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中気下陥と升提作用:気の流れを整える

- 気の流れの重要性 -# 気の流れの重要性 東洋医学では、健康を保つためには体内の「気」と呼ばれるエネルギーが滞りなくスムーズに流れることが重要であると考えられています。 「気」は、私たちが呼吸によって体内に取り入れる空気の力、飲食物から得られるエネルギー、生まれながらに持っている生命エネルギーなどが合わさったものと考えられています。 目には見えませんが、この「気」は全身をくまなく巡り、体の各組織に栄養を届け、内臓を活発に動かし、体温を維持するなど、生命活動の根幹を支える重要な役割を担っています。 例えるなら、体の中を流れる川のようなものでしょうか。 川の水が澄んでいて流れがスムーズであれば、栄養や酸素が体の隅々まで行き渡ります。 しかし、何らかの原因で川の流れが悪くなったり、水が濁ったりすると、様々な問題が生じてきます。 体内の「気」も同様に、ストレスや不規則な生活、冷え、運動不足などが原因で流れが滞ってしまうことがあります。 この状態を東洋医学では「気滞(きたい)」と呼びます。 「気滞」が起こると、頭痛、肩こり、便秘、イライラ、不眠など、様々な不調が現れると考えられています。 逆に、「気」の流れがスムーズであれば、心身ともに健康な状態を保つことができると考えられています。
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東洋医学における昇陽:中気下陥へのアプローチ

- 昇陽とは -# 昇陽とは 昇陽とは、東洋医学において、身体の調子を整えるための大切な治療法の一つです。 生命エネルギーのような「気」の乱れを整え、本来人間が持つ自然な回復力を高めることを目指します。 東洋医学では、人は誰でも生まれながらにして、体の中に「気」というエネルギーを持っています。 この「気」は、体の中をくまなく巡り、様々な働きを支えています。呼吸や消化、血液の流れ、体温の調節など、健康を保つためには欠かせないものです。 しかし、過労や睡眠不足、偏った食事、強いストレス、加齢、病気など様々な要因によって、この「気」が不足したり、流れが滞ったりすることがあります。 特に、「気」が不足した状態を「気虚」と呼び、気の流れが下降してしまう状態を「中気下陥」と呼びます。 「気虚」や「中気下陥」の状態になると、倦怠感や疲労感、食欲不振、息切れ、冷え、下痢、脱力感、めまい、顔色が悪くなる、無気力になる、などの様々な症状が現れます。 昇陽はこのような状態のときに用いられる治療法で、漢方薬や鍼灸、食事療法などを用いて、弱った「気」を補い、気の流れを正常な状態に戻すことで、健康な状態へと導きます。
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中気を昇らせる漢方治療: 升擧中氣

- 中気下陷とは? -# 中気下陷とは? 東洋医学では、生命エネルギーである「気」が全身を巡り、心身ともに健康な状態を保っているとされています。この「気」が、様々な要因によって弱ったり、流れが滞ったりすると、体に不調が現れると考えられています。 中気下陷とは、本来体の中心にあって全身にエネルギーを送り出すべき「気」が、下腹部へと沈み込んでしまう状態を指します。 「気」の働きが弱まり、下降してしまうことで、様々な不調が現れます。例えば、だるさや疲れやすさ、食欲不振、胃もたれ、下痢や便秘などの消化器系の症状が現れやすくなります。また、臓器を支える力が弱まるため、胃下垂や子宮脱などの臓器下垂、脱肛なども起こりやすくなります。 さらに、精神面にも影響を及ぼし、やる気が出ない、憂鬱な気分になる、不安感が強いなどの症状が現れることもあります。 中気下陷は、過労や睡眠不足、偏った食事、過度なストレス、老化などが原因で起こると考えられています。また、出産や手術など、体に大きな負担がかかった後にも起こりやすいとされています。
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中気を引き上げる: 升提中氣のススメ

