「か」

その他

東洋医学が診る潰瘍

- 潰瘍とは 潰瘍とは、皮膚や粘膜にできた傷が治癒せず、組織が欠損した状態を指します。この傷は、外部からの刺激や病気などによって引き起こされ、体の様々な部位に発生する可能性があります。 特に、胃や十二指腸といった消化器系に発生する潰瘍は多く、それぞれ「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」として知られています。胃や十二指腸は、食べ物を消化するために強い酸性の胃液を分泌していますが、この胃液によって粘膜が傷つけられることで潰瘍が形成されます。 また、口の中にできる口内炎も潰瘍の一種です。口内炎は、粘膜に炎症が起こり、小さな傷ができたり、赤く腫れたりすることで痛みを生じます。口内炎の原因は様々で、ウイルス感染や栄養不足、ストレスなどが関係していると考えられています。 潰瘍は、自然に治癒することもありますが、症状が悪化すると出血や perforation (穿孔)などの合併症を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の場合は、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
その他

瘡:東洋医学における捉え方

- 瘡とは何か 瘡とは、皮膚にできる腫れ物の総称で、現代医学でいうところの瘡瘍を指します。これは、体の表面に現れる様々な症状の一つとして、東洋医学では捉えられています。その原因や対処法は、西洋医学とは異なる独自の視点から考えられており、単なる皮膚の病気としてではなく、体の内側の状態を映し出す鏡のように捉えられることもあります。 東洋医学では、心と体は密接に繋がっていると考えられており、体の不調は心の状態を、心の乱れは体の不調となって表面化すると言われています。つまり、瘡は、体からのサインであり、そのサインを見逃さずに、根本原因を突き止めることが重要になります。 瘡の原因は様々ですが、大きく分けると、「熱」「毒」「瘀血」「湿」の四つが考えられます。例えば、暴飲暴食やストレスなどにより体に熱がこもると、その熱が皮膚に現れ、炎症や化膿を伴う瘡を引き起こすと考えられています。また、食生活の乱れや疲労の蓄積により、体に不要なものが溜まると、それが毒となり、皮膚に排出されようとして瘡ができることもあります。さらに、血の巡りが滞ったり、体内の水分代謝がうまくいかなくなることなども、瘡の原因となることがあります。 東洋医学では、一人ひとりの体質や症状に合わせて、漢方薬の処方や鍼灸治療、食事指導などを行います。これらの治療法は、体の内側からバランスを整え、自然治癒力を高めることを目的としています。瘡を単なる皮膚病として捉えるのではなく、体の不調のサインとして受け止め、根本原因から改善していくことが大切です。
その他

東洋医学が診る瘡瘍:その原因と治療法

- 瘡瘍とは何か 瘡瘍とは、皮膚表面が赤く腫れ上がり、熱を持ち、痛みを伴う症状を総称した言葉です。これは、現代医学でいうところのニキビや癰、疽、蜂窩織炎など、様々な皮膚の病気を含みます。 西洋医学では、これらの症状は細菌感染などによって引き起こされると考えられていますが、東洋医学では少し異なる視点から捉えます。東洋医学では、体の表面に現れる症状は、体の内部、つまり内臓や気血の流れと密接に関係していると考えられています。つまり、瘡瘍は単なる皮膚の炎症ではなく、体の内部に潜む不調が表面に現れたサインと捉えるのです。 例えば、暴飲暴食や脂っこいものの食べ過ぎなど、不摂生な生活を続けていると、体に熱がこもりやすくなります。この熱が体の上部、特に顔に影響を与えると、ニキビができやすくなると考えられています。また、ストレスや疲労、冷えなどで体の免疫力が低下すると、皮膚のバリア機能も低下し、細菌感染を起こしやすくなります。これが、癰や疽などの化膿性の皮膚疾患に繋がると考えられています。 このように、東洋医学では瘡瘍の原因を体の内外の様々な要因から総合的に判断します。そして、その原因に基づいて、食事療法や漢方薬、鍼灸治療など、一人ひとりの体質や症状に合わせた治療法を行います。
内臓

