弱まり、いわゆる「脾虚」の状態になると、消化不良や食欲不振といった症状が現れます。さらに、脾に熱がこもる「脾熱」の状態が加わると、「脾痿」となり、全身の気の流れが滞り、倦怠感、食欲不振、下痢などの消化器症状に加え、手足の痺れや筋力の低下といった運動機能の低下も見られるようになります。 特に、筋肉に力が入らなくなる症状は「痿症」と呼ばれ、脾痿の代表的な症状の一つとされています。脾痿は、過労やストレス、偏った食生活などによって引き起こされると考えられています。
漢方の診察

東洋医学における肉痿:その原因と症状

- 肉痿とは 肉痿とは、西洋医学でいう筋萎縮とは異なる、東洋医学独自の考え方で捉えた病気です。西洋医学では主に筋肉そのものの問題として扱われますが、東洋医学では、生命エネルギーである「気」の流れの乱れが根本原因と考えられています。 肉痿は、体の奥深くを流れる「気」の滞りによって、筋肉に十分な栄養が行き渡らなくなることで起こると考えられています。特に、食べ物の消化吸収を司る「脾」という臓腑の働きが低下すると、体に必要な栄養がうまく作られなくなり、その結果、筋肉が衰え、力が入らなくなったり、痩せ細ったりする症状が現れます。 肉痿は、単なる筋肉の衰えというよりも、体の根本的な生命力の低下を示すサインと言えるでしょう。ですから、肉痿を改善するには、「脾」の機能を高め、「気」の流れをスムーズにすることが重要になります。具体的には、食生活の改善や、適度な運動、ストレスを溜めない生活習慣などが大切です。東洋医学では、一人ひとりの体質や症状に合わせて、漢方薬や鍼灸治療などを用いながら、根本的な体質改善を目指していきます。
漢方の治療

肝と脾の調和で健康に:疏肝健脾のススメ

- 疏肝健脾とは -# 疏肝健脾とは 「疏肝健脾」とは、東洋医学における重要な治療法の一つで、心と体のバランスを整え、健康な状態へと導くことを目的としています。 この言葉は、「疏肝」と「健脾」の二つに分けて理解することができます。「疏肝」とは、文字通り「肝」の「気」の流れを「疏泄(そせつ)」する、つまりスムーズにすることを意味します。東洋医学では、怒りやイライラなどの感情は「肝」に影響を与え、「気」の流れを滞らせると考えられています。「肝」の「気」が滞ると、消化不良や食欲不振、精神的な不安定など、様々な不調が現れるとされています。 一方、「健脾」は「脾」の「気」を「健やか」にすることを意味します。「脾」は、東洋医学では消化吸収を担う重要な臓器と考えられており、食事から栄養を吸収し、全身に送る役割を担っています。「脾」の働きが弱まると、消化不良や食欲不振、疲労感、倦怠感などを引き起こすとされています。 「疏肝健脾」は、このように密接な関係にある「肝」と「脾」の両方に働きかけることで、心身のバランスを整え、健康な状態へと導くことを目指す治療法です。
漢方の診察

東洋医学における脾不統血證:原因と症状

- 脾不統血證とは -# 脾不統血證とは 東洋医学では、人間の生命活動は「気・血・水」のバランスによって維持されていると考えられています。その中でも「気」は、体を動かす原動力となるエネルギーであり、血液を体中に巡らせる役割も担っています。 「脾不統血證」は、この「気」を生み出す重要な臓器である「脾」の機能が低下し、その結果として血液を統制する力が弱まり、様々な出血症状が現れる状態を指します。 具体的には、「脾」は飲食物から「気」を作り出し、その「気」で血液を血管内に収める働きをしています。しかし、「脾」の機能が低下すると、「気」が不足し、血液を正常に巡らせることができなくなります。その結果、出血しやすくなったり、血行不良による冷えや生理不順、皮下出血などの症状が現れます。 「脾不統血證」は、疲労やストレス、不規則な生活習慣、冷えなどが原因で発症することが多いとされています。また、生まれつき「脾」の機能が弱い体質の人もいます。 東洋医学では、「脾不統血證」の治療には、「脾」の機能を高め、「気」を補う漢方薬や、食生活の改善、適度な運動などの養生法が用いられます。
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脾気下陷:その原因と症状を知る

- 脾気下陷とは -# 脾気下陷とは 東洋医学では、生命エネルギーである「気」が体の中をスムーズに巡っている状態が健康だと考えられています。この「気」を作り出し、全身に巡らせる重要な役割を担っているのが「脾」という臓器です。 脾気下陷とは、文字通り「脾の気が下に沈んでしまう」状態を指します。脾は本来、気を上に上げて全身に送り届ける働きをしていますが、過労やストレス、冷え、食生活の乱れなどが原因で脾の働きが弱まると、気が下に落ちてしまうと考えられています。 この状態になると、気の上昇力が不足するため、様々な不調が現れると考えられています。例えば、顔色が悪くなったり、疲れやすくなったり、食欲不振や胃もたれといった消化不良の症状が現れたりします。また、下痢や頻尿、臓器脱など、体の下の方に重だるさや力が入らないなどの症状が現れることもあります。 脾気下陷は、日常生活の養生法で改善できることが多いとされています。特に、食生活の改善は重要です。消化しやすい温かい食事を心がけ、冷たい食べ物や飲み物は控えましょう。また、ゆっくりとよく噛んで食べることや、規則正しい時間に食事をとることも大切です。 さらに、適度な運動や睡眠、ストレスを溜めないようにすることも、脾の機能を高めるために有効です。