「わ」

その他

股関節の痛みは要注意!:環跳疽について

- 環跳疽とは -# 環跳疽とは 環跳疽は、股関節に膿が溜まる病気です。西洋医学では、細菌感染によって引き起こされる股関節の化膿性関節炎と診断されることが多いでしょう。 東洋医学では、この病気は「風」「寒」「湿」「熱」といった外邪が体内に侵入し、気血の流れを阻害することで発症すると考えられています。特に、環跳と呼ばれるお臀のツボ周辺に症状が現れやすいことから、環跳疽という名前が付けられました。 環跳は足の太陽膀胱経という経絡上に位置し、下半身の気血が集まる重要なツボです。そのため、外邪の影響を受けやすく、環跳疽が生じやすいと考えられています。 環跳疽の症状としては、股関節の激しい痛み、腫れ、熱感、発赤などが挙げられます。重症化すると、歩行困難や高熱などの全身症状が現れることもあります。 東洋医学では、環跳疽の治療には、鍼灸や漢方薬を用います。鍼灸治療では、滞った気血の流れを改善し、痛みや腫れを和らげることを目的に、環跳をはじめとするツボに鍼やお灸を施します。漢方薬は、患者の体質や症状に合わせて処方し、体の免疫力を高めたり、炎症を抑えたりする効果が期待できます。 環跳疽を予防するには、普段から体を冷やさないように注意すること、適度な運動で気血の流れを良くすること、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
その他

東洋医学から見る腋癰

脇の下にあたる部分は、医学用語で腋窩と呼ばれ、人体にとって重要な役割を担っています。東洋医学では、この腋窩に熱を帯びた腫れや痛みが現れる症状をまとめて「腋癰」と呼びます。これは、現代医学でいうところの腋窩リンパ節炎や化膿性汗腺炎などと共通する部分があるとされています。 腋窩は、リンパ節が集中している部位であるため、細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入すると、免疫反応によってリンパ節が腫れ、痛みを生じることがあります。また、脇の下は汗腺が多く、高温多湿になりやすいことから、細菌が繁殖しやすく、汗腺に炎症が起こることもあります。 東洋医学では、これらの症状は、体内の熱や湿邪が原因で起こると考えられています。熱や湿邪は、過労やストレス、食生活の乱れなどによって体内に蓄積され、気の流れを阻害することで、様々な不調を引き起こすとされています。腋癰の場合、これらの邪気が腋窩に滞留することで、腫れや痛み、熱感を引き起こすと考えられています。 東洋医学では、症状や体質に合わせて、漢方薬の処方や鍼灸治療などを用いて、体内の熱や湿邪を取り除き、気の流れを整えることで、腋癰の症状を改善していきます。
漢方の治療

体のバランスを整える漢方薬:和解剤

- 体の調和を取り戻す 東洋医学では、私たちの体は、自然の一部であり、自然界と同様に、様々な要素が複雑に絡み合いながら成り立っていると考えられています。 この考え方の根幹には、「調和」という概念が存在します。体内の様々な器官や機能は、それぞれが独立しているのではなく、互いに影響し合い、支え合いながら絶妙なバランスを保っているのです。 このバランスが崩れた状態が、すなわち病気と捉えられます。風邪を引いたり、お腹を壊したりするのも、体のバランスが崩れた結果であり、東洋医学では、このバランスを正常な状態に戻すことを目指します。 そのために用いられるのが、和解剤と呼ばれるものです。和解剤は、体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで、健康な状態へと導く手助けをします。 東洋医学は、単に病気を治すのではなく、心身全体の調和を取り戻し、健康な状態を維持することを目的としていると言えるでしょう。
漢方の治療

和解少陽:東洋医学における絶妙なバランス

- 少陽とは 東洋医学では、人の体は単なる物質ではなく、目には見えない「気」というエネルギーが流れていると考えられています。そして、その「気」の通り道である「経絡」は、体の中心線を基準に、陰と陽、さらに表と裏の組み合わせで分類されます。 このうち、「少陽」は体の側面を流れる経絡を指し、表と裏、陰と陽の中間に位置する重要な経絡です。 「少陽」は、太陽が昇り始める明け方や、太陽が沈み始める夕暮れ時のような、陰と陽が転換する時間帯を象徴しています。これは、「少陽」が、体内の陰陽のバランスを調整し、スムーズな転換を促す役割を担っていることを意味します。 具体的な働きとしては、体の側面を流れることから、精神活動と身体機能の橋渡し的存在と考えられています。例えば、ストレスや緊張を感じると、脇腹が張ったり、ため息が多くなったりすることがありますが、これは「少陽」の経絡が影響を受けている状態です。 「少陽」の経絡を整えるためには、体の側面を伸ばすストレッチや、深呼吸、自律神経を整えるような軽い運動などが効果的です。また、「少陽」は春に最も活発になるとされており、春の食材を積極的に摂ることも、バランス調整に役立ちます。 このように、「少陽」は、目には見えない「気」の通り道であると同時に、私たちの心と体のバランスを保つために重要な役割を担っています。
漢方の治療