- 中気とは -# 中気とは 東洋医学では、人間の身体は「気・血・水」の3つの要素が調和することで健康が保たれていると考えています。この考え方の根幹をなす「気」は、目には見えませんが、生命活動のエネルギー源として全身を巡り、様々な働きを担っています。呼吸や血液循環、体温調節、消化吸収、老廃物の排泄など、生命活動の全てに関わっていると言っても過言ではありません。 この「気」の中でも、特に重要なのが「中気」です。中気は、飲食物から栄養を吸収し、それを全身に運搬するという重要な役割を担っています。毎日食べるご飯や、空気中の酸素からエネルギーを作り出すのも中気の働きによるものです。まさに元気の源と言えるでしょう。 この中気が充実していれば、内臓は活発に働き、栄養が体の隅々まで行き渡ります。その結果、心身ともに健康な状態を保つことができ、病気にもかかりにくくなります。反対に、中気が不足すると、消化吸収機能や栄養運搬が滞り、疲れやすくなったり、食欲不振、冷え性などを引き起こしやすくなります。さらに、免疫力の低下にも繋がり、様々な病気にかかりやすくなる可能性も高まります。
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東洋医学における益気:気虚を補う

- 益気とは -# 益気とは 東洋医学では、万物は「気」という目に見えないエネルギーによって成り立っていると考えられています。そして、私たち人間の体にもこの「気」が流れており、生命活動の源となっています。この「気」が不足すると、体の様々な機能が低下し、様々な不調が現れると考えられています。 「益気」とは、まさにこの不足した「気」を補い、心身のバランスを整え、健康を回復・維持することを目的とした治療法です。具体的には、食事療法、生薬、鍼灸、気功など、様々な方法が用いられます。 「気」は、生命エネルギーであると同時に、私たちの感情や精神状態とも密接に関係しています。そのため、「気」が不足すると、体力低下だけでなく、精神的な不安定感、意欲の低下、不眠などの症状が現れることもあります。益気は、これらの症状を改善し、心身ともに健康な状態へと導く効果が期待できます。
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東洋医学における疏肝

- 疏肝とは -# 疏肝とは 東洋医学、特に中国伝統医学において、「肝」は単なる臓器ではなく、感情や精神活動とも深く関わる重要な役割を担うと考えられています。そのため、過度なストレスや精神的な緊張、感情の抑圧などが続くと、肝の働きが弱まり、気の流れが滞ってしまうことがあります。この状態を「肝気鬱結(かんきうっketsu)」と呼びます。 疏肝とは、この肝気鬱結の状態を改善するための治療法を指します。 「疏」には「滞りを解消する」、「通す」という意味があり、文字通り、肝の気の滞りを解消し、スムーズな流れを取り戻すことを目的としています。 具体的には、漢方薬の使用、鍼灸治療、マッサージ、呼吸法、食事療法など、様々な方法が用いられます。肝気鬱結の症状としては、イライラしやすくなる、気分が落ち込みやすい、抑うつ感、ため息が多い、のぼせ、不眠、食欲不振、胸や脇腹の張り、生理不順などが挙げられます。 疏肝は、これらの症状を改善するだけでなく、心身のバランスを整え、健康な状態へと導くことを目指します。
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東洋医学における疏肝和胃

- 疏肝和胃とは -# 疏肝和胃とは 「疏肝和胃」は、東洋医学において、心身の健康を保つ上で重要な考え方である「臓腑弁証」に基づいた治療法の一つです。臓腑弁証とは、体内の各器官を単独でとらえるのではなく、相互に影響し合う関係性の中で診断していくという考え方です。 この治療法が対象とする「肝」と「胃」は、互いに深く関係し合っています。 「肝」は全身の「気」の流れを調整する働きを担い、精神活動や自律神経のバランスにも深く関わっています。一方、「胃」は食べ物を受け入れて消化する働きを担い、栄養を体に行き渡らせる重要な役割を担っています。 ストレスや不規則な生活習慣、感情の乱れなどによって、肝の働きが低下すると、気の巡りが滞り、様々な不調が現れます。この状態を「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と言います。肝気鬱結は、胃の働きにも悪影響を及ぼし、食欲不振や消化不良、胃もたれ、便秘などを引き起こします。また、精神面では、イライラしやすくなったり、抑うつ状態に陥りやすくなったりします。 疏肝和胃は、滞った肝の気をスムーズに巡らせ、胃の働きを正常に戻すことを目指します。具体的には、漢方薬の処方、鍼灸治療、ツボ押し、食事療法、運動療法など、様々な方法を組み合わせて、心身のバランスを整えていきます。
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東洋医学における疏肝理脾:心身のバランスを取り戻す

