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漢方の診察

慢性痛との向き合い方:東洋医学からの視点

- 持続痛とは何か? 持続痛とは、その名の通り、痛みが長く続く状態を指します。私たちは日常生活で、怪我や病気の後に一時的に痛みを感じることがありますが、これは体が回復しようとする自然な反応です。しかし、痛みが3ヶ月以上も続く場合、それは持続痛と呼ばれる状態となります。 持続痛は、最初のきっかけとなった怪我や病気が治った後も、痛みの信号が脳に送られ続けることで起こると考えられています。このような痛みの信号は、身体的な要因だけでなく、精神的なストレスや不安、生活習慣の乱れなどによっても増強されることがあります。 持続痛は、身体的な苦痛だけでなく、精神面や日常生活にも大きな影響を及ぼします。痛みが続くと、不安や抑うつ、睡眠障害などの精神的な問題を引き起こしやすくなります。また、仕事や家事、趣味などの活動が制限され、社会的な活動に参加することが難しくなることもあります。 持続痛を効果的に管理するためには、痛み止め薬の使用だけでなく、運動療法やリハビリテーション、認知行動療法などの多角的な治療が必要です。また、家族や友人のサポート、医師や専門家との連携も重要です。持続痛は一人で抱え込まず、周囲の協力を得ながら、痛みを和らげ、より良い生活を送ることを目指しましょう。
漢方の診察

東洋医学における悶痛:その特徴と意味

- 悶痛とは 悶痛とは、単なる痛みとは異なり、重苦しい圧迫感を伴う痛みのことを指します。例えば、鈍痛が「鈍器で殴られたような痛み」と表現されるのに対し、悶痛は「石が詰まっているような」、「締め付けられるような」といった表現がされます。 東洋医学では、この独特な痛みの性質を重要な診断の指標として捉えています。東洋医学では、体内のエネルギーの流れである「気」が全身を巡り、その人の心身の活動を支えていると考えます。この「気」の流れが滞ってしまうと、様々な不調が現れると考えられており、悶痛もその一つです。 悶痛は、「気」の滞りによって引き起こされるだけでなく、特定の臓腑、例えば肝臓や胃腸などの機能不調を反映しているとも考えられています。肝臓は東洋医学では「疏泄(そせつ)」という、気の巡りをスムーズにする働きを担うと考えられており、肝臓の機能が低下すると、気の流れが滞り、悶痛が生じやすくなると考えられています。また、胃腸は飲食物を消化吸収する臓器ですが、東洋医学では心の状態にも影響を受けやすいと考えられています。そのため、ストレスや不安などによって胃腸の働きが低下すると、これもまた悶痛として現れることがあります。 このように、東洋医学では悶痛の原因を「気」の滞りや臓腑の機能不調と捉え、その原因を探ることで、一人ひとりに合った治療法を見つけていきます。
漢方の診察

東洋医学における「漏汗」とは?

- 「漏汗」の意味 「漏汗」とは、東洋医学において、健常な状態では汗が出ないような状況下でも、まるで水が漏れるように、끊임없이だらだらと汗が流れ出てしまう状態を指す言葉です。 激しい運動の後や夏の暑い日中のように、気温の高い場所にいた時など、一時的に汗が多く出る場合は「漏汗」とは診断されません。激しい運動などで体温が上昇した場合や、気温が高い環境にいる場合は、体温調節のために発汗が見られるのは自然なことです。このような一時的な発汗は、原因がはっきりしており、時間が経てば自然と汗は止まります。 一方、「漏汗」は、安静時や就寝時など、通常であれば発汗が見られない状況においても、持続的に汗が出続ける状態を指します。まるで、水道の蛇口がしっかりと閉まっていないかのように、常に汗がじわじわと流れ出てしまうのです。 このような「漏汗」の状態は、東洋医学では身体のバランスが崩れているサイン、特に「気」の虚弱を示唆していると考えられています。「気」は生命エネルギーのようなもので、身体の様々な機能を正常に保つために重要な役割を担っています。この「気」が不足すると、体温調節機能や体液代謝が乱れ、必要以上に汗が出てしまうと考えられています。
鍼灸

