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東洋医学から見る腸癰:急性盲腸炎

- 腸癰とは -# 腸癰とは 腸癰(ちょうよう)は、東洋医学における病名の一つで、現代医学でいう急性虫垂炎(一般的に「盲腸」と呼ばれる病気)に相当します。 腸癰は、主に大腸に生じる化膿性の炎症を指し、激しい腹痛を伴うことが特徴です。 東洋医学では、体のバランスが崩れることで病気が起こると考えられています。 腸癰の場合、過食や偏った食事、冷え、過労、ストレスなどによって、「湿熱(しつねつ)」と呼ばれる病理産物が腸に停滞し、炎症を引き起こすと考えられています。湿熱とは、体内の水分代謝が滞り、熱を帯びた状態を指します。 腸癰の主な症状としては、右下腹部の激しい痛み、発熱、吐き気、便秘、下痢などが挙げられます。 また、炎症が進行すると、腹膜炎を引き起こし、生命に関わる危険性もあります。 腸癰は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。東洋医学では、鍼灸や漢方薬を用いて、湿熱を取り除き、炎症を抑える治療を行います。 自己判断で対処せず、症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
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冬の落とし穴!寒疝にご用心

冬の寒さが厳しくなると、急な腹痛に襲われることがあります。これは「寒疝(かんしゃ)」と呼ばれるもので、読んで字のごとく、寒さが原因で起こる腹痛のことを指します。 東洋医学では、冬の寒さが体に侵入してくることで、体内の気のバランスが乱れ、その結果として腹痛が生じると考えられています。特に、お腹は冷えやすい部分であるため、寒さが直接伝わりやすく、影響を受けやすいと考えられています。 寒疝の特徴的な症状としては、強い腹痛や腹部膨満感が挙げられます。その他、吐き気や下痢を伴う場合もあります。これらの症状は、寒さにさらされることで悪化し、温めると軽減することが多く見られます。 東洋医学では、寒疝の予防には、身体を温めることが重要であると考えられています。普段から、温かい服装を心がけたり、腹巻や湯たんぽなどでお腹を温めるようにしましょう。また、冷えやすい飲み物や食べ物を避け、温かい食事を摂るように心がけることも大切です。 もし、寒さで腹痛が起きた場合は、まず温かい場所で安静にしましょう。そして、お腹を温めたり、温かい飲み物をゆっくりと飲んで下さい。症状が改善しない場合や、症状が重い場合は、自己判断せずに、医療機関を受診するようにしましょう。
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知っておきたい体の異常:疝について

疝とは、体の内部にある臓器や組織が、本来あるべき位置から飛び出してきてしまう症状を指します。人の体は、筋肉や組織の壁によって様々な臓器が正しい位置に収まるようにできています。しかし、この壁が何らかの原因で弱くなってしまうと、その部分から臓器が押し出されるように飛び出してしまい、皮膚の下にポコッと膨らみが生じることがあります。これが疝と呼ばれる状態です。 疝は、お腹にできることが多く、特に太ももの付け根にある「鼠径部」という部分にできやすい傾向があります。鼠径部は、足の血管や神経が通る通路であると同時に、お腹と足の筋肉の境目でもあり、構造的に弱い部分であるため、疝が発生しやすくなっています。 また、おへその周りにも疝はできやすく、これは「臍ヘルニア」とも呼ばれます。おへそは、胎児期に母親から栄養や酸素を受け取るための血管である「臍帯」という管が通っていた跡であり、他の部位に比べて組織が薄くなっているため、疝が起こりやすいのです。 疝は、自然に治ることはほとんどなく、手術によって飛び出した臓器を元の位置に戻し、弱くなった筋肉の壁を補強する必要があります。放置すると、飛び出した臓器が締め付けられて血流が悪くなったり、腸閉塞などの深刻な合併症を引き起こす可能性もあるため、早期の治療が重要です。
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東洋医学から見る疝氣:原因と治療法

