西洋医学との比較

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褥瘡:寝たきりのリスクと予防

- 褥瘡とは 褥瘡は、同じ姿勢を長時間続けることで発生する皮膚の病気です。特に、寝たきりの方や車椅子を長時間利用される方など、身体の動きが制限されている方に多く見られます。 長時間、体重がかかり続けると、皮膚やその下の組織を走る血管が圧迫されます。すると、血液の流れが悪くなり、皮膚や組織に必要な栄養や酸素が行き渡らなくなり、細胞が壊死してしまうのです。これが褥瘡の始まりです。 褥瘡は、骨が出っ張っている部分に出来やすいという特徴があります。例えば、かかと、仙骨(おしりの上の部分)、くるぶし、ひじなどは、褥瘡ができやすい場所として知られています。 褥瘡は、初期の段階では皮膚が赤くなる程度ですが、悪化すると皮膚がえぐれ、潰瘍になったり、そこから細菌感染を起こしたりすることがあります。重症化すると、手術が必要になる場合もあります。そのため、褥瘡は早期発見、早期治療が重要です。
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東洋医学における消渇:糖尿病との関係

- 消渇とは -# 消渇とは 消渇とは、東洋医学で使われる病気の名前の一つで、現代医学の糖尿病と共通する部分が多いと考えられています。消渇の症状として特に有名なのは、喉が渇いて水をたくさん飲む「多飲」、いつも以上に食べ物を欲する「多食」、尿の量が増えてしまう「多尿」の三つが同時に現れることです。 東洋医学では、人の体は「気」「血」「津液」と呼ばれるものによって成り立っており、これらが体の中をスムーズに巡ることで健康が保たれると考えられています。消渇は、体の水分である「津液」が不足してしまうことで起こると考えられており、この「津液」の不足は、ただ単に水分を摂らないことだけが原因ではありません。 体のエネルギーである「気」の乱れや、血液の循環が悪くなる「瘀血(おけつ)」、精神的なストレスなども大きく関わってきます。 また、「陰陽」という、体の中で相反する働きをする二つの要素のバランスが崩れることも、消渇の原因の一つと考えられています。 消渇は、このように体の様々な機能が複雑に絡み合って起こる病気であり、その原因や症状は人によって大きく異なります。そのため、東洋医学では、一人ひとりの体質や状態に合わせて、食事や生活習慣の指導、漢方薬の処方などを行うことで、根本的な改善を目指します。
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臍ヘルニア:知っておきたいこと

- 臍ヘルニアとは -# 臍ヘルニアとは 臍ヘルニアは、お腹の一部が、へそにあるはずの穴から皮膚の下に飛び出してくる病気です。 通常、赤ちゃんがお腹の中にいる間は、へその部分に穴が開いており、そこから栄養や酸素を取り入れています。 そして、生まれた後には自然とこの穴は閉じますが、筋肉の結合が弱く、完全に閉じきらない場合があります。 すると、お腹にかかる圧力によって、この弱い部分から腸などの臓器が飛び出してしまい、それが皮膚の下で膨らみとして確認できるようになります。 特に、生まれたばかりの赤ちゃんに多く見られますが、大人になってから発症することもあります。 赤ちゃんの場合、多くの場合は成長とともに自然に治っていきますが、大人になってから発症した場合や、自然に治らない場合には、手術が必要となることもあります。 臍ヘルニアになると、へその部分が膨らんで見えるだけでなく、場合によっては痛みを伴うこともあります。 また、飛び出した部分が皮膚の下で締め付けられることで、吐き気や嘔吐、便秘などの症状が現れることもあります。 見た目だけの問題だけでなく、様々な症状を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
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意外と多い?臍ヘルニアの原因と対策