- 疏肝理脾とは -# 疏肝理脾とは 「疏肝理脾」は、東洋医学の考え方に基づいた治療法の一つで、心と体の調和を図ることを目的としています。 この治療法は、特に精神的な負担や不規則な生活習慣によって、感情や精神活動を司る「肝」の働きが過剰になり、食べ物の消化吸収を行う「脾」の働きが弱まっている状態に効果が期待できます。 東洋医学では、心と体は密接に繋がっていると考えられています。そのため、ストレスや不安、怒りなどの感情は「肝」に影響を与え、「肝」の働きが乱れることで、消化不良や食欲不振、倦怠感といった身体症状が現れると考えられています。 「疏肝理脾」では、「肝」の働きを正常に戻し「気」の流れをスムーズにすることで、精神的な緊張を和らげ、同時に「脾」の働きを助けて消化吸収機能を高めることを目指します。 具体的には、漢方薬の処方、鍼灸治療、食事療法、運動療法などを組み合わせることで、心身のバランスを整えていきます。 「疏肝理脾」は、ストレス社会を生きる現代人にとって、心身の健康を取り戻すための有効な手段の一つと言えるでしょう。
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肝と脾の調和で健康に:疏肝健脾のススメ

- 疏肝健脾とは -# 疏肝健脾とは 「疏肝健脾」とは、東洋医学における重要な治療法の一つで、心と体のバランスを整え、健康な状態へと導くことを目的としています。 この言葉は、「疏肝」と「健脾」の二つに分けて理解することができます。「疏肝」とは、文字通り「肝」の「気」の流れを「疏泄(そせつ)」する、つまりスムーズにすることを意味します。東洋医学では、怒りやイライラなどの感情は「肝」に影響を与え、「気」の流れを滞らせると考えられています。「肝」の「気」が滞ると、消化不良や食欲不振、精神的な不安定など、様々な不調が現れるとされています。 一方、「健脾」は「脾」の「気」を「健やか」にすることを意味します。「脾」は、東洋医学では消化吸収を担う重要な臓器と考えられており、食事から栄養を吸収し、全身に送る役割を担っています。「脾」の働きが弱まると、消化不良や食欲不振、疲労感、倦怠感などを引き起こすとされています。 「疏肝健脾」は、このように密接な関係にある「肝」と「脾」の両方に働きかけることで、心身のバランスを整え、健康な状態へと導くことを目指す治療法です。
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イライラの解消法~疏肝瀉火のススメ~

- 怒りっぽいあなたへ あなたは、最近、些細なことでイライラしたり、怒りを感じやすくなってはいませんか?\n電車でのちょっとした遅延や、スーパーのレジ待ちの列にイライラ…。\nあるいは、同僚の何気ない一言にカチンときてしまったり、家族にきつく当たってしまうこともあるかもしれません。\nもし思い当たる節があるなら、それはもしかしたら、東洋医学でいう「肝鬱化火証(かんうつかかしょう)」という状態かもしれません。 東洋医学では、心と体は密接に関係しており、感情の変化は体の状態に影響を与えると考えられています。\n「肝鬱化火証」とは、ストレスや感情の抑圧などによって、気の流れが滞り、熱を生じてしまう状態を指します。\n気は、私たちの体や心を動かすエネルギーのようなものです。\nストレスや感情の抑圧によって、この気がスムーズに流れなくなると、体の中に熱がこもってしまい、様々な不調を引き起こすと考えられています。 肝鬱化火証になると、怒りっぽくなるだけでなく、頭痛、めまい、不眠、便秘、のぼせ、顔のほてり、目の充血、口の渇きといった症状が現れることもあります。\nさらに、生理不順やPMS(月経前症候群)が悪化するケースもみられます。 もし、これらの症状に心当たりがある場合は、肝鬱化火証の可能性があります。\n自己判断せず、専門家に相談することをおすすめします。
漢方の治療