- 疝氣とは 疝氣は、お腹の部分に違和感や腫れが現れ、場合によっては陰嚢にまで響く痛みを伴う病気です。東洋医学では古くから知られており、現代医学では「ヘルニア」と呼ばれています。これは、本来あるべき場所から臓器の一部が飛び出してしまうことで起こります。 お腹の中には、胃や腸などの臓器が収まっていますが、これらは薄い膜で覆われています。この膜が何らかの原因で弱くなったり、穴が開いたりすると、臓器の一部がその隙間から飛び出してしまいます。これが疝氣です。飛び出した臓器は、皮膚の下に張り出したような状態になり、触ると柔らかく、押すと元に戻ることもありますが、再び飛び出してくることもあります。 疝氣は、その発生部位によって様々な種類に分けられます。例えば、おへその周りで起こる「臍ヘルニア」、太ももの付け根で起こる「鼠径ヘルニア」、手術跡にできる「瘢痕ヘルニア」などがあります。 疝氣は、自然に治ることはほとんどありません。症状が悪化すると、激しい痛みや吐き気を伴うこともあり、放置すると飛び出した臓器が締め付けられて壊死してしまう危険性もあります。そのため、疝氣と診断された場合は、手術が必要となるケースがほとんどです。
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東洋医学から見る「疝」の世界

- 「疝」とは何か? 「疝」とは、東洋医学において、主に下腹部や陰嚢に痛みを感じたり、目で見てわかる腫れが現れたりする状態を指します。西洋医学でいう「ヘルニア」と共通する部分もありますが、東洋医学では体の表面的な症状だけでなく、体の内部の状態や、その人の体質、生活習慣などを総合的に判断して「疝」と捉えます。そのため、西洋医学の検査で異常が見つからない場合でも、「疝」と診断されることがあります。 東洋医学では、「気」「血」「水」のバランスが崩れることで体に不調が現れると考えます。「疝」もこの考え方に基づき、主に「気」の巡りが滞ることによって起こるとされています。「気」の滞りは、過労やストレス、冷たい食べ物や飲み物の摂り過ぎ、老化などが原因で起こると考えられています。 「疝」の症状は、痛みや腫れ以外にも、腹部が張る、引っ張られるような感覚がある、便秘や下痢を繰り返すなど、さまざまです。また、症状の現れ方や程度も人によって大きく異なります。 東洋医学では、「疝」の治療には、「気」の巡りを改善し、体のバランスを整えることを目的とした漢方薬の処方が一般的です。また、鍼灸治療やあん摩マッサージ指圧治療なども効果があるとされています。さらに、日常生活では、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を行い、十分な睡眠をとることが大切です。
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東洋医学における肝痿:その原因と症状

- 肝痿とは -# 肝痿とは 「肝痿」は、東洋医学の考え方に基づいた病気の一つで、現代医学でいう「筋萎縮」に当てはまります。 これは、体の様々な機能を調節する「肝」の働きと深く関わっています。 東洋医学では、過度な怒りやストレスなどの感情の乱れが「肝」の気を上昇させ、体に熱を生み出すと考えられています。 この熱が筋肉に悪影響を及ぼし、筋肉の痙攣や麻痺を引き起こすことで、正常に体を動かすことができなくなってしまうのです。 「肝」は、東洋医学では「血」を貯蔵し、全身にスムーズに巡らせる役割を担っていると考えられています。 しかし、「肝」の機能が低下すると、この「血」の巡りが滞り、筋肉に十分な栄養が行き渡らなくなります。その結果、筋肉は衰え、萎縮してしまうと考えられています。 「肝痿」は、現代医学の視点からは、神経系の病気や筋肉の病気、栄養不良などが原因で起こると考えられています。しかし、東洋医学では、感情の乱れやストレスなどの精神的な要因も大きく影響すると考えられており、「肝」の働きを整え、「血」の巡りを良くすることで、症状の改善を目指します。
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脾痿:脾の気が招く体の衰弱

