「え」

その他

深刻化する感染症:疫疔とその脅威

- 疫疔とは -# 疫疔とは 疫疔は、皮膚やその下の組織に起こる、重症化する恐れのある感染症です。主に黄色ブドウ球菌という細菌が原因で発症し、適切な治療を行わないと命に関わるケースもあるため、注意が必要です。 感染しやすい部位は、頭部、顔面、手足などです。初期症状としては、かゆみのある小さな赤いブツブツが現れます。これは毛穴に細菌が感染することで起こり、毛包炎やせつといった状態です。 初期の段階では、患部は比較的軽い症状にとどまります。しかし、症状が進行すると、患部が赤く腫れ上がり、強い痛みを伴います。さらに、悪寒や発熱といった全身症状が現れることもあります。 重症化すると、患部から膿が出るようになり、周囲のリンパ節が腫れることもあります。また、細菌が血液中に入り込み、敗血症を引き起こす可能性もあります。敗血症は、様々な臓器に障害をもたらし、命に関わる危険性があります。 疫疔は、免疫力が低下している人や、糖尿病などの基礎疾患がある人は特に注意が必要です。また、不衛生な環境や、傷口からの細菌感染も、発症のリスクを高める要因となります。 少しでも異常を感じたら、自己判断せずに、速やかに医療機関を受診することが大切です。
漢方の診察

東洋医学講座:偃刀脈を理解する

偃刀脈(えんとうみゃく)は、東洋医学で脈を診る脈診において、特異な脈の状態を示す言葉です。その名の由来は、脈の形がちょうど刃を上に向けた刀に似ていることにあります。具体的には、脈が糸のように細く、まるで弦楽器の弦のように張っていて、非常に強い緊張状態にあることを表します。ちょうど弓の弦を限界まで引っ張った時のような状態を想像してみてください。指で脈に触れると、強い抵抗感と張り詰めた緊張を感じます。 このような偃刀脈が現れるのは、体の内部に強い邪気が存在し、生命エネルギーである「気」の流れが滞っている状態を意味します。東洋医学では、病気は体の陰陽のバランスが崩れることで起こると考えられています。偃刀脈は、このバランスが大きく崩れ、病状が深刻化しているサインと捉えられます。特に、激しい痛みを伴う病気や、突然発症する病気、痙攣を伴う病気などで見られることが多いとされています。 偃刀脈は、素人判断で安易に解釈できるものではありません。東洋医学の専門家である医師は、脈診だけでなく、患者さんの顔色、舌の状態、体全体の症状などを総合的に判断し、適切な治療を行います。
漢方の診察

躍動する生命の証:蝦遊脈

- 脈診の世界へようこそ 東洋医学の世界に触れるならば、脈診は避けて通れません。脈診とは、患者さんの手首にある橈骨動脈に指を当て、脈拍を通じて体の内側を探る、東洋医学独自の診察法です。西洋医学における聴診器のように、脈診は東洋医学にとって欠かせない診察道具と言えるでしょう。 脈診では、単に脈の速さを測るだけではありません。まるで自然の川のせせらぎを読み解くように、指先に伝わる繊細な情報を感じ取ります。流れる水の速さのように感じる脈の速さ、水量のように感じる脈の強さ、水面の波のように感じる脈のリズム、川の深みのように感じる脈の深さ。これらの要素を総合的に判断することで、体全体のバランス状態や、病気の兆候までも見抜くことができるのです。 東洋医学では、人体を流れる「気・血・水」のバランスが健康を保つ上で重要だと考えられています。脈診は、この「気・血・水」の状態を把握する上で、非常に重要な役割を担っています。経験豊富な医師は、まるで会話をしているかのように、脈を通じて患者さんの体と対話していきます。 脈診は、西洋医学の検査では見つけることのできない、体の微妙な変化を感じ取ることができるため、病気の予防にも役立ちます。古くから受け継がれてきた脈診の世界は、奥深く、そして私たち自身の体について多くのことを教えてくれるでしょう。
漢方薬