疏肝養血:心身のバランスを整える

- 肝と血の関係 -# 肝と血の関係 東洋医学では、肝は「将軍の官」と称され、その役割の重要性が説かれています。肝は全身の「気」の流れを調整し、精神状態や感情の安定、血の貯蔵と循環など、健やかな生命活動に欠かせない様々な機能を担っています。 現代社会において、ストレスや不規則な生活、過度な飲酒や睡眠不足などは、肝に負担をかけ、「気」の流れを滞らせやすくします。この状態を「肝気滞(かんきたい)」と呼びます。肝気滞は、イライラしやすくなったり、抑うつ状態になったり、ため息が多くなったりと、精神面に影響を及ぼします。また、肝は「血を司る」とも言われ、血を貯蔵し、全身に巡らせる働きも担っています。 肝気滞の状態が続くと、この血を貯蔵・循環させる機能も低下し、「血虚(けっきょ)」と呼ばれる状態を併発することがあります。血虚は、顔色が悪くなる、めまい、動悸、不眠、爪がもろくなるなどの症状が現れます。 肝と血は密接な関係にあり、肝の機能が正常に働くことで、血もスムーズに生成され、全身に栄養を運ぶことができます。東洋医学では、心身のバランスを整え、肝の機能を高めることが、健康な状態を保つために重要であると考えられています。
漢方の治療

心身のバランスを整える:疏肝理氣の世界

- 疏肝理氣とは 疏肝理氣とは、東洋医学、特に伝統中国医学において心身のバランスを整えるための大切な考え方の一つです。これは、「肝を開き気を巡らす」という言葉の通り、心身に溜まった「気」の滞りを解消することで、健康な状態へと導くことを目指します。 現代社会は、ストレスや不規則な生活、人間関係の複雑さなど、心身に負担をかける要因が多く存在します。このような状態が続くと、東洋医学では「肝」の働きが弱まり、「気」の流れが滞ると考えられています。この状態を「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼びます。「肝気鬱結」になると、精神的な不安定さ、イライラしやすくなる、怒りっぽくなるといった精神的な症状だけでなく、消化不良、食欲不振、便秘、下痢、生理不順、睡眠障害など、様々な身体的な不調が現れると言われています。 疏肝理氣では、主に漢方薬の服用や鍼灸治療、食事療法、運動療法、リフレッシュメントなどを通して、心身の緊張を和らげ、「気」の流れをスムーズにすることで、「肝気鬱結」の状態を改善していきます。そして、心身のバランスを整え、健康な状態へと導くことを目指します。
漢方の診察

東洋医学における「正水」:原因と治療法

- 正水とは -# 正水とは 東洋医学では、体に不要な水が溜まってしまい、お腹が張ったり、息苦しさを感じたりする状態を「正水」と呼びます。これは、西洋医学の病気の名前と完全に一致するわけではありませんが、お腹に水が溜まる「腹水」や、体にむくみが出る「ネフローゼ症候群」といった病気と似たような状態だと考えられています。 東洋医学では、体の中の水分の巡りが悪くなり、余分な水が体の中に溜まってしまうことが原因で正水が起こると考えられています。この余分な水は、体にとって必要なものではなく、体に悪影響を及ぼすものだと考えられています。 正水は、体の水分代謝の乱れによって引き起こされると考えられています。水分代謝は、体の中に取り入れた水分を循環させ、不要な水分を体外に排出する働きです。この働きが乱れると、体の中に余分な水分が溜まってしまい、正水になると考えられています。 正水は、単独で起こることもありますが、他の病気と一緒に起こることもあります。そのため、正水の症状が見られる場合は、自己判断せずに、早めに医師に相談することが大切です。
漢方薬

伝統医療の粋:丸剤の世界

- 丸剤とは? 丸剤とは、古くから伝わる東洋医学に基づいた薬であり、様々な天然由来の薬草や鉱物などを組み合わせて作られています。これらの材料を細かく粉末状にした後、蜂蜜や米糊などを加えて練り合わせ、小さな球形に仕上げます。その見た目は、まるで黒豆や胡麻を思わせる、小さく丸い粒です。 丸剤は、その長い歴史の中で、先人たちの知恵と経験によって受け継がれてきました。ゆっくりと時間をかけて体に作用していくと考えられており、体全体のバランスを整えながら、本来の健康な状態へと導くことを目的としています。 丸剤の大きな特徴の一つに、飲みやすさが挙げられます。小さく丸い形をしているため、薬特有の苦味や匂いを感じにくく、抵抗なく飲み込むことができます。また、体内でゆっくりと溶けていくため、穏やかに吸収され、長く効果が持続するという利点もあります。 近年では、健康への意識の高まりとともに、その効果が見直されつつあります。古くから伝わる東洋医学の知恵が詰まった丸剤は、現代社会においても、人々の健康を支える大切な役割を担っています。
アレルギー

体の防御システム「衛気」の弱体化とは?