- 脾痿とは何か 脾痿とは、東洋医学における独特な概念で、体のエネルギー源である「気」を生み出す臓器「脾」の機能が低下し、同時に熱を持つことで、全身に様々な不調が現れる状態を指します。現代医学では、脾痿に完全に一致する病名はありません。しかし、その症状から、神経系や筋肉系の疾患と関連付けられることがあります。 東洋医学において、脾は単なる消化吸収器官ではなく、食べ物から「気」を生成し、全身に送る重要な役割を担うと考えられています。この脾の働きが弱まり、いわゆる「脾虚」の状態になると、消化不良や食欲不振といった症状が現れます。さらに、脾に熱がこもる「脾熱」の状態が加わると、「脾痿」となり、全身の気の流れが滞り、倦怠感、食欲不振、下痢などの消化器症状に加え、手足の痺れや筋力の低下といった運動機能の低下も見られるようになります。 特に、筋肉に力が入らなくなる症状は「痿症」と呼ばれ、脾痿の代表的な症状の一つとされています。脾痿は、過労やストレス、偏った食生活などによって引き起こされると考えられています。
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東洋医学における腸痹:その原因と症状

- 腸痹とは -# 腸痹とは 「腸痹」とは、東洋医学における概念で、食べ物の消化や吸収、便の排泄といった、腸の働きが滞ってしまう状態を指します。現代医学でいう過敏性腸症候群(IBS)や慢性便秘といった病気と重なる部分もありますが、東洋医学では、体内の「気・血・水」のバランスの乱れが深く関係していると捉えています。 「気」は生命エネルギー、「血」は血液とその循環機能、「水」は体液の総称です。これらが滞りなくスムーズに流れることで健康が保たれると考えられていますが、何らかの原因でこのバランスが崩れると、様々な不調が現れると考えられています。腸痹の場合は、特に「気」の滞りである「気滞」が大きく影響し、腸の蠕動運動が低下することで、腹痛や便秘、下痢といった症状が現れると考えられています。 また、「冷え」も腸痹の原因の一つとされています。東洋医学では、冷えは身体を温める働きを持つ「陽気」が不足した状態と考えます。冷えによって腸の働きが弱まり、消化吸収機能や排泄機能が低下してしまうのです。 さらに、東洋医学では、心と身体は密接に繋がっていると考えられており、ストレスや不安、緊張といった精神的な要因も腸痹に影響を与えると考えられています。過度なストレスを感じると「気」の流れが乱れやすくなり、その結果として腸の働きにも悪影響を及ぼしてしまうのです。 このように、腸痹は「気・血・水」の乱れや冷え、心の状態など、様々な要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。
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東洋医学における心痹:その病態と治療

- 心痹とは -# 心痹とは 心痹とは、東洋医学において、心臓の働きが阻害され、様々な不調が現れる状態を指します。 これは、体内のエネルギーや血液の流れである「気血」が、何らかの原因で滞ってしまう「痹証(ひしょう)」が、心臓に起こることで引き起こされると考えられています。 心臓は、全身に血液を送る重要な臓器であり、「五臓六腑」の中でも特に重要な「君主之官」とされています。 その心臓の働きが弱ってしまう心痹は、生命にも関わる重大な病として、古くから東洋医学で重要な治療対象とされてきました。 心痹は、現代医学の狭心症や心筋梗塞などの心臓病とは全く異なる概念ですが、症状としては共通点もみられます。 胸の痛みや圧迫感、動悸、息切れ、冷や汗、顔色が悪くなる、などの症状が現れる場合、心痹の可能性が考えられます。 東洋医学では、心痹の原因は、過労や睡眠不足、精神的なストレス、暴飲暴食、冷え、老化 など、様々な要因が考えられています。 これらの要因によって、体内の気血の流れが乱れ、心臓に影響を及ぼすと考えられています。
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東洋医学における脾虚:その原因と症状

