「し」

その他

東洋医学から見る臀癰:原因と治療法

- 臀癰とは何か 臀癰とは、お尻の溝、医学用語で言うと殿溝に膿が溜まる病気です。現代医学では肛門周囲膿瘍とも呼ばれ、細菌感染によって引き起こされます。 -# 臀癰の症状 初期には、肛門周辺の痛みや腫れ、発熱などがみられます。症状が進むと、激しい痛みで座っているのも辛くなったり、排便が困難になることもあります。さらに悪化すると、膿が皮膚を突き破って体外に排出されることもあります。 -# 東洋医学的な考え方 西洋医学では、臀癰は細菌感染による炎症と考えますが、東洋医学では、体の表面的な症状だけでなく、体全体のバランスの乱れが反映されたサインとして捉えます。 東洋医学では、過労、睡眠不足、偏った食事、冷え、ストレスなどの生活習慣の乱れが、体の免疫力や自然治癒力を低下させ、臀癰を引き起こすと考えます。 -# 臀癰の予防 臀癰を予防するためには、規則正しい生活、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、冷え対策、ストレスを溜めないなど、生活習慣を見直すことが大切です。
漢方の診察

指先に現れる蛇頭疔とは?

{蛇頭疔とは} 蛇頭疔は、その名の通り、まるで蛇が頭を持ち上げたかのように指先が赤く腫れ上がり、激しい痛みを伴う病気です。 これは、指先に細菌が入り込み、炎症を起こすことで発症します。 細菌感染によって、患部には膿が溜まります。 腫れの中央部分が特に膿が溜まりやすく、その結果、周囲が赤く腫れ上がった中に、膿を持った部分が盛り上がって見えるため、蛇の頭のように見えるのです。 蛇頭疔は、放置すると症状が悪化し、指の機能に影響を及ぼす可能性もあります。 重症化すると、全身に細菌が回ることもあり、大変危険です。 そのため、早期に適切な治療を受けることが大切です。 蛇頭疔は、その見た目から不安になる方も多いかもしれませんが、適切な治療を行えば、多くは完治する病気です。 少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
西洋医学との比較

褥瘡:寝たきりのリスクと予防

- 褥瘡とは 褥瘡は、同じ姿勢を長時間続けることで発生する皮膚の病気です。特に、寝たきりの方や車椅子を長時間利用される方など、身体の動きが制限されている方に多く見られます。 長時間、体重がかかり続けると、皮膚やその下の組織を走る血管が圧迫されます。すると、血液の流れが悪くなり、皮膚や組織に必要な栄養や酸素が行き渡らなくなり、細胞が壊死してしまうのです。これが褥瘡の始まりです。 褥瘡は、骨が出っ張っている部分に出来やすいという特徴があります。例えば、かかと、仙骨(おしりの上の部分)、くるぶし、ひじなどは、褥瘡ができやすい場所として知られています。 褥瘡は、初期の段階では皮膚が赤くなる程度ですが、悪化すると皮膚がえぐれ、潰瘍になったり、そこから細菌感染を起こしたりすることがあります。重症化すると、手術が必要になる場合もあります。そのため、褥瘡は早期発見、早期治療が重要です。
漢方の診察

東洋医学から見る腫瘍:その原因と治療

- 腫瘍とは何か? -# 腫瘍とは何か? 東洋医学では、腫瘍は体内の自然な流れが滞ることによって発生すると考えられています。 目には見えない「気」や血液、体液といった生命エネルギーは、体内を絶えず巡り、各組織に栄養を届けると同時に、老廃物を運び去る役割を担っています。 この流れが滞ると、体の一部に不要なものが溜まり始めます。その結果、まるで川の流れが淀むと土砂が堆積していくように、体内の特定の場所に余分なものが蓄積し、腫瘍という形で現れると考えられています。 これは、西洋医学でいうところの、炎症や組織の破壊を伴わない「腫脹」という状態と共通点があります。西洋医学では、腫瘍は細胞の異常な増殖によって起こるとされていますが、東洋医学では、その根本原因として、生命エネルギーの循環不良を重視する点が大きく異なります。 つまり、腫瘍は体からのサインであり、体のバランスが崩れていることを示す警告と捉えられます。東洋医学では、腫瘍を単なる局所的な問題としてではなく、体全体の調和を乱す要因として捉え、その原因を探り、根本的な治療を目指すことが重要視されます。
その他