東洋医学における條劑:その役割と利点

- 條劑とは何か 條劑(ちょうざい)とは、東洋医学の世界で用いられる外用薬の一種です。 簡単に説明すると、薬効成分を含む粉末をガーゼなどの布に塗ったり、包み込んだりして、ねじったものを指します。 現代医学になぞらえると、粉末状の薬を染み込ませたガーゼを患部に当てる治療方法をイメージすると分かりやすいでしょう。 條劑は、主に傷口や瘻孔(ろうこう)といった、皮膚や粘膜に生じた穴状の患部に直接作用させることを目的としています。 患部に直接作用させることで、傷の回復を促したり、炎症を抑えたりする効果が期待できます。 條劑は、その形状から患部に密着しやすく、薬効成分が患部に浸透しやすいという利点があります。 また、ガーゼなどを用いることで、患部を保護する役割も果たします。 東洋医学では、患者さんの体質や症状に合わせて、様々な生薬を組み合わせて條劑が作られます。
漢方の診察

東洋医学から見る泄瀉病

- 泄瀉病とは 泄瀉病とは、東洋医学において、排便の回数が増え、水分の多い、軟らかい便や水のような便が頻繁に出る状態を指します。西洋医学でいう下痢や軟便に相当しますが、東洋医学では、単なる消化器の病気としてではなく、体全体のバランスの乱れが消化器官に現れた状態として捉えます。 これは、体内の水分代謝の異常と考えられており、食事の不摂生や冷え、過労、ストレスなど、様々な要因によって引き起こされるとされています。 泄瀉病は、その症状や原因によって、さらに細かく分類されます。例えば、消化不良によるもの、冷えによるもの、体力低下によるものなど、様々なタイプがあります。それぞれのタイプによって、治療法も異なってきます。 東洋医学では、泄瀉病の治療において、患者の体質や症状、原因を総合的に判断し、漢方薬の処方や鍼灸治療などを行います。
便秘

東洋医学から見る泄瀉:原因と対策

- 泄瀉とは 泄瀉とは、東洋医学において、排便回数が増加し、水分の多い軟便、または水様便が続く状態を指します。西洋医学でいう下痢にあたり、その症状は一時的な消化不良から慢性的な消化器疾患まで、様々な原因が考えられます。 東洋医学では、この泄瀉は、身体のバランスの乱れが消化機能に影響を及ぼすことで起こると捉えます。これは、単に消化器官だけに問題があるのではなく、身体全体の調和が崩れている状態を表していると考えられています。 この身体のバランスの乱れは、主に飲食の不摂生、冷え、過労、ストレス、老化などによって引き起こされると考えられています。例えば、脂っこい食事や冷たい飲食物の過剰摂取は、消化機能を低下させ、泄瀉を引き起こしやすくなります。また、過労やストレスは、身体のエネルギー循環を阻害し、消化機能を弱める原因となります。 東洋医学では、泄瀉の治療において、その原因や症状、体質などを総合的に判断し、身体のバランスを整えることを重視します。具体的には、食事療法、漢方薬の処方、鍼灸治療などが用いられます。泄瀉は、適切な治療を行えば改善する可能性が高い症状です。日頃から、バランスの取れた食事や生活習慣を心がけ、身体の調和を保つことが大切です。
漢方の診察

東洋医学が考える泄瀉とその対処法

- 泄瀉とは何か 泄瀉とは、東洋医学において、何度も軟便や水のような便が出る状態を指します。西洋医学でいう下痢と同じような状態ですが、単なる症状として捉えるのではなく、体内の水分の巡りや食べ物の消化・吸収といった機能の乱れが深く関係していると東洋医学では考えます。 泄瀉は、その原因や症状によって細かく分類されます。例えば、冷たいものを摂り過ぎたために起こるもの、暴飲暴食が原因となるもの、精神的なストレスが引き金となるものなど、さまざまなケースがあります。それぞれの原因に応じて、体質改善や生活習慣の見直し、適切な生薬を用いた治療などを行います。 東洋医学では、心と体は密接につながっていると考えます。そのため、泄瀉の治療においても、身体的な症状だけでなく、精神的な面にも配慮することが重要です。患者さん一人ひとりの状態を丁寧に診て、根本的な原因を探り、その人に合った治療法を見つけていくことが大切です。
漢方の治療