- 脾虚とは -# 脾虚とは 「脾」は、東洋医学において、食べ物の消化吸収、水分代謝、気や血を作る働きなど、健康を維持するために非常に重要な役割を担っています。この「脾」の機能が低下した状態を「脾虚」と言います。 西洋医学にも「脾臓」という臓器が存在しますが、東洋医学の「脾」は、西洋医学の脾臓とは少し異なる意味合いを持っています。東洋医学の「脾」は、西洋医学の脾臓の機能に加えて、胃腸などの消化器系全体の働きや、栄養を全身に巡らせる働き、水分代謝など、より広範な役割を担っていると考えられています。 そのため、脾虚になると、単に消化不良や食欲不振といった症状だけでなく、全身の倦怠感、冷え、むくみ、下痢、貧血、生理不順など、様々な不調が現れる可能性があります。 現代社会において、脾虚は、不規則な食生活、冷たい食べ物や飲み物の摂り過ぎ、過労、ストレス、運動不足などによって引き起こされやすいと考えられています。これらの要因によって「脾」の機能が低下すると、健康を維持することが難しくなり、様々な不調に悩まされることになるのです。
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東洋医学における脾熱とその影響

- 脾熱とは -# 脾熱とは 東洋医学では、脾は食べ物から栄養を吸収し、全身に送り届けるという、健康を保つ上で非常に大切な役割を担っています。これは、西洋医学でいう脾臓だけを指すのではなく、胃腸など消化吸収に関わる機能全体を包括的に表しています。この脾の働きに、熱が生じてバランスを崩してしまう状態を脾熱と呼びます。 脾熱は、暴飲暴食や脂っこい食事、冷たい食べ物や飲み物の摂り過ぎなど、食生活の乱れによって引き起こされます。また、過労やストレス、睡眠不足なども脾に負担をかけ、熱を生み出す原因となります。 脾熱になると、食欲不振や胃もたれ、下痢や便秘、お腹の張り、吐き気、倦怠感、口の渇き、味覚の変化、口内炎、舌の苔が黄色くなる、など様々な症状が現れます。 東洋医学では、病気の治療だけでなく、未病の段階で体の不調を整え、健康な状態を保つことを大切にしています。日頃から、脾に負担をかけないよう、バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけ、ストレスを溜めないようにすることが大切です。
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東洋医学における脾寒:その原因と症状

- 脾寒とは -# 脾寒とは 東洋医学では、生命活動を支える重要なエネルギー源である「気」を作り出すのは、主に「脾」の働きによるものと考えられています。この「脾」は、西洋医学でいう脾臓そのものを指すのではなく、現代医学の消化器官全体を含む、より広範な働きを担うものです。 「脾」は、飲食物を消化吸収し、そこから「気」と「血」を生み出す役割を担っています。この「脾」の働きが弱まり冷えが生じた状態を「脾寒」と言います。「脾寒」になると、消化吸収機能が低下し、さまざまな不調が現れます。 「脾寒」の原因は、冷えやすい食べ物の摂り過ぎや、冷たい飲み物の飲み過ぎ、また、夏の冷房や冬の薄着などによる身体の冷えなどが挙げられます。その他、過労やストレス、睡眠不足なども「脾」の働きを弱める原因となります。 「脾寒」になると、食欲不振や胃もたれ、消化不良、下痢などを引き起こしやすくなります。また、顔色が悪くなったり、手足が冷えたり、むくみが出やすくなったりするのも特徴です。さらに、疲れやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりすることもあります。 「脾寒」を改善するには、身体を温めることが大切です。普段の食事では、温かいものを食べるように心がけ、生姜やネギ、ニンニクなどの身体を温める食材を積極的に摂り入れましょう。また、冷たい飲み物は控え、温かいお茶や白湯を飲むように心がけましょう。 さらに、適度な運動や十分な睡眠を心がけ、「脾」の働きを高めるようにしましょう。
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東洋医学における膽熱:原因と症状