温かなる癒し:艾巻灸の世界

- 艾巻灸とは 艾巻灸とは、ヨモギの葉を乾燥させて作った艾を棒状に巻いた「艾巻」を用いる灸療法の一つです。皮膚の上の特定の経穴(ツボ)に火をつけた艾巻を近づけることで温熱刺激を与え、体の冷えを取り除き、気血の流れを改善します。 お灸に使われる艾は、ヨモギの葉の裏側にある繊毛を集めて作られます。この艾には、体を温める効果の高い成分が豊富に含まれており、燃焼時に発生する温熱と相まって、体の芯から温める効果が期待できます。 艾巻灸では、艾巻を直接皮膚に接触させずに、皮膚から数センチほど離れた位置で火をつけた艾巻を近づけたり遠ざけたりすることで、心地よい温かさを伝えます。皮膚に直接触れないため、火傷のリスクが低いという特徴があります。また、艾巻の燃焼時間や距離を調整することで、刺激量を調整することができます。 艾巻灸は、冷え性や肩こり、腰痛、生理痛、消化不良など、様々な症状の改善に用いられます。さらに、免疫力の向上やリラックス効果も期待できます。
鍼灸

温活の強い味方!艾巻のススメ

- 艾巻ってどんなもの? 艾巻とは、灸治療に用いる道具の一つです。 蓬の葉を乾燥させて細かくした艾絨を、紙で巻いて円筒状にしたものです。 お灸というと、お灸台の上に置いた艾炷に火をつけて温める方法をイメージする方も多いかもしれません。しかし、この艾巻を用いたお灸も、広く行われています。 艾巻を使ったお灸は、火を使うお灸と比べていくつかの利点があります。 まず、火を使うことに対する不安が少ないという点が挙げられます。 艾巻は、火を使うお灸に比べて穏やかに温めるため、熱さを感じにくいという特徴があります。 また、艾巻は火を使うお灸よりも広範囲を温めることができます。 そのため、冷えが気になる部分や、広い範囲を温めて血行を促進したい場合などに適しています。 さらに、艾巻は火を使うお灸に比べて煙が少ないという利点もあります。 煙や匂いが気になる方でも、比較的使いやすいお灸と言えるでしょう。 艾巻は、ドラッグストアなどでも手軽に購入することができます。 専門家の指導のもと、適切な使い方をするようにしましょう。
鍼灸

灸治療に欠かせない!艾絨ってどんなもの?

- 灸治療とは? 灸治療は、東洋医学に基づいた治療法の一つです。身体に備わる自然治癒力を高めることを目的としており、その歴史は古代中国まで遡ります。数千年の時を経て、現代でも多くの人々に受け継がれている伝統的な治療法と言えるでしょう。 灸治療では、よもぎの葉から作られた「艾(もぐさ)」と呼ばれるものを燃焼させ、ツボと呼ばれる身体の特定の部位に熱刺激を与えます。ツボは、気と呼ばれる生命エネルギーの通り道と考えられており、灸の熱刺激によって気の巡りが整えられ、様々な不調が改善するとされています。 灸治療は、WHO(世界保健機関)もその有効性を認めている治療法です。肩こりや腰痛、冷え性といった日常的な不調から、内臓の働きを整えたり、免疫力を高めたりと、幅広い効果が期待できます。副作用も少なく、身体に優しい治療法としても知られています。
生薬