冬の落とし穴!寒疝にご用心

冬の寒さが厳しくなると、急な腹痛に襲われることがあります。これは「寒疝(かんしゃ)」と呼ばれるもので、読んで字のごとく、寒さが原因で起こる腹痛のことを指します。 東洋医学では、冬の寒さが体に侵入してくることで、体内の気のバランスが乱れ、その結果として腹痛が生じると考えられています。特に、お腹は冷えやすい部分であるため、寒さが直接伝わりやすく、影響を受けやすいと考えられています。 寒疝の特徴的な症状としては、強い腹痛や腹部膨満感が挙げられます。その他、吐き気や下痢を伴う場合もあります。これらの症状は、寒さにさらされることで悪化し、温めると軽減することが多く見られます。 東洋医学では、寒疝の予防には、身体を温めることが重要であると考えられています。普段から、温かい服装を心がけたり、腹巻や湯たんぽなどでお腹を温めるようにしましょう。また、冷えやすい飲み物や食べ物を避け、温かい食事を摂るように心がけることも大切です。 もし、寒さで腹痛が起きた場合は、まず温かい場所で安静にしましょう。そして、お腹を温めたり、温かい飲み物をゆっくりと飲んで下さい。症状が改善しない場合や、症状が重い場合は、自己判断せずに、医療機関を受診するようにしましょう。
漢方の治療

女性の悩みを和らげる活血調経

- 活血調経とは 活血調経は、東洋医学における女性の健康を支える重要な治療法の一つです。\n月経にまつわる様々な不調を改善し、女性の身体を整えることを目的としています。 -# 血の巡りを良くして経路を調える その名の通り、「血を活かし経を調える」という意味を持つ活血調経。\n東洋医学では、女性の身体は「血(けつ)」によって大きく影響を受けると考えられています。\nこの「血」は、単に血液という意味ではなく、全身に栄養を運び、心身を潤すエネルギーのようなものを指します。 月経不順や月経痛、PMS(月経前症候群)といった症状は、「血」の巡りが滞り、経路(子宮や卵巣などの働き)が乱れることで起こると考えられています。\nそこで、活血調経では、身体を温める作用のある生薬や、血の巡りを促す効果のある生薬などを用いることで、「血」の流れをスムーズにし、経路の働きを整えていきます。 これにより、女性ホルモンのバランスが整い、月経周期を整えたり、痛みを和らげたりする効果が期待できます。\nまた、冷え性の改善や精神的な安定、美容効果など、様々な嬉しい効果も期待できる点が、活血調経の特徴です。
漢方の治療

東洋医学における瘀血と気滞:活血行気の役割

- 活血行気とは -# 活血行気とは 東洋医学では、健康を保つためには、体の中を流れる目に見えないエネルギー「気」と血液が、滞りなくスムーズに巡っていることが大切だと考えられています。この考え方は、川の流れにもたとえられます。水が澄んでいて流れがスムーズな川は、周囲に豊かな自然をもたらします。しかし、流れが滞ると水は濁り、やがて悪臭を放ち始めます。これと同じように、体の中で「気」と血液の流れが滞ると、様々な不調が現れると考えられています。 「気」と血液の流れが滞ってしまう原因は、日常生活の様々なところに潜んでいます。例えば、不規則な生活習慣や偏った食事、冷え、運動不足、ストレス、加齢などが挙げられます。 「気」の流れが滞ることを「気滞」、「気」の不足を「気虚」といい、イライラしやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったり、やる気が出ないなどの精神的な症状が現れやすくなると言われています。また、「血」の流れが滞ることを「瘀血(おけつ)」といい、肩こりや腰痛、冷え性、生理痛、肌のくすみ、しびれなどの症状が現れやすくなると言われています。 「活血行気」は、これらの「気」と「血」の滞りを解消し、流れをスムーズにすることで、本来体が持っている自然治癒力を高め、健康な状態へと導くことを目的とした治療法です。
漢方の治療

東洋医学における瘀血と痛み

- 活血止痛とは -# 活血止痛とは 活血止痛とは、東洋医学における重要な治療法の一つで、文字通り「血行を良くして痛みを止める」という意味です。東洋医学では、私たちの体には「気・血・水」と呼ばれる3つの要素が常に流れ循環しており、このバランスが崩れることで様々な不調が現れると考えられています。活血止痛は、特に「瘀血(おけつ)」と呼ばれる状態に焦点を当てた治療法です。 瘀血とは、血液の流れが滞り、ドロドロとして流れにくくなった状態を指します。この瘀血は、怪我や冷え、運動不足、ストレス、食生活の乱れなど、様々な原因で引き起こされます。そして、瘀血が身体の様々な場所に停滞することで、痛みや痺れ、冷え、むくみ、月経痛、肌のくすみなど、様々な症状を引き起こすと考えられています。 活血止痛は、主に漢方薬や鍼灸を用いて、この瘀血を取り除き、血液の流れをスムーズにすることで、痛みやその他の症状を改善していきます。例えば、血行促進効果のある漢方薬を服用したり、身体のツボに鍼やお灸を施したりすることで、瘀血の解消を目指します。 活血止痛は、肩こりや腰痛、頭痛、神経痛、関節痛、生理痛など、様々な痛みに対して効果が期待できます。また、冷え性やむくみの改善、美肌効果なども期待できます。
漢方の治療

