「く」

その他

頸部に潜む脅威:頸癰とは?

- 頸癰の概要 頸癰は、首の側面に生じる、膿がたまる腫れ物で、放っておくと命に関わることもある病気です。 細菌が体の中に入り込み、増えることで炎症が起こり、腫れや痛みが現れます。 悪化すると、腫れが大きくなって呼吸や食事が困難になるだけでなく、菌が血液中に入り込んで全身に回ることで、高熱や意識障害といった重い症状を引き起こすこともあります。 頸癰は、主に細菌への感染によって引き起こされます。 免疫力が低下している方や、糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方は、頸癰を発症しやすく、重症化しやすい傾向にあるため注意が必要です。 また、風邪やインフルエンザなどがきっかけで発症することもあります。 頸癰の治療は、炎症を抑え、膿を取り除くことが重要です。 初期段階では、抗生物質の内服や点滴によって炎症を抑えます。 症状が重い場合や、抗生物質の効果が不十分な場合には、膿を切開して排出する手術を行うこともあります。 頸癰は、早期に発見して適切な治療を行えば、多くの場合、治癒する病気です。 首の痛みや腫れ、発熱などの症状が現れた場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
内臓

生命の危機?蔵厥と東洋医学

- 蔵厥とは何か 蔵厥とは、東洋医学において人の命に関わる重大な兆候の一つです。 東洋医学では、生命活動を維持するのに欠かせないエネルギーを「気」と考えます。 特に、内臓の働きを支える「陽気」が弱まると、意識がなくなったり体が冷えたりといった深刻な症状が現れると考えられており、この状態を蔵厥と呼びます。 蔵厥は、単なる意識障害ではなく、生命の根源である「陽気」が著しく損なわれた状態を指します。 これは、激しい病気やケガ、過労、冷えの積もりなどによって引き起こされると考えられています。 蔵厥の状態になると、顔色が蒼白になり、唇や爪の色も悪くなります。 手足は冷たくなり、脈拍は弱く、呼吸も浅くなります。 意識レベルも低下し、呼びかけに応じないこともあります。 東洋医学では、蔵厥は緊急事態と捉えられています。 迅速な治療が必要であり、その場に応じた適切な処置を行わなければ、生命の危険にさらされる可能性があります。
漢方薬

線香花火のように燃える? 東洋医学の藥線とは

線香花火と聞くと、夏の夜空に咲く、儚くも美しい火花を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。では「藥線」はご存じでしょうか? 実はこれ、その名の通り、線香花火に似た形をした漢方薬なのです。 藥線は、糸のように細く縒られた紙で作られています。その表面には薬の粉末が付着していたり、紙そのものに包み込まれていたりするのです。この細長い形状と、火をつけて用いることから、線香花火を連想するのも頷けますね。 薬効は様々で、症状に合わせて処方されます。例えば、患部に直接貼り付けて使うものや、火をつけて煙を吸い込むものなどがあります。線香花火のように火をつけるタイプの藥線は、火の扱いや煙の吸い込み方に注意が必要となります。必ず、専門家の指示に従って使用してください。 古くから伝わる藥線は、一見すると線香花火のような、素朴な見た目です。しかし、その見た目とは裏腹に、長い年月をかけて培われた知恵と技術が詰まった、奥深い漢方薬と言えるでしょう。
漢方の治療

熱を鎮める苦寒直折療法

- 苦寒直折とは -# 苦寒直折とは 「苦寒直折」とは、東洋医学の治療法の一つで、体の中にこもった熱を冷まし、炎症を抑える方法です。この治療法では、文字通り「苦」味と「寒」性の性質を持つ漢方薬を用いる点が特徴です。 東洋医学では、健康な状態を保つためには、体の中の「陰陽」のバランスがとれていることが重要だと考えられています。「陰」と「陽」は、それぞれ熱と冷、動と静のように、相反する性質を持っています。このバランスが崩れ、「陽」つまり「熱」が強くなりすぎると、体に様々な不調が現れると考えられており、高熱や喉の痛み、咳、便秘、皮膚の炎症などがその代表例です。このような状態を「熱邪」と呼びます。 「苦寒直折」は、まさにこの「熱邪」を直接的に取り除くことを目的とした治療法です。苦味と寒性の漢方薬は、体の熱を冷まし、炎症を抑える効果があるとされています。そのため、熱邪によって引き起こされた症状を改善するために用いられます。 「苦寒直折」は、熱による症状が激しい場合に特に有効とされています。ただし、体質や症状によっては、別の治療法が適している場合もあります。自己判断で漢方薬を使用することは大変危険ですので、必ず専門家の診断と指導のもとで治療を受けるようにしましょう。
漢方薬