東洋医学: 泄熱救津を理解する

- 泄熱救津とは -# 泄熱救津とは 夏の暑さや、体質、食生活の乱れなどによって、体内に過剰な熱がこもってしまうことがあります。東洋医学では、この状態を「火熱証(かしょう)」と呼びます。火熱証は、高熱や顔面の発赤、のどの渇き、便秘、イライラなどの症状を引き起こすとされています。 このような火熱証の症状を改善するために用いられる治療法の一つが、「泄熱救津(しゃねつきゅうしん)」です。泄熱救津とは、その名の通り、体から熱を追い出し、失われた潤いを取り戻すことを目的とした治療法です。 具体的には、熱を冷ます効果のある「清熱薬(せいねつやく)」と、体液を補う効果のある「生津薬(しょうしんやく)」という二種類の漢方薬を組み合わせて用います。清熱薬は、体内の熱を取り除き、炎症を鎮める働きがあります。生津薬は、体の潤いを補い、乾燥を和らげる働きがあります。 泄熱救津に用いられる漢方薬としては、例えば、石膏(せっこう)、知母(ちも)、天花粉(てんかふん)などの清熱薬と、麦門冬(ばくもんどう)、沙参(しゃじん)、玉竹(ぎょくちく)などの生津薬があります。これらの漢方薬を組み合わせることで、より効果的に火熱証の症状を改善することができます。 ただし、自己判断で漢方薬を服用することは危険です。泄熱救津が必要かどうか、また、どの漢方薬が適しているかは、専門家である漢方医の診断のもとで判断する必要があります。
その他

東洋医学における疫毒:目に見えない脅威

- 疫毒とは何か -# 疫毒とは何か 東洋医学では、人は自然と調和することで健康を保つと考えられており、その調和を乱す要因の一つに邪気があります。邪気には、風、寒、暑、湿、燥、火といった自然界に存在するものと、過労や不眠、偏食といった生活習慣、そして今回取り上げる疫毒などが含まれます。 疫毒とは、目に見えない微細なものが体内に侵入し、増殖することで様々な病気を引き起こすと考えられているものです。これは、現代医学でいうところのバクテリアやウイルス、細菌といった病原体と非常に近い概念です。しかし東洋医学では、病原体そのものだけでなく、それが持つ性質や人体に及ぼす影響、さらには流行の仕方なども含めて総合的に判断し「疫毒」と捉えます。 例えば、同じような症状を引き起こす場合でも、急速に広がっていく場合は「熱」や「風」の性質を持つ疫毒と、ゆっくりと広がる場合は「寒」や「湿」の性質を持つ疫毒が原因だと考えます。このように、東洋医学では自然界との関係性や、目には見えない「気」の流れを重視し、総合的に判断していくことが特徴です。 疫毒は、私たちの体に様々な影響を及ぼす可能性がありますが、日頃から健康的な生活習慣を心がけ、免疫力を高めておくことで、その影響を最小限に抑えることができると考えられています。
その他

いにしえの恐怖:疫癘とは?

- 疫癘見えない敵の襲来 「疫癘」という言葉は、現代社会においては過去の出来事として捉えられがちです。しかし、決して過去の遺物として片付けることはできません。疫癘とは、人から人へ、あるいは動物から人へと、目に見えない脅威が連鎖し、瞬く間に広範囲に広がり、人々の命を脅かす病気の総称を指します。 古くから人類は、幾度となく疫癘の脅威に晒されてきました。ペストや天然痘といった病は、当時の医療技術では対抗手段が乏しく、人々にとって未知の恐怖でした。目に見えない敵の襲来に、人々は恐怖と不安に怯え、ただ耐え忍ぶことしかできなかったのです。 現代においても、未知の感染症の発生や薬剤耐性菌の出現など、疫癘の脅威は形を変えて私たちの身近に潜んでいます。過去の経験から学び、疫癘に対する正しい知識と予防対策、そして早期の医療体制の確立こそが、私たち人類が未来に向けて歩むために不可欠なのです。
その他

東洋医学から見る疫毒痢:その恐ろしさと対処法

- 疫毒痢とは -# 疫毒痢とは 疫毒痢とは、東洋医学の古典に記された病名で、現代でいう感染性腸炎の中でも、特に重症な症状を呈する病態を指します。その名の通り、まるで毒のように体内に侵入し、激しい症状を引き起こすことから、古来より恐れられてきました。 現代医学の視点からは、細菌やウイルスによる食中毒や赤痢などの感染症と重なる部分が多いと考えられます。しかし、東洋医学では、単なる病原体の侵入だけでなく、体の抵抗力や環境、生活習慣などが複雑に絡み合って発症すると捉えています。 例えば、暴飲暴食や過労、睡眠不足などが続くと、体の防衛機能である「正気」が損なわれます。すると、そこに「疫毒」と呼ばれる邪気が侵入しやすくなり、激しい下痢や腹痛、発熱といった症状を引き起こすと考えられています。 疫毒痢の治療には、まず体に溜まった毒素を排出することが重要です。そのために、東洋医学では、嘔吐や下痢といった体の自然な反応を無理に抑え込まず、むしろ促進させるような治療法を用いることもあります。また、症状が落ち着いてきたら、消化機能を高め、体力を回復させる漢方薬などを用いて、根本的な体質改善を目指します。 疫毒痢は、現代社会においても決して他人事ではありません。日頃からバランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけ、体の抵抗力を高めておくことが大切です。
漢方の診察