- 膽熱とは -# 膽熱とは 膽熱とは、東洋医学における考え方の一つで、体内の熱のバランスが崩れ、過剰な熱が胆嚢や胆経に影響を与えることで起きるとされています。 胆嚢は、肝臓で作られた消化液である胆汁を一時的に蓄え、濃縮する役割を担っています。一方、胆経は、胆汁の通り道であり、胆嚢と肝臓、十二指腸をつないでいます。 体に過剰な熱が生じると、この胆嚢や胆経に影響が及び、胆汁の流れが悪くなると考えられています。その結果、消化不良や口の苦味、黄疸、脇腹の痛み、イライラしやすくなるなど、様々な不調が現れるとされています。 東洋医学では、このような症状が見られる場合、膽熱のサインである可能性があると捉え、食生活の改善やストレス軽減、漢方薬の服用などによって、体内の熱のバランスを整え、胆嚢や胆経の働きを正常に戻すことを目指します。
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肝鬱脾虚:心身に不調をもたらす滞り

- 肝鬱脾虚とは -# 肝鬱脾虚とは 「肝鬱脾虚(かんうつひきょ)」は、東洋医学において心身のバランスが崩れた状態を表す言葉で、様々な不調の原因として考えられています。この言葉は、文字通り「肝」と「脾」という二つの臓腑の働きが弱まっていることを示しています。 東洋医学では、「肝」は感情の調節や血の流れをスムーズにする役割を担い、「脾」は消化吸収や栄養を全身に運ぶ役割を担うと考えられています。現代社会では、ストレスや不規則な生活、過労などが原因で、感情が不安定になりやすく、「肝」の働きが弱まりやすいと言われています。この状態を「肝鬱」と言います。「肝鬱」の状態が続くと、「脾」の働きにも影響が及び、「脾」も弱ってしまいます。これが「肝鬱脾虚」と呼ばれる状態です。 「肝鬱脾虚」になると、以下のような症状が現れることがあります。 * イライラしやすくなる、憂鬱な気分になるなど、精神的に不安定になる。 * 食欲不振、胃もたれ、お腹の張り、便秘や下痢などの消化器系の不調が現れる。 * 全身がだるい、疲れやすい、やる気が出ないなどの倦怠感がある。 * 頭痛、肩こり、めまいなどが起こる。 * 顔色が悪くなる、生理不順、不眠などの症状が出ることもある。 これらの症状は、現代社会において多くの人が抱える悩みと重なる部分が多いと言えるでしょう。肝鬱脾虚は、決して特別な人のみが陥るものではなく、現代社会を生きる私たちにとって身近な問題なのです。
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東洋医学における「肝鬱」:その原因と症状

- 肝鬱とは -# 肝鬱とは 東洋医学では、肝は単なる臓器ではなく、人間の精神活動や感情、自律神経の働きにも深く関与していると考えられています。この肝の重要な機能の一つに「疏泄(そせつ)」があります。これは、気の流れをスムーズにし、全身の機能を調和させる働きを指します。しかし、ストレスや感情の抑圧、不規則な生活習慣などが続くと、この疏泄がうまくいかなくなり、気の流れが滞ってしまいます。この状態を、東洋医学では「肝鬱(かんうつ)」と呼びます。 現代社会は、ストレスが多く、競争も激しい時代です。感情を押し殺したり、無理をして頑張りすぎたりする場面も多いのではないでしょうか。このような状況下では、知らず知らずのうちに肝に負担がかかり、肝鬱の状態に陥りやすくなります。肝鬱は、精神的な不調だけでなく、身体的な症状を引き起こすこともあります。初期症状としては、イライラしやすくなったり、気分が落ち込んだり、ため息が多くなったりすることが挙げられます。さらに症状が進むと、頭痛、肩こり、不眠、食欲不振、便秘、生理不順など、様々な症状が現れるようになります。 肝鬱を改善するためには、気の流れをスムーズにし、肝の働きを高めることが重要です。東洋医学では、鍼灸や漢方薬を用いて、個々の体質や症状に合わせた治療を行います。また、日常生活においても、ストレスを溜め込まない、十分な睡眠をとる、規則正しい食生活を送るなど、肝に負担をかけない生活習慣を心がけることが大切です。
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東洋医学における「肝気鬱結」とは?