古来より伝わる健康の知恵:薬酒

- 薬酒とは? 薬酒とは、その名の通り、薬効を持つ成分を配合したお酒のことを指します。古くから、健康維持や病気予防のために、生活の中に取り入れられてきました。 薬酒を作るには、主に二つの方法があります。一つは、生薬や漢方薬などの薬剤を、焼酎や日本酒、ブランデーといったお酒に漬け込む方法です。もう一つは、これらの薬剤を煮出した汁でお酒を作る方法です。いずれの方法でも、薬剤に含まれる有効成分がお酒に溶け出し、お酒を飲むと同時に、薬効を期待できるというわけです。 薬酒に使用される薬剤は多岐にわたり、その組み合わせは無限大です。そのため、滋養強壮や疲労回復、冷え性改善、食欲増進、不眠症改善など、様々な効能を持つ薬酒が存在します。 ただし、薬酒はあくまでも「お酒」であることを忘れてはなりません。飲み過ぎは健康を害する可能性もありますし、体質や体調によっては合わない場合もあります。薬酒を摂取する際には、用法・用量を守り、自分の体調と相談しながら、適量を楽しむようにしましょう。
漢方薬

漢方処方の基礎:偶方の世界

- 漢方処方とは 漢方薬というと、生薬という自然由来の素材を乾燥させて作られたものを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、漢方治療の真髄は、ただ生薬を単体で使うのではなく、複数の生薬を組み合わせた「漢方処方」にあります。 漢方処方は、まるでジグソーパズルのピースのように、それぞれの生薬が持つ特有の力を組み合わせることで、より大きな効果を発揮するように作られています。例えば、ある生薬は体の熱を冷ます力に優れていても、冷えすぎてしまうという側面も持ち合わせています。そこで、もう一つの生薬を組み合わせることで、冷えすぎを抑えながら、体の熱を適切な状態へと導くことができるのです。 このように、漢方処方は生薬同士が互いに影響し合い、その効果を高め合ったり、副作用を打ち消し合ったりすることで、穏やかで奥深い効き目を生み出します。 漢方処方は、患者さんの体質や症状に合わせて、まるでオーダーメイドのように選択・調整されます。そのため、同じような症状であっても、体質や病状の進行具合によって、処方が異なる場合もあるのです。漢方治療は、まさに一人ひとりの状態に寄り添った、きめ細やかな医療と言えるでしょう。
内臓

東洋医学における「蔵結」:その原因と症状

- 蔵結とは 東洋医学では、人間は自然の一部であり、その調和によって健康が保たれると考えられています。自然の摂理に反した生活や食事、過労、精神的なストレスなどは、身体の調和を乱し、「気・血・水」の循環を滞らせます。この滞りが病気の原因となると考えられており、東洋医学ではこれを「未病」と呼びます。 「蔵結」も、この「未病」の一つです。「蔵」は五臓六腑の「臓腑」を指し、「結」は「滞る」「詰まる」という意味です。つまり蔵結とは、主に冷えの原因となる「寒邪」が体内に侵入し、臓腑の働きが低下した状態を指します。 寒邪は、冬の寒さだけでなく、冷たい食べ物や飲み物の摂り過ぎ、冷房の効きすぎた部屋にいることなどによっても体内に侵入します。体内に侵入した寒邪は、特に消化器官である「脾胃」の機能を低下させます。脾胃は、飲食物から「気・血・水」を生み出す源であるため、その機能が低下すると、気・血・水の生成が滞り、身体全体に栄養が行き渡らなくなります。 その結果、腹痛、便秘、下痢、食欲不振、むくみ、冷え性などの症状が現れます。さらに悪化すると、生理不順や不妊症などの婦人科系の疾患、免疫力の低下などの原因にもなります。蔵結は、放置すると様々な病気の根本原因となりかねないため、早期に適切な養生法を行うことが大切です。
漢方の治療

