食養生

内臓

胃腸の悲鳴?食べ過ぎに潜む『傷食』の脅威

- 暴飲暴食は胃腸の大敵 現代社会において、ついつい食事の量が増えてしまったり、好きなものばかりを食べてしまうことはありませんか?美味しいものを好きなだけ食べることは、確かに幸せなひとときを与えてくれます。しかし、このような食生活を続けていると、知らず知らずのうちに胃腸に負担をかけてしまい、『傷食』と呼ばれる状態を引き起こしてしまう可能性があります。 傷食とは、食べ過ぎや偏った食事によって脾や胃が傷つけられ、正常な消化吸収の働きが損なわれてしまう状態を指します。東洋医学では、脾胃は「後天の本」と称され、生命活動の源となる「気」を生み出す重要な臓器と考えられています。生まれた時は両親から受け継いだ「気」によって生命活動を維持していますが、成長するにつれて、脾胃のはたらきによって作られた「気」に頼っていくと考えられています。つまり、傷食は単なる胃の不調ではなく、全身の健康を脅かす可能性を秘めているのです。 具体的な症状としては、食欲不振や胃もたれ、消化不良による下痢や便秘、お腹の張りなどが挙げられます。さらに悪化すると、栄養不足から体力や気力の低下、冷え症、むくみなどを引き起こすこともあります。また、東洋医学では、心と体は密接に繋がっていると考えられています。傷食によって脾胃が弱ると、精神状態にも影響が現れ、イライラしやすくなったり、憂うつな気分になったりすることもあるとされています。
漢方の診察

消化不良のサイン?完穀不化について解説

- 完穀不化とは? -# 完穀不化とは? 「完穀不化」とは、摂取した食物が十分に消化されず、未消化のまま便に混ざって排出される状態を指します。分かりやすく言うと、ご飯粒や野菜の切れ端などが、消化不良のために便の中にそのままの形で観察される状態です。 健康な状態であれば、私達が口にした食べ物は、胃腸において消化酵素の働きによって分解され、身体に吸収されやすい形へと変化します。そして、そこから栄養素として吸収され、身体のエネルギー源や組織の構成成分として利用されます。 しかしながら、完穀不化の状態にある場合、この消化吸収という一連のプロセスが正常に機能していないことを示しています。食べたものが消化されずに残っているということは、身体が栄養を十分に吸収できていない可能性を示唆しており、栄養状態の悪化や様々な体調不良を引き起こす要因となりえます。 完穀不化は、食習慣の乱れやストレス、冷えなどによって消化機能が低下しているサインである可能性があります。また、胃腸などの消化器官に何らかの疾患を抱えている場合にも、完穀不化の症状が現れることがあります。日頃から、バランスの取れた食事を心がけ、ゆっくりとよく噛んで食べること、そして十分な休息をとるなど、生活習慣を整えることが大切です。もし、頻繁に完穀不化の症状が見られる場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、専門医の診断を受けるようにしましょう。
生薬

再発を防ぐ!食生活の重要性

- 食復とは? 食復とは、一度は症状が治まり快復したはずの病気が、食生活の乱れがきっかけとなって再び現れることを指します。 東洋医学では、病気は、身体の内部環境を司る「正気」と、外部環境から影響を及ぼす「邪気」のバランスが崩れることで発生すると考えられています。「正気」は、私たちの自然治癒力や免疫力といった、健康を維持するための力を指します。一方、「邪気」は、風邪や暑さ寒さ、湿気などの気候の変化や、過労、ストレス、不眠、そして食生活の乱れなど、健康を害する可能性のある要因を指します。 食生活の乱れは、「邪気」を増長させる大きな要因の一つです。暴飲暴食や、偏った食事、冷たいものばかりを摂るなどの食習慣は、「脾胃」と呼ばれる消化器官の働きを弱めます。「脾胃」は「正気」を生み出す源であると考えられているため、その働きが弱まることは、身体の抵抗力を低下させ、「邪気」に打ち勝つ力を弱めてしまうことに繋がります。 つまり、食復とは、まだ病気から完全に回復していない、言い換えれば「正気」が十分に回復していない状態で、食生活の乱れによって再び「邪気」にさらされることで起こる現象と言えるでしょう。
体質

食の偏りを東洋医学はどう考える?

- 特定の味への強い欲求 私たちは日々、様々な食べ物を口にしますが、その中には無性に食べたくなるもの、あるいは特定の味ばかり求めてしまうことはありませんか? これは決して珍しいことではなく、多くの人が経験する自然な現象です。 東洋医学では、このような特定の味への強い欲求は、単なる好みではなく、体の状態を反映していると考えられています。 例えば、塩辛いものが無性に欲しくなる場合は、体が水分を欲しがっていたり、腎臓の働きが弱っているサインかもしれません。また、甘いものがやめられない場合は、疲労が溜まっている、あるいは胃腸が弱っている可能性が考えられます。 さらに、酸っぱいものが欲しくなるのは、肝臓の働きが低下している、あるいはストレスを感じている状態を示唆しているかもしれません。反対に、苦いものを好んで食べる場合は、体に熱がこもっていたり、心臓の働きが活発になっている可能性があります。 このように、東洋医学では五臓六腑の状態と味の関係性を重視し、食生活を通して体のバランスを整えることを推奨しています。ただし、特定の味への欲求が続く場合は、自己判断せず、専門家の意見を仰ぐことが大切です。
疲労・倦怠感

健康を損なう「飲食不節」とは?