- 臍ヘルニアとは? 臍ヘルニアとは、お腹の一部が、本来あるべき場所から飛び出してくる病気であるヘルニアの一種です。この病気は、おへその部分が弱くなっているところに、お腹の中の圧力が加わることで起こります。 具体的には、おへそのすぐ下にある筋肉に隙間ができてしまい、そこから腸などの臓器が皮膚の下に飛び出してくる状態を指します。飛び出してくる臓器は、ほとんどの場合、小腸です。 臍ヘルニアは、多くの場合、赤ちゃんの頃にみられます。これは、赤ちゃんの時期は、おへそのすぐ下にある筋肉が未発達で、弱いためです。しかし、大人になってから発症することもあります。大人の場合は、妊娠や出産、肥満、重いものを持ち上げるなど、お腹に負担がかかることが原因となることがあります。 臍ヘルニアになると、おへそが膨らんで見えます。膨らみは、泣いたり、咳をしたり、いきんだりすると大きくなることがあります。また、触ると柔らかく、押すと元に戻ることが多いですが、中には痛みを伴う場合もあります。 多くの場合、臍ヘルニアは自然に治癒します。特に、幼児期に発症した臍ヘルニアは、成長とともに筋肉が発達し、おへその周りの筋肉の隙間が閉じていくため、自然に治ることがほとんどです。しかし、大人になってから発症した場合や、自然に治らない場合は、手術が必要となることがあります。
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東洋医学から見る「傷産」

- 傷産とは -# 傷産とは 妊娠中は、お腹の中で新しい命が育っていく、女性にとって特別な時間です。この時期は、お腹の赤ちゃんを守るために、いつも以上に注意を払って生活することが大切です。しかし、予期せぬアクシデントに見舞われてしまうこともあるでしょう。妊娠中に転倒したり、お腹を強く打ったりするなどの衝撃によって、予定日よりも早く陣痛が始まり、赤ちゃんが生まれてしまうことがあります。これを「傷産」と呼びます。 傷産は、「早産」の一種として扱われることもあります。ただし、早産の中でも特に、外部からの衝撃が原因で起こるものを「傷産」と呼ぶ点が、一般的な早産とは異なります。 傷産は、母親の身体だけでなく、心にも深い傷を残す可能性があります。長い間、お腹の中で大切に育ててきた赤ちゃんを、突然、予定よりも早く外界に送り出さなければならないことは、想像を絶する苦痛を伴うでしょう。身体的な負担に加えて、「赤ちゃんをきちんと守ってあげられなかった」という自責の念や不安、悲しみなど、精神的な苦痛も大きいと言われています。 傷産は、決して珍しいものではありません。妊娠中の事故は、誰にでも起こりうる可能性があります。そのため、妊娠中の女性自身だけでなく、周囲の人々も傷産について正しい知識を持ち、万が一の場合に備えておくことが重要です。
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東洋医学における狐惑病:その特徴と理解

- 狐惑病とは -# 狐惑病とは 狐惑病は、古くから中国伝統医学で扱われてきた病気の一つです。まるで狐に化かされたように、急激に不可解な症状が現れることから、この名前が付けられました。現代医学の知識体系では、ベーチェット病と共通する特徴を持っていると考えられています。 狐惑病の特徴は、熱が上がりやすく、突然意識がなくなったり、意味不明なことを口走ったり、幻覚を見たりするといった、精神的な錯乱状態を引き起こすことです。 また、手足の痺れや運動障害、言語障害などが現れることもあり、その症状は多岐に渡ります。 原因は、はっきりとは解明されていませんが、体内に溜まった「熱毒」が関係しているとされています。 熱毒とは、過労やストレス、睡眠不足、暴飲暴食などによって、体のバランスが崩れ、生じる有害物質だと考えられています。 狐惑病の治療は、この熱毒を取り除くことを目的とし、漢方薬の処方や鍼灸治療が行われます。精神的な興奮を抑え、体のバランスを整えることで、症状の改善を目指します。 現代医学では、狐惑病はベーチェット病と関連付けられることが多いです。 ベーチェット病は、口内炎や皮膚の炎症、眼の炎症などを引き起こす自己免疫疾患ですが、狐惑病と同様に、神経症状や精神症状が現れることもあります。 狐惑病は、古くから伝わる病気ですが、現代においても、その原因や治療法は完全には解明されていません。西洋医学と東洋医学の両面から、更なる研究が期待されています。
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東洋医学から見る狐惑:その特徴と対応