營分證:熱邪がもたらす心の病

{流行性熱病は、病状が進行すると体の奥深くに入り込み、深刻な状態を招くことがあります。東洋医学では、この状態を「営分証」と呼びます。 初期段階では、病の原因となる邪気は体の表面にとどまり、風邪のような症状を引き起こします。この段階を「衛分証」と言います。しかし、邪気が体の抵抗力に打ち勝ち、さらに奥深く、すなわち「営分」に侵入すると、病状は深刻化します。 営分とは、西洋医学で言う血液や栄養素が循環する体の奥深い部分を指し、生命活動の根幹を担っています。このため、営分に邪気が侵入すると、高熱や意識障害など、生命に関わるような深刻な症状が現れます。 さらに、東洋医学では、心は精神活動を司る臓器と考えられており、営分と密接な関係にあります。営分に熱邪が侵入すると、心の働きにも影響が及び、精神が不安定になったり、意識が混濁したりすることがあります。 このように、流行性熱病が営分証にまで進行すると、生命活動や精神活動に大きな影響を及ぼすため、迅速な治療が必要不可欠となります。}
体質

東洋医学における營分の役割

{「營」は「栄養」を意味し、「分」は「区分されたもの」を意味します。つまり、營分とは、身体に栄養を与える役割を持つ「気」の要素といえます。\n食べ物の栄養は、消化器官で吸収され、營気に変化します。營気は、全身を巡り、筋肉や臓腑などに栄養を与える役割を担います。\n營分が不足すると、顔色が悪くなったり、疲れやすくなったり、息切れしやすくなったりします。また、貧血や立ちくらみなどの症状が現れることもあります。\n營分を補うには、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。特に、消化しやすいものや、身体を温めるものを積極的に摂るようにしましょう。\n營分は、健康を維持するために欠かせないものです。營分について理解を深め、日々の生活に役立てていきましょう。
血液

東洋医学から見る遠血:その原因と治療

- 遠血とは -# 遠血とは 「遠血」という言葉は、東洋医学における独特な概念で、読んで字のごとく、肛門から遠い体の部位、特に胃や十二指腸といった上部消化管からの出血を指します。これは、口から鮮血を吐いたり、コーヒーかすのように黒ずんだ便が出たりする症状として現れます。西洋医学では、このような症状は消化性潰瘍や胃癌といった病気が原因と考えられています。 東洋医学では、これらの病気も要因の一つとして捉えつつも、体の内部を流れる「気・血・水」のバランスの乱れが根本的な原因であると考えます。つまり、臓器そのものに問題があるのではなく、体全体の調和が崩れることで、結果として胃や十二指腸からの出血が起こると考えます。 例えば、過労やストレス、不眠、冷えなどが続くと、体のエネルギーが不足し、胃腸の機能が低下すると考えられています。また、暴飲暴食や刺激物の摂り過ぎも、胃腸に負担をかけ、遠血のリスクを高めるとされています。 東洋医学では、遠血の治療において、単に胃腸の症状を抑えるのではなく、体全体のバランスを整えることを重視します。具体的には、食事療法、漢方薬、鍼灸治療などを組み合わせ、根本的な体質改善を目指します。
女性の悩み

東洋医学から見る胞衣不下

- 胞衣不下とは -# 胞衣不下とは 出産を終え、新しい命が誕生する喜びに包まれる一方で、お母さんの身体には大きな負担がかかっています。その一つに、「胞衣不下」という状態があります。これは、赤ちゃんが生まれた後、胎盤が子宮の中に残ってしまうことを指します。 東洋医学では、この胞衣不下は、お母さんの「気」や「血」の不足、そして「瘀血(おけつ)」が原因だと考えられています。「気」や「血」は、健康な身体を保つために欠かせないエネルギーのようなものです。そして「瘀血」とは、スムーズに流れずに滞ってしまった血液の状態を指します。 通常、出産を終えると自然と子宮は収縮し、胎盤は体外へ押し出されます。しかし、出産時に体力を大きく消耗したり、産後の回復が遅れて「気」や「血」が不足すると、子宮の収縮が弱まってしまうことがあります。また、「瘀血」によって子宮の働きが阻害され、胎盤がうまく排出されないケースもあります。 胞衣不下は、出血が続いたり、腹痛、悪露の異常などの症状が現れることがあります。このような症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります。
その他

