「ふ」

その他

東洋医学から見る附骨疽:骨の炎症とその深刻さ

- 附骨疽とは -# 附骨疽とは 附骨疽は、東洋医学の考え方では、骨に発生する重篤な炎症性疾患を指します。現代医学でいう骨髄炎に似た症状が見られ、骨の組織が壊されていき、強い痛みと腫れを伴います。症状が進むと、骨の中に膿が溜まり、さらに状態が悪化していくこともあります。 東洋医学では、この附骨疽は、主に「毒」が骨に侵入し、内部で広がっていくことで発症すると考えられています。この「毒」は、体外から侵入する場合と、体内でのバランスが崩れて生じる場合があります。体外からの侵入としては、傷口から細菌などが入り込むことが挙げられます。また、体内バランスの乱れとしては、過労や暴飲暴食、冷えなどによって身体の抵抗力が低下し、その結果として発症することもあります。 附骨疽の治療は、早期発見・早期治療が非常に重要です。東洋医学では、主に漢方薬を用いて、体内の「毒」を排出し、炎症を抑え、免疫力を高めることを目的とした治療が行われます。具体的には、患部の状態や体質に合わせて、清熱解毒作用や活血化瘀作用を持つ生薬が処方されます。さらに、鍼灸治療によって患部の血行を促進し、痛みや腫れを軽減することも有効です。 附骨疽は重症化すると、骨の変形や機能障害を引き起こす可能性もあるため、早期に適切な治療を開始することが重要です。少しでも気になる症状がある場合は、早めに専門医に相談するようにしましょう。
漢方の診察

風寒束表証:悪寒と微熱のメカニズム

- はじめにと 東洋医学では、自然界と人体は密接に繋がっていると考えられています。そのため、季節の移り変わりや気温、湿度、気圧などの変化は、私たちの心身に大きな影響を与えるとされています。 特に、秋から冬にかけては、気温が下がり、冷たい風が吹き始めます。東洋医学では、この冷えと風の組み合わせを「風寒」と呼び、万病の元になると考えられています。 風寒は、私たちの体の防御機能が低下した時に、皮膚や気道の粘膜などから侵入しやすくなります。そして、体の表面にとどまっている状態を「風寒束表証」と言い、悪寒や発熱、頭痛、鼻詰まり、くしゃみ、筋肉の痛みなどの症状が現れます。 今回は、この風寒束表証について、詳しく解説していきます。
内臓

東洋医学における伏飲:体内に潜む病邪

- 伏飲とは何か? -# 伏飲とは何か? 「伏飲(ふくいん)」とは、東洋医学で使われる言葉で、体の中に「飲」と呼ばれる余分な水分が溜まり、様々な不調を引き起こす状態を指します。この「飲」は、例えるなら、現代医学でいう痰や水毒のようなもの。食べ物の消化不良や、体が冷えること、体内の水分の代謝がうまくいかないことなどが原因で生じると考えられています。 伏飲は、その名の通り、体の中に潜んでじわじわと悪影響を及ぼしていくため、初期の段階では自覚症状がほとんどない場合もあります。そのため、発見が遅れてしまうことも少なくありません。しかし、そのまま放置してしまうと、様々な症状が現れ、健康を害する可能性も出てきます。初期症状としては、喉の詰まり感や軽い咳、胃の不快感、むくみなどが挙げられます。 東洋医学では、病気の根本原因を取り除くことを重視します。そのため、伏飲に対しては、「飲」が生じる原因を突き止め、体質や生活習慣を改善することで、根本的な解決を目指します。具体的には、食生活の見直しや適度な運動、体を温める工夫、漢方薬の服用などが有効とされています。
漢方の診察

東洋医学における腹診:お腹から体を読み解く

- 腹診とは何か -# 腹診とは何か 腹診とは、東洋医学において、患者さんの状態を把握するために用いられる重要な診察方法の一つです。西洋医学では、お腹は主に消化器官が集まる場所として捉えられますが、東洋医学では、全身の健康状態を映し出す鏡のようなものと考えられています。 腹診では、施術者が患者さんのお腹に直接触れることで診断を行います。触診する際には、皮膚の温度や湿り具合、筋肉の硬さや張り、さらには、臓器のおおよその大きさや位置などを確認します。例えば、お腹全体が冷えている場合は、身体が冷えやすい体質だと考えられますし、特定の場所だけに熱を感じれば、その部分に炎症が起きている可能性も考えられます。また、筋肉の硬さや張りは、身体の緊張状態や気の流れの滞りを示唆している場合があり、臓器の大きさや位置の異常は、その臓器の機能低下を示唆している可能性があります。 このように、腹診では、お腹の状態を五感を使って丁寧に観察することで、体内の気の滞りや臓腑の不調を把握します。そして、得られた情報を他の診察方法による情報と総合的に判断することで、病気の診断や治療方針の決定に役立てます。腹診は、患者さんの体質や病気の状態を深く理解するために欠かせない診察方法と言えるでしょう。
漢方の診察