- 謎めいた疾患、狐惑とは 狐惑という言葉をご存知でしょうか? まるで狐につままれたように原因が分からず、様々な症状が現れることから、その名が付けられた疾患です。その歴史は古く、東洋医学では古くから認識され、文献にも登場します。 狐惑は、まるで狐に化かされたように、多岐にわたる症状に翻弄されることが特徴です。口内炎や喉の痛みといった口内トラブルに始まり、性器の炎症、目の充血、さらには、目の端に黒い影が現れるといった視覚症状まで、一見すると関連性がないように思える症状が、患者を苦しめます。 東洋医学では、このような複雑な症状が現れる背景には、身体のバランスを司る「気」「血」「水」の乱れがあると捉えます。 特に、「熱」の発生源となる「火」のエネルギーである「火毒」が深く関わっているとされ、「火毒」が体内にこもり、様々な場所に影響を及ぼすことで、狐惑の症状が現れると考えられています。 現代医学では、狐惑に完全に一致する病名は存在しませんが、その症状から、自己免疫疾患やウイルス感染症など、様々な病気が考えられます。 狐惑は、原因不明のまま、様々な症状に苦しむ、まさに「謎めいた疾患」といえるでしょう。
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意外と知らない?股腫の基礎知識

- 股腫とは? 股腫とは、太ももの付け根やふくらはぎといった、体の奥深くを通る静脈に血液の塊ができてしまう病気です。この血液の塊は血栓と呼ばれ、血管に炎症を引き起こします。 血栓は、血液の中に含まれる成分が、何らかの原因で固まってしまうことでできます。例えば、怪我や手術の後、長時間同じ姿勢での作業や移動、妊娠などが挙げられます。これらの状況下では、血液の流れが悪くなりやすく、血栓ができやすい状態になってしまうのです。 股腫は、命に関わるような重篤な病気を引き起こす可能性もあります。血栓が血管内で成長し、剥がれてしまうことがあります。そして、その剥がれた血栓が血流に乗って肺に到達してしまうと、肺の血管を詰まらせてしまう危険性があります。これは肺塞栓症と呼ばれる病気で、最悪の場合、死に至ることもあります。 股腫は早期発見・早期治療が非常に重要です。太ももの付け根やふくらはぎに、痛みや腫れ、熱感、皮膚の赤みなどの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。自己判断はせず、専門家の指示に従うようにしてください。
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知っておきたい膀胱失約:その原因と対策

- 膀胱失約とは? -# 膀胱失約とは? 膀胱失約とは、尿を蓄えておく膀胱の働きが衰え、尿漏れなどの症状が現れる状態を指します。本来、健康な状態であれば、膀胱に尿が溜まるとその感覚が脳に伝わり、私たちは尿意を覚えます。そして、適切なタイミングで脳から排尿の指示が膀胱に送られ、私たちはトイレで用を足すことができます。 しかし、膀胱失約が起こると、この一連の尿の蓄積と排泄の連携がうまくいかなくなります。具体的には、尿が溜まっているにも関わらず尿意を感じにくくなったり、逆に少しの尿意でも我慢できずに漏れてしまったりといった症状が現れます。 膀胱失約は、加齢や出産、肥満、神経疾患など、様々な要因によって引き起こされる可能性があります。そのため、症状が現れた場合は自己判断せずに、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
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男性特有の痛み 子癰とは