東洋医学における和解表裏療法

- 和解表裏療法とは -# 和解表裏療法とは 和解表裏療法は、東洋医学に基づいた治療法の一つで、風邪の初期症状など、軽度の表裏俱証に用いられます。 表裏俱証とは、東洋医学の考え方において、体の表面を指す「表」と、内部を指す「裏」の両方に症状が現れている状態を指します。 例えば、風邪の初期段階では、寒気や頭痛といった体の表面に症状が現れやすいですが、悪化すると、高熱や咳といった体の内部に症状が進行していくと考えられています。これは、風邪の初期段階では、寒邪と呼ばれる邪気が体の表面にとどまっているものの、病状が進むにつれて、体の内部へと侵入していくためです。 和解表裏療法では、このような体の表と裏の両方のバランスを整えることで、病気を初期段階で治癒へと導くことを目的としています。 具体的には、発汗、解熱、鎮咳などの作用を持つ生薬を組み合わせた漢方薬を処方することで、体の表面と内部の両方に働きかけ、病邪を体外に排出していきます。 和解表裏療法は、体の抵抗力が弱っている時や、病気が長引いている時には適さない場合もあるため、自己判断で治療を行うのではなく、必ず専門家の診断を受けるようにしましょう。
漢方の治療

東洋医学における和胃: 胃の働きを整える

- 和胃とは -# 和胃とは 「和胃」とは、東洋医学において、胃腸の働きを整え、その機能を回復させるための治療法を指します。西洋医学では胃は食べ物を消化する器官として捉えられますが、東洋医学では、胃は単に食べ物を消化するだけの器官ではなく、生命エネルギーである「気」と血液である「血」を生み出す源と考えられています。この「気」と「血」は全身に栄養を運び、健康を保つために欠かせないものです。つまり、東洋医学では、胃は全身の健康を支える重要な臓腑と捉えられているのです。 胃の働きが弱まり、正常に機能しなくなると、「気」と「血」が十分に作られなくなり、様々な不調が現れます。 食欲不振や消化不良といった消化器症状はもちろんのこと、倦怠感や冷え性、むくみなども、胃の不調が原因で起こると考えられています。さらに、精神活動も「気」によって支えられているため、胃の働きが弱ると、精神不安や抑うつ、不眠といった精神的な症状が現れることもあります。 和胃療法では、患者さんの体質や症状に合わせて、漢方薬の処方、鍼灸治療、食事指導など、様々な方法を組み合わせることで、胃の働きを整え、全身の健康を目指します。
その他

東洋医学の見方:脇痛とその原因を探る

- 脇の痛み東洋医学の考え方 脇の痛みは、重い物を持ち上げた時や、体をひねった時などに起こりやすく、多くの人が経験するありふれた症状です。西洋医学では、肋骨の間を通る神経が圧迫されることで起こる肋間神経痛や、筋肉の炎症などが原因として考えられます。 一方、東洋医学では、脇の痛みは、体の表面的な問題ではなく、体全体のバランスの乱れがサインとして現れていると考えます。東洋医学では、生命エネルギーである「気」や、栄養を運ぶ「血」が体の中をスムーズに流れている状態が健康であると考えます。しかし、過労やストレス、冷えなどによって、この「気」や「血」の流れが滞ってしまうことがあります。この状態を「気滞」や「瘀血(おけつ)」といい、脇は、気や血の流れが滞りやすい場所であるため、痛みが生じやすいと考えられています。 また、「水」の偏りも、脇の痛みに繋がると考えられています。東洋医学における「水」とは、体液全般を指し、水分代謝がスムーズに行われていない状態を「水毒」といいます。水毒が起きると、体に余分な水分が溜まり、気や血の流れをさらに阻害してしまいます。 このように、東洋医学では、脇の痛みは、体全体のバランスの乱れが原因で起こると考え、その原因を突き止めることで、根本的な改善を目指します。
その他