知っておきたい病気:小腸気について

- 小腸気の定義 -# 小腸気の定義 「小腸気」とは、本来あるべき位置に収まっているべき臓器の一部、特に小腸が、本来とは異なる場所へ飛び出してしまう状態を指します。 私たちのお腹の中には、胃や腸などの臓器が収まっています。これらの臓器は、筋肉や組織でできた壁で適切な位置に保たれています。しかし、様々な要因によってこの壁の一部が弱まったり、隙間ができてしまうことがあります。 小腸気は、このような壁の隙間から、小腸の一部が飛び出してしまう症状です。飛び出した小腸は、多くの場合、薄い膜のような組織に包まれた袋状の状態になります。 お腹の中で最も多く見られる症状ですが、場合によっては、お腹以外の部位でも発生することがあります。例えば、太ももの付け根の部分や、手術の傷跡などから小腸が飛び出すこともあります。 小腸気が疑われる場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。放置すると、飛び出した小腸が締め付けられて壊死してしまうなど、深刻な事態に陥る可能性もあります。
漢方の診察

腎痿:腰の痛みと下肢の弱り

- 腎痿とは -# 腎痿とは 東洋医学では、生命エネルギーである「気」が全身を巡り、心身ともに健康な状態を保っているとされています。この「気」は、五臓六腑と呼ばれる体の各部位と密接に関わっており、特に腎は「気」を蓄え、成長や生殖、老化に関わる重要な臓腑とされています。 腎に関連する「気」の中でも、「陽気」は体を温め、活動的にするエネルギー源です。この腎の陽気が不足した状態を「腎痿」と呼びます。腎痿になると、全身を温めたり、動かしたりする力が弱まり、様々な不調が現れます。 特に影響を受けやすいのが下半身です。腎は腰に位置するため、腰や膝などに冷えを感じたり、痛みを生じたりします。また、重だるさや疲労感も特徴的な症状です。さらに症状が進むと、立ち上がったり歩いたりすることが困難になる場合もあります。 西洋医学の考え方では、腎痿は特定の病気と一対一に対応するものではありません。しかし、その症状から、腰痛、坐骨神経痛、変形性膝関節症などの疾患と関連付けられることがあります。これらの症状を抱えている場合、東洋医学的な観点から腎痿の可能性も考慮し、身体を温める、腎の働きを助ける養生法を取り入れることが大切です。
漢方の治療

鎭肝熄風:肝の熱を抑え、心を穏やかに

- 東洋医学における肝 -# 東洋医学における肝 東洋医学では、肝臓は体の重要な器官の一つであると捉えられています。西洋医学では肝臓は主に消化器官として認識されていますが、東洋医学では肝臓は「疏泄(そせつ)」という重要な機能を担い、精神活動や感情にも深く関わっているとされています。 「疏泄」とは、東洋医学における生命エネルギーである「気」の流れをスムーズにする働きを指します。肝臓の働きによって気が全身に行き渡ることで、心身のバランスが保たれ、情緒が安定すると考えられています。 しかし、過労やストレス、不規則な生活習慣、冷えなどが原因で肝の機能が低下すると、「疏泄」が滞り、気の流れが阻害されてしまいます。この状態を東洋医学では「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼びます。 肝気鬱結になると、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、情緒不安定に陥りやすくなるなど、精神面に様々な不調が現れます。また、抑うつ状態、ため息、生理不順、めまい、耳鳴り、頭痛、肩こり、便秘といった症状が現れることもあります。 東洋医学では、肝の機能を高めるためには、気の流れを良くすることが重要だと考えられています。十分な休息や睡眠をとり、ストレスを解消することで、肝の負担を軽減し、「疏泄」の働きを促すことが大切です。また、バランスの取れた食事や適度な運動も、肝の機能維持に役立ちます。
漢方の治療