- 子癰の概要 子癰は、男性にとって大切な精巣や精巣上体に炎症が起こる病気です。精巣は男性ホルモンを作り出し、精子を作るという、男性にとって非常に重要な役割を担っています。そして、精巣で作られた精子は、精巣上体という器官に送られ、そこで貯蔵されながら成熟していきます。 子癰は、これらの精巣や精巣上体に細菌やウイルスが感染することで発症します。感染によって炎症が起こると、精巣や精巣上体が赤く腫れ上がり、強い痛みを感じます。また、発熱や吐き気などの症状が現れることもあります。 子癰は放置すると、精巣の機能が低下し、精子がうまく作られなくなることがあります。その結果、不妊症になってしまう可能性もあります。また、炎症が重症化すると、精巣や精巣上体に膿が溜まり、手術が必要になるケースもあります。 このように、子癰は男性にとって決して軽視できない病気です。早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
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熱瘡:原因と東洋医学的考察

- 熱瘡とは 熱瘡とは、唇やその周りに小さな水ぶくれができる症状のことです。医学的には「単純疱疹」とも呼ばれており、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)に感染することで発症します。このウイルスは、くしゃみや咳などの飛沫感染、またはウイルスが付着したタオルや食器などを介して、人から人へと感染します。 多くの人は幼少期にHSV-1に感染しますが、症状が出ないままウイルスが体内に潜伏していることがほとんどです。しかし、疲労やストレス、風邪などで免疫力が低下すると、ウイルスが再び活性化し、熱瘡として症状が現れることがあります。 熱瘡は、初期には唇の周りがピリピリしたり、かゆみを感じたりすることがあります。その後、赤い小さな水ぶくれがいくつかでき、やがてそれらが破れてかさぶたになります。通常、熱瘡は1~2週間で自然に治りますが、症状が重い場合や繰り返す場合には、医療機関を受診し、抗ウイルス薬などを処方してもらうと良いでしょう。 熱瘡を予防するためには、普段から十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動をするなどして、免疫力を高めておくことが大切です。また、熱瘡ができているときは、患部を清潔に保ち、他の部位に広げないように注意することが重要です。さらに、タオルや食器の共用を避けるなど、周囲の人への感染にも気を配りましょう。
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東洋医学から見る息肉:その原因と治療

- 息肉とは -# 息肉とは 息肉とは、鼻や副鼻腔の粘膜から生じる、まるでブドウの房のような形をした突起物のことです。その大きさは、ごく小さなものから数センチに達するものまで様々です。初期段階では自覚症状がない場合もありますが、息肉が大きくなるにつれて、鼻の空気の通り道が塞がれてしまい、鼻づまりや嗅覚の低下といった症状が現れることがあります。 息肉ができる原因は、まだはっきりとは解明されていませんが、慢性的な炎症が関係していると考えられています。例えば、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などを長期間患っていると、鼻の粘膜に炎症が起こり、その結果として息肉が形成されやすくなると言われています。 さらに、鼻茸が大きくなると、鼻呼吸を困難にするだけでなく、睡眠中に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群や、耳と鼻をつなぐ管である耳管が塞がってしまうことによる中耳炎などを引き起こす可能性もあります。そのため、息肉が疑われる場合は、自己判断せずに耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
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東洋医学が考える乳がん

- 乳がんとは 乳がんは、乳房の中にできる悪性腫瘍です。\n乳腺という、母乳を作る組織にできることが多く、放っておくと大きくなり、周囲の組織やリンパ節に広がっていきます。\nさらに進行すると、骨や肺などの他の臓器に転移することもあります。 初期の段階では、自覚症状がない場合も少なくありません。\nそのため、健康診断などで偶然発見されることもあります。\n病気が進行すると、様々な症状が現れます。\n乳房にしこりを感じたり、乳房の形が変わったり、皮膚に異常が現れたりすることがあります。\nまた、乳頭から分泌物が出たり、脇の下のリンパ節が腫れたりすることもあります。 乳がんは、早期に発見し、適切な治療を行えば治癒が期待できる病気です。\n少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
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静脈瘤を東洋医学はどう捉えるか