東洋医学における干支: 陰陽五行説との関係

- 干支とは -# 干支とは 干支は、古代中国で生まれた考え方で、暦や占いなど、幅広い分野で用いられています。十干と十二支という、それぞれ異なる要素を持つものを組み合わせることで、より複雑な意味合いを表現することができます。 干支は、十干と十二支を組み合わせたものです。十干は、「甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)」の10種類からなります。一方、十二支は、「子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)」の12種類からなります。 これらの組み合わせは、60通りあり、年、月、日、時間などを表す際に用いられます。例えば、2023年は「癸卯(みずのとう)」の年にあたります。これは、「癸」が十干の最後、「卯」が十二支の4番目にあたり、60通りの組み合わせの中で40番目にあたるためです。 干支は、古代中国から日本に伝来し、日本の文化にも深く根付いています。現在でも、年賀状や暦、占星術など、様々な場面で目にすることができます。
その他

営陰鬱滞:滞りがもたらす体の不調

- 体の栄養を司る営陰 -# 体の栄養を司る営陰 東洋医学では、人の体は単なる物質の集合体ではなく、目に見えない「気」の流れによって成り立ち、支えられていると考えられています。この「気」は生命エネルギーのようなものであり、人の体のあらゆる活動の源となっています。 「気」には様々な種類があり、それぞれ異なる役割を担っていますが、その中でも体の組織や器官に栄養を与え、潤いを与える重要な役割を担うのが「営陰」です。 「営」は「巡る」、「陰」は「栄養を与える」という意味があり、「営陰」は食べ物から作られる精微なエッセンスと捉えられます。私たちは日々、食事を通して様々なものを体に取り込んでいますが、「営陰」は、その食べ物から作られる最も純粋な栄養と言えるでしょう。 この「営陰」は、血液とともに全身を巡り、体の隅々まで行き渡ることで、それぞれの組織や器官に栄養を与え、潤いを与え、その働きを正常に保っています。「営陰」が十分にあれば、私たちは健康で活力に満ちた日々を送ることができます。 逆に、「営陰」が不足すると、体の様々な部分に不調が現れます。例えば、肌の乾燥、髪の毛のパサつき、目の渇き、便秘、不眠などは、「営陰」不足が疑われる代表的な症状です。 このように、「営陰」は私たちの健康を維持するために非常に重要な役割を担っています。日々の生活の中で、「営陰」を意識し、そのバランスを保つように心がけることが大切です。
体質

營衛不和と健康

- 營衛不和とは -# 營衛不和とは 東洋医学では、健康を保つために欠かせない目に見えないエネルギーとして「気」という概念を重要視しています。この「気」は、全身をくまなく巡り、体の様々な機能を支えています。營衛不和とは、この「気」の流れ、特に体の防衛を担う「衛気」と、体の栄養を司る「營気」の調和が乱れた状態を指します。 「衛気」は、例えるなら体の表面をパトロールする警備員のようなもので、外からの邪気(風邪などの病気の原因となるもの)の侵入を防ぎ、体温調節などを行っています。一方、「營気」は、体の奥深くで各器官に栄養を届け、成長や活動を支える役割を担っています。 この二つの「気」は、昼と夜、活動と休息のように、互いに影響し合いながらバランスを保っています。しかし、過労やストレス、不規則な生活習慣、冷えなどが続くと、このバランスが崩れ、營衛不和の状態に陥ってしまいます。 營衛不和になると、風邪を引きやすくなる、汗をかきやすい、体がだるい、眠りが浅い、食欲不振、便秘、下痢など、様々な不調が現れます。これは、体の防衛機能が低下し、栄養がうまく行き渡らなくなるために起こると考えられています。 營衛不和は、東洋医学に基づいた適切な養生法を実践することで改善することができます。
体質