東洋医学と艾:その深い関係を探る

- 艾とは何か 艾(ガイ)とは、私たちにも馴染み深いキク科の植物であるヨモギを乾燥させたものを指します。ヨモギは道端や野原など至る所で目にすることができますが、その中でも特に、灸治療、つまりお灸に用いられる艾は、灸治において欠かせない重要な役割を担っています。 艾の歴史は非常に深く、中国では紀元前から使用されていたという記録が残っており、東洋医学において古くから人々の健康に寄り添ってきました。灸治療では、この乾燥させた艾に火をつけ、ツボに近づけることで温熱刺激を与え、体の冷えを取り除いたり、気の流れを整えたりすることで、様々な不調の改善を目指します。 艾は単なる植物ではなく、長い歴史の中で受け継がれてきた、東洋医学の知恵が詰まった重要な存在と言えるでしょう。
漢方の診察

東洋医学における問診:患者の声に耳を傾ける

- 問診とは何か -# 問診とは何か 東洋医学では、患者さんを診るときに「四診」と呼ばれる独自の診察方法を用います。その中の一つである「問診」は、患者さんから直接お話を伺うことで、病気の診断に役立つ情報を得ることを目的としています。西洋医学の問診にも共通する部分もありますが、東洋医学の問診は、患者の訴え以外にも、生活習慣や体質、過去の病歴など、多岐にわたる情報を収集します。 これは、東洋医学が心と体、そして周囲の環境との調和を重視し、病気を個々の患者さん全体を理解した上で治療しようとするからです。例えば、食欲はどうか、睡眠は十分に取れているか、汗のかき方はどうか、寒がりか暑がりか、といった一見病気とは関係ないようなことまで丁寧に尋ねます。 これらの情報は、患者さん一人ひとりの体質や病気の状態、そしてその背景にある原因を把握するために非常に重要です。東洋医学では、同じ症状であっても、体質や原因によって治療法が異なってきます。そのため、患者さんから詳しくお話を伺い、必要な情報を集めることが、適切な診断と治療を行う上で欠かせないプロセスとなるのです。
その他

涙が止まらない?:漏睛膿出について

- 漏睛膿出とは? -# 漏睛膿出とは? 「漏睛膿出」は、東洋医学の言葉で、涙が過剰に分泌されてしまう状態を指します。西洋医学では、「涙嚢炎」などの病名で呼ばれることもあります。 涙は本来、目の表面を潤し、ゴミや埃を洗い流す役割を担っています。目の表面は常に涙で覆われることで、乾燥から守られ、視界をクリアに保つことができるのです。また、涙には細菌やウイルスなどの病原体から目を守る働きもあります。 しかし、「漏睛膿出」の状態では、この涙の分泌が過剰になり、常に涙が溢れ出てしまうため、日常生活に支障をきたすことがあります。視界がぼやけたり、涙が常に流れ続けることで皮膚が荒れてしまったりすることもあります。 東洋医学では、この「漏睛膿出」は、体の冷えや、疲れ、ストレス、不規則な生活習慣などが原因で、体内の水分代謝がうまくいかなくなることで引き起こされると考えられています。 「漏睛膿出」を改善するためには、体を温める、十分な休息をとる、ストレスを解消する、生活習慣を見直すなど、根本的な原因にアプローチしていくことが大切です。
その他

東洋医学が考える涙目の原因「漏睛」

- 東洋医学における涙目の捉え方 東洋医学では、身体は、単なる物質的な集合体ではなく、目には見えない「気」や「血」といった生命エネルギーが循環し、心と身体が密接に関係し合っていると捉えます。 そのため、身体に現れる症状は、表面的な現象として捉えるのではなく、身体の内側の状態を反映した重要なサインと考えます。涙目も例外ではなく、目の病気というよりも、身体の内部、特に五臓六腑の働きと密接な関わりがあるとされます。 例えば、東洋医学では、怒りや frustration といった感情は肝の働きと関連付けられます。肝の働きが滞ると、気の流れが乱れ、その結果として涙目や目の充血といった症状が現れると考えられています。 また、悲しみや憂いは肺の働きに影響を与えるとされ、肺の機能が低下すると、体内の水分の代謝が滞り、涙目や鼻水が出やすくなると考えられています。 このように、東洋医学では、涙目を通して、身体全体のバランスの乱れを読み解こうとします。そして、その根本的な原因を探り、食事療法や鍼灸治療、漢方薬などを用いて、身体のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目指します。
鍼灸