東洋医学における血流改善:活血のススメ

- 東洋医学と血流の関係 東洋医学では、健康を保つために体内の「気・血・水」の流れが滞りなくスムーズであることが重要だと考えられています。これらは互いに影響し合いながら、全身をくまなく巡り、生命活動を支えています。 その中の「血」は、西洋医学でいう血液と同じように、全身に栄養や酸素を届ける役割を担います。しかし東洋医学では、単なる血液としての機能だけでなく、精神活動や感情にも深く関わっていると考えられています。体と心を支えるエネルギー源として、生命活動の根幹を担っていると言えるでしょう。 この「血」の流れが滞ると、体に必要な栄養や酸素が行き渡らなくなり、様々な不調が現れると考えられています。冷えやむくみ、肩こり、腰痛、消化不良、生理不順、肌荒れなど、その症状は多岐に渡ります。 東洋医学では、このような不調の原因を特定の臓腑の機能低下と関連付けて考えることがあります。例えば、心臓は血液を全身に送り出すポンプのような役割を担っており、心臓の機能が低下すると、血液循環が悪くなり、冷えや動悸などの症状が現れやすくなると考えられています。 また、ストレスや不眠、食生活の乱れなども血流を悪化させる要因となります。東洋医学では、心身のバランスを保つことで、血流を改善し、健康な状態を維持できると考えられているのです。
頭痛

東洋医学が診る「雷頭風」:その原因と治療法

- 激しい頭痛「雷頭風」とは? 「雷頭風」という名前を聞くと、激しい雷雨を想像する方もいらっしゃるのではないでしょうか。その想像の通り、この病気は、突然の激しい頭痛を特徴とし、その痛みはまるで頭の中で雷が鳴り響くように感じられることから名付けられました。 西洋医学では頭痛の原因は様々ですが、東洋医学では、単なる肉体的な痛みとしてではなく、体のエネルギーバランスの乱れが深く関係していると考えられています。 東洋医学でいう「気・血・水」のバランスが崩れ、特に「気」の滞りが頭に昇ると、雷頭風のような激しい頭痛が起こるとされています。ストレスや不眠、過労などが引き金となって、気が上昇しやすくなるといわれています。 また、体質や生活習慣も深く関わっており、普段から冷えやすい、血の巡りが悪い、暴飲暴食が多いなどの傾向がある方は、雷頭風になりやすいと考えられています。 雷頭風の治療には、鍼灸治療や漢方薬を用いることで、滞った気を巡らせ、体のバランスを整えていきます。さらに、生活習慣の改善も大切です。十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を取り入れることで、雷頭風の予防に繋がると考えられています。
漢方の診察

陰損及陽證:陰陽両虚の複雑な状態

- 陰損及陽證とは -# 陰損及陽證とは 私たちの体は、活動の源となる「陽気」と、それを支える「陰液」という相反する要素のバランスによって成り立っています。例えるなら、燃木を燃やす炎が「陽気」で、薪となる木が「陰液」です。陰液は、体の潤滑油としての役割や、栄養を蓄える役割などを担っています。 陰損及陽證は、この陰液が慢性的に不足し、やがて陽気までもが衰えてしまう状態を指します。これは、井戸の水が枯れ果て、いくらポンプを動かしても水が出なくなる状態に似ています。 最初は、陰液不足による症状、例えば、皮膚や喉の渇き、ほてり、寝汗、めまいなどが現れます。しかし、この段階で適切な対処を行わないと、次第に陽気も衰え始めます。 陽気が衰えてくると、冷え、倦怠感、食欲不振、息切れといった症状が現れます。これは、まるで燃え尽きようとする炎が弱々しくなっていくかのようです。 陰損及陽證は、陰陽両方のバランスが崩れた深刻な状態であり、放置すると生命活動にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、早期に専門家の診断を受け、適切な養生法を取り入れることが重要です。
漢方薬