- 肝気鬱結とは -# 肝気鬱結とは 東洋医学では、心と体は密接に繋がっていると考えられており、目に見えない「気」の流れが健康を左右するとされています。この「気」は、全身をくまなく巡り、生命活動の源となっています。 肝は、この「気」の流れをスムーズにする役割を担っており、特に感情の調節と深く関わっています。喜怒哀楽の感情のうち、怒りや不満、ストレスといった感情は肝に影響を与えやすく、過剰なストレスや抑圧された感情を長期間抱えていると、肝の働きが弱まり、「気」の流れが滞ってしまうことがあります。 この状態を、東洋医学では「肝気鬱結(かんきうっketsu)」と呼びます。「肝気」とは、肝の働きと深く関わる「気」のことを指し、「鬱結」は滞ってスムーズに流れない状態を表しています。つまり肝気鬱結とは、ストレスや感情の抑圧によって肝の機能が低下し、「気」の流れが滞っている状態を指します。 肝気鬱結になると、精神的なイライラや不安、抑うつ感が現れやすくなるだけでなく、自律神経の乱れから、めまい、耳鳴り、不眠、消化不良、便秘、生理不順、肩や首のこり、頭痛など、様々な身体症状を引き起こす可能性があります。
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東洋医学: 肝胆気鬱とその影響

- 肝胆気鬱とは -# 肝胆気鬱とは 東洋医学では、人間が生きていくための根源的なエネルギーを「気」と捉え、この「気」が体の中をスムーズに巡っている状態が健康であると考えられています。しかし、様々な原因によってこの「気」の流れが滞ってしまうことがあります。この状態を「気滞(きたい)」と呼びます。 「肝胆気鬱(かんたんきうつ)」とは、この気滞が肝臓と胆嚢という臓器に起こっている状態を指します。東洋医学における肝臓は、ただ血液を浄化するだけでなく、「疏泄(そせつ)」という重要な役割を担っています。これは、体全体に「気」を巡らせ、精神活動や感情の調整、血や水の運行をスムーズにする働きを意味します。一方、胆嚢は胆汁を蓄え、消化を助ける働きをします。胆汁の分泌は肝臓とも密接に関わっています。 肝胆気鬱になると、これらの肝臓と胆嚢の働きがうまくいかなくなります。その結果、精神的なイライラや抑うつ、消化不良、肋骨の下の張りや痛み、女性では月経前の不快な症状などが現れやすくなると考えられています。
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肝胆倶実:その意味と東洋医学的解釈

- 肝胆倶実とは -# 肝胆倶実とは 「肝胆倶実」とは、東洋医学において、肝臓と胆嚢の両方に過剰な「邪」が溜まっている状態を指します。西洋医学でいう病原体とは異なり、東洋医学における「邪」とは、本来体内を滞りなく巡っているべき「気」の流れの乱れや、停滞、偏りなどを意味します。体内の水分代謝の乱れや、熱の滞りなども含まれます。 肝臓と胆嚢は、東洋医学では密接な関係にあると考えられています。肝は「疏泄(そせつ)」、胆は「決断」をつかさどるとされ、どちらも気の巡りや精神活動に大きな影響を与えると考えられています。この二つの臓腑に「邪」が溜まった状態である「肝胆倶実」では、気の滞りから、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、抑うつ状態になったりすることがあります。また、消化不良や食欲不振、口の苦味、右肋下部の痛み、便秘、頭痛、めまいなどの症状が現れることもあります。 このように、「肝胆倶実」は、単なる臓器の病気ではなく、心身のバランスが崩れた状態を意味します。そのため、治療には、食事療法や運動療法、鍼灸治療、漢方薬の処方など、心身両面からのアプローチが必要となるのです。
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東洋医学における臟厥:内臓の陽気が招く昏倒