鍼灸治療と催気の重要性

- 催気とは何か 鍼灸治療を受けたことがある方に、「どんな感じでしたか?」と尋ねると、「ツーンとした」「重い」「痺れるような」といった表現が返ってくることがあります。これは、鍼灸治療特有の感覚である「催気」と呼ばれるものです。催気は、鍼やお灸の刺激によって、身体の中に起こる反応であり、鍼灸治療の効果を高める上で重要な役割を果たすと考えられています。 催気の感じ方は人それぞれで、同じ人でも、体調やその日の状態、また鍼やお灸をする部位によって異なってきます。軽度の場合は、鍼を刺した部分にズンと響くような感覚や、温かい、重いといった感覚を覚えます。強い場合は、電気が走るような痺れを感じたり、鍼を刺した部位から離れた場所にまで響くような感覚を覚えることもあります。 東洋医学では、この催気が起こることで、身体のエネルギーである「気」の流れが整えられ、自然治癒力が高まると考えられています。そのため、鍼灸師は、患者さんの状態を丁寧に観察しながら、適切な刺激を与え、効果的に催気を誘発することを目指します。 催気は、鍼灸治療の効果と密接に関係していると考えられていますが、そのメカニズムはまだ完全には解明されていません。しかし、近年では、催気が神経系や免疫系に影響を与えることで、痛みを和らげたり、自律神経のバランスを整えたりする効果があるという研究結果も報告されています。
漢方の診察

東洋医学:舌で健康を読む「望舌」

- 望舌とは? 望舌とは、東洋医学の診察法の一つで、舌の状態を観察することを指します。 舌は「内臓の鏡」と例えられることもあり、体の内部の状態を映し出すと考えられています。 具体的には、舌の色、形、表面に付着する苔の状態などを総合的に判断することで、患者の体質や病気の状態を把握します。 例えば、健康な人の舌は、淡い紅色で適度な潤いがあります。一方、体が冷えている人の舌は、色が薄く、苔が白っぽくなる傾向があります。また、体に熱がこもっている人の舌は、色が濃くなり、苔が黄色っぽくなることがあります。 このように、舌の状態を観察することで、体内のバランスの乱れや病気の兆候を早期に発見することが可能となります。西洋医学における血液検査のように、身体内部の状態を知るための重要な手段として、東洋医学では古くから用いられてきました。
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小児の指紋で健康状態がわかる?望診法をご紹介

- 東洋医学における望診とは? 東洋医学では、患者さんの状態を把握するために五感を研ぎ澄ませて観察することを非常に重視しています。その中でも、視覚を用いた観察を「望診」と呼びます。単に視力に頼るのではなく、全身をくまなく観察し、患者さんの訴える症状と照らし合わせながら、体質や病気の兆候を見極めていきます。 望診では、顔色、舌の状態、体の形、皮膚の状態など、様々な部位を観察します。例えば、顔色が青白い場合は冷えや貧血、赤い場合は炎症や熱が体内にこもっている可能性が考えられます。舌は、内臓の状態を反映していると考えられており、舌の色や形、苔の状態などを観察することで、胃腸の働きや体内の水分バランスなどを推測します。 また、顔の特定の部位や、身体の特定の部位に症状が現れることにも意味があると考えられています。例えば、東洋医学では、顔は五臓六腑と密接に関係していると考えられており、顔の特定の部位にできるシミやニキビなどは、対応する臓腑の不調を表している可能性があります。 このように、望診は、長年の経験で培われた東洋医学の知識と、鋭い観察眼が求められる、奥の深い診断方法と言えるでしょう。西洋医学的な検査とは異なり、患者さんの身体に直接触れることなく、視覚情報のみから多くの情報を得ることができる点が特徴です。そして、その情報をもとに、患者さん一人ひとりに合わせた最適な治療法を見つけていきます。
漢方の診察