寄生虫を撃退!駆虫剤の世界

- 駆虫剤とは? -# 駆虫剤とは? 駆虫剤は、体の中に住み着いてしまった寄生虫を退治するための薬です。寄生虫は、私たち人間や動物の体の中に入り込み、栄養を横取りして生きています。そして、場合によっては、下痢や腹痛など、様々な体の不調を引き起こすことがあります。 このような寄生虫による被害から体を守るために、駆虫剤は重要な役割を担っています。駆虫剤は、寄生虫の種類や症状に合わせて、医師や薬剤師の指示のもと、正しく使用することが大切です。 自己判断で服用すると、副作用が出たり、効果が十分に得られなかったりする可能性もあります。また、最近では、ペットを介して人間に感染する寄生虫も増えています。 ペットを飼育している方は、定期的な健康チェックや駆虫薬の投与など、寄生虫の予防にも心がけましょう。
漢方の診察

陰盛格陽証:冷えの奥に潜む熱

- 陰盛格陽証とは -# 陰盛格陽証とは 陰盛格陽証とは、東洋医学において、体内の陰陽のバランスが崩れ、陰が過剰になることで陽の働きが抑えられてしまう状態を指します。 私たちの身体は、熱と冷、活動と休息のように、相反する性質を持つ「陰」と「陽」のバランスによって健康が保たれています。しかし、このバランスが崩れ、身体を冷やす性質を持つ「陰」が過剰になると、温める性質を持つ「陽」の働きが弱まり、様々な不調が現れます。 分かりやすく言うと、身体が冷え切ってしまうことで、逆に熱がこもってしまうような状態です。これは、まるで寒い冬に、部屋の中を暖めようとしてストーブを焚き続けるうちに、部屋の中は暑くなってしまうのに、窓の外は依然として凍える寒さという状況に似ています。 つまり、体表面は冷えているのに、体内部に熱がこもってしまい、発熱や炎症、痛みなどを引き起こすことがあるのです。このような状態が陰盛格陽証と呼ばれ、東洋医学では、身体を温める作用のある食材や生薬を用いたり、鍼灸治療などで身体を温めることで、陰陽のバランスを整え、健康な状態へと導きます。
漢方の診察

陰陽のバランスと健康:陰盛陽衰證を理解する

- 陰陽のバランスと健康 東洋医学では、健康を保つためには体内の陰と陽のバランスが大切だと考えられています。 陰陽とは、自然界にある相反する性質のことで、光と影、昼と夜、月と太陽のように、この世の全てのものに陰陽があるとされています。 陰は、静かで暗い、冷たいなどの性質を持つものとされ、物質でいうと水や月などがあてはまります。 一方、陽は、動的で明るい、温かいなどの性質を持つものとされ、物質でいうと火や太陽などがあてはまります。 この陰陽は、私たちの体にも当てはまります。 例えば、体の臓器でいうと、胃や腸などの消化器官は、食べ物を消化し栄養を体に吸収するという働きを持つため、活動的な陽の性質を持つ器官とされています。 反対に、心臓や肺は、栄養や酸素を体に巡らせるという働きを持つため、静的な陰の性質を持つ器官とされています。 このように、私たちの体も陰陽で成り立っており、健康な状態とは、体内の陰陽のバランスが取れている状態を指します。 しかし、過労やストレス、不規則な生活習慣、偏った食事などによって、体内の陰陽のバランスが崩れることがあります。 この状態が続くと、体の不調として現れるようになり、やがて病気になると考えられています。
漢方薬

東洋医学における固渋剤の役割

- 固渋剤とは 固渋剤は、東洋医学において、体の様々な機能を正常に保つために欠かせない「気」「血」「精」「津液」といった物質の過剰な消耗を防ぐことを目的とした漢方薬の一種です。 これらの物質は、生命活動の根源となるものであり、不足すると様々な不調が現れます。 固渋剤は、例えるならば、ダムが決壊しそうな時に、その流れを食い止める役割を果たします。体内の「気」「血」「精」「津液」が過剰に失われるのを防ぎ、健康な状態を維持する手助けをします。 具体的には、汗、尿、便、精液などの過剰な排出、あるいは出血、下痢、咳、痰などの症状を抑える効果があります。 また、気虚による息切れや脱力感、あるいは臓器の下垂などにも用いられます。 ただし、固渋剤は、その名の通り、体の機能を固く渋らせる働きがあるため、使用には注意が必要です。 自己判断で安易に服用するのではなく、必ず専門家の診断のもと、適切な処方を受けるようにしてください。
漢方の診察

