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漢方の診察

東洋医学における肉痿:その原因と症状

- 肉痿とは 肉痿とは、西洋医学でいう筋萎縮とは異なる、東洋医学独自の考え方で捉えた病気です。西洋医学では主に筋肉そのものの問題として扱われますが、東洋医学では、生命エネルギーである「気」の流れの乱れが根本原因と考えられています。 肉痿は、体の奥深くを流れる「気」の滞りによって、筋肉に十分な栄養が行き渡らなくなることで起こると考えられています。特に、食べ物の消化吸収を司る「脾」という臓腑の働きが低下すると、体に必要な栄養がうまく作られなくなり、その結果、筋肉が衰え、力が入らなくなったり、痩せ細ったりする症状が現れます。 肉痿は、単なる筋肉の衰えというよりも、体の根本的な生命力の低下を示すサインと言えるでしょう。ですから、肉痿を改善するには、「脾」の機能を高め、「気」の流れをスムーズにすることが重要になります。具体的には、食生活の改善や、適度な運動、ストレスを溜めない生活習慣などが大切です。東洋医学では、一人ひとりの体質や症状に合わせて、漢方薬や鍼灸治療などを用いながら、根本的な体質改善を目指していきます。
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痛みを伴わない血尿:尿血について

- 尿血とは 尿血とは、その名の通り、尿に血が混じっている状態を指します。医学的には血尿排泄とも呼ばれ、尿の中に赤血球が認められる状態です。尿の色が赤く変化するため、多くの人が驚きや不安を感じることでしょう。しかし、尿血だからといって必ずしも重い病気というわけではありません。その原因は実に様々で、比較的軽いものから注意が必要なものまで幅広く存在します。 東洋医学では、尿血は「血淋」という病証に含まれます。これは、膀胱や尿路系の熱や炎症、あるいは体の他の部分からの出血が尿に混じることで起こると考えられています。原因となる熱には、食生活の乱れによる湿熱や、過労やストレスによる陰虚火旺などが挙げられます。また、老化や病気などによって体の気虚が進み、統血作用が低下することで出血が起こりやすくなることもあります。 尿血が見られた際は、まずその色に着目することが大切です。鮮やかな赤い色の場合は、膀胱や尿道など下部尿路からの出血が考えられます。一方、色が暗く、濁っている場合は、腎臓や尿管など上部尿路からの出血の可能性があります。また、血の塊が混じっている場合には、注意が必要です。 尿血の原因は多岐にわたるため、自己判断は危険です。症状が気になる場合は、医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。自己判断で放置してしまうと、病状が悪化したり、思わぬ病気が隠れている可能性もあります。特に、発熱や腰痛、頻尿などの症状を伴う場合は、早急に医療機関を受診してください。
漢方の診察

東洋医学から見る尿濁:その原因と対策

- 尿濁とは何か 尿濁とは、その名の通り尿が濁って見える状態を指し、東洋医学では古くから重要な診察項目の一つとされてきました。特に、米のとぎ汁のように白く濁る場合を指すことが多く、東洋医学ではこの状態を重視します。 現代医学では、尿が濁る原因として真っ先に考えられるのは膀胱炎などの尿路感染症です。細菌が尿路に侵入し、炎症を引き起こすことで、膿が混ざり尿が白く濁ってしまいます。 一方、東洋医学では、尿は単なる老廃物ではなく、体の状態を反映する鏡と考えられています。そのため、尿が濁るということは、体に何らかの不調が生じているサインと捉えます。 東洋医学では、尿濁の原因として、主に以下の3つが考えられています。 1. -水分の代謝の乱れ- 体内の水分をうまく処理できず、不要な水分が尿に混ざってしまう状態。 2. -冷え- 体が冷えることで、水分の代謝機能が低下し、尿が濁りやすくなる。特に、下半身の冷えは尿濁と関連が深いと考えられている。 3. -気の流れの滞り- ストレスや不規則な生活習慣などにより、体内の「気」の流れが滞ることで、水分の代謝にも影響を及ぼし、尿濁を引き起こすと考えられている。 このように東洋医学では、尿濁は体の水分の代謝、冷え、気の流れなど、様々な要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。
漢方の診察