東洋医学における顔色の見方

- 望色とは 東洋医学では、人の身体は自然の一部であり、その内側と外側は密接に繋がっていると考えられています。身体の内側で起こる変化は、必ず外側に何らかのサインとして現れると考えられており、それを注意深く観察することで、病気の兆候や健康状態を総合的に判断します。このような考え方を基に、様々な診断方法が生まれ、その中でも顔色から健康状態を読み解く「望色」は、重要な診断方法の一つとして古くから用いられてきました。 望色では、顔全体の色の変化だけでなく、唇や目の周りの色、顔の特定の部位の色つやなども細かく観察します。顔は身体の中でも特に多くの血管が集中しており、気血の巡りが顕著に現れる場所です。そのため、顔色はその人の内臓の状態や、気血のバランスを反映していると考えられています。 例えば、健康的な状態であれば、顔色は明るく、血色も良く、つやがあります。逆に、顔色が青白い場合は、冷えや貧血、血行不良などが疑われます。また、顔色が赤く炎症している場合は、身体のどこかに熱がこもっている可能性を示唆しています。さらに、顔の特定の部位の色が変化する場合もあります。例えば、唇が紫色になる場合は、心臓や肺の機能低下が考えられます。 望色は、経験に基づいた診断方法であり、長年の積み重ねによって培われた知識と技術が必要です。東洋医学の practitioner は、患者一人ひとりの顔色を注意深く観察し、他の診断方法と組み合わせることで、より正確な判断を下します。
漢方の診察

東洋医学における「望診」:目視から読み解く健康状態

- 「望診」とは何か 東洋医学では、患者さんの状態を総合的に把握するために「四診」と呼ばれる独自の診断法を用います。四診は、患者さんの訴えを聞く「問診」、体の一部に触れて診断する「切診」、音やにおいを診る「聞診」、そして視覚を通じて診断する「望診」から成り立っています。 その中でも「望診」は、患者さんの顔色、舌の状態、体格、姿勢、動作など、視覚を通して観察する診断法です。これは西洋医学における視診と共通する部分もありますが、単に視覚的な情報を捉えるだけでなく、体表面に現れるわずかな変化から、内臓の状態や病気の兆候を捉えようとする点が大きく異なります。 例えば、顔色は、その人全体の血行状態や内臓の働きを反映していると考えられています。健康な状態であれば、顔色は明るくつやがあります。反対に、顔色が青白い場合は冷えや貧血、赤みが強い場合は炎症や高血圧などが疑われます。 また、舌は内臓の状態を映す鏡とも言われ、舌の色や形、苔の状態などを観察することで、胃腸の働きや体内の水分バランスなどを推察します。 さらに、体格や姿勢、動作からも健康状態を読み解きます。例えば、猫背の人は消化機能が弱っている、動作が緩慢な人は体力や気力が不足しているなど、様々な情報を読み取ることができます。 このように、望診は患者さんの全体像を把握するために非常に重要な診断法であり、他の診断法と組み合わせて総合的に判断することで、より的確な診断と治療につなげることが可能となります。
内臓