陰を養い風を鎮める:滋陰熄風のススメ

- 滋陰熄風とは -# 滋陰熄風とは 滋陰熄風は、東洋医学における治療法の一つで、体のバランスを整え、様々な不調を改善することを目指します。この治療法は、「陰」と「陽」という相反する二つの要素のバランスを重視する東洋医学の基本的な考え方に基づいています。 「陰」は、静かで落ち着いた状態、冷やす力、物質的な基礎などを表し、「陽」は、活動的で温かい状態、温める力、機能的な側面などを表します。健康な状態を保つためには、この陰と陽が互いに調和し、バランスを保っていることが重要です。 滋陰熄風では、体内の「陰」が不足し、「陽」が相対的に亢進している状態を改善することを目指します。この状態は、東洋医学では「陰虚陽亢(いんきょようこう)」と呼ばれ、めまい、耳鳴り、不眠、動悸、のぼせ、ほてり、便秘などの症状が現れると考えられています。 「滋陰」は、不足している「陰」を補うことを意味し、「熄風」は、亢進した「陽」の働きを鎮めることを意味します。具体的には、食事療法、漢方薬、鍼灸、マッサージ、気功など、様々な方法を用いて、陰陽のバランスを整え、症状の改善を図ります。 滋陰熄風は、西洋医学では治療が難しいとされる、更年期障害、自律神経失調症、慢性疲労症候群などの症状にも効果が期待できるとされ、近年注目を集めています。
漢方の治療

舒筋和絡:東洋医学における体の柔軟性と流れ

- 舒筋和絡とは -# 舒筋和絡とは 「舒筋和絡」とは、東洋医学、特に中医推拿療法において重要な治療法の一つです。その名前は、それぞれ「舒(ゆるめる)」「筋(筋肉)」「和(調和する)」「絡(経絡)」を意味し、緊張した筋肉を和らげ、経絡の流れをスムーズにすることを表しています。 人間の身体には、気や血と呼ばれる生命エネルギーが流れており、その流れ道が経絡と呼ばれています。経絡は全身に張り巡らされており、気や血を体の隅々まで運び、臓腑という内臓器官の働きを調節しています。 しかし、様々な原因によって筋肉が緊張したり、経絡の流れが滞ったりすることがあります。例えば、長時間同じ姿勢での作業、冷え、精神的なストレス、怪我などです。このような状態が続くと、肩こりや腰痛、頭痛、冷え性、便秘、生理痛など、様々な不調が現れると考えられています。 そこで、舒筋和絡という治療法を用いることで、緊張した筋肉を解きほぐし、経絡の流れをスムーズにすることで、気や血の流れを改善し、身体の不調を改善に導きます。 具体的には、マッサージや指圧、ストレッチなどを用いて、経絡やツボと呼ばれる特定の部位を刺激していきます。心地よい刺激を与えることで、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進し、自然治癒力を高める効果が期待できます。 舒筋和絡は、身体のバランスを整え、健康な状態へと導くことを目的とした、東洋医学ならではの治療法と言えるでしょう。
漢方の治療

舒筋活絡:東洋医学における体の柔軟性と健康

- 舒筋活絡とは -# 舒筋活絡とは 舒筋活絡は、中国伝統医学において重要な治療法の一つです。「舒」は「伸ばす」、「筋」は「筋肉」、「活」は「活発にする」、「絡」は「経絡」を意味し、文字通り解釈すると「筋肉を伸ばし経絡を活発にする」となります。これは、単に筋肉や関節を柔らかくするだけでなく、体のエネルギーの通り道である「経絡」の詰まりを解消し、気血の流れをスムーズにすることで、体の不調を改善することを目的としています。 東洋医学では、気血が滞りなく全身を巡ることが健康の基本と考えられています。しかし、長時間同じ姿勢での作業や運動不足、冷え、ストレスなどによって、筋肉が緊張したり、経絡の流れが滞ってしまうことがあります。その結果、肩こりや腰痛、冷え性、むくみ、自律神経の乱れといった様々な不調が現れると考えられています。 そこで舒筋活絡の出番です。マッサージや鍼灸、ストレッチ、気功など様々な方法を用いることで、硬くなった筋肉を柔らかくし、経絡の流れを促し、気血の循環を改善していきます。これにより、体の不調を改善するだけでなく、自然治癒力や免疫力を高める効果も期待できます。 舒筋活絡は、体の内側から健康を取り戻す、中国伝統医学ならではの holistic な治療法と言えるでしょう。
漢方の治療

女性の悩みを解決!:調経とは?