東洋医学が考える脇汗の原因と対策

- 脇汗と東洋医学の関係 東洋医学では、健康な状態を保つためには、体内の「気・血・水」がバランスよく巡っていることが重要だと考えられています。この中の「水」は、体内の水分全般を指し、そのバランスが崩れると、むくみや冷え性など、様々な不調が現れるとされています。脇汗もその一つであり、東洋医学では、汗は「心の液」と表現され、過剰な発汗は「水」の巡りが滞っているサインと捉えられます。 特に、脇の下は重要な経穴(ツボ)が集まる場所として知られています。心臓と深い関わりを持つ「極泉」や、呼吸器系と関係する「天府」といったツボがあり、東洋医学では、脇の下は気や血、水の巡りが滞りやすい場所と考えられています。そのため、脇汗が多い場合は、単なる汗腺の問題ではなく、体内の水分のバランスが乱れている、あるいは心の状態が不安定であるなど、体の内部状態を反映している可能性があると捉えられます。 東洋医学では、体質や症状に合わせて、食事療法や鍼灸治療、漢方薬の処方など、様々な方法で体全体のバランスを整えていきます。脇汗に対しても、その原因や体質を見極め、「気・血・水」のバランスを整えることで、根本的な改善を目指します。例えば、水分代謝を促す食材を摂ったり、リラックス効果の高いツボを刺激することで、過剰な発汗を抑え、心身の安定を図ります。
漢方の診察

東洋医学における悪風:風の影響

- 悪風とは -# 悪風とは 東洋医学では、自然界と人体は密接に関係しており、自然環境の変化が体に影響を与えると考えられています。その中でも、「風」は「寒邪」や「暑邪」などと同様に、体に悪影響を及ぼす外的な要因の一つとして捉えられており、「風邪」などの病気を引き起こす原因となるとされています。 「悪風」とは、体に風の邪気が侵入することで起こると考えられている状態のことです。単に風を嫌がる、風に当たると体調が悪くなるというだけでなく、様々な症状を伴うことがあります。 例えば、風の邪気が頭に侵入すると、めまいや頭痛を引き起こすと考えられています。また、体の joints や muscles に侵入すると、関節痛や筋肉の痛みを引き起こし、皮膚に侵入すると、かゆみを生じるとされています。 西洋医学ではwindintoleranceとも呼ばれていますが、そのメカニズムはまだ完全には解明されていません。東洋医学では、悪風は、体の抵抗力が弱っているときに起こりやすいと考えられており、普段から体のバランスを整え、免疫力を高めておくことが大切とされています。
漢方の治療

東洋医学の奥義:割治療法とは

- 割治療法とは -# 割治療法とは 割治療法は、東洋医学に古くから伝わる治療法の一つで、体内のエネルギーの流れを整え、心身の不調を改善することを目的としています。身体には、「経絡」と呼ばれるエネルギーの通り道があり、その経絡上には「経穴(ツボ)」と呼ばれる重要なポイントが存在します。割治療法では、この経穴に対して、専用の刃物を使ってごくわずかに皮膚に切れ込みを入れ、ほんの少量の皮下組織を取り除きます。これは、身体に滞った邪気を排出したり、弱まった気を補ったりすることで、経絡内のエネルギーの流れをスムーズにし、自然治癒力を高める効果があるとされています。 割治療法は、その歴史は古いものの、近年再び注目を集めています。西洋医学ではなかなか改善が難しい慢性的な痛みや、自律神経系の乱れなどに効果がある reported 例もあり、その有効性が見直されています。しかしながら、施術には専門的な知識と技術が必要となるため、経験豊富な専門家を選ぶことが大切です。
鍼灸

鍼灸師が語る「彎鍼」とは?

- 鍼治療中に起こる彎鍼 鍼治療は、身体に細い鍼を刺すことで、気の流れを整え、肩こりや腰痛、冷え性など様々な不調を改善する方法です。多くの場合、安全かつ効果的な治療法として知られていますが、稀に「彎鍼」と呼ばれる状態が起こることがあります。これは、鍼治療中に鍼が緩やかに曲がる現象を指します。今回は、この彎鍼について詳しく解説していきます。 彎鍼は、鍼が皮膚に刺さった状態で、施術者の意図とは関係なく、ゆっくりと曲がっていく現象です。まるで鍼が身体に引っ張られるように曲がっていくため、患者様自身も違和感や強い引っ張り感を覚えることがあります。 彎鍼が起こる原因は、まだはっきりと解明されていません。しかし、筋肉の緊張や硬直が影響しているという説や、身体の内部で気の流れが変化することで起こるという説など、様々な見解があります。 鍼灸師は、長年の経験と感覚によって、彎鍼が起こる兆候を察知することができます。例えば、鍼の周囲にズーンと重い感覚があったり、鍼を刺した部分の皮膚が赤く変化したりする場合は、彎鍼が起こる可能性があります。 もし、鍼治療中に彎鍼が起こった場合は、鍼灸師は無理に鍼を抜いたりせず、鍼の動きに合わせて、慎重に対応します。多くの場合、彎鍼は身体の状態が変化するにつれて自然と治まり、鍼を抜くことができます。 彎鍼は、鍼治療を受ける上で、決して珍しいことではありません。しかし、その原因や対処法については、まだ研究段階であり、解明されていない部分が多くあります。鍼治療を受ける際には、信頼できる経験豊富な鍼灸師を選び、安心して施術を受けるようにしましょう。