- 衛気とは何か? 東洋医学では、目には見えないエネルギーが体の中を巡っているとされ、そのエネルギーの一つを「気」と呼びます。気は、私たちが生きていくための源であり、呼吸や消化、血液の循環など、様々な生命活動の根底を支えています。 この気の中でも、「衛気」は体を守る重要な役割を担っています。まるで、城を守る勇敢な兵士のように、体の表面を常に巡回しています。そして、外から侵入してくる風邪やウイルスなどの病原体、寒さや暑さといった気温の変化、乾燥や湿気など、体に悪影響を及ぼす可能性のあるものから、私たちを守ってくれているのです。 西洋医学でいうところの「免疫力」と似ていると表現されることも多いですが、衛気は単に病原体を排除するだけでなく、外部環境の変化から体を守るという、より広範囲な防衛システムと言えるでしょう。 この衛気が充実していれば、私たちは病気にかかりにくく、健康な状態を保つことができます。逆に、衛気が不足すると、風邪を引きやすくなったり、疲れやすくなったり、体が冷えやすくなったりと、様々な不調が現れやすくなってしまいます。
漢方の治療

東洋医学における風熱の散らし方

- 風熱とは何か 東洋医学では、風邪の症状は、単なる体の冷えではなく、「邪気」と呼ばれる目に見えない悪い気の影響で起こると考えられています。この邪気には様々な種類があり、その一つに「風熱」があります。 風熱とは、その名の通り「風」と「熱」の性質を持った邪気です。 春先に多い、暖かく乾燥した強い風が吹く時期に、この風熱は体内に侵入しやすくなると考えられています。 また、冬の間に体にため込んだ熱が、春になって発散される際に、体の表面に症状として現れる場合もあります。 風熱は、主に熱の性質を持つため、体に熱がこもり、炎症を引き起こすと考えられています。そのため、風熱による風邪の症状としては、喉の痛みや腫れ、咳、黄色い鼻汁、頭痛、発熱などが挙げられます。さらに、熱が体にこもることで、顔色が赤くなる、体がだるい、食欲不振、便秘といった症状が現れることもあります。 風熱の予防には、外出時にマスクやスカーフを着用して、乾燥した風を直接吸い込まないようにすることが大切です。また、部屋に潤いを与える、十分な睡眠をとる、バランスの取れた食事を心がけることも、体の抵抗力を高め、風熱から身を守るために重要です。
漢方の治療

東洋医学における疏表潤燥

- 専門家への相談 風邪のような症状を感じた時、その原因や対処法は一つではありません。そのため、自己判断で市販薬や漢方薬を服用するのではなく、まずは専門家の診察を受けることが重要です。 東洋医学では、風邪の原因となる「邪」の一つに「風熱」というものがあります。これは、体に熱がこもることで引き起こされると考えられており、のどの痛みや黄色い鼻水、頭痛などを伴うことがあります。このような「風熱」による風邪の症状に対して用いられる漢方薬の一つに「疏風泄熱」があります。 しかし、たとえ「疏風泄熱」が症状に合っていたとしても、自己判断で服用することは大変危険です。体質や症状に合わなかったり、他の病気と併発していたりする可能性もあるからです。自己判断で服用することで、症状が悪化したり、副作用が出たりする可能性も否定できません。 風邪の症状が出た際は、自己判断せずに必ず専門医や漢方薬剤師に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。専門家の指導を受けることで、安心して治療を受けることができますし、体質や症状に合わせた適切な薬の処方を受けることで、より効果的に症状を改善することができます。
漢方の治療