東洋医学から見る尿濁:その原因と対策

- 尿濁とは 尿濁とは、その名の通り尿が濁って見える状態を指します。健康な状態では、尿は薄い黄色で透明です。これは、体内で不要となった老廃物が腎臓で濾過され、尿として排出されるからです。しかし、何らかの原因で尿に通常とは異なる成分が混ざったり、排泄のバランスが崩れたりすると、尿の色が変化したり濁ったりします。 東洋医学では、このような尿の変化を「尿濁」と呼び、古くから身体からの重要なサインと捉えてきました。西洋医学のように尿検査で成分を分析するのではなく、東洋医学では、尿の色や濁り具合、そして、発熱や倦怠感、排尿時の痛みなど、他の症状と合わせて身体の状態を総合的に判断します。 例えば、尿が白く濁っている場合は、体内の水分代謝がうまくいっていない、冷え、または老廃物が溜まっているなどの可能性が考えられます。赤みを帯びて濁っている場合は、体内に熱がこもっていたり、炎症が起こっていたりする可能性を示唆しています。さらに、東洋医学では、尿濁の原因を特定するだけでなく、その人の体質や生活習慣なども考慮して、根本的な改善を目指します。 尿濁は、身体の不調を知らせる大切なサインです。日頃から自分の尿の色や状態に注意し、変化があれば、医療機関に相談するようにしましょう。
漢方薬

東洋医学における丹薬:その歴史と用途

- 丹薬とは -# 丹薬とは 丹薬は、東洋医学、とりわけ中国で古くから伝わる伝統医学において、特別な位置を占める医薬品です。一般的な漢方薬とは一線を画し、鉱物などを主な原料としています。その製造過程は非常に特殊で、単なる煎じ薬とは全く異なる精製方法がとられます。 まず、厳選された鉱物を、粉砕などの方法を用いて、極限まで細かくします。その後、昇華と呼ばれる高度な技術を用いるなど、複雑な工程を経て丹薬は作られます。昇華とは、固体を直接気体に変え、再び固体に戻す操作を指し、この過程を経ることで、不純物が取り除かれ、より純粋な成分へと生まれ変わります。こうして出来上がった丹薬は、非常に細かい粒子状となるのが特徴です。 このような独特かつ精緻な製造過程を経ることで、丹薬は通常の漢方薬とは異なる性質を持つと考えられています。漢方薬が主に草根木皮などの植物由来の成分を煎じ出すことで、比較的穏やかな効き目を目指すのに対し、丹薬は鉱物由来の強い力を持つ成分を、長い年月をかけてゆっくりと体内に浸透させることで、根本的な体質改善や難病治療を目指すとされています。 しかし、その強い薬効ゆえに、丹薬は専門家の指導のもと、慎重に用いられるべきものであると言えるでしょう。
漢方薬

東洋医学と妊娠:知っておきたいこと

- 東洋医学における妊娠禁忌 東洋医学では、妊娠は病気ではありませんが、母体の体質や体調が大きく変化する時期と捉えられています。そのため、妊娠中の女性の健康と胎児の成長を守るためには、慎重な配慮が必要です。特に、一部の生薬や施術は、妊娠中に使用すると、流産や早産、胎児の発育に悪影響を与える可能性があり、注意が必要です。これらの生薬や施術は「妊娠禁忌」と呼ばれ、西洋医学とは異なる視点から、母体と胎児の安全を守るための重要な知恵と言えるでしょう。 妊娠禁忌に指定されている生薬には、例えば、活血作用や子宮収縮作用の強いものなどがあります。これらの作用は、通常の状態であれば、血行促進や生理痛の緩和などに役立ちますが、妊娠中は、胎盤からの出血や子宮の収縮を促し、流産や早産を引き起こす可能性があります。また、鍼灸治療においても、特定のツボは、子宮の収縮を促したり、ホルモンバランスに影響を与えたりすることから、妊娠禁忌のツボとして、注意深く避けられています。 東洋医学では、妊娠中の体の変化を考慮し、母体と胎児の両方に安全な治療法を選択することが重要です。妊娠を希望する方、または妊娠中の方は、自己判断で生薬や鍼灸治療を行うことは避け、必ず専門の医師または鍼灸師に相談するようにしましょう。
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東洋医学における「濁邪」:その理解と影響