東洋医学における熱邪と苦寒清気療法

- 心の熱とは -# 心の熱とは 東洋医学において、心は単なる血液を循環させる臓器ではなく、精神活動や意識、思考など、人間らしさを司る重要な役割を担うと考えられています。 喜びや悲しみ、怒りといった感情、考えたり判断したりする思考力、意識を保つなど、多岐にわたる働きを担っています。 この心の働きが何らかの原因で乱れると、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、落ち着きがなくなったりするなど、様々な精神的な不調が現れます。 また、不眠や動悸、めまい、顔のほてりといった身体的な症状が現れることもあります。 東洋医学では、このような心の乱れは体内にある「気」や「血」の流れが滞ったり、「熱」が過剰に生じたりすることで引き起こされると考えられています。 特に、過剰なストレスや精神的な緊張、不規則な生活、睡眠不足、過労などが続くと、心に「熱」がこもりやすくなると言われています。 この状態が「心の熱」と呼ばれ、放置するとさらに症状が悪化し、自律神経の乱れや精神的な病気を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
漢方薬

漢方処方の主役たち:君臣佐使

- 漢方薬の連携プレー 漢方薬は、自然界の恵みである植物、鉱物、動物などから得られた生薬を、まるでオーケストラのように巧みに組み合わせることで、その相乗効果を狙ったものです。それぞれの生薬が持つ力を最大限に引き出し、単独では得られない効果を生み出すところに、漢方薬の奥深さが存在します。 この絶妙な組み合わせの妙を理解する上で、非常に重要な考え方があります。それは、「君臣佐使(くんしんさし)」と呼ばれるものです。漢方薬の処方は、あたかも国の統治になぞらえ、病気の根本原因に直接働きかける主要な生薬を「君薬」と呼びます。そして、「君薬」の効き目を助けるのが「臣薬」、効果をさらに強めたり、副作用を抑えたりするのが「佐薬」、これらの生薬全体の働きを調和させ、適切な場所へ導くのが「使薬」です。 このように、漢方薬は複数の生薬がそれぞれの役割を担い、互いに連携し合うことで、最大限の効果を発揮するように作られています。この精巧なシステムこそが、長い歴史の中で培われてきた漢方薬の大きな魅力と言えるでしょう。
漢方の治療

東洋医学における熱を冷ます知恵:苦寒清熱

- 体の熱と東洋医学 東洋医学では、健康を保つためには体内のバランスが重要であると考えられています。このバランスは、自然界の相反する要素である「陰」と「陽」で表されます。 陰は冷たく静かな状態、陽は温かく活発な状態を意味し、健康な状態ではこの陰陽が調和しています。 しかし、このバランスが崩れ、陽である「熱」が過剰になると、体に様々な不調が現れると考えられています。 この状態は「内熱」と呼ばれ、体の中に過剰な熱がこもっている状態を指します。内熱は、喉の渇きや炎症、便秘、イライラ、肌荒れ、不眠など、様々な症状を引き起こすとされています。 東洋医学では、内熱の原因は、不適切な食生活、過労、ストレス、睡眠不足、激しい感情の揺り動きなど、様々な要因が考えられています。 これらの要因によって体のバランスが崩れ、熱が体内にこもってしまうのです。 そこで重要となるのが、この過剰な熱を取り除き、体のバランスを整える治療法です。東洋医学では、鍼灸治療や漢方薬、食事療法、生活習慣の改善など、様々な方法を用いて内熱の治療を行います。 これらの治療法は、体の自然治癒力を高め、体質を改善することで、根本から内熱を改善することを目的としています。
漢方薬

漢方における薬対: 相乗効果で治療を促進

- 薬対とは何か -# 薬対とは何か 薬対とは、漢方医学において、二つの生薬を組み合わせて用いることで、単体で使用するよりも治療効果を高めたり、副作用を軽減したりする伝統的な手法です。それぞれの生薬は、まるで個性豊かな人々が集まって一つの社会を築くように、それぞれが特有の性質を持っています。この生薬の個性を「薬性」と呼び、熱や寒、潤いを与える、乾燥させるといった性質に分類されます。 薬対では、これらの異なる薬性の生薬を組み合わせることで、単体で用いるよりも優れた効果を引き出すことを目指します。例えば、冷え症を改善するために身体を温める効果を持つ生薬単体で使用すると、場合によっては熱がこもってしまうことがあります。しかし、そこに熱を冷ます効果を持つ生薬を少量加えることで、身体を温めながらも熱がこもるのを防ぎ、より穏やかに効果を発揮させることができるのです。 このように、薬対は生薬同士の相互作用を利用することで、より効果的に、かつ安全に治療を行うための知恵と言えるでしょう。この考え方は、自然界のあらゆるものが相互に影響し合いながら調和を保っているという、東洋思想に基づいています。
漢方の治療