- 臟厥とは -# 臟厥とは 臟厥とは、東洋医学において、突然意識を失って倒れてしまう症状「厥」の中でも、特に内臓の働きが弱まることで引き起こされるものを指します。 東洋医学では、生命活動のエネルギー源である「気」が体内をスムーズに巡ることで健康が保たれると考えられています。この「気」は、全身を温めたり、臓腑を活動させたりと、様々な働きをしています。臟厥は、この「気」の中でも、特に内臓を温め、その機能を活発にする「陽気」が不足することで起こるとされています。 陽気は、いわば体のエンジンを動かす燃料のようなものです。加齢や過労、冷え、精神的なストレスなどによってこの陽気が不足すると、内臓の機能が低下し、めまいや冷え、顔色が悪くなるなどの症状が現れます。そして、さらに陽気が不足すると、内臓が正常に働かなくなり、意識を失って倒れてしまうことがあります。これが臟厥です。 臟厥は、命に関わることもあるため、決して軽視できません。日頃から、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、内臓に負担をかけすぎない生活を送ることが大切です。また、冷えは陽気を損ないやすいので、特に冷えやすい人は、体を温める食材を積極的に摂ったり、温かい服装を心がけたりするなど、冷え対策をしっかり行いましょう。
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東洋医学における肝胆湿熱:その原因と症状

- 肝胆湿熱とは -# 肝胆湿熱とは 東洋医学では、人間の身体は自然の摂理と深く関わり、その調和によって健康が保たれると考えられています。自然界の様々な現象は、木・火・土・金・水の五つの要素に分類され、これを陰陽五行説といいます。この陰陽五行説は、人間の身体にも当てはめられ、それぞれの臓器や機能を理解する上で重要な役割を担っています。 肝臓と胆嚢は、この五行説において「木」の性質を持つとされ、胆汁の生成と分泌、情緒の安定、血流の調整などをつかさどっています。 肝臓は血液を貯蔵し、スムーズな流れを生み出す機能を、胆嚢は脂肪の消化を助ける胆汁を蓄え、必要に応じて十二指腸へ送り出す働きを担っています。 これらの働きは、健やかな状態を保つ上で非常に重要ですが、何らかの原因でバランスを崩すと、湿邪と熱邪と呼ばれる邪気が肝臓と胆嚢に停滞することがあります。湿邪とは、体内に溜まった余分な水分や老廃物のことで、重だるさやむくみなどを引き起こします。一方、熱邪とは、炎症や過剰な熱を指し、イライラや口渇、発熱などの症状を引き起こします。 この湿邪と熱邪が同時に肝臓と胆嚢に影響を及ぼすことで、様々な不調が現れる状態が、肝胆湿熱と呼ばれるものです。
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生命の危機?蔵厥と東洋医学

- 蔵厥とは何か 蔵厥とは、東洋医学において人の命に関わる重大な兆候の一つです。 東洋医学では、生命活動を維持するのに欠かせないエネルギーを「気」と考えます。 特に、内臓の働きを支える「陽気」が弱まると、意識がなくなったり体が冷えたりといった深刻な症状が現れると考えられており、この状態を蔵厥と呼びます。 蔵厥は、単なる意識障害ではなく、生命の根源である「陽気」が著しく損なわれた状態を指します。 これは、激しい病気やケガ、過労、冷えの積もりなどによって引き起こされると考えられています。 蔵厥の状態になると、顔色が蒼白になり、唇や爪の色も悪くなります。 手足は冷たくなり、脈拍は弱く、呼吸も浅くなります。 意識レベルも低下し、呼びかけに応じないこともあります。 東洋医学では、蔵厥は緊急事態と捉えられています。 迅速な治療が必要であり、その場に応じた適切な処置を行わなければ、生命の危険にさらされる可能性があります。
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東洋医学が解き明かす肝経湿熱