- 濁邪とは 東洋医学では、健康を保つためには、体の中で生命エネルギーともいえる「気」がスムーズに循環していることが重要だと考えられています。この「気」の流れを悪くしてしまう要因の一つに、「邪」と呼ばれるものがあります。邪には、風、寒さ、暑さ、湿気、乾燥など様々な種類がありますが、その中でも「濁邪」は、体内で湿や水の代謝が滞ることによって生じる邪気を指します。 分かりやすく例えるならば、じめじめとした梅雨時に感じる重さやだるさ、あるいは、脂っこい食事を摂り過ぎた後の胃もたれや消化不良などをイメージすると良いでしょう。 濁邪は、体に余分な水分や老廃物を溜め込み、気の流れを塞いでしまいます。その結果、様々な不調が現れてきます。例えば、頭が重だるい、体が重い、食欲不振、むくみ、下痢、軟便、関節痛、めまい、吐き気などです。さらに、濁邪が長期間にわたって体内に蓄積されると、肥満、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常などの生活習慣病に繋がるとも考えられています。 濁邪を予防・改善するためには、食生活の見直しや適度な運動が大切です。具体的には、水分代謝を促す食材(例とうもろこし、ハトムギ、小豆、冬瓜など)を積極的に摂ること、脂っこい食事を控えること、軽い運動やストレッチを習慣化することが挙げられます。また、湿度の高い環境を避ける、十分な睡眠をとるなども有効な対策です。
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温熱パワーで健康促進!大蒜灸のススメ

- 大蒜灸とは? 大蒜灸とは、東洋医学の考え方に基づいた、身体を温めることで健康を促進する温熱療法である灸療法の一種です。一般的な灸療法では、ヨモギの葉を乾燥させた艾(もぐさ)を皮膚の上で燃焼させることで温熱刺激を与えます。一方、大蒜灸では、生のニンニクのスライスの上にもぐさを置いて燃焼させる点が、他の灸療法とは大きく異なります。 ニンニクは、古くから滋養強壮や疲労回復などの効果があるとされ、広く食されてきました。大蒜灸では、このニンニクの持つ薬効成分と、灸の温熱効果の相乗効果によって、身体を芯から温め、様々な症状の改善を促すと考えられています。具体的には、ニンニクに含まれるアリシンという成分が、血行促進や殺菌作用を発揮し、灸の温熱効果と相まって、冷え性や肩こり、腰痛、胃腸の不調などの改善が期待できます。 さらに、大蒜灸は、免疫力の向上やリラックス効果も期待できます。灸の温熱刺激は、自律神経に働きかけ、心身のリラックスをもたらします。また、身体を温めることで免疫細胞が活性化し、病気に対する抵抗力が高まると考えられています。このように、大蒜灸は、自然の力を使った、身体に優しい温熱療法として、近年注目を集めています。
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東洋医学における肉輪の理解

- 肉輪とは 肉輪とは、東洋医学において眼瞼を指す言葉で、現代医学でいう「まぶた」と同じ部位を指します。西洋医学では、まぶたは目を保護するための器官という認識が一般的ですが、東洋医学では、肉輪は単なる体の部位としてではなく、内臓の状態が表に現れる重要な鏡と考えられています。 東洋医学では、「五臓六腑」という考え方に基づき、人間の身体は様々な臓腑が互いに影響し合いながら、全体としてひとつの有機的なシステムを形成していると捉えます。そして、肉輪は、特に「脾」との関係が深いと考えられています。「脾」は、消化吸収を担う臓器であり、食べ物から「気」や「血」を生み出し、全身に巡らせる役割を担っています。 肉輪を観察することで、「脾」の働きや、ひいては全身の健康状態を推し量ることができます。例えば、肉輪が赤く充血している場合は、「脾」に熱がこもっている状態を、肉輪が青白い場合は、「脾」の機能が低下し、「気」や「血」が不足している状態を示唆していると考えます。 このように、東洋医学では、肉輪は単なるまぶたではなく、内臓の健康状態を反映する重要なサインとして捉えられています。肉輪の状態を日頃から注意深く観察することで、自身の健康状態を把握し、未病のうちに適切な養生を行うことが大切です。
鍼灸