- 調経とは -# 調経とは 調経とは、東洋医学の考え方に基づいた治療法の一つで、月経に伴う様々な不調を改善することを目的としています。 月経は、女性の身体にとって自然な反応ですが、その一方で、周期の乱れや痛み、精神的な不安定など、様々な不調が現れることがあります。このような不調を総称して「月経トラブル」と呼ぶことがありますが、調経は、これらの月経トラブルに対して、身体の内側からバランスを整え、穏やかな状態へと導くことを目指します。 具体的には、月経周期の乱れ、月経痛、PMS(月経前症候群)などの症状に対して、漢方薬の服用、鍼灸治療、食事や生活習慣の指導など、様々なアプローチを組み合わせていきます。 東洋医学では、これらの月経トラブルは、身体の「気」「血」「水」のバランスが崩れることで起こると考えられており、調経によってこれらのバランスを整えることで、月経周期を整え、痛みや不快な症状を和らげ、心身の安定を目指します。 調経は、単に症状を抑える対症療法とは異なり、身体の根本的な原因にアプローチすることで、月経トラブルを改善し、女性がより健康で快適な生活を送れるようにサポートすることを目的としています。
漢方の治療

東洋医学における『下気』:逆流する気を整える

- 『下気』とは何か 東洋医学では、人間の身体には『気』と呼ばれる生命エネルギーが流れており、この『気』の流れがスムーズであることが健康を保つためにとても重要だと考えられています。 この『気』は、全身を循環していますが、その流れには様々な種類があり、その一つに『下気』と呼ばれるものがあります。 『下気』とは、肺や胃に存在する『気』が、重力に従って上から下へと下降していく自然な流れのことを指します。 呼吸をする際には、まず肺に空気を吸い込みますが、この時、肺にある『気』も同時に取り込まれます。そして、この『気』が下がる力によって、吸い込んだ空気を体全体に行き渡らせたり、食べたものを胃で消化しやすくしたりするのです。 つまり、『下気』は、私たちが生きていく上で欠かせない呼吸や消化吸収といった重要な体の機能を支えるために、無くてはならない働きをしていると言えるでしょう。
漢方薬

咳や痰に?消導剤の働きを解説

- 消導剤とは? 呼吸器系のトラブルを抱え、咳や痰に悩まされる時、漢方薬の世界では「消導剤」と呼ばれる種類の薬草を用いることがあります。 この消導剤は、その名の通り、体内に溜まった不要な水分や痰などの「導」き出すべきものを「消」化し、呼吸器系の働きをスムーズにすることを目的としています。 消導剤が効果を発揮するのは、主に粘り気の強い痰が絡む咳が出るときや、息苦しさを感じる時です。 これらの症状は、風邪や気管支炎、喘息など、様々な原因で引き起こされますが、いずれの場合も、呼吸器系に過剰な水分が溜まり、その結果として痰が発生している状態だと考えられます。 消導剤に含まれる生薬の働きによって、痰を薄くして排出しやすくする効果、炎症を抑えて咳を鎮める効果、気道の緊張を和らげて呼吸を楽にする効果などが期待できます。 具体的には、麻黄(マオウ)、杏仁(キョウニン)、桔梗(キキョウ)などが、それぞれの特性を生かして、呼吸器系の不調改善に貢献します。 ただし、消導剤はあくまでも対症療法であり、根本的な病気の治療を行うものではありません。 自己判断で安易に使用せず、必ず専門家の診断のもと、適切な処方を受けるようにしましょう。
漢方薬

咳や痰に効く漢方薬:消食剤とは?

- 消食剤とは何か -# 消食剤とは何か 消食剤とは、東洋医学において、体内に溜まった余分な水分や老廃物を指す「痰(たん)」を薄めて、体外へ排出する働きを助ける漢方薬の総称です。 咳や痰が絡む、喉に何か詰まった感じがする、といった呼吸器系の症状に効果を発揮します。 東洋医学では、「痰」は体の水分代謝が滞ることによって生じると考えられており、「水毒」の一種として位置付けられています。「水毒」は、体内の水分の循環が悪くなることで、様々な不調を引き起こすとされています。消化不良や冷え、むくみなども、この「水毒」が原因となることがあります。 消食剤は、体内の余分な水分や老廃物を排出する働きを高めることで、「水毒」を解消し、呼吸器系の症状改善を促します。 また、「水毒」が原因で起こる他の症状にも効果が期待できます。咳や痰、喉の不快感といった症状がある場合は、自己判断せずに、専門家の診断のもと、適切な漢方薬を使用するようにしましょう。
漢方の診察

食べ過ぎに潜む危険!食厥とは?