- 肝経湿熱とは 肝経湿熱とは、東洋医学における病気の原因となる体の状態のひとつで、体内の水分代謝がうまくいかず、余分な水分が熱を帯びて「湿熱」となり、肝臓と密接に関係する「肝経」という経絡に停滞してしまう状態を指します。 東洋医学では、生命エネルギーである「気」が経絡を通り全身を巡ることで、健康が保たれると考えられています。 肝経は、自律神経や精神活動、消化吸収、血液の貯蔵、解毒作用など、体の様々な機能に関わる重要な経絡です。 この肝経に湿熱が停滞すると、気の巡りが阻害され、様々な不調が現れると考えられています。 湿熱は、体内の水分と熱が結びついたもので、粘り気があり、流れにくい性質を持っています。そのため、体に重だるさや痛み、炎症などを引き起こしやすく、また、精神活動にも影響を与え、イライラしやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりすることもあります。 肝経湿熱は、食生活の乱れやストレス、気候など、様々な要因によって引き起こされると考えられています。特に、脂っこい食事や甘いものの過剰摂取、アルコールの飲み過ぎなどは、湿熱を生みやすいと言われています。また、梅雨の時期など、湿気が多い季節も注意が必要です。
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寒滞肝脈:その原因と症状

- 寒滞肝脈とは -# 寒滞肝脈とは 東洋医学では、私たちの身体には「気・血・水」と呼ばれる生命エネルギーが循環しており、これらが滞りなく流れることで健康が保たれると考えられています。そして、その流れを司る重要なルートが「経絡」と呼ばれるもので、体中に張り巡らされています。 「肝」は、西洋医学でいう肝臓の機能だけでなく、精神活動や自律神経の調節、血流の調整など、生命活動の根幹を担う重要な臓器と考えられています。この肝の働きを司る経絡が「肝脈」です。 「寒邪」とは、文字通り「冷え」の邪気のことで、外部から体内に侵入して様々な不調を引き起こすとされています。冬場の冷えはもちろんのこと、冷房の効きすぎた部屋に長時間いたり、冷たい食べ物や飲み物を摂り過ぎたりすることでも、身体は冷えの影響を受けると考えられています。 「寒滞肝脈」とは、この寒邪が肝脈に侵入し、気の巡りが滞ってしまう状態を指します。肝はストレスの影響を受けやすく、寒邪の侵入によってさらにその働きが阻害されると、情緒不安定、イライラしやすくなる、抑うつ状態などの精神的な不調が現れやすくなると考えられています。 また、肝は血流の調整も担っているため、血行不良による冷え性、肩こり、頭痛、生理痛、生理不順といった症状が現れることもあります。さらに、肝の働きが弱ると消化機能も低下しやすくなるため、食欲不振、腹痛、下痢などを引き起こす可能性もあります。
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東洋医学における癥瘕:その原因と治療

- 癥瘕とは -# 癥瘕とは 癥瘕(しょうきょう)とは、東洋医学で用いられる言葉で、胸やお腹に硬いしこりや腫れが見られる状態を指します。現代医学でいうところの腹部腫瘤と似通った意味合いを持つ場合が多く見られます。 しかし、西洋医学でいう腫瘍とは異なり、東洋医学では、体内の気(生命エネルギー)や血(血液)の流れ、そして水分の巡りが滞ってしまうことで、しこりや腫れが生じると考えられています。 つまり、癥瘕は、体内の循環が悪くなり、不要なものが体に溜まってしまうことで起こると考えられているのです。 東洋医学では、一人ひとりの体質や症状に合わせて、食事療法や鍼灸治療、漢方薬の処方などを行い、体の巡りを改善することで、癥瘕の改善を目指します。