体の司令塔:任脈の役割

- 任脈の位置と流れ 任脈は、東洋医学において重要な役割を担う奇経八脈の一つです。体の前面中央を流れる経絡で、その流れは生命エネルギーである「気」の通り道となります。まるで体のど真ん中を流れる大河のようなイメージで、体全体の気のバランスを整える上で重要な役割を担っています。 任脈の始まりは、下腹部の「丹田」と呼ばれる場所です。丹田は生命エネルギーの根源とされ、東洋医学では重要な場所として位置づけられています。任脈はこの丹田に起こり、体の前面中央を通りながら、会陰から始まり、お腹、胸、喉、顔、そして頭頂部へと上昇していきます。 具体的には、会陰部から始まり、お腹を通る際には、おへその下3~4センチにある「気海」、おへその中心にある「神闕」、みぞおちの「膻中」といった重要な経穴(ツボ)を通ります。これらの経穴は、それぞれ消化器系、呼吸器系、精神活動などと深く関わっており、任脈の流れが滞ると、これらの機能に影響が出ると考えられています。 その後、任脈は胸部を通り、喉仏の下にある「天突」、喉の中央にある「廉泉」といった経穴を通りながら、顔、頭頂部へと至ります。このように、任脈は体の前面中央を流れる経絡であり、生命エネルギーである「気」の通り道として、体全体のバランスを整える上で重要な役割を担っているのです。
女性の悩み

母乳育児を支える:乳汁不通とその対処法

- 乳汁不通とは -# 乳汁不通とは 乳汁不通とは、出産後、母乳が十分に作られず、赤ちゃんに十分な量を飲ませることができない状態を指します。 これは、産後のお母さんにとって、大きな不安やストレスの原因となることがあります。 母乳は赤ちゃんにとって最良の栄養源であり、免疫力を高め、健やかに成長するためにとても大切です。 母乳には、赤ちゃんの発育に必要な栄養素がバランスよく含まれているだけでなく、免疫物質も豊富に含まれており、赤ちゃんを様々な病気から守る役割も果たします。 そのため、乳汁不通は、母乳育児を望むお母さんにとって、深刻な問題となりえます。 母乳が出ないことで、赤ちゃんに十分な栄養を与えられないのではないかと不安に感じたり、母乳育児をあきらめなければいけないのではないかと、大きなストレスを感じるお母さんも少なくありません。
女性の悩み

妊娠中の排尿トラブル:妊娠小便淋痛とは?

- 妊娠小便淋痛とは 妊娠小便淋痛とは、妊娠中に urination に伴う不快感や痛みが現れることを指す、東洋医学で使われる言葉です。西洋医学では「妊娠中の尿路感染症」や「膀胱炎」といった病気に当てはまります。 妊娠すると、お腹の中で赤ちゃんが成長し、子宮が大きくなります。この大きくなった子宮が膀胱を圧迫するため、尿が溜まりにくくなり、頻繁に urination を urge する、いわゆる頻尿の症状が現れやすくなります。また、膀胱が圧迫されることで、尿を出し切ることが難しくなり、残尿感に悩まされる妊婦さんも少なくありません。 さらに、妊娠中はホルモンバランスが大きく変化するため、身体の抵抗力が落ちる傾向にあります。特に、尿道周りの抵抗力も低下し、細菌感染を起こしやすくなるため注意が必要です。細菌感染が起きると、尿道に炎症が起こり、排尿時に痛みや burning sensation を覚えることがあります。 妊娠小便淋痛は、多くの妊婦さんが経験する症状ではありますが、放置すると症状が悪化したり、早産のリスクが高まる可能性もあるため、注意が必要です。少しでも気になる症状があれば、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。
女性の悩み

妊娠中の咳にご用心:妊娠咳嗽について

- 妊娠咳嗽とは? 妊娠咳嗽とは、その名の通り妊娠中に続く咳のことを指します。妊娠期間中に起こる咳であることから、妊娠性咳嗽とも呼ばれます。 妊娠すると女性の体は赤ちゃんを育むために大きな変化を迎えます。この変化はホルモンバランスや免疫システム、そして体の構造にまで及びます。 まず、ホルモンバランスの変化によって、気管支が過敏になり、咳が出やすくなることがあります。また、妊娠中は免疫力が低下しやすいため、風邪などの感染症にかかりやすく、その結果として咳が長引くこともあります。 さらに、大きくなる子宮が横隔膜を押し上げることも咳の原因となります。横隔膜は呼吸に重要な役割を果たす筋肉ですが、子宮に圧迫されることで十分に機能しなくなり、呼吸が浅くなってしまうのです。その結果、わずかな刺激でも咳が出やすくなってしまいます。 妊娠中の咳は、妊婦さん自身にとって不快なだけでなく、お腹の赤ちゃんにも影響を与える可能性があります。例えば、激しい咳は腹圧を高め、早産や切迫流産のリスクを高めるとされています。 このように、妊娠咳嗽は妊婦さんの健康状態や赤ちゃんの発育に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
女性の悩み