- はじめに -# はじめに 足に青や紫色をした血管が、まるで蛇のように浮き出ているのを見たことがありませんか?それが静脈瘤です。静脈瘤は、単に見た目の問題だけでなく、痛みやむくみ、かゆみなどの症状を引き起こすこともあります。西洋医学では、静脈の中にある弁がうまく機能しなくなり、血液が逆流することで起こると考えられています。では、東洋医学ではこの静脈瘤をどのように捉えているのでしょうか? 東洋医学では、人間の身体は「気・血・水」のバランスによって健康が保たれていると考えます。そして、このバランスが崩れることで、様々な不調が現れると考えられています。静脈瘤も、この「気・血・水」のバランスが崩れた状態、つまり「血」の流れが滞っている状態だと考えます。特に、東洋医学では「血」は単なる血液ではなく、栄養を全身に運ぶ役割を担い、心の働きにも影響を与えると考えられています。そのため、静脈瘤は身体の栄養状態や精神的なストレスとも深く関わっていると考えられています。 西洋医学とは異なる視点から静脈瘤を捉える東洋医学。その考え方を知ることで、静脈瘤に対する理解を深め、予防や改善に役立てることができるかもしれません。
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東洋医学から見る石癭:その原因と治療

- 石癭とは 石癭とは、東洋医学において、首元に現れる硬い腫瘤を指す病名です。この腫瘤は、まるで石のように硬いことから、石癭と名付けられました。現代医学の知見に照らし合わせると、石癭は甲状腺腫瘍、特に甲状腺癌に相当すると考えられています。 石癭の特徴は、その硬さとともに、時間の経過とともに徐々に大きくなっていくという点にあります。初期段階では自覚症状に乏しい場合もありますが、腫瘤が大きくなるにつれて、周囲の組織との癒着が見られるようになります。さらに進行すると、気管や食道などの重要な器官を圧迫し、呼吸困難や嚥下困難といった症状を引き起こすこともあります。また、声のかすれや嗄声といった症状が現れることもあります。 東洋医学では、石癭の原因を、気滞(気の停滞)、痰凝(体液の代謝異常)、瘀血(血行不良)などの複合的な要因によると考えます。これらの要因が重なり合って、首元に腫瘤を形成すると考えられています。 石癭の治療は、その進行度や症状、体質などに応じて、漢方薬の処方、鍼灸治療、食事療法などが行われます。特に、初期段階であれば、これらの治療法によって症状の改善や進行の抑制が期待できます。しかし、進行した石癭の場合には、外科手術が必要となることもあります。そのため、首元に異常を感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。
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東洋医学における「肉癭」:その理解とアプローチ

- 「肉癭」とは何か 「肉癭(にくえい)」とは、東洋医学の古い書物に記載されている病気の名前の一つで、今日の医学でいう甲状腺腫、特にゆっくりと進行し、触ると柔らかいものを指します。その名前の通り、まるで肉が腫れ上がったように見えることから、このように呼ばれています。首元にできる腫瘤の中でも、硬くて動きにくいものは「石癭」と呼ばれ、肉癭とは区別されます。 肉癭は、首の前側、喉仏のあたりにできる腫れが特徴です。初期は自覚症状がほとんどない場合もありますが、腫れが大きくなるにつれて、首が太くなったように感じたり、圧迫感を感じたりすることがあります。さらに進行すると、声がかすれたり、呼吸が苦しくなったり、食べ物が飲み込みにくくなることもあります。東洋医学では、肉癭の原因は、飲食の不摂生や、気の流れの滞りなどと考えられています。特に、冷たいものを摂りすぎたり、脂っこいものを食べ過ぎたりすると、体に余分な水分や老廃物が溜まりやすく、それが原因で肉癭ができるとされています。また、ストレスや不安、怒りなどの感情も、気の巡りを悪くし、肉癭を引き起こすと考えられています。 肉癭の治療は、東洋医学では、主に漢方薬を用いて行います。体質や症状に合わせて、余分な水分や老廃物を排出する漢方薬や、気の巡りを改善する漢方薬などが処方されます。また、鍼灸治療やマッサージなども、効果があるとされています。
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東洋医学から考える乳房の結核:乳癆