東洋医学における「伏脈」: 深部に潜む生命のサイン

- 「伏脈」とは? 東洋医学では、身体の表面に現れる様々なサインを手がかりに、その人の体質や病気の状態を判断します。その中でも、脈を診る「脈診」は、身体の状態を把握する上で非常に重要な診断方法の一つです。脈診では、手首の橈骨動脈を触れることで、脈の速さ、強さ、深さ、リズムなどを総合的に判断します。 脈は、西洋医学的には心臓の鼓動として捉えられますが、東洋医学では、生命エネルギーである「気」の巡り方を反映していると考えられています。「気」は、全身をくまなく巡り、身体のあらゆる機能を維持しています。「気」の流れが滞りなくスムーズであれば、脈は規則正しく力強い状態となります。 反対に、「気」の流れが弱まっている状態では、脈は弱々しく、深いところを流れるようになります。このような脈を「沈脈」と言います。「沈脈」は、体力や生命力の低下を意味し、病が重篤化している可能性を示唆しています。 「伏脈」は、この「沈脈」よりもさらに深く、まるで奥底に潜んでいるかのように触れにくい脈のことを指します。指でグッと押さないと感じられないほど弱く、深いところにあります。「伏脈」は、「気」が著しく衰弱し、生命力が極度に低下している状態を表しており、危険な状態であるとされています。
漢方薬

漢方薬の真髄:文火の奥深さ

- 漢方薬と火加減 漢方薬は、自然界の恵みである生薬を組み合わせて作られます。生薬は、草木の根や茎、花、葉、果実、鉱物など、自然界に存在する様々なものが原料となっています。これらの生薬を煎じることで、それぞれの持つ有効成分を引き出し、症状の改善を目指します。 しかし、ただ闇雲に生薬を煎じれば良いというわけではありません。漢方薬の製造においては、火加減が非常に重要な要素となります。生薬の種類や組み合わせによって、適切な火加減や煎じる時間は異なり、その微妙な調整が漢方薬の効果を大きく左右するのです。 例えば、強火は、生薬の表面を素早く加熱し、有効成分を短時間で抽出するのに適しています。一方、弱火は、じっくりと時間をかけて生薬の芯まで熱を通し、穏やかに有効成分を引き出す場合に用いられます。また、中火は、強火と弱火の中間的な役割を果たし、状況に応じて使い分けられます。 漢方薬の煎じ方は、長年の経験と知識に基づいた職人技と言えるでしょう。古くから伝わる伝統的な製法を守りながら、患者一人ひとりの体質や症状に合わせた漢方薬を調合するために、火加減は非常に重要な役割を担っているのです。
漢方薬

漢方煎じ薬と火加減:武火のススメ

- 漢方煎じ薬と火加減 漢方薬の煎じ薬は、自然の生薬の力を借りて、体の内側から gently に働きかけ、不調の根本改善を目指すという特徴があります。煎じ薬作りにおいて、火加減は生薬の力を最大限に引き出すための重要な要素となります。 古来より漢方医学では、煎じ薬を作る際、生薬の性質に合わせて火加減を調整することが重要視されてきました。これは、火加減一つで生薬の有効成分の抽出量が変わり、煎じ薬全体の効能に影響を与えるためです。 例えば、比較的穏やかな性質の生薬を煎じる場合は、弱火でじっくりと時間をかけて成分を抽出していきます。逆に、強い効き目を持つ生薬を煎じる場合は、強火で短時間で仕上げることで、有効成分を効率よく抽出すると同時に、不要な成分が溶け出すのを抑えます。 このように、漢方煎じ薬と火加減は切っても切り離せない関係にあり、適切な火加減を習得することが、効果の高い煎じ薬を作る第一歩と言えるでしょう。
漢方の治療