東洋医学における「営衛」:健康の守護神

- 営衛とは何か 東洋医学では、目には見えない「気」の流れが健康を左右すると考えられています。この「気」の中でも、特に重要な働きをするのが「営衛(えいえい)」です。「営」は栄養を、「衛」は防御を意味し、それぞれ「営気」と「衛気」という二つの気が私たちの体を休むことなく巡り、健康を守っています。 「営気」は、主に体の中を流れる気のことです。食べ物から作られた栄養を全身に届けたり、血液の循環を助けるなど、生命維持に欠かせない役割を担っています。「営気」が不足すると、顔色が悪くなったり、疲れやすくなったり、冷えを感じやすくなったりします。 一方、「衛気」は、主に体の表面を流れる気のことを指します。体外から侵入しようとする風邪などの邪気を防いだり、体温調節をしたり、汗腺や毛穴をコントロールすることで体温を一定に保つなど、健康を守る防御壁としての役割を果たしています。「衛気」が不足すると、風邪をひきやすくなったり、アレルギー症状が出やすくなったりします。 このように、営気と衛気はそれぞれ異なる働きをしていますが、互いに協力し合いながら私たちの健康を維持しているのです。バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動、そしてストレスを溜めない生活を送ることは、これらの気を養い、健康的な毎日を送るためにとても大切です。
体質

東洋医学における「液」の役割

- 「液」とは何か 東洋医学では、人体を流れる目に見えないエネルギーである「気」の流れを重視します。そして、「気」と同様に重要な要素の一つに「液」が存在します。 「液」とは、西洋医学でいう体液とは異なり、主に消化器系(胃や腸など)や呼吸器系(肺など)、内臓、関節、頭蓋骨内部など、身体の空洞部に存在する、比較的とろみのある液体のことを指します。 西洋医学の概念で例えるならば、リンパ液や間質液、脳脊髄液などが「液」に近いと言えるかもしれません。 これらの液体は、「気」と共に全身を巡り、身体の潤滑油としての役割を担います。 具体的には、栄養を運んだり老廃物を排泄したり、体温調節を助けたり、身体の各組織や器官を潤して機能を円滑にするなど、重要な働きを担っています。 また、「液」は「津液」や「thickfluid」と呼ばれることもあります。
血液

生命の源:營血の働き

- 營血とは -# 營血とは 東洋医学では、食べ物が消化吸収されて得られる栄養素を「營」、体の中を巡る赤い液体を「血」と表します。そして、この二つを合わせて「營血」と呼びます。「營血」は、西洋医学でいう栄養学や血液学といった個別の分野とは一線を画す概念です。西洋医学では、栄養素と血液はそれぞれ異なるシステムとして理解されますが、東洋医学では、「營」と「血」は互いに密接に関連し合い、生命活動の根幹を支える重要な要素だと考えられています。 私たちの体は、食事から「營」を吸収することで成長し、活動するためのエネルギーを得ます。この「營」は、「血」によって体の隅々まで運ばれ、細胞や組織に栄養を供給します。つまり、「血」は単なる赤い液体ではなく、「營」を運ぶ役割を担うことで、全身の機能を維持する重要な役割を担っています。 「營血」のバランスが保たれている状態は、健康な状態と言えるでしょう。逆に、「營」が不足したり、「血」の巡りが悪くなったりすると、体に様々な不調が現れると考えられています。例えば、顔色が悪くなったり、疲れやすくなったり、冷えを感じやすくなったりするなどです。 東洋医学では、「營血」のバランスを整えることで、健康を維持し、病気を予防できると考えられています。食事療法や漢方薬、鍼灸治療などを通して、「營」を補い、「血」の巡りを良くすることで、心身ともに健康な状態を目指します。
体質

生命エネルギー:營氣とは

- 營氣生命エネルギーの源 -# 營氣生命エネルギーの源 東洋医学では、「氣」は目には見えないものの、私たちの身体を動かすエネルギー、すなわち生命エネルギーそのものと考えられています。そして、この氣の中でも「營氣」は、特に重要な役割を担っています。 營氣は、呼吸によって体内に取り込まれた「清気」と、食べ物から作られる「水穀の精微」が合わさってできると考えられています。體内を川のように絶えず流れ続け、全身の隅々まで栄養を運び、組織や器官を活き活きと働かせる大切な役割を担っています。 例えるなら、營氣は体内の「太陽」のような存在と言えるでしょう。太陽の光を浴びて植物が育つように、營氣は私たちの身体を温め、潤し、成長を促します。營氣が不足すると、身体は栄養不足に陥り、様々な不調が現れると考えられています。 つまり、營氣は私たちの生命活動の根幹を支える、まさに「生命の源泉」と言えるでしょう。營氣を充実させるためには、バランスの取れた食事、質の高い睡眠、適度な運動、そして心の安定が大切です。これらの要素を意識することで、健やかで活力に満ちた日々を送ることが期待できます。