- 乳癆とは -# 乳癆とは 乳癆とは、東洋医学における病名の一つで、現代医学でいう乳房結核を指します。その名の通り、乳房に硬いしこりができる病気です。乳房にしこりができる病気は様々ありますが、乳癆の場合は、触ると痛みを伴うことが特徴として挙げられます。 現代医学では、結核菌の感染によって発症すると考えられており、実際に乳房から結核菌が検出されることもあります。有効な治療法として、抗結核薬が用いられています。 一方、東洋医学では、気・血・水の巡りの滞りが身体の不調につながると考えます。乳房は特に、気の巡りや血の巡りが滞りやすい場所とされており、感情の起伏やストレス、冷え、過労、栄養不足などが原因で、気・血・水の巡りが滞り、乳癆を発症すると考えられています。 また、東洋医学では、身体の抵抗力が弱まっている状態で、外部から邪気が侵入し、発症すると考えられています。 乳癆の治療において、東洋医学では、身体のバランスを整え、自然治癒力を高めることを重視します。具体的には、鍼灸治療や漢方薬を用いることで、気・血・水の巡りを改善し、身体の内側から健康な状態へと導きます。 乳房にしこりを感じたら、自己判断せずに、医療機関を受診しましょう。そして、西洋医学、東洋医学、両方の観点から治療法を検討することで、より効果的な治療が期待できます。
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中西医結合:伝統と革新の医療

- 中西医結合とは 中西医結合とは、中国で生まれた伝統医学と、ヨーロッパで発展した現代医学を組み合わせた医療のことです。長い年月をかけて培われてきた東洋の知恵と、科学的な根拠に基づく西洋の医療技術。その両方の良いところを取り入れることで、患者さんにとってより良い医療を提供しようという考え方です。 中国伝統医学は、身体を一つの全体として捉え、自然の力と調和することで健康を保つという考え方が基本にあります。一方、西洋医学は、病気の原因を特定し、その原因を取り除くことで病気を治すという考え方が中心です。 中西医結合では、これらの異なる考え方を融合させます。例えば、西洋医学の検査で病気の原因を特定し、その上で、中国伝統医学の鍼灸や漢方薬を用いて身体のバランスを整え、自然治癒力を高めるといった方法が考えられます。 この統合的なアプローチは、様々な病気の治療に効果が期待されています。特に、慢性的な病気や原因が特定しにくい病気、西洋医学だけでは十分な効果が得られない病気などに有効とされています。 中西医結合は、まだ発展途上の医療ではありますが、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供できる可能性を秘めた、注目すべき医療と言えるでしょう。
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骨癆:骨を蝕む静かなる病

- 骨癆とは -# 骨癆とは 骨癆は、結核菌が骨や関節に感染することで発症する慢性の炎症性疾患です。「骨関節結核」とも呼ばれます。結核と聞くと、肺の病気を連想する方が多いかもしれません。しかし、結核菌は血液やリンパ液などを介して全身に広がり、骨に感染することもあります。骨癆は、放置すると骨の破壊や変形が進み、関節の動きに制限が生じる可能性があります。 結核菌は、主に肺に感染しますが、血液の流れに乗って骨に到達することがあります。骨に感染すると、骨を溶かしながら増殖し、炎症を引き起こします。初期症状としては、発熱や倦怠感、食欲不振など、風邪に似た症状が現れます。感染部位に痛みや腫れが現れることもありますが、初期は軽度なため、見過ごされてしまうことも少なくありません。 病状が進行すると、骨や関節の痛み、腫れ、熱感が強くなります。関節の動きが悪くなり、歩行困難や運動制限が現れることもあります。さらに悪化すると、骨が変形したり、関節が破壊されたりすることもあります。 骨癆は、早期発見・早期治療が非常に重要です。適切な治療を行えば、骨の破壊や変形を最小限に抑え、日常生活への支障を軽減することができます。そのため、風邪に似た症状や、骨や関節の痛み、腫れなどがみられる場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。