東洋医学における分消走泄:三焦の詰まりを解消する方法

- 分消走泄とは 分消走泄とは、東洋医学に基づいた治療法の一つで、体の不調を改善するために、体内の気の流れを整え、本来の健康な状態へと導くことを目的としています。 -# 分消走泄の考え方 東洋医学では、人の体は「気・血・水」の3つの要素で成り立っていると考えられており、これらが体の中を滞りなく巡ることで健康が保たれると考えられています。しかし、様々な要因でこの流れが滞ってしまうと、体に不調が現れるようになるとされています。 分消走泄では、体の上部・中部・下部の3つの部分(上焦・中焦・下焦)それぞれに対応する漢方薬を用いることで、気・血・水の巡りを調整していきます。 例えば、体の熱を取り除く、水分代謝を促す、炎症を抑える、痛みを和らげるなどの効果を持つ様々な生薬を組み合わせた漢方薬を用いることで、一人ひとりの体質や症状に合わせた治療を行うことが可能です。 分消走泄は、自然治癒力を高め、体全体のバランスを整えることを目指す治療法と言えるでしょう。
漢方の治療

東洋医学における分消上下:三焦の疎通

- 分消上下とは -# 分消上下とは 分消上下は、東洋医学における治療法の一つで、体の不調を改善するために、気の流れを整えることを目的としたものです。 この治療法は、人の体を上焦(じょうしょう)、中焦(ちゅうしょう)、下焦(げしょう)の三つに分け、それぞれの部位で滞っている気の流れをスムーズにすることで、全身の気のバランスを整えます。 上焦は、みぞおちより上の部分を指し、主に呼吸をつかさどる肺や心臓が含まれます。 分消上下では、この上焦に溜まった邪気を発散させることで、呼吸を楽にしたり、精神的なイライラを鎮めたりします。具体的には、肩や首のこりをほぐすマッサージや、呼吸を整える体操などが有効です。 中焦は、みぞおちからおへそのあたりまでの部分を指し、主に消化吸収をつかさどる胃や脾臓が含まれます。食べ過ぎやストレスなどで中焦の働きが弱ると、食欲不振や胃もたれといった症状が現れます。分消上下では、おへその周りや胃の周辺を温めることで、中焦の働きを活性化し、消化を促進します。 下焦はおへそより下の部分を指し、主に排泄をつかさどる腎臓や膀胱、大腸などが含まれます。冷えや運動不足などが原因で下焦の働きが弱ると、むくみや便秘、下痢といった症状が現れます。分消上下では、下腹部を温めたり、足腰を動かしたりすることで、下焦の働きを促進し、体内に溜まった老廃物を排出します。 分消上下は、全身の気のバランスを整えることで、様々な体の不調を改善へと導きます。
漢方の診察

東洋医学における趺陽脈とその役割

- 足の甲に現れる脈拍 東洋医学では、体の様々な場所に現れる脈の様子を診て、健康状態や病気の兆候を読み取る「脈診」という診断法があります。この脈診において、足の甲に現れる脈である「趺陽脈」は、古代から重要な指標の一つとされてきました。 趺陽脈は、足の指を動かす筋肉や、足首から下にかけての感覚を司る「陽明胃経」という経絡の通り道に位置しています。陽明胃経は、顔や頭、お腹、足など、体の中でも特に重要な部分を巡る経絡であり、その状態は全身の健康状態を大きく左右します。そのため、趺陽脈は、陽明胃経の状態を反映する重要な脈として、古くから重視されてきました。 足の甲は心臓から遠く、血液の流れが滞りやすい場所です。そのため、趺陽脈は、体の冷えや、血行不良、水の巡りの悪さなどを反映しやすいという特徴があります。例えば、冷え性やむくみ、足の冷え、下半身の倦怠感などの症状がある場合、趺陽脈が弱くなったり、触りにくくなったりすることがあります。 また、趺陽脈は、消化器系の状態とも密接な関係があります。東洋医学では、胃腸などの消化器系は、体全体のエネルギーを生み出す源と考えられています。そのため、趺陽脈の状態は、食欲不振や消化不良、胃もたれなどの症状が現れるサインとしても捉えられます。 このように、足の甲に現れる小さな脈である趺陽脈は、全身の健康状態を把握するための重要な手がかりとなります。日頃から自分の体の状態に関心を持ち、趺陽脈の変化に気づくことで、病気の予防や健康維持に役立てることができるでしょう。
漢方の診察