東洋医学における熱邪治療:苦寒泄火

- 苦寒泄火とは -# 苦寒泄火とは 「苦寒泄火」とは、東洋医学における治療の基本的な考え方の一つで、体の中に過剰に生じた熱(熱邪と呼ばれます)を、苦味と冷たい性質を持つ漢方薬(苦寒薬と呼ばれます)を用いて取り除く治療法です。 東洋医学では、健康を保つためには、体内の陰陽のバランスが整っていることが重要だと考えられています。この陰陽のバランスが崩れ、陽に偏った状態、つまり熱が過剰になった状態が「熱邪」です。熱邪は、まるで体の中に炎が燃え盛っているような状態だとイメージするとわかりやすいかもしれません。 熱邪は、発熱、炎症、痛み、喉の渇き、便秘、赤い顔色、イライラしやすくなる、などの様々な症状を引き起こします。これらの症状は、熱邪が体のどこに影響を与えているかによって異なります。 そこで、この熱邪を取り除き、再び陰陽のバランスを取り戻すために用いられるのが「苦寒泄火」というわけです。苦寒薬は、その名の通り苦味と冷たい性質を持つ生薬を組み合わせた漢方薬です。熱を冷まし、炎症を抑え、体の余分な熱を外に出すことで、熱邪によって引き起こされた様々な症状を改善へと導きます。 ただし、苦寒泄火はあくまで治療法の一つであり、全ての人に当てはまるわけではありません。体質や症状によっては、他の治療法が適している場合もあります。自己判断はせず、必ず専門家の診断を受けて適切な治療を受けるようにしましょう。
その他

東洋医学が考える狂病:心身の不調和とその治療

- 狂病とは何か -# 狂病とは何か 狂病とは、精神活動が異常に活発になり、興奮状態が続く病気です。現代医学では、統合失調症や躁病などの精神疾患に当てはまります。東洋医学では、このような状態を心身のバランスが大きく崩れた状態だと捉えます。 東洋医学では、人間の精神活動や感情、思考は「心」が、身体の機能は「体」が司ると考えられています。そして、心と体は密接に関係しており、どちらか一方に異常が生じると、もう一方にも影響が及ぶと考えられています。例えば、体に過度なストレスがかかると、心が不安定になり、イライラしやすくなったり、落ち込みやすくなったりすることがあります。反対に、心に大きな負担がかかると、食欲不振や不眠、頭痛などの体の症状が現れることもあります。 狂病の場合、過度の興奮や活動亢進、妄想や幻覚、支離滅裂な発言といった症状が見られます。これらの症状は、心身のバランスが崩れ、気が乱れている状態を示しています。 東洋医学では、狂病の原因を探る際に、患者さんの体質、生活習慣、環境などを詳しく調べます。そして、心身のバランスを整え、気を正常な状態に戻すことを治療の目的とします。具体的には、漢方薬の処方、鍼灸治療、食事療法、運動療法などを組み合わせ、患者さんの状態に合わせて治療を進めていきます。
漢方の診察

東洋医学が考える「暮食朝吐」

- 「暮食朝吐」とは? 「暮食朝吐(ぼしょくちょうと)」とは、読んで字のごとく、夜に食べたものを翌朝に吐いてしまう症状のことを指します。これは西洋医学でいう「胃食道逆流症」の症状の一つに当てはまります。 食べ物は、口から食道を通って胃へと送られます。食道と胃の間には、通常は食べ物が胃に送られる時だけ開き、それ以外は閉じている筋肉があります。しかし、この筋肉が弱まったり、何らかの原因でうまく機能しなくなると、胃に送られたはずの食べ物が逆流してしまうことがあります。 この時、胃の中の食べ物は胃酸を含んでいるため、逆流すると食道に炎症を引き起こし、胸やけや吐き気などの不快な症状が現れます。これが「胃食道逆流症」と呼ばれる病気です。 「暮食朝吐」は、夜間に横になった状態が続くことで、胃酸が逆流しやすくなるために起こりやすいと考えられます。特に、夕食をたくさん食べた後や、脂肪分の多い食事、アルコール、カフェインを摂取した後などは、症状が出やすくなる傾向があります。 「暮食朝吐」が続く場合は、胃食道逆流症の疑いがありますので、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
漢方の診察