風厥:肝の働きと突然の意識消失

- 風厥とは -# 風厥とは 風厥とは、東洋医学において、まるで風に吹かれたように突然意識を失い、倒れてしまう病のことを指します。これは、現代医学でいうところの一時的な意識消失、つまり失神に相当します。 東洋医学では、人間の生命活動を支えるエネルギーとして「気」という概念を重要視します。この「気」は、心、肝、脾、肺、腎という五臓六腑それぞれに宿り、それぞれ独自の働きを持つと考えられています。 風厥は、この「気」の中でも、特に肝に深く関わる「肝気」の乱れによって引き起こされると考えられています。肝は、東洋医学では「疏泄(そせつ)」という、気の巡りをスムーズにする働きを担うと考えられています。しかし、怒りやストレス、疲労などによって肝の働きが阻害されると、この「疏泄」がうまくいかなくなり、気が滞ってしまうことがあります。この状態が「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼ばれるものです。 肝気鬱結が起きると、気が上に逆流し、頭に上ってしまうことがあります。その結果、意識を司る機能が乱され、風厥のように突然意識を失ってしまうと考えられています。 風厥は、症状が現れるスピードが速く、激しいため、「風」の字が当てられています。まるで強い風が吹き抜けるように、突然意識を失い倒れてしまう様子が目に浮かびます。
体質

肝腎虧損:陰の不足がもたらす不調

- 肝腎虧損とは -# 肝腎虧損とは 東洋医学では、人間の生命活動を支えるための根源的なエネルギーが存在すると考えられており、これを「精」と呼びます。この「精」は、主に体の重要な臓器の一つである腎に蓄えられていると考えられていますが、もう一つの重要な臓器である肝の働きとも密接な関係にあります。 肝腎虧損とは、この肝と腎の両方が弱ってしまい、その結果として「精」が不足した状態を指します。東洋医学では、肝は「血」を貯蔵し、全身に栄養を巡らせる働きを、腎は「精」を貯蔵し、成長や発育、生殖機能などを司る働きを担うと考えられています。 これらの働きが弱まることで、「精」が不足し、体と心に様々な不調が現れると考えられています。具体的には、めまい、耳鳴り、視力減退、腰や膝の痛み、倦怠感、不眠、物忘れ、白髪、脱毛、生殖機能の低下など、多岐にわたる症状が現れる可能性があります。 肝腎虧損は、加齢や過労、ストレス、睡眠不足、偏った食生活など、様々な要因によって引き起こされると考えられています。
漢方の診察

東洋医学における「寒厥」:その原因と症状

- 寒厥とは -# 寒厥とは 寒厥とは、東洋医学において、体が冷え、意識がぼんやりとする状態を指す言葉です。これは、単に体が冷えている状態とは異なり、体内の陽気が衰え、そこに寒邪が侵入してしまうことで起こると考えられています。まるで太陽の光が弱まり、寒風が吹き荒れるように、体内のバランスが崩れ、寒気が体の中心まで入り込んでしまう状態と言えるでしょう。 寒厥は、その原因や症状によっていくつかの種類に分けられます。例えば、陽虚寒厥は、もともと体内の陽気が不足しているために起こりやすく、顔色が青白く、脈が弱く細いといった特徴があります。一方、実寒厥は、急激な冷えや過労などによって引き起こされやすく、顔色が蒼白で、唇が紫色になるといった特徴が見られます。 このように、寒厥は一様ではなく、その背景には様々な原因が考えられます。そのため、自己判断で対処するのではなく、東洋医学の専門家による適切な診断と、体質や症状に合わせた治療を受けることが重要です。
漢方薬