東洋医学における风水:その原因と症状

- 風邪の侵入目に見えない「邪気」がもたらす水の滞り 東洋医学では、健康を保つためには、体内の「気」の流れがスムーズであることが重要と考えられています。しかし、この「気」の流れを阻害し、様々な不調を引き起こす要因の一つに、「風邪(ふうじゃ)」があります。 風邪とは、文字通り「風」の「邪気」を意味します。これは、自然界に存在する目に見えない「邪悪な気」が、風に乗って私たちの体内に侵入してくるという考え方です。 この風邪が肺に侵入すると、体内の水の巡りが滞り、咳や痰、鼻水などの症状が現れます。この状態こそが、東洋医学でいう「风水(ふうすい)」と呼ばれるものです。 特に、免疫力が低下している時や体が冷えている時は、風邪の影響を受けやすくなります。また、現代社会では、冷房の効いた部屋に長時間いたり、冷たい飲み物を過剰に摂取したりすることで、体が冷えやすい環境に置かれていることも少なくありません。さらに、季節の変わり目の急激な気温変化も、風邪が侵入しやすくなる要因となります。 このように、风水は、風邪という外からの影響によって引き起こされる、体内の水の巡りの乱れが原因であると考えられています。
内臓

東洋医学における「脹満」:その原因と対策

- 脹満とは -# 脹満とは 脹満(ちょうまん)とは、お腹が張ったり膨れたりして、不快感を伴う状態を指します。食べ過ぎや飲み過ぎなど一時的な原因で起こることもありますが、東洋医学では、体のバランスが崩れ、特に消化器系の働きが弱まっているサインだと考えられています。 現代社会では、ストレスや不規則な生活、冷たい食べ物などによって消化器系に負担がかかりやすく、脹満を訴える人が少なくありません。 東洋医学では、体内のエネルギーである「気」の流れが滞ったり、水分代謝が悪くなったりすることで、お腹に水が溜まったような状態になると考えられています。 脹満を改善するには、消化器系の働きを整え、「気」の流れをスムーズにすることが大切です。具体的には、食生活の見直しや適度な運動、ストレスを溜めないようにするなど、生活習慣全体を見直すことが重要になります。 また、鍼灸や漢方薬なども有効な手段となります。自己判断で対処せず、専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。
漢方薬

漢方薬の基礎知識:複方の力

- 複数の生薬の組み合わせ 漢方薬の大きな特徴として、複数の生薬を組み合わせた「複方」という考え方があります。これは、自然界に存在する植物や鉱物などを、単独で用いるのではなく、それぞれの持ち味を活かすように組み合わせることで、より高い効果を引き出そうという考え方です。一つの漢方薬には、数種類から数十種類もの生薬が含まれている場合もあります。 なぜ、このような複雑な組み合わせ方が必要なのでしょうか?それは、漢方医学が、人間の身体を一つのシステムとして捉え、病気の原因を特定の場所に限定せず、心身全体のバランスの乱れと考えるからです。そのため、単一の成分で特定の症状を抑えるのではなく、複数の生薬の力で身体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目指します。 複数の生薬を組み合わせることで、それぞれの効果を補完し合ったり、副作用を抑制したりすることもできます。例えば、ある生薬の効き目を他の生薬が助ける「相乗作用」、ある生薬の毒性を他の生薬が和らげる「緩和作用」、主となる生薬の効果を別の生薬が特定の場所に導く「引子作用」など、様々な組み合わせ方があります。 このように、漢方薬における「複方」は、長年の経験と知恵から生まれた、非常に緻密で奥深いものです。
漢方の治療

漢方と食事の意外な関係:服薬食忌のススメ

- 服薬食忌とは何か -# 服薬食忌とは何か 漢方薬は、自然の草や木、鉱物などから作られた生薬を組み合わせたもので、自然の力によって体のバランスを整え、病気を治すと考えられています。そのため、西洋薬のように特定の症状を抑えるのではなく、体全体の調子を整えることで根本的な改善を目指します。 服薬食忌とは、この漢方薬の効果を最大限に引き出すために、服用期間中に特定の食品を避けるべきだという東洋医学の考え方です。西洋医学ではあまり馴染みがないかもしれませんが、これは漢方薬が自然由来のものであり、食事の影響を受けやすいという特徴を持つためです。 例えば、体を温める効果のある漢方薬を服用している時に、体を冷やす性質を持つ食べ物を多く摂ると、薬の効果が弱まってしまう可能性があります。逆に、体を冷やす効果のある漢方薬を服用中に体を温める食べ物を多く摂ると、薬の効果が強くなりすぎてしまい、副作用が出やすくなる可能性も考えられます。 このように、漢方薬の効果を最大限に引き出し、安全に服用するためには、その薬効を阻害したり、増強したりする可能性のある食べ物を理解し、食事に気を配ることが非常に重要となります。これが「服薬食忌を守る」ということです。 漢方薬を処方された際には、医師や薬剤師から具体的な服薬食忌について説明を受けるようにしましょう。自己判断で特定の食品を制限するのではなく、専門家の指示に従うことが大切です。
漢方の診察