妊娠中のめまい~妊娠眩暈って?~

- 妊娠眩暈とは -# 妊娠眩暈とは 妊娠眩暈とは、妊娠中に起こるめまいのことを指します。これは多くの妊婦さんが経験する症状の一つであり、特に妊娠初期に多く見られます。めまいと言っても、その感じ方は人それぞれで、「グルグルと目が回るような感覚」や「体がフワフワと浮くような感覚」など、様々な種類があります。 妊娠眩暈の場合、多くは体がフワフワと浮くような、いわゆる「浮動性のめまい」を伴うのが特徴です。 また、場合によっては、一時的に意識が遠のく、いわゆる「立ちくらみ」のような症状が出ることもあります。妊娠眩暈は、一般的に「妊娠性めまい」と呼ばれることもあります。妊娠初期に多く見られる症状ですが、妊娠中期や妊娠後期に起こることもあります。
女性の悩み

妊娠中の心の変化:妊娠心煩を理解する

- 妊娠心煩とは 妊娠心煩とは、妊娠中に起こる精神的な不安定さを表す言葉です。まるで心の奥底で炎が燃え盛っているかのように、感情が激しく揺り動かされることから、このように呼ばれています。 妊娠期間中は、体内で女性ホルモンのバランスが大きく変化します。この変化は、赤ちゃんを育むために必要なものですが、同時に心の状態にも大きな影響を与えます。急激なホルモンの変化に体がついていけず、感情の波に乗りこなせなくなる妊婦さんも少なくありません。 具体的には、些細なことでイライラしやすくなったり、急に涙が溢れてきたり、気分が落ち込んで何もやる気が起きなかったりするなど、様々な症状が現れます。また、不安や焦燥感に駆られる、眠れない、食欲がないといった症状が出ることもあります。 妊娠心煩は、決して恥ずべきものではありません。多くの妊婦さんが経験する、ごく自然な反応なのです。しかし、症状が重い場合は、周囲に相談したり、専門家のサポートが必要となることもあります。一人で抱え込まず、周りの人に気持ちを打ち明けたり、専門機関に相談することで、心穏やかに妊娠生活を送れるようにしましょう。
女性の悩み

妊娠後期のむくみ:妊娠腫脹とは?

- 妊娠腫脹の概要 妊娠腫脹とは、妊娠後期、特に妊娠28週以降に、顔や手、足などにむくみが見られる状態をいいます。東洋医学では、この腫脹は、妊娠によって女性の体が大きく変化することと深く関係していると考えられています。 妊娠すると、お腹の中で新しい命を育むために、お母さんの体には様々な変化が起こります。特に血液量が増加する事は、赤ちゃんに栄養や酸素を十分に届けるために非常に重要です。しかし、同時に体内の水分バランスが変化しやすくなり、水分代謝が滞りやすくなる傾向があります。 東洋医学では、「気・血・水」という言葉で体の構成要素を表します。これらは互いに影響し合いながら、生命活動の維持に重要な役割を担っています。妊娠中の体の変化は、「気・血・水」のバランスを崩しやすく、その結果として水分代謝がうまくいかなくなり、むくみが生じると考えられています。 また、東洋医学では、冷えも水分代謝を滞らせる原因の一つとして捉えています。妊娠中は、ホルモンバランスの変化や自律神経の乱れによって冷えを感じやすくなるため注意が必要です。 妊娠腫脹は、多くの妊婦さんに共通して見られる症状ですが、急激な体重増加や、尿量が極端に減るなどの症状を伴う場合は、妊娠高血圧症候群などの可能性も考えられます。少しでも気になる症状がある場合は、自己判断せず、速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。
女性の悩み