東洋医学における疏風泄熱

- 疏風泄熱とは -# 疏風泄熱とは 疏風泄熱は、東洋医学における治療法の一つです。 風邪の初期症状、特に、体の表面に邪気が侵入したとされる状態に用いられます。具体的には、頭痛、発熱、のどの痛み、咳、鼻水、悪寒、くしゃみなど、いわゆる「風邪のひき始め」に効果を発揮すると考えられています。 東洋医学では、これらの症状は体に「邪気」が侵入することで発症すると考えられており、特に「風」の邪気によって引き起こされることが多いとされています。「風」の邪気は、その性質上、変化しやすく、動きが速いため、体の防御力が弱まっている時などに、容易に体内に侵入し、様々な不調を引き起こすとされています。 疏風泄熱は、文字通り「風を疏(そ)し、熱を泄(しゃ)する」という意味です。これは、発汗を促すことで体の表面にある邪気を追い出しつつ、同時に炎症を抑えることで、体の内側から症状を改善していくという治療法です。 具体的には、発汗作用や解熱作用のある生薬を用いた漢方薬の服用や、鍼灸治療などが用いられます。 疏風泄熱はあくまで初期症状に対応する治療法であり、症状が重い場合や長引く場合は、自己判断せずに、専門の医師や薬剤師に相談することが大切です。
漢方の治療

東洋医学における「疏風」:その役割と効果

- 「疏風」とは 「疏風」とは、東洋医学における治療法の一つで、体内に侵入した風邪(ふうじゃ)を取り除き、風邪によって引き起こされる様々な症状を改善することを目的としています。「疏」は「散らす」、「風」は「風邪」を意味し、文字通り「風邪を散らす」という意味を持ちます。 東洋医学では、風邪は春の暖かい時期に発生しやすいと考えられています。これは、冬の寒さで体が縮こまった後、春の陽気で毛穴が開き、そこから風邪の邪気が侵入しやすくなると考えられているためです。 風邪の邪気が体内に侵入すると、発熱、悪寒、頭痛、鼻水、咳、関節痛など、様々な不調を引き起こすとされています。そこで、「疏風」の治療法を用いることで、これらの症状を和らげることが期待できます。 「疏風」の治療法には、発汗、解表、理気など、様々な方法があります。発汗は、 sweatingのように、体の表面から邪気を追い出す方法です。解表は、体の表面の防御機能を高め、邪気の侵入を防ぐ方法です。理気は、体のエネルギーの流れを整え、自然治癒力を高める方法です。 「疏風」は、風邪の初期症状に効果的な治療法として、古くから用いられてきました。風邪の症状に悩まされている方は、一度、東洋医学の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
漢方薬

漢方薬の働き方:升降浮沈

- 薬剤の性質 -# 薬剤の性質 東洋医学、特に漢方医学においては、自然界と人間の密接な繋がりを重視しています。山や川、太陽や月など、自然界の全ては、陰陽五行説という考え方に基づいて捉えられます。これは、万物は木・火・土・金・水の五つの要素から成り立ち、陰と陽の相反する性質が調和することで成り立っているという考え方です。 人間もまた、自然の一部として、この法則に従って生きていると考えられています。 漢方薬は、自然界に存在する草の根や木の皮、鉱物など天然の素材から作られます。それぞれの素材は、特有の性質を持っており、温めたり冷やしたり、あるいは乾燥させたり潤いを補ったりといった作用があります。これらの薬剤を組み合わせることで、体のバランスを整え、自然治癒力を高め、病気を治すと考えられています。 例えば、冷え性の人が悩んでいる場合、体を温める性質を持つ生姜や肉桂などが配合された漢方薬が用いられます。反対に、顔がほてりやすい人には、熱を冷ます作用を持つ葛根などが処方されます。このように、自然の力を借りて、体の不調を改善するのが漢方薬の特徴と言えるでしょう。
頭痛

東洋医学から見る眉稜骨痛

- 眉稜骨痛とは -# 眉稜骨痛とは 眉稜骨痛とは、目の上の骨の辺り、いわゆる眉尻から眉頭にかけて感じる痛みのことを指します。ちょうど眉毛が生えているあたりに位置する骨が眉稜骨と呼ばれ、この骨の周辺に痛みを感じます。痛み方は人それぞれで、鈍く重い痛みを感じる人もいれば、ズキズキとした強い痛みを感じる人もいます。 眉稜骨痛は、目の奥の痛みや、こめかみの辺りがずきずきするといった症状を伴うこともあります。また、痛みの程度も、一時的に感じる軽いものから、日常生活に支障が出るほどの激しいものまで様々です。 眉稜骨痛の原因として、デスクワークやスマホの使いすぎが挙げられます。長時間画面を見続けることで、目の周りの筋肉が緊張し、血行不良を起こしやすくなります。また、猫背などの悪い姿勢も、首や肩の筋肉を凝り固まらせ、眉稜骨痛を引き起こす原因となります。 さらに、ストレスや不眠、疲労なども、自律神経のバランスを乱し、眉稜骨痛を引き起こす要因となります。精神的な緊張状態が続くと、身体が緊張状態になり、筋肉が硬直しやすくなるためです。 眉稜骨痛は、命に関わるような病気ではありませんが、放置すると慢性的な頭痛や肩こりに繋がる可能性もあります。症状が重い場合や、長期間続く場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
その他