夏の疲れが原因? 秋に気をつけたい「伏暑」とは

- 伏暑とは -# 伏暑とは 夏の間に強い日差しや気温の高い環境に長時間いると、体内に「暑邪(しょじゃ)」と呼ばれる熱が溜まってしまいます。 この暑邪は、その時には症状として現れず、体の中に潜んでいることがあります。そして、夏の暑さが落ち着き始める秋の入り口や、涼しい風が吹き始める頃になって、まるで潜伏していたかのように、様々な不調として現れてきます。このような、夏の間に体内にこもった熱が原因で、秋になってから症状が出る病気を「伏暑」と呼びます。 伏暑の症状として多くみられるのは、発熱や倦怠感、食欲不振、口の渇きなどです。夏バテと似た症状が出るため、見分けにくい場合もありますが、夏バテが夏の暑さがピークを迎える頃に症状が悪化するのに対し、伏暑は夏の暑さが過ぎた頃に症状が現れるという違いがあります。 一般的に、夏の暑さが厳しい年は、伏暑の患者数も増加する傾向にあります。また、冷房の効いた室内と屋外の気温差が激しい環境で過ごしていると、体温調節がうまくいかず、体に負担がかかりやすくなるため、伏暑になりやすいと言われています。
漢方の診察

東洋医学における「不仁」の理解

- 「不仁」とは 「不仁」とは、東洋医学において用いられる言葉で、皮膚に刺激を加えても感覚が鈍くなり、本来感じるべき感覚が得られない状態を指します。これは、一般的に「麻痺」と呼ばれる状態と似た意味合いを持っています。しかし、東洋医学では、単なる感覚の麻痺にとどまらず、身体のエネルギーである「気」の流れの滞りや、内臓の働きが衰えていることなどを示す、より深いレベルでの問題を暗示している場合があります。 例えば、手足の末端が冷えやすく、感覚も鈍くなっている場合、東洋医学では「不仁」と捉えます。これは、体の末端まで十分に「気」が巡っていない状態と考えられ、冷えや痺れだけでなく、消化不良や倦怠感といった他の症状を伴うこともあります。 「不仁」は、その原因や症状によって、様々な治療法が考えられます。鍼灸治療では、身体の特定のポイントに鍼や灸を施すことで「気」の流れを調整し、臓腑の働きを活性化していきます。また、漢方薬の服用によって、身体の内側から温めたり、不足している栄養を補ったりすることで改善を目指すこともあります。 「不仁」は、単なる感覚の異常として捉えず、身体全体のバランスが崩れているサインと捉えることが大切です。東洋医学的な観点から原因を探り、根本的な改善を目指すことが重要です。
その他

潜む病邪:伏邪とは

- 伏邪とは何か 東洋医学では、病気は目に見えない「邪気」が体内に侵入することで発生すると考えられています。 風、寒、暑、湿、燥、火の六種類が存在する「外邪」は、主に気候の変化や環境要因によって引き起こされます。一方、過労や激しい感情の揺り動き、不適切な食事など、体の内側から生じる邪気を「内邪」と呼びます。 そして、外邪と内邪が組み合わさり、体内に潜伏して悪さを働くものを「伏邪」と呼びます。 伏邪は、英語では「incubative pathogen」と言い、文字通り、体内で潜伏し、発症のタイミングを伺う邪気を指します。 伏邪の特徴は、体内に侵入してから、しばらくの間は自覚症状が現れない点にあります。そのため、気づかないうちに病状が進行し、ある日突然、発熱や痛みなどの症状が現れることがあります。 冬の間に風邪をこじらせてしまい、そのまま治りきらずに、春になってから喘息やアレルギー症状が出る場合などが、伏邪の典型的な例です。伏邪は、体の抵抗力が弱っている時や、季節の変わり目などに発症しやすいため、日頃から養生を心がけ、体の免疫力を高めておくことが大切です。
その他