妊娠中の痛み: 妊娠腹痛を東洋医学で理解する

- 妊娠腹痛とは 妊娠腹痛とは、文字通り妊娠中に起こる下腹部痛のことを指します。妊娠という特別な時期に起こる痛みであるため、妊婦さんにとっては不安も大きいものです。西洋医学では、妊娠週数や痛みの種類によって原因を探り、切迫流産や早産の可能性などを考慮して対処していきます。一方、東洋医学ではこの痛みは決して特別なものではなく、母体と赤ちゃんの両方が健康な状態へと向かうための自然な反応として捉えます。 東洋医学では、妊娠中の体の変化として「気血」の流れが大きく変化すると考えられています。「気」は生命エネルギー、「血」は血液とその働きを表し、これらが滞りなく全身を巡ることで健康が保たれています。妊娠すると、赤ちゃんに栄養を送るために多くの「気血」が使われるようになり、その結果、母体の「気血」は不足しがちになります。 この「気血」の不足や流れの滞りが、妊娠腹痛として現れることがあります。例えば、「気」の不足は、お腹を温める力が弱まり、冷えや痛みを引き起こすと考えます。また、「血」の不足は、子宮やお腹周りの筋肉に栄養が行き渡らなくなり、痛みや張りなどの不快な症状が現れると考えられています。 東洋医学では、妊娠腹痛の原因を特定するだけでなく、体質や痛みの性質、生活習慣などを総合的に判断し、その人に合った治療法を選択します。鍼灸治療や漢方薬の処方などを通して「気血」のバランスを整え、母体と赤ちゃんの両方が健康な状態へと導きます。妊娠中のあらゆる不調は、身体からの大切なサインです。自己判断せず、専門家の意見を仰ぎながら、安心してマタニティライフを送れるようにしましょう。
女性の悩み

妊娠悪阻:つわりの苦しみを和らげるには

- 妊娠悪阻とは 妊娠悪阻は、妊娠初期に見られる、吐き気や嘔吐を主な症状とする状態です。一般的に「つわり」と呼ばれる状態とほぼ同じですが、医学的には、吐き気や嘔吐がひどく、日常生活に支障をきたす場合に「妊娠悪阻」と診断されます。 妊娠悪阻の明確な原因は、まだ解明されていません。しかし、妊娠によるホルモンバランスの変化や、胎盤から分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンの増加などが影響していると考えられています。また、精神的なストレスや疲労、睡眠不足なども、症状を悪化させる要因となることがあります。 妊娠悪阻の症状は、吐き気や嘔吐が中心です。症状の程度は個人差が大きく、軽度の吐き気ですむ人もいれば、重症化し、水も飲めない、食事が全く摂れないといった状態になる人もいます。このような重症化した場合には、脱水症状や栄養状態の悪化を招き、母体や胎児の健康に影響を及ぼす可能性もあるため、入院治療が必要となることもあります。 妊娠悪阻の多くは、妊娠16週頃までには症状が落ち着くと言われています。しかし、中にはそれ以降も症状が続く場合もあります。症状が辛い場合には、無理をせず、かかりつけの医師に相談し、適切な治療やアドバイスを受けるようにしましょう。妊娠悪阻は決して恥ずべきものではありません。周囲の理解とサポートを得ながら、安心してマタニティライフを送れるようにすることが大切です。
その他

気になる肌の突起、それは肉刺かも?

- 肉刺とは? 肉刺は、皮膚の一部分が盛り上がってできる、突起状の良性腫瘍です。医学用語では「軟性線維腫」と呼ばれ、見た目が似ていることから、いぼと混同されることもありますが、原因や性質は全く異なるものです。 肉刺は、肌色から少し黒っぽい色まで、色や形は様々ですが、共通しているのは皮膚から飛び出したような形をしている点です。大きさは数ミリのものから数センチのものまであり、一つだけできる場合もあれば、複数できる場合もあります。 多くの場合、痛みやかゆみなどの自覚症状がないため、健康に害はありません。しかし、顔や首など、目立つ場所にできた場合には、見た目の問題から気になる方も少なくありません。また、衣服やアクセサリーなどに触れて、引っ掻いたり、炎症を起こしたりする可能性もあります。
その他

身近な腫瘍:肉瘤を理解する

- 肉瘤とは何か -# 肉瘤とは何か 肉瘤は、皮膚の下にできる腫瘍の一種ですが、がんのように悪性ではなく、命に関わることはほとんどありません。 この腫瘍は、脂肪細胞と呼ばれる細胞が集まってできるため、一般的には柔らかく、弾力があります。指で押すと簡単に動かすことができるのも特徴です。 肉瘤はゆっくりと大きくなることが多く、痛みを感じることはほとんどありません。そのため、肉瘤に気づかずに放置してしまう人も少なくありません。肉瘤は体のどこにでもできる可能性がありますが、特に脂肪細胞が多い場所にできやすい傾向があります。例えば、首や肩、背中、腕、太ももなどは肉瘤がよく見られる部位です。 肉瘤は基本的に良性なので、必ずしも治療する必要はありません。しかし、見た目が気になる場合や、衣服との摩擦で痛みを感じる場合は、手術で取り除くことができます。手術は比較的簡単に行えることが多く、安全性も高いとされています。ただし、自己判断で放置せずに、気になる症状がある場合は、医師に相談することをお勧めします。