危険な喉の病気:纏喉風

- 纏喉風とは? 纏喉風は、喉の奥深く、口蓋垂の奥にある口峡と呼ばれる場所に強い炎症が起き、膿が溜まってしまう病気です。現代医学では「咽後膿瘍」や「レトロ咽頭膿瘍」と呼ばれる深刻な状態を指します。 この病気は、細菌感染によって引き起こされ、幼児期に多く見られます。大人になってからの発症は稀です。症状としては、高熱、喉の痛み、嚥下困難、呼吸困難、首の痛みや腫れ、開口障害などが挙げられます。特に、呼吸困難は命に関わる危険性もあるため、迅速な対応が必要です。 東洋医学では、纏喉風は、体に溜まった熱毒が原因で起こると考えられています。熱毒は、不摂生な食事や生活習慣、過労、ストレスなどによって体内に蓄積されるとされています。 纏喉風の治療には、現代医学では抗生物質の投与や、膿が溜まっている場合には切開排膿などが行われます。東洋医学では、鍼灸治療や漢方薬を用いて、熱毒を解毒し、体の免疫力を高めることを目的とした治療が行われます。 纏喉風は、早期発見、早期治療が重要となる病気です。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
漢方の診察

衛營同病證:複雑な熱性疾患の理解

- 衛營同病證とは -# 衛營同病證とは 衛營同病證とは、東洋医学において、流行性の熱病で見られることの多い病証です。この病証は、体を守る二つの重要な気、すなわち体の表面を巡り外邪の侵入を防ぐ「衛気」と、体の深部を流れ栄養を運ぶ「營気」の両方が、同時に侵入してきた熱邪の影響を受けている状態を指します。 衛營同病證は、激しい熱や意識障害といった熱病特有の症状に加え、寒気や頭痛、全身の筋肉痛など、一見熱病とは思えないような症状が同時に現れる点が特徴です。これは、熱邪が体の表面と深部の両方に影響を及ぼし、体の防御機能である「正気」と激しく闘っている状態を表しています。 例えば、初期には寒気や筋肉痛など、まるで風邪のような症状が現れますが、これは熱邪が体に侵入しようとしている段階で、衛気が懸命に戦っている状態を示しています。そして、病が進むにつれて高熱や意識障害、精神不安といった症状が現れます。これは熱邪が營気にまで影響を及ぼし、体の深部にまで侵入してしまった状態を表しています。 このように、衛營同病證は体の防衛機能である正気と熱邪が激しく攻防を繰り広げている状態であり、適切な治療を行わないと重症化する危険性も孕んでいます。
漢方の診察

衛氣同病證:表裏の熱邪が織りなす病態

- 衛氣同病證とは -# 衛氣同病證とは 東洋医学では、健康を保つために重要な要素として、「気」の流れが重視されます。気には、体表を流れ外部から身を守る「衛気」と、体内を巡り生命活動を支える「営気」の二種類があります。風邪などの病気の初期段階では、寒さやウイルスなどの邪気が体に侵入しようとすると、衛気がこれに対抗し、発熱や軽い悪寒、くしゃみ、鼻水などの症状が現れます。この状態は、衛気が邪気と戦っている状態であり、病気が浅い段階と言えます。 しかし、邪気が体の奥深くに侵入し、衛気だけでは対応しきれなくなると、営気も影響を受け始めます。この状態が、衛氣同病證です。つまり、衛氣同病證とは、風邪の初期症状に加えて、高熱や強い悪寒、頭痛、関節痛、倦怠感といった、体の中からの熱症状が現れる状態を指します。これは、邪気が体表を突破し、体の深部まで侵入したことを意味し、適切な治療を行わなければ、肺炎や気管支炎など、より重い病気へと進行する可能性も示唆しています。