- 飲食不節とは何か 東洋医学では、心と身体、そして周囲の環境は密接に繋がっていると考えられています。そして、この三者が調和し、バランスを保つことで健康が維持されると考えます。しかし、このバランスは様々な要因によって崩れやすく、その結果、体調不良や病気を引き起こすとされています。 このバランスを崩す要因の一つに、「飲食不節」があります。これは、単に食べ過ぎや飲み過ぎを指すのではなく、自分の体質や体調、季節に合わない食事、食事の時間や量、食べ方など、健康を損なう可能性のある食生活全般を指します。 例えば、冷え性の人が冷たいものを摂り過ぎたり、脂っこいものが好きな人が毎日大量に揚げ物を食べ続けたりすると、身体に負担がかかり、体調を崩しやすくなります。また、夜遅くに食事をしたり、食事の時間が不規則になったりすることも、身体のバランスを崩す原因となります。 東洋医学では、こうした食生活の乱れが、身体の中に「邪」を生み出すと考えられています。「邪」とは、病気の原因となる様々な要素のことで、過剰な「熱」や「冷え」、体内の水分代謝の乱れなどを引き起こし、様々な不調をもたらします。 健康を維持するためには、自分の体質や体調、季節に合った食事を、腹八分目を心がけ、よく噛んでゆっくりと摂ることが大切です。また、食事の時間やバランスにも気を配り、規則正しい食生活を送るように心がけましょう。
体質

五味偏嗜:体が欲する味と健康の関係

- 五味偏嗜とは -# 五味偏嗜とは 五味偏嗜とは、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の五つの味のうち、特定の味に対して過度の執着や好みを示し、他の味を極端に避ける状態を指します。例えば、甘いものばかりを好んで食べ続けたり、反対に、酸っぱいものを全く受け付けないといった食生活を続けることが挙げられます。 東洋医学では、万物は木・火・土・金・水の五つの要素「五行」から成り立ち、五味はそれぞれ対応する「五行」と結びついていると考えられています。 そして、五味はそれぞれ異なる働きを持ち、体内のバランスを保つために重要な役割を担っています。 例えば、甘味は体を補い、エネルギーを生成する働きがありますが、過剰に摂取すると消化機能を低下させたり、肥満の原因となったりする可能性があります。 五味偏嗜は、特定の味に偏った食事を続けることで、対応する臓腑に負担をかけ、他の臓腑とのバランスを崩し、様々な不調を引き起こすと考えられています。 例えば、甘いものばかり食べていると、胃腸に負担がかかり、消化不良や食欲不振、下痢などを引き起こしやすくなります。また、酸っぱいものを極端に避けていると、肝臓の機能が低下し、イライラしやすくなったり、めまいがしたりする可能性があります。 健康な状態を保つためには、五味をバランスよく摂取することが大切です。日々の食事の中で、意識して様々な食材を取り入れるように心がけましょう。
漢方の治療

東洋医学における食忌:知っておきたい食事の注意点

- 食忌とは何か 東洋医学では、病気の治療や健康維持に、食事療法が非常に重要視されています。毎日の食事を通して体の中に良いものを取り入れ、体の内側から健康な状態を目指していくという考え方です。その食事療法において、特定の食品を避けるようにという指示を出すことがあります。それが「食忌」です。 食忌は、単に特定の食品が体に悪いという単純な理由で指示されるのではありません。例えば、服用している薬の効果を最大限に引き出したり、逆に、薬の副作用を抑えたりするために必要な場合があります。 また、食忌は、一人ひとりの体質や病気の状態、そして使用する薬の種類や状態によって異なるため、一概に「あれはダメ」「これは食べてはいけない」と決めつけることはできません。自分自身で判断するのではなく、専門家に相談し、適切な指示を受けるようにしましょう。自己判断で食を制限してしまうと、必要な栄養素が不足し、健康を損なってしまう可能性もあるため注意が必要です。
内臓

胃熱:東洋医学における体の熱のバランス

- 胃熱とは 東洋医学では、健康は体の中に存在する「陰」と「陽」のバランスが保たれることで成り立っていると考えられています。この陰陽のバランスが崩れてしまうと、体に様々な不調が現れると考えられており、胃熱もその一つです。 -# 胃熱とは 胃熱とは、文字通り胃に熱がこもった状態を指します。この熱は、まるで胃の中で火が燃えているような状態だと例えられることもあります。 東洋医学では、この胃熱は主に食生活の乱れによって引き起こされると考えられています。例えば、辛いものや脂っこいもの、甘いものなどの熱を生み出す性質を持つ食品を食べ過ぎたり、アルコールの飲み過ぎによって胃に負担がかかると、胃熱が生じやすくなるとされています。 また、ストレスや不眠、過労なども胃熱の原因となると考えられています。これらは体内の気の流れを乱し、その結果として胃に熱がこもってしまうのです。 胃熱は、口渇、口内炎、胃の不快感、食欲不振、便秘など、様々な症状を引き起こします。さらに悪化すると、吐き気や胃痛、胸やけなどの症状が現れることもあります。 胃熱を改善するためには、食生活の見直しが大切です。刺激物や脂っこいもの、甘いものを控え、胃に優しい食事を心がけましょう。また、十分な睡眠をとり、ストレスを溜めないようにすることも大切です。 東洋医学では、胃熱は体からのサインだと捉えられています。胃熱の症状が現れた時は、自分の生活習慣を見直し、体と心を休ませるように心がけましょう。