潜む病魔:伏氣とその影響

- 伏氣とは何か 伏氣とは、東洋医学において、体内に潜み、時を経てから病気を引き起こす邪気のことを指します。まるで静かに身を潜め、機が熟すのを待つ刺客のように、伏氣は私たちの健康に潜在的な脅威をもたらします。 普段はなかなか自覚症状が現れにくく、健康に問題がないように感じていても、知らず知らずのうちに体内に邪気が侵入し、潜んでいる可能性があります。 伏氣は、疲労や冷え、ストレス、不摂生、生活リズムの乱れなど、様々な要因によって身体の抵抗力が弱まった際に、その勢力を増し、発症に至ると考えられています。 例えば、風邪をこじらせてしまった後、なかなか咳が治まらない、疲労が蓄積して、ある日突然体調を崩してしまうといった場合、過去の不調や生活習慣が伏氣となって、後々に影響を及ぼしていると考えられます。 伏氣を予防するためには、日頃から規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、身体の抵抗力を高めておくことが大切です。また、ストレスを溜め込まない、十分な睡眠をとるなど、心身のバランスを整えることも重要です。 東洋医学では、未病という考え方が重要視されます。これは、病気になってから治療するのではなく、病気になる前に未然に防ぐという考え方です。伏氣の存在を意識し、日々の生活習慣を見直すことで、健康な状態を保ち、より健やかな日々を送ることが可能になります。
漢方の診察

東洋医学における風寒湿:その原因と症状

{風寒湿とは、東洋医学において、風邪(ふうじゃ)、寒邪(かんじゃ)、湿邪(しつじゃ)の三つの邪気が複雑に絡み合って体内に入り込み、様々な不調を引き起こすと考えられている病邪です。それぞれの邪気は、自然界における風、寒さ、湿気を表しており、これらが体に悪影響を及ぼすことで発症するとされています。 風邪は、その名の通り風の性質を持ち、体内を動き回りながら様々な症状を引き起こします。例えば、くしゃみ、鼻水、頭痛、発熱など、風邪に似た症状が現れることがあります。寒邪は、文字通り冷えの性質を持ち、冷え性、関節の痛み、下痢などを引き起こします。また、湿邪は、体内に余分な水分を溜め込む性質があり、むくみ、だるさ、食欲不振、吐き気などを引き起こします。 風寒湿は、これらの邪気が単独で作用する場合よりも、複雑に絡み合っているため、より複雑な症状を引き起こす傾向があります。そのため、その治療には、それぞれの邪気の性質を見極め、体質や症状に合わせて、漢方薬や鍼灸治療などを組み合わせることが重要となります。
漢方の診察

東洋医学における風熱とは?

- 風熱という概念 東洋医学では、人は自然と調和しながら生きており、その調和が崩れることで病になると考えられています。 この調和を乱す要因の一つに、「邪気」というものが挙げられます。邪気には、風、寒、暑、湿、燥、火の六種類があり、これらが体に過剰に侵入することで様々な不調を引き起こすと考えられています。その中でも、「風熱」は、風の邪気と熱の邪気が組み合わさったものを指します。 風は、「陽邪」と呼ばれるように、その性質は活動的で、変化しやすく、軽やかで、上昇しやすいという特徴があります。そのため、風の邪気は主に体の上半身に影響を与えやすく、頭痛や鼻水、くしゃみ、咳、発疹などの症状が現れやすいと言われています。 一方、熱は「熱性」の邪気であり、炎症や熱を引き起こします。熱の邪気は、のぼせや顔面紅潮、口の渇き、便秘、濃い色の尿といった症状として現れやすいとされています。 風熱は、これらの風の性質と熱の性質が組み合わさることで、発熱を伴う風邪などを引き起こすと考えられています。具体的には、喉の痛みや咳、痰が黄色っぽい、鼻詰まり、頭痛、発熱、悪寒、体のだるさといった症状が挙げられます。 また、春先に流行しやすいのも風熱の特徴です。 東洋医学では、症状を抑えるだけでなく、体質やその時の状態に合わせて治療を行うことが大切だと考えられています。風熱による不調を改善するためには、風の邪気と熱の邪気を同時に取り除くことが重要になります。
内臓

