東洋医学における牢脈:その特徴と意味
- 牢脈とは
東洋医学において、患者さんの状態を把握するために欠かせない診断方法の一つに脈診があります。これは、身体の様々な部位に現れる脈の状態を診ることで、内臓の働きや気血水の巡りなどを総合的に判断するものです。脈には実に様々な種類があり、それぞれが異なる状態を示唆しています。その中でも、「牢脈」は比較的分かりやすい脈の一つと言えるでしょう。
牢脈は、まるで丈夫な縄を触っているかのように硬く張った脈のことを指します。健康な状態であれば、脈はしなやかで適度な弾力を持っているため、牢脈のように硬く張っていることは稀です。つまり、牢脈は健康な状態ではあまり見られない脈であり、特定の病状を示唆している可能性があると言えるのです。
一般的に、牢脈は寒邪、つまり身体を冷やす病因が体内に侵入し、経絡の気血の運行を阻害している状態を示唆すると考えられています。寒邪によって血管が収縮することで、脈が硬く感じられるようになると考えられています。また、瘀血、すなわち血液の循環が悪くなっている状態も、牢脈が現れる原因の一つと考えられています。瘀血によって血流が滞ると、脈は力強く拍動するため、硬く張ったように感じられるのです。
牢脈は、その見た目や触感から比較的分かりやすい脈ではありますが、自己判断は禁物です。もしも、ご自身の脈が牢脈に当てはまると思われる場合は、自己判断せず、必ず専門の医師に相談するようにしましょう。