東洋医学における「大眥」：その場所と意味

東洋医学における「大眥」：その場所と意味

はじめに

– はじめにと題して

東洋医学では、人間は自然の一部であり、体内にも自然の摂理と同じ法則が働いていると考えられています。山や川、太陽や月など、自然界のあらゆるものが体内にも対応しており、それぞれが密接に影響し合っているという考え方です。

身体は単なる物質ではなく、自然の縮図ともいえる存在なのです。そのため、身体の各部位は単なる器官としてではなく、より深い意味を持つと考えられています。例えば、心臓は血液を循環させるという役割だけでなく、感情や精神活動の中心とも考えられています。

今回ご紹介する「大眥」も、東洋医学では単なる目尻の一点ではなく、身体と心の状態を反映する重要なポイントとして捉えられています。その奥深い意味を探っていくことは、私たち自身の心と身体への理解を深めることにも繋がるでしょう。

「大眥」の位置

– 「大眥」の位置

-「大眥」-とは、簡単に言えば「目頭」のこと。現代医学でいうところのgreater canthus、つまり鼻側の眼角を指します。東洋医学では、この部分を重要な経穴（ツボ）の一つと捉えています。

目頭は、顔の中でも特にデリケートな部分です。東洋医学では、体の各部位と繋がっている「経絡」と呼ばれるエネルギーの通り道があり、目頭にはその経絡が集まっていると考えられています。「大眥」というツボは、目の周りの筋肉や神経、血管に深く関係しており、目の疲れや充血、頭痛、鼻詰まりなどを改善する効果があるとされています。

具体的には、目頭の上部、鼻の付け根に近い骨のくぼみに位置しています。指で軽く押すと、軽い痛みや圧迫感を感じるところが「大眥」です。このツボは、マッサージや指圧、鍼灸などで刺激することで、様々な効果を発揮すると言われています。

例えば、目の疲れを感じた時は、「大眥」を優しくマッサージすることで、血行が促進され、目の周りの筋肉がリラックスするため、症状の緩和が期待できます。また、風邪の初期症状である鼻水や鼻詰まりにも効果があるとされており、鼻の通りをスムーズにする効果が期待できます。

ただし、「大眥」はデリケートな部分にあるため、強く刺激しすぎないように注意が必要です。また、妊娠中の方や持病のある方は、事前に専門家に相談することをお勧めします。

経穴としての「大眥」

{経穴}とは、東洋医学において生命エネルギーである「気」の通り道と考えられている「経絡」上に存在する特定のポイントを指します。これらの経穴は、身体の表面にありながら、内臓や器官とも密接に繋がっているとされています。鍼やお灸を用いて経穴に刺激を与えることで、気の流れを整え、様々な症状の改善や健康の維持を目指します。

「大眥」は、顔面部に位置する重要な経穴の一つです。目の外側、目尻からやや離れたところにある骨のくぼみに位置し、目の周りの筋肉の緊張を和らげる効果があるとされています。そのため、頭痛や目の疲れ、鼻づまり、歯の痛み、顔面神経麻痺など、顔面部に現れる様々な不調の改善に用いられます。また、精神的なストレスを軽減する効果も期待できます。

「大眥」への刺激は、眼精疲労やドライアイ、肩こりなどに悩む現代人にとっても効果が期待できます。セルフケアとして、指で優しく押したり、温めたりすることでも、ある程度の効果を得ることが可能です。

「大眥」と五臓の関係

– 「大眥」と五臓の関係

東洋医学では、人間の身体は「五臓六腑」という独特の概念で捉えられ、それぞれが密接に関係し合い、影響し合っていると考えられています。この五臓六腑の一つである「肝」は、西洋医学でいう肝臓の機能だけでなく、精神活動や自律神経の働きとも深く関わるとされています。

「大眥」は目の症状の一つですが、東洋医学では、この「大眥」は特に「肝」との関係が深いと考えられています。「肝」の働きが低下すると、目の充血や痛み、かすみ、乾燥などの症状として現れやすく、「大眥」もその一つです。

これは、「肝」が「気」の流れを調整し、血を貯蔵する働きを持つと考えられているためです。「気」は生命エネルギーのようなもので、全身を巡り、身体の様々な機能を維持しています。また、「肝」は血を貯蔵し、必要に応じて全身に供給する役割も担っています。

「肝」の働きが低下すると、「気」の流れが滞り、血も不足しやすくなります。その結果、目に十分な栄養や酸素が行き渡らなくなり、「大眥」のような目の不調が現れると考えられています。

つまり、「大眥」を改善するためには、「肝」の機能を高めることが重要になります。東洋医学では、「肝」の機能を高めるためには、ストレスを溜め込まない、十分な睡眠をとる、栄養バランスの取れた食事を心がける、といった生活習慣の改善が大切だとされています。

日常生活での「大眥」ケア

– 日常生活での「大眥」ケア

現代社会は、パソコン作業やスマートフォン利用など、目に負担がかかる行動が多い時代です。長時間画面を見続けることで、目の疲れや乾燥、かすみ目など、様々な不調を感じやすくなっています。東洋医学では、これらの症状は目の周りのツボである「大眥」の不調と深く関係しているとされています。「大眥」は、目の疲れや痛みを和らげる効果があると古くから伝えられており、ご自身でケアを行うことで、目の不調を改善に導くことができます。

「大眥」は、目尻から指一本分ほど外側にあるツボです。ここを優しくマッサージすることで、血行が促進され、目の周りの筋肉がほぐれていきます。指の腹を使って、優しく円を描くようにマッサージを行いましょう。また、温めたタオルを目に当てることで、目の周りの血行がさらに促進され、リラックス効果も期待できます。蒸しタオルを５分ほど目に当て、目の奥からじんわりと温めていきましょう。

目の疲れは、睡眠不足やストレス、食生活の乱れなどとも密接に関係しています。十分な睡眠を摂り、バランスの取れた食事を心がけることはもちろんのこと、ストレスを溜め込まない生活習慣を送りましょう。軽い運動や趣味の時間を持つなど、心身のリフレッシュも効果的です。

毎日の生活の中で、「大眥」への意識を高め、セルフケアや生活習慣の改善に取り組むことで、健やかな目の状態を保ちましょう。