東洋医学が考える脹痛の原因と対策

- 脹痛とは お腹が張って苦しい、それでいて痛みも伴う…このような経験はありませんか?実はこれは東洋医学で「脹痛(ちょうつう)」と呼ばれる症状かもしれません。 -# 脹痛とは 脹痛とは、その名の通りお腹の張り(膨満感)と痛みが同時に起こる状態を指します。 現代医学では、この二つは別々の症状として捉えられることが多いですが、東洋医学ではどちらも「気(き)」の停滞によって引き起こされると考えます。 「気」とは、生命エネルギーのようなもので、全身を巡り、様々な機能を維持しています。この「気」の流れが滞ると、体に様々な不調が現れると考えられており、脹痛もその一つです。 例えば、食べ過ぎやストレスなどによって胃腸の働きが弱ると、「気」がスムーズに流れなくなり、お腹にガスが溜まりやすくなります。これが膨満感の原因となり、さらに「気」の停滞が続くと、周囲の組織を圧迫し痛みを生じると考えられています。 脹痛の原因は、食生活の乱れやストレス、冷えなど様々です。また、体質的に胃腸が弱い人や、女性の場合は月経周期の影響で脹痛が起こりやすい傾向があります。 東洋医学では、脹痛の治療には、主に「気」の流れを改善する漢方薬や鍼灸治療などが用いられます。さらに、日常生活では、食生活の改善やストレス解消、適度な運動なども有効とされています。
内臓

東洋医学から見る腹痛:原因と治療法

- 腹痛とは お腹のあたりに感じる痛みを総じて腹痛と呼びます。医学的には、みぞおちからおへその下までの部分を指し、日常生活で比較的多くの人が経験する症状です。 -# 腹痛の種類と原因 腹痛といっても、その原因は様々です。食べ過ぎや飲み過ぎによる消化不良や、女性に多い生理痛、便がうまく排出されない便秘など、比較的軽度で一時的なものから、胃腸炎や胃潰瘍、胆石、 pancreatitis など、臓器に何らかの異常が生じている場合もあります。さらに、狭心症や心筋梗塞といった心臓の病気でも腹痛が現れるなど、命に関わる病気のサインである可能性も考えられます。 -# 腹痛の症状 腹痛の症状は、痛む場所、痛みの強さ、持続時間、痛みの種類など、実に様々です。 * -痛む場所-みぞおち、おへその周り、下腹部など、痛む場所によって原因が異なる場合があります。 * -痛みの強さ-鈍痛、キリキリとした痛み、締め付けられるような痛みなど、痛みの強さや種類も様々です。 * -持続時間-数分で治まるものから、数時間、数日続くものまであります。 * -その他の症状-吐き気、嘔吐、下痢、便秘、発熱、血便、体重減少などを伴う場合もあります。 -# 腹痛への対処法 軽い腹痛の場合、安静にしたり、温かいものを飲んだりすることで改善することがあります。しかし、激しい痛みや、長引く痛み、発熱、嘔吐、血便などの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。自己判断は危険ですので、専門医の診断を受けることが大切です。
漢方の診察

風熱疫毒證:症状と解説

- はじめに 東洋医学では、人の体は自然と調和し、その中で「気」という生命エネルギーが流れていると考えられています。そして、健康な状態とは、この「気」の流れが滞りなく、体全体のバランスが保たれている状態を指します。 しかし、体に不調が生じると、このバランスが崩れ、「気」の流れが滞ってしまうことがあります。 東洋医学では、この状態を病気と捉え、その原因を体質や生活習慣、そして外部からの影響など、様々な角度から分析します。 特に、外部からの影響として注目されるのが、「風」「寒」「暑」「湿」「燥」「火」といった自然環境の変化です。これらの変化は、時に邪気となって体内に侵入し、「気」の流れを阻害することで、様々な不調を引き起こすと考えられています。 その中でも、「風熱疫毒證」は、「風」と「熱」の性質を持つ邪気が、外部から体内に侵入することで発症する病気です。 このブログ記事では、この「風熱疫毒證」について、その症状やメカニズムを詳しく解説し、東洋医学に基づいた理解を深めていきます。
不眠

東洋医学が考える不眠の原因と対策

- 不眠とは 不眠とは、夜間、十分な睡眠をとることができない状態を指します。具体的には、なかなか寝付けなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまったり、朝早くに目が覚めてしまい、その後眠ることができなかったりといった症状がみられます。このような状態が続くと