肺を労り咳を鎮める斂肺止咳
- 東洋医学における咳と肺の関係
東洋医学では、咳は単なる呼吸器系の症状としてではなく、体全体のバランスの乱れ、特に肺の機能と深く結びついていると考えられています。
肺は、東洋医学では「五臓六腑」の一つに数えられ、「気」を体内に取り込む重要な役割を担っています。 「気」とは、生命エネルギーのようなもので、呼吸によって肺から取り込まれ、全身に送られます。この「気」の流れがスムーズであれば健康な状態と言えますが、何らかの原因で肺の機能が低下すると、「気」の流れが滞り、様々な不調が現れると考えられています。
咳は、この「気」の流れが滞り、肺の機能が正常に働かなくなった時に起こるサインの一つです。 特に、乾燥した空気や冷たい空気などによって肺が乾燥すると、「気」の通り道である「気道」も乾燥し、咳が出やすくなると考えられています。
また、東洋医学では、咳は大きく分けて「熱」「寒」「燥」「虚」の4つの状態に分類され、それぞれの状態に合わせて治療法が異なります。例えば、「熱」による咳には熱を冷ます効果のある薬草、「寒」による咳には体を温める効果のある薬草が使われます。
このように、東洋医学では、咳の原因や症状に合わせて、体全体のバランスを整えることで、根本から咳を改善することを目指します。 単に咳を止めるのではなく、その背景にある肺の機能低下や「気」の乱れに着目することで、より根本的な治療が可能になると考えられています。