- 食厥とは何か 食厥とは、東洋医学において、一度に大量の食べ物を摂取したことが原因で、意識が朦朧としたり、筋肉が痙攣したりする病状を指します。現代医学の知識体系に照らし合わせてみると、食厥は急性胃拡張や低血糖症、脳貧血といった症状と関連付けられる場合もあります。 食厥は、食べ過ぎただけだろうと安易に考えられがちですが、症状が悪化すると命に関わる危険性も孕んでいるため、注意が必要です。例えば、大量の食事を胃に詰め込むことで、胃に過剰な負担がかかり、胃の拡張や痙攣を引き起こすことがあります。これが急性胃拡張です。また、急激な血糖値の上昇は、それを下げようと膵臓から大量のインスリンが分泌され、その結果、低血糖状態に陥ることがあります。さらに、食後には消化のために血液が胃腸に集中するため、脳への血液供給が不足し、脳貧血を引き起こす可能性もあります。 食厥は、単なる食べ過ぎではなく、体のバランスを崩し、生命維持機能に影響を与える可能性のある病態として、注意深く対処する必要があります。
漢方の診察

東洋医学における「下消」:多尿を理解する

- 「消渇」と「下消」 東洋医学では、現代医学で糖尿病と診断されるような、口の渇きや尿量の増加、体重減少などを伴う症状を「消渇(しょうかつ)」と呼びます。「消」は喉が渇いて多く水を飲むことを、「渇」は尿の量が多いことを意味し、この二つを合わせて「消渇」と称します。 消渇は、症状の出方によってさらに細かく分類されます。その中に、「下消(げしょう)」があります。下消は、主に胃腸の機能の衰えが原因となって起こると考えられています。食べ過ぎや飲み過ぎ、過労、ストレスなどによって胃腸が弱ると、食べたものをうまく消化吸収することができなくなります。すると、体に必要な栄養が不足し、その結果、喉が渇いたり、尿量が増えたりする症状が現くると考えられています。 下消の症状としては、消渇の一般的な症状である多飲、多尿に加えて、食べても体重が増えない、あるいは痩せていく、体がだるい、疲れやすい、手足の冷え、むくみなどが挙げられます。 東洋医学では、個々の体質や症状に合わせて、食事療法や生活習慣の改善指導、漢方薬の処方などを行います。下消の場合は、胃腸の機能を回復させることを中心に、治療を進めていきます。
漢方の診察

知っておきたい紫斑:原因と東洋医学的アプローチ

- 紫斑とは 紫斑とは、皮膚や粘膜に現れる、赤紫色の斑点のことを指します。これは、毛細血管などから血液成分が皮下に漏れ出てしまうことで起こります。その大きさは、小さな点状のものから、大きな斑状のものまで様々です。形も円形や楕円形など、様々なものがみられます。多くの場合、痛みやかゆみなどの自覚症状を伴いませんが、放置すると症状が悪化する可能性もあるため、注意が必要です。 紫斑は、見た目には一見するとあざのように見えることもあります。しかし、あざは一般的に、外部からの衝撃によって毛細血管が損傷し、皮下出血を起こすことで発生します。一方、紫斑は、外部からの衝撃とは関係なく、血液の病気や、血管の異常、アレルギー反応などが原因で発生することが特徴です。 紫斑は、原因や症状によっていくつかの種類に分けられます。例えば、血管の壁が弱くなることで紫斑が生じる場合や、血小板の数が減少することで出血が止まりにくくなることで紫斑が生じる場合などがあります。 紫斑が現れた場合には、自己判断せずに、医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。
漢方の治療

東洋医学における消痰軟堅:その役割と効果

- 消痰軟堅とは -# 消痰軟堅とは 「消痰軟堅」は、東洋医学における治療法の一つで、体の中に「痰濁(たんにごり)」と呼ばれる不要な水分や老廃物が溜まり、それが原因で硬いしこりや腫れが生じた状態を改善することを目指します。 東洋医学では、体内の水分代謝が滞ると、「痰濁」という病的な物質が生まれると考えられています。この「痰濁」は、まるでどろどろとした濁った水のように、体のあちこちに停滞し、気血の流れを阻害します。その結果、様々な不調が現れると考えられており、特に、「痰濁」が固まってしまった状態が「痰核(たんかく)」です。「痰核」は、皮下にできる硬いしこりとして触れることができ、粉瘤や脂肪腫などと間違われることもあります。 「消痰軟堅」は、この「痰濁」を取り除き、「痰核」を柔らかくすることを目的とした治療法です。具体的には、漢方薬を用いることが多く、体質や症状に合わせて、痰を取り除く薬、気を巡らせる薬、血の巡りを良くする薬などを組み合わせていきます。 「消痰軟堅」は、単独で使用されることは少なく、他の治療法と組み合わせて、包括的な治療計画の一部として用いられることが多いです。例えば、食生活の改善や運動療法なども併用することで、より効果的に「痰濁」の発生を抑え、「痰核」の改善を目指します。
漢方の治療