東洋医学における「元神之府」:脳の神秘

- 特別な呼び名 東洋医学では、人の体は、ただの物質的な存在ではなく、精緻なエネルギーが巡り流れる、生き生きとしたネットワークだと考えられています。そして、体を作り上げている様々な器官には、それぞれ独自の役割と意味が込められていると考えられています。 脳もその例外ではありません。脳は、「元神之府(げんしんのふ)」という特別な呼び名で呼ばれています。これは、単に考えたり、感じたりする器官という意味を超えて、人間の精神活動の源、生命エネルギーの泉としての脳の大切さを表しています。 「元神」とは、人の精神活動の根源となるものであり、「府」は宮殿や蔵を意味します。つまり、「元神之府」とは、「人間の精神活動の源である大切なものが宿る場所」という意味になります。 東洋医学では、心と体は密接に繋がっているとされており、脳は心の働きにも大きな影響を与えていると考えられています。脳の働きが活発であれば、心も安定し、健康な状態を保つことができるとされています。逆に、脳の働きが弱まると、思考力や集中力が低下するだけでなく、精神不安や不眠などの症状が現れることもあります。
女性の悩み

女性のつらい症状「漏下」とは

- 漏下とは -# 漏下とは 「漏下(ろうげ)」とは、東洋医学において、少量の血液が長期間にわたって断続的に流れ出る症状を指す用語です。 これは、西洋医学では「子宮からの出血」や「生理周期以外に出血する」といった状態に該当し、生理のような規則的な出血とは異なる点が特徴です。 具体的には、生理のように一定期間で出血が止まるのではなく、少量の出血がダラダラと続く状態を指します。色は鮮紅色から暗褐色まで様々であり、水っぽい場合もあれば、粘り気を帯びている場合もあります。 東洋医学では、この漏下は体のバランスが崩れた状態として捉えられています。 主に、気・血・水のいずれか、あるいは複数の流れが滞ることによって発生すると考えられています。例えば、過労やストレス、冷えなどが原因で体の機能が低下し、血液の循環が悪くなることで漏下が起こるとされています。 また、漏下は、その症状や原因によってさらに細かく分類されます。 例えば、出血の色が明るく量が少ない場合は「虚証」、暗く量が多い場合は「実証」といったように、体の状態によって区別されます。 漏下は、その原因や症状によって適切な対処法が異なるため、自己判断で対処するのではなく、専門家の診察を受けることが大切です。
鍼灸

東洋医学における揉撚法:その効果と目的

- 揉撚法とは -# 揉撚法とは 揉撚法は、東洋医学の施術において欠かせない手技の一つです。施術者の手のひらや指、特に母指や手掌基底部を用いて、患者の体の表面を様々な方向から、一定のリズムと強さで揉んだり、ねじったり、押したり、引っ張ったりします。 この手技は、単に皮膚の表面を刺激するだけでなく、筋肉や皮下組織にまで働きかけ、体の深部へとアプローチしていきます。 特に、経穴(ツボ)と呼ばれる特定の部位を刺激することで、気血の流れを促進し、体のバランスを整え、自然治癒力を高める効果があるとされています。 揉撚法は、肩こりや腰痛、筋肉の疲労回復といった一般的な症状だけでなく、内臓の機能調整や自律神経のバランスを整える効果も期待できます。その効果は多岐に渡り、身体全体の調和を取り戻し、健康増進へと導く、東洋医学ならではの優れた施術法と言えるでしょう。
漢方の治療

東洋医学の揉法:その効果と特徴

- 揉法とは 揉法は、東洋医学の治療体系である推拿療法において、施術者が患者さんの身体に直接手を触れ、治療効果を促すための重要な手技の一つです。 -# 揉法の目的と効果 揉法は、患部に対して一定の圧力をかけながら、皮膚や筋肉組織を円を描くように、または上下左右に揉み動かすことを特徴とします。この動作によって、身体に様々な効果をもたらします。 まず、血行促進効果が期待できます。揉み込むことで血管が拡張し、血液循環がスムーズになります。血行が促進されると、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りやすくなるため、組織の修復や疲労回復を助けます。 次に、筋肉の緊張緩和効果があります。揉法によって筋肉の硬直が和らぎ、柔軟性を取り戻すことができます。これは、肩こりや腰痛などの改善に繋がります。 さらに、揉み込むことで神経を刺激し、痛みを軽減する効果も期待できます。慢性的な痛みを抱えている方にとっては、症状緩和の一助となるでしょう。 -# 揉法の種類 揉法には、手のひら全体を使う方法、親指を使う方法、指先を使う方法など、様々な種類があります。症状や患部に合わせて、適切な方法が選択されます。 揉法は、単独で行われることもありますが、他の手技と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
西洋医学との比較