熱を鎮める力強い味方 – 瀉火剤

- 熱を制する瀉火剤とは -# 熱を制する瀉火剤とは 東洋医学では、健康を保つためには体内の陰陽のバランスが重要だと考えられています。このバランスが崩れ、熱が過剰になると、様々な不調が現れると考えられています。この過剰な熱を取り除き、陰陽のバランスを整えるために用いられるのが瀉火剤です。 瀉火剤は、その名の通り、体内の余分な熱を冷ます効果に優れた生薬や処方を指します。私たちの身体は、暑さや湿気、過労やストレス、不適切な食事など、様々な要因によって熱を帯びることがあります。この熱が過剰になると、喉の痛みや咳、口内炎、動悸、不眠、イライラ、便秘といった症状が現れます。 瀉火剤は、これらの症状を改善するために、熱を取り除き、炎症を抑え、身体を冷やす作用があります。また、精神的な興奮を抑え、心を落ち着かせる効果も期待できます。 ただし、瀉火剤は体質や症状に合わない場合、かえって体調を崩す可能性もあります。自己判断で使用せず、必ず専門家の診断のもと、適切な処方を受けてください。
漢方の治療

命の火を灯し続ける:回陽の力

東洋医学では、健康を保つためには体内の「気」のバランスが大切だと考えられています。「気」は生命エネルギーのようなもので、体の中をくまなく巡り、様々な働きを支えています。この「気」の中でも、体を温めたり、活発に動いたりするエネルギーとなるものを「陽気」と呼びます。 陽気は、私たちが元気に毎日を過ごすために欠かせないものです。しかし、陽気が不足すると、体が冷えやすくなったり、疲れやすくなったり、様々な不調が現れます。例えば、冷え性や肩こり、食欲不振、免疫力の低下などが挙げられます。また、気力や意欲が低下し、気分が落ち込みやすくなることもあります。 このような陽気の不足を補い、生命力を高めるための治療法を「補陽」または「回陽」と言います。補陽には、食事療法、漢方薬、鍼灸、温灸、あんま・マッサージなど、様々な方法があります。これらの治療法を組み合わせることで、体質を改善し、陽気を補い、健康な状態へと導くことを目指します。
内臓

寒滞肝脈:その原因と症状

- 寒滞肝脈とは -# 寒滞肝脈とは 東洋医学では、私たちの身体には「気・血・水」と呼ばれる生命エネルギーが循環しており、これらが滞りなく流れることで健康が保たれると考えられています。そして、その流れを司る重要なルートが「経絡」と呼ばれるもので、体中に張り巡らされています。 「肝」は、西洋医学でいう肝臓の機能だけでなく、精神活動や自律神経の調節、血流の調整など、生命活動の根幹を担う重要な臓器と考えられています。この肝の働きを司る経絡が「肝脈」です。 「寒邪」とは、文字通り「冷え」の邪気のことで、外部から体内に侵入して様々な不調を引き起こすとされています。冬場の冷えはもちろんのこと、冷房の効きすぎた部屋に長時間いたり、冷たい食べ物や飲み物を摂り過ぎたりすることでも、身体は冷えの影響を受けると考えられています。 「寒滞肝脈」とは、この寒邪が肝脈に侵入し、気の巡りが滞ってしまう状態を指します。肝はストレスの影響を受けやすく、寒邪の侵入によってさらにその働きが阻害されると、情緒不安定、イライラしやすくなる、抑うつ状態などの精神的な不調が現れやすくなると考えられています。 また、肝は血流の調整も担っているため、血行不良による冷え性、肩こり、頭痛、生理痛、生理不順といった症状が現れることもあります。さらに、肝の働きが弱ると消化機能も低下しやすくなるため、食欲不振、腹痛、下痢などを引き起こす可能性もあります。
漢方の治療

生命の危機に瀕した時に用いる漢方治療「回陽救逆」

- 回陽救逆とは -# 回陽救逆とは 回陽救逆とは、今にも命が途絶えそうなほど危険な状態にある患者に対して行う、緊急性の高い治療法です。「陽気を回して逆境を救う」という言葉が表すように、意識がはっきりしなくなったり、体が冷えきったりするなど、生命力が著しく低下した状態を改善することを目指します。 西洋医学の考え方では、ショック症状や心肺停止といった状態に対応する治療法と言えます。具体的には、意識がなくなったり、呼吸が止まったり、脈が触れなくなったりした場合に、一刻も早く生命を維持するために施されます。その緊急性から、主に救急医療の現場や、症状が急変した際に用いられます。 回陽救逆は、単一の治療法を指すのではなく、状況に応じて鍼灸、お灸、マッサージなどを組み合わせて行われます。これらの手法を用いることで、気や血の巡りを改善し、低下した体の機能を回復させることを目指します。西洋医学とは異なる視点を持つ回陽救逆ですが、日本では古くから伝承されてきた治療法であり、現代においてもその有効性が認められています。近年では、西洋医学と東洋医学を組み合わせた統合医療の観点からも注目されています。
漢方薬