東洋医学が考える口の粘り気とその改善策

- 口粘膩とは? -# 口粘膩とは? 口の中がネバネバする、なんだか乾いた感じがする、味が薄い、といった違和感を「口粘膩(こうねんい)」と呼びます。多くの人が日常的に経験するありふれた不快感ですが、東洋医学では、この口粘膩を体の内側の状態を映し出すサインの一つとして捉えています。 西洋医学では、口の渇きはドライマウス、ネバネバ感は唾液の粘度変化として捉えられますが、東洋医学では、体の水分代謝の乱れや、胃腸の機能低下などが口粘膩の主な原因と考えられています。 例えば、脂っこい食事や甘い物の食べ過ぎは、胃腸に負担をかけ、水分代謝を滞らせ、口粘膩を引き起こしやすくなると考えられています。また、過労やストレス、睡眠不足なども、体のバランスを崩し、口粘膩の症状を招くことがあります。 東洋医学では、口粘膩だけを単独で治療するのではなく、その原因を探り、体全体のバランスを整えることを重視します。具体的には、食生活の見直しや、生活習慣の改善、漢方薬の服用などを組み合わせて、根本的な改善を目指します。 口粘膩は、一時的な不快感として片付けてしまいがちですが、体のサインに耳を傾け、適切な対策を講じることが大切です。
漢方の診察

東洋医学が考える『口麻』の原因と治療

- 口麻とは何か 口麻とは、舌に痺れを感じたり、味覚を感じにくくなったりする症状のことです。食事の楽しみが減ってしまうだけでなく、日常生活にも様々な支障をきたすことがあります。 -# 口麻の原因とは? 西洋医学では、口麻の原因として神経障害やビタミン不足などが考えられています。一方で、東洋医学では異なる視点からこの症状を捉えます。 東洋医学では、体のバランスが崩れることで様々な症状が現れると考えられています。口麻の場合、主に「気・血・水(き・けつ・すい)」の巡りが悪くなっていると考えられています。 特に、「脾(ひ)」という臓腑の働きが低下することで、口の周りの感覚が鈍くなると考えられています。「脾」は、食べたものを消化吸収し、全身に栄養を運ぶ役割を担っています。「脾」の働きが弱ると、水分代謝が滞り「湿(しつ)」が生じます。この「湿」が、舌に痺れなどの症状を引き起こすと考えられています。 また、過度なストレスや不眠、疲労なども口麻の原因の一つと考えられています。これらの要因によって「気」の巡りが滞り、舌に影響を与えると考えられています。 -# 東洋医学的な口麻の改善方法 東洋医学では、食事療法や鍼灸治療、漢方薬などを通して、体のバランスを整え、口麻の改善を目指します。 食事療法では、消化吸収の良い温かいものを中心に食べ、「脾」の働きを助ける食材を積極的に摂ることが大切です。また、水分代謝を促す食材を取り入れることも効果的です。 鍼灸治療では、「脾」や「胃」に関連するツボに鍼やお灸を施すことで、「気・血・水」の巡りを改善し、口麻の症状を和らげます。 漢方薬は、体質や症状に合わせて、「気」の巡りを良くしたり、「湿」を取り除いたりする生薬を組み合わせて処方されます。 口麻は、日常生活に大きな影響を与える可能性のある症状です。東洋医学的な観点から原因を探り、適切な方法で改善を目指しましょう。
漢方の診察

東洋医学が考える「口鹹」の原因と対策

- 口鹹とは何か? 口鹹とは、実際に塩辛いものを口に含んでいないにもかかわらず、口の中に塩辛い味が広がっているように感じる状態を指します。まるで料理に塩を入れすぎた時のような、時には金属のようなえぐみを含んだ感覚を覚えることもあります。 この口鹹は、味覚に異常をきたし、食べ物や飲み物の本来の味が分からなくなることがあります。また、常に口の中に違和感があるため、会話や食事といった日常生活に支障をきたすことも少なくありません。 口鹹の原因はさまざまで、体の水分不足や精神的なストレス、年齢を重ねることによる体の機能の低下などが挙げられます。特に、東洋医学では、この口鹹は体の水分の流れやバランス、いわゆる「水毒」が深く関係していると考えられています。 東洋医学では、体内の水分はただ喉の渇きを潤すだけでなく、栄養を体中に運んだり、体温を調節したりするなど、重要な役割を担っているとされています。この水分の流れが滞ったり、バランスが崩れたりすると、体に様々な不調が現れると考えられており、口鹹もその一つです。
漢方の診察