東洋医学における下気消痰

- 下気消痰とは -# 下気消痰とは 「下気消痰」は、東洋医学における治療法の一つで、その名の通り「気を降ろし、痰を消す」ことを目指します。 これは、体のエネルギーである「気」の流れが滞ることによって生じる痰の症状を改善することを目的としています。 東洋医学では、「気」は全身をくまなく巡り、生命活動の源と考えられています。 この「気」の流れが何らかの原因で滞ってしまうと、体に様々な不調が現れると考えられており、その一つが「痰」の発生です。 「痰」とは、単に呼吸器系のみに現れる症状ではなく、東洋医学では体内に停滞した「気」が形を変えたものと考えられています。そのため、呼吸器系以外にも、消化器系や循環器系など、様々な場所に症状が現れることがあります。 下気消痰では、「気を降ろす」効果のある生薬を「降気薬」、「痰を消す」効果のある生薬を「化痰薬」と呼びます。 下気消痰の治療では、これらの生薬を患者さんの体質や症状に合わせて適切に組み合わせることで、「気」の滞りを解消し、痰の症状を改善していきます。 下気消痰は、咳、痰、喘鳴、息切れ、のどの詰まり、めまい、食欲不振、吐き気など、様々な症状に用いられます。
血液

歯茎からの出血、その原因と東洋医学的アプローチ

- 歯茎からの出血、それは齒衄かも? 歯を磨いている時や食事中に、歯茎から血が出た経験はありませんか? 鏡を見てドキッとした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 もしかしたらそれは、東洋医学で「齒衄(しじゅく)」と呼ばれる症状かもしれません。 齒衄とは、打撲や怪我など、外傷が原因ではない歯茎からの出血を指します。 歯周病など、他の病気によって引き起こされる場合もありますが、東洋医学では、體内のバランスの乱れが原因の一つとして考えられています。 東洋医学では、體は「気」「血」「水」の3つの要素で成り立っているとされ、これらがバランスを保つことで健康が維持されていると考えられています。 このバランスが崩れると、様々な不調が現れると考えられており、齒衄もその一つです。 齒衄の場合、「熱」が體にこもっている状態が原因として考えられます。 心身のストレスや、睡眠不足、過労、食生活の乱れなどが続くと、體内に熱がこもりやすくなります。 熱がこもると、血の巡りが悪くなり、歯茎など末端の毛細血管から出血しやすくなると考えられています。 歯茎からの出血が続く場合は、一度、生活習慣を見直してみましょう。 十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動をすることで、體内の熱を冷まし、血の巡りを改善することができます。 また、ストレスを溜め込まないように、リラックスする時間を取り入れることも大切です。 もし、これらの対策をしても改善が見られない場合は、専門医に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
内臓

小腸實熱:原因と症状、東洋医学からの考察

- 小腸實熱とは 小腸實熱とは、東洋医学における病気の原因や状態を表す概念の一つで、過剰な熱が小腸にこもっている状態を指します。この熱は、主に心の熱が小腸に影響を与えることで生じると考えられています。 心の熱は、精神的なストレスや過労、興奮、過度な喜びなどによって発生します。現代社会では、仕事や人間関係のストレス、情報過多、夜更かしなどの生活習慣の乱れによって、心の熱が生じやすい状況にあると言えるでしょう。 心の熱は、体の調節機能を担う「気」の流れを乱し、小腸の正常な働きを阻害します。小腸は、食べ物を消化吸収するだけでなく、水分代謝にも深く関わっており、心の熱によってその機能が低下すると、様々な不調が現れます。 具体的には、口渇、便秘、尿の減少や色が濃くなる、下痢、腹痛、発熱などの症状が現れます。また、心の熱が原因であるため、イライラしやすくなる、不眠、動悸、顔色が赤くなるなどの症状を伴うこともあります。 小腸實熱は、放置するとさらに症状が悪化し、他の臓腑にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、心の熱を鎮め、小腸の機能を回復させることが重要です。
体質