意外と知らない?股腫の基礎知識

- 股腫とは? 股腫とは、太ももの付け根やふくらはぎといった、体の奥深くを通る静脈に血液の塊ができてしまう病気です。この血液の塊は血栓と呼ばれ、血管に炎症を引き起こします。 血栓は、血液の中に含まれる成分が、何らかの原因で固まってしまうことでできます。例えば、怪我や手術の後、長時間同じ姿勢での作業や移動、妊娠などが挙げられます。これらの状況下では、血液の流れが悪くなりやすく、血栓ができやすい状態になってしまうのです。 股腫は、命に関わるような重篤な病気を引き起こす可能性もあります。血栓が血管内で成長し、剥がれてしまうことがあります。そして、その剥がれた血栓が血流に乗って肺に到達してしまうと、肺の血管を詰まらせてしまう危険性があります。これは肺塞栓症と呼ばれる病気で、最悪の場合、死に至ることもあります。 股腫は早期発見・早期治療が非常に重要です。太ももの付け根やふくらはぎに、痛みや腫れ、熱感、皮膚の赤みなどの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。自己判断はせず、専門家の指示に従うようにしてください。
その他

東洋医学における「漏」:その意味と治療

- 「漏」とは何か 東洋医学では、人間の身体は自然の一部として捉えられ、その全体的な調和を何よりも大切にします。そして、病気は、この調和が崩れた状態だと考えられています。「漏」もまた、この調和が乱れた際に現れる症状の一つです。 では、「漏」とは一体どのような状態を指す言葉なのでしょうか? 簡単に言えば、「漏」とは、体内の膿瘍や中空器官から体表へ繋がる異常な経路ができてしまった状態のことを言います。 例えば、私達の身体の中には、血管や消化管など、様々な管が存在しています。これらの管は、栄養を運んだり、老廃物を排泄したりと、それぞれ重要な役割を担っています。しかし、「漏」の状態になると、これらの管とは別に、本来あってはならない異常な経路ができてしまうのです。 これは、まるで、本来あるべき場所に留まらず、水が溢れ出てしまう状態に似ています。水が溢れ出てしまうと、家の中が水浸しになってしまうように、「漏」の状態になると、体内の正常な機能が損なわれ、本来排出されるべきでないものが出てきてしまいます。 つまり、「漏」は、身体の調和が乱れ、正常な機能が損なわれている状態を示唆していると言えるでしょう。
その他

モンゴルに息づく伝統医療:蒙医学の世界

雄大なモンゴル高原。その広大な自然の中で、モンゴルの人々は古来より自然と深く関わりながら暮らしてきました。遊牧生活を送り、厳しい自然環境の中で生き抜くために、自然の恵みを最大限に活用する知恵を育んできたのです。その知恵は脈々と受け継がれ、モンゴル独自の伝統医療、「モンゴ・エムネ」として体系化されました。 モンゴ・エムネは、サンスクリット語で「内科医学」を意味する言葉に由来し、チベット医学の影響を強く受けています。薬草や鉱物、動物生薬などを用いた薬物療法を中心に、鍼灸、罨法(あんぽう)、食事療法など、様々な治療法を組み合わせることで、心身のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目的としています。 モンゴルの人々にとって、モンゴ・エムネは単なる医療の枠を超え、生活に深く根付いた哲学とも言えます。自然のリズムに合わせて生きることの大切さ、心身の調和の重要性を説くモンゴ・エムネは、現代社会においても、人々の健康を支える力強い味方であり続けています。