東洋医学における「解表剤」:その役割と効果

- 解表剤とは? -# 解表剤とは? 東洋医学では、風邪やインフルエンザなど、体表面に症状が現れる初期段階の病気を「表証(ひょうしょう)」と呼びます。 そして、この表証を改善するために用いられる漢方薬の一種を「解表剤」と言います。 解表剤は、発汗を促すことで、体の表面に侵入した「風邪(ふうじゃ)」と呼ばれる病原性の邪気を体外に追い出す働きをします。 風邪とは、東洋医学において、風邪やインフルエンザなどの感染症を引き起こすと考えられている、目に見えない病因のことです。 解表剤は、配合されている生薬の種類や組み合わせによって、その作用や効果が異なります。例えば、寒気を伴う風邪には体を温める作用の強い解表剤を、発熱や喉の痛みが強い風邪には熱を冷ます作用の強い解表剤を用いるなど、その人の症状に合わせて使い分けられます。 自己判断で安易に服用するのではなく、漢方医や薬剤師などの専門家に相談し、自分の体質や症状に合った解表剤を選ぶことが大切です。
漢方の診察

東洋医学における陰証:その特徴と意味

- 陰証とは -# 陰証とは 東洋医学では、人間の体は「陰」と「陽」という相反する要素が調和することで健康が保たれると考えています。この陰陽のバランスが崩れた状態を「証」と呼び、陰陽どちらの要素が不足しているかで「陰証」と「陽証」に分けられます。 陰証とは、文字通り体の「陰」の要素が不足した状態を指します。 「陰」は、体の物質的な基礎となるものや、静かさ、冷たさなどを表し、生命活動を維持するためのエネルギーを蓄える役割を担います。 この陰が不足すると、体の活動エネルギーや熱が不足し、様々な不調が現れます。冷えやすい、疲れやすい、顔色が悪い、元気がない、食欲がない、口が渇く、眠りが浅いといった症状は、陰証の代表的な例です。 陰証はさらに、「裏証」「寒証」「虚証」といった状態に分類されます。「裏証」は体の奥深くで陰が不足している状態、「寒証」は冷えを伴う陰証、「虚証」は生命エネルギーそのものが不足している状態を指します。 陰証を改善するには、体の「陰」を補う食事や生活習慣を心がけることが大切です。具体的には、体を温める食材を積極的に摂ったり、十分な睡眠をとったり、過度なストレスを避けたりすることが有効です。 東洋医学では、一人ひとりの体質や症状に合わせて、陰陽のバランスを整える治療を行っていきます。自己判断で陰陽のバランスを調整しようとせず、専門家の指導を受けるようにしましょう。
漢方薬

熱を冷まし滞りを流す:寒下剤の働き

- 東洋医学における寒下剤とは 東洋医学では、健康は、気・血・津液と呼ばれる生命エネルギーが体内をスムーズに巡り、バランスを保つことで維持されると考えられています。このエネルギーの流れが滞ったり、バランスが崩れたりすると、体に様々な不調が現れます。 このような不調を改善するために用いられる漢方薬の一つに、寒下剤があります。 -# 東洋医学における寒下剤とは 寒下剤は、その名の通り、冷やす作用(寒性)を持ち、体内の熱や毒を、便や尿として下方に排出する(下剤)作用を持つ生薬を配合した漢方薬です。 東洋医学では、便秘やニキビ、頭痛、肩こり、めまい、のぼせ、炎症など、体に熱がこもっている状態で起こる症状に対して用いられます。熱がこもる原因は、暴飲暴食や過労、ストレスなど様々です。 寒下剤は、これらの原因で生じた余分な熱を冷まし、便や尿として排泄することで、体のバランスを整え、症状を改善へと導きます。 ただし、寒下剤は、冷やす作用が強いため、体質や症状によっては、逆効果になる場合もあります。例えば、冷え性の人や、下痢気味の人が服用すると、症状が悪化する可能性があります。 そのため、寒下剤を服用する際は、自己判断せずに、必ず専門の医師や薬剤師に相談し、自分の体質や症状に合った漢方薬を処方してもらうことが大切です。