心身のバランスを崩す「心肝火旺」とは

- 心肝火旺とは何か -# 心肝火旺とは何か 東洋医学では、人間の身体は自然の一部であり、自然界と同様に「木・火・土・金・水」の五つの要素(五行)のバランスの上に成り立っていると考えられています。この考え方は、心身の健康を維持するためには、体内のエネルギーの流れである「気」のバランスを整え、五臓六腑の働きを調和させることが重要であるというものです。 「心肝火旺」とは、この五行のバランスが崩れ、五臓の「心」と「肝」に「火」のエネルギーが過剰に溜まっている状態を指します。東洋医学では、「火」は生命活動の源となるエネルギーですが、必要以上に高まりすぎると、熱くなりすぎたり、燃え尽きてしまったりするように、心身に様々な不調をもたらすと考えられています。 この「火」のエネルギーは、過労やストレス、睡眠不足、不規則な生活習慣、辛いものの摂り過ぎなどによって高まりやすく、現代社会においては多くの人が心肝火旺の状態に陥りやすいと言えるでしょう。 心肝火旺の状態になると、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、不安や焦燥感を抱えやすくなったりします。また、不眠や動悸、めまい、頭痛、顔面紅潮、口内炎、便秘などの症状が現れることもあります。
漢方の診察

東洋医学における「弱脈」:その意味と症状

- 脈診東洋医学の診断法 東洋医学において、-脈診は患者さんの状態を把握するために非常に重要-な診断法です。西洋医学では聴診器を用いて心臓の音を聞くことが一般的ですが、東洋医学では、手首の橈骨動脈に触れて脈の状態を診ることで、全身の状態を総合的に判断します。 脈診では、単に脈拍数を測るだけでなく、脈の強さ、速さ、リズム、深さ、滑らかさなど、様々な要素を細かく観察します。これらの要素は、東洋医学における「気」「血」「水」といった概念と結び付けられ、患者さんの体質や病気の状態、内臓の働きなどを推察する手がかりとなります。 例えば、脈が速く力強い場合は「熱証」、遅く弱い場合は「寒証」といったように、体の状態を大きく二つに分類することができます。さらに、脈の部位によって対応する臓腑が異なると考えられており、左右両手首の合計6つの部位の脈を診ることで、全身の臓腑の状態を総合的に判断します。 脈診は、患者さんの訴えだけでは分からない体の奥深い部分の状態を把握できる奥の深い診断法であり、経験豊富な医師であれば、脈診だけで多くの情報を得ることができます。東洋医学では、脈診で得られた情報は、他の診察方法である「問診」「舌診」「腹診」などと合わせて総合的に判断され、患者さん一人ひとりに最適な治療法を選択する上で重要な役割を担います。
漢方の診察

東洋医学における澀脈:特徴と意義

- 澀脈とは 東洋医学では、身体の表面に現れる脈の状態を通じて、内臓の働きや病気の兆候など、全身の状態を診る「脈診」という診断方法があります。脈診は、患者さんの手首にある橈骨動脈を指で軽く押さえることで行われ、そのリズム、強さ、滑らかさなどを総合的に判断します。 澀脈(せきみゃく)は、この脈診において用いられる専門用語の一つで、脈の滑りが悪く、ザラザラとした抵抗感がある状態を指します。まるで、指で乾いた砂を触っているような感覚があり、スムーズに流れないことから、血流が滞っている状態を示唆しています。 澀脈が現れる原因は、主に「血虚」「気滞」「瘀血」の三つが考えられます。「血虚」とは、血液が不足している状態、「気滞」とは、体のエネルギーである「気」の流れが滞っている状態、「瘀血」とは、血液がドロドロになって流れにくくなっている状態を指します。 これらの原因は、ストレスや冷え、食生活の乱れ、過労、睡眠不足など、現代社会において多くの人が抱える問題と密接に関わっています。澀脈は、これらの問題によって身体のバランスが崩れていることを示すサインと言えるでしょう。 もし、ご自身の脈が澀脈に当てはまると思われる場合は、自己判断せずに、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。東洋医学に基づいた適切な治療を受けることで、身体の不調を改善し、健康な状態へと導くことができます。