漢方の診察 陽虚水泛証:むくみの原因とその対策
- 陽虚水泛証とは?陽虚水泛証とは、東洋医学において、体内の水分代謝がうまくいかず、体に余分な水が溜まってしまう状態を指します。むくみや尿量の減少、冷えなどを伴うのが特徴です。東洋医学では、生命活動のエネルギーである「気」の中でも、特に体を温め、臓器の働きを活発にするものを「陽気」と呼びます。陽虚水泛証は、この陽気が不足することで引き起こされます。陽気を生み出す源である「腎」と、体内の水分代謝を司る「脾」という臓器は、互いに協力し合って健康な状態を保っています。しかし、腎の陽気が不足すると、脾の陽気も弱まり、水分の代謝が滞ってしまうのです。その結果、水は温められずに冷え、体内で停滞しやすくなります。この状態が陽虚水泛証です。水は高いところから低いところへ流れるように、体の上半身に溜まりやすく、顔や手足のむくみとして現れます。また、尿は体内の余分な水分を排出する役割を担いますが、陽虚水泛証では、この機能も低下するため、尿量が減ったり、排尿がスムーズにいかないなどの症状が現れます。さらに、陽虚水泛証は冷えも伴います。これは、陽気が不足することで体の温める力が低下するためです。冷えは、胃腸の働きを悪くしたり、血行不良を引き起こしたりするため、様々な不調の原因となります。