東洋医学が解き明かす「口澁」の謎

- 口澁とは? 口澁とは、読んで字のごとく、口の中が乾いて渋みを感じる状態のことです。単に喉が渇いて水分が足りない状態とは異なり、唾液そのものの分泌量が減っている、あるいは唾液が粘ついているなど、質が変わってしまっているように感じられることも特徴です。 東洋医学では、この口澁は、体の中のバランスが崩れ、不調が生じているサインだと考えられています。原因としては、主に次の3つが挙げられます。 1. -水分代謝の乱れ- 体内の水分を適切に巡らせ、不要な水分を排泄する機能がうまく働いていない状態です。暴飲暴食や冷たいものの摂り過ぎ、過度なストレスなどが原因で起こりやすく、口澁の他にも、むくみや尿量の減少などがみられることがあります。 2. -胃腸の機能低下- 食べ物を消化吸収する胃腸の働きが弱っている状態です。暴飲暴食、脂っこい食事、冷えなどが原因で起こりやすく、口澁だけでなく、食欲不振や胃もたれ、軟便や下痢などの症状を伴うことがあります。 3. -体内の潤い不足- 東洋医学で「陰液」と呼ばれる、身体を潤すための体液が不足している状態です。過労や睡眠不足、ストレス、老化などが原因で起こりやすく、口澁の他に、肌の乾燥や髪の毛のパサつき、便秘などがみられることがあります。 このように、口澁は様々な原因で起こる可能性があります。一時的なものであれば、それほど心配する必要はありませんが、慢性的に続く場合は、根本的な原因を探り、体質改善を図っていくことが大切です。
漢方の診察

東洋医学から見る「口酸」とは?

「口酸」とは、口の中に酸味を感じる症状のことを指します。まるで梅干しやレモンを食べた後のように、唾液が酸っぱく感じられ、時には胃のあたりから酸っぱい液体が上がってくるような感覚を伴うこともあります。 口酸は、医学的には「酸味感異常」や「味覚過敏」と呼ばれることもあり、多くの人が経験するありふれた症状です。 口酸の原因は様々ですが、一般的には、胃腸の不調、ストレス、疲労、食生活の乱れ、睡眠不足などが挙げられます。 例えば、暴飲暴食や脂っこい食事、甘いものの食べ過ぎは胃に負担をかけ、胃酸の分泌を過剰にすることがあります。また、ストレスや疲労は自律神経のバランスを崩し、胃酸の分泌を調整する機能を低下させてしまうことがあります。 口酸が気になる場合は、生活習慣を見直し、バランスの取れた食事を心がけ、十分な休息をとるようにしましょう。また、ストレスを溜め込まないように、適度な運動やリラックスできる時間を作ることも大切です。 症状が改善しない場合は、医療機関を受診し、医師に相談することをおすすめします。
漢方の診察

東洋医学が解き明かす「口甜」の謎

- 口甜とは何か 口甜とは、飴などを口に入れていないにも関わらず、口の中にふんわりとした甘みを感じる状態を指します。まるで蜂蜜や砂糖を少しだけ含んだような、優しい甘みが口の中に広がる感覚です。 この感覚はあくまでも主観的なものであり、周囲の人にはわからないことがほとんどです。そのため、自覚症状はあるものの、周囲に理解されにくいという側面も持っています。 東洋医学では、この口甜は身体の不調、特に消化器系の不調を示すサインの一つだと考えられています。食べ過ぎや飲み過ぎ、脂っこい食事の習慣などによって、胃腸に負担がかかり、その結果として口甜が現れるとされています。 また、ストレスや不眠、疲労なども口甜を引き起こす要因として考えられています。心身のバランスが崩れることで、身体の様々な機能が乱れ、口甜という形で現れることがあるのです。 口甜は一時的なものであれば、それほど心配する必要はありません。しかし、慢性的に続く場合や、他の症状を伴う場合は、一度医療機関を受診し、専門家の診断を受けることが大切です。
漢方の診察

口の苦味:東洋医学からの視点

- 口の苦味とは 口の苦味とは、実際に苦いものを口にしたわけでもないのに、口の中に苦味を感じる状態を指します。多くの人が経験する一般的な症状ですが、その原因は実に様々です。そのため、一口に「口が苦い」と言っても、その裏には一時的なものから、深刻な病気のサインである場合まであります。 口の苦味を引き起こす原因として、まず考えられるのは、食べ物の影響です。例えば、苦味の強いコーヒーやチョコレート、香辛料などを摂取した後や、脂っこい食事の後などは、一時的に口の中に苦味が残ることがあります。また、睡眠不足やストレス、疲労なども、自律神経のバランスを崩し、口の苦味を引き起こすことがあります。 さらに、口の中が乾燥するドライマウスや、歯周病などの口腔内のトラブル、胃腸の不調、服用している薬の副作用なども、口の苦味を引き起こす可能性があります。 口の苦味が続く場合や、心配な症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
漢方の診察

東洋医学が考える「口淡」の原因と対策

口淡とは、東洋医学において、味覚が薄れてしまう状態を指す言葉です。まるで霧がかかったように、何を食べても味がぼやけて感じられ、本来の美味しさを味わうことができません。 この状態は、一時的なものから慢性的なものまで様々ですが、単なる味覚の問題にとどまらず、体の不調のサインである可能性も示唆されています。 口淡は、食欲不振を引き起こし、食事量が減ることで、体に必要な栄養が不足してしまう恐れがあります。また、食事が楽しめないことから、精神的なストレスを感じやすくなり、気分の落ち込みや意欲の低下に繋がってしまうこともあります。 東洋医学では、口淡は、体の水分代謝の乱れや、胃腸の機能低下、気の流れの滞りなどが原因だと考えられています。 そのため、口淡を改善するためには、生活習慣の見直しや、体質に合った食事療法、漢方薬の服用などが有効とされています。自己判断で対処するのではなく、専門家の指導を受けるようにしましょう。
漢方の診察

東洋医学が紐解く「口の中の不思議な味」

- 口の中の違和感、実は病気のサインかも? 私たちは毎日、食事を通して様々な味を楽しんでいます。甘いもの、辛いもの、酸っぱいものなど、その味は実に様々です。しかし、何も口に入れていないのに、特定の味が常に感じられる、まるで口の中に何かが残っているような感覚を経験したことはありますか? 東洋医学では、このような「何も食べていないのに感じる味」のことを「口 味(こうみ)」と呼び、体の不調を知らせるサインだと考えています。これは、まるで体が私たちに何かを伝えようとしているかのようです。 例えば、常に甘い味がする場合は、胃腸の働きが弱っている可能性があります。また、苦みを感じる場合は、体に熱がこもっていたり、ストレスを抱えていることが考えられます。さらに、酸っぱい味がする場合は、肝臓の機能が低下している可能性も。このように、口の中に現れる不思議な味には、それぞれ意味があるのです。 口 味を感じたら、まずは自分の体と向き合い、生活習慣を見直してみましょう。そして、必要であれば専門家の診断を受けることも大切です。口の中のサインを見逃さず、健康的な毎日を送りましょう。
漢方の診察

東洋医学の見方:口乾とその対処法

- 口乾とは -# 口乾とは 口乾とは、東洋医学では、単に口の中が乾いている状態を指すのではなく、体の水分を調整する機能や、気や血の流れが乱れている状態が深く関係していると考えられています。 これは、体内の水分が不足している、あるいは、必要な場所に水分を運ぶ力が弱まっていることを示していると考えられています。 西洋医学では、口乾の原因として、シェーグレン症候群などの免疫の病気や、薬の副作用、年齢を重ねることなどが挙げられます。一方、東洋医学では、これらの原因に加えて、精神的な緊張や不安、不規則な生活習慣、偏った食事なども口乾の原因となり得ると考えています。 東洋医学では、口乾を改善するために、体の constitution (体質)を見極め、その人に合った漢方薬を選んだり、鍼灸治療を行ったりします。また、食事療法や生活習慣の改善も重要視されます。例えば、水分をこまめに摂ること、冷たい飲み物や刺激物を控えること、十分な睡眠をとること、ストレスを溜めないように工夫することなどが大切です。 口乾は、体の不調を知らせるサインの一つです。口乾が続く場合は、自己判断せずに、専門医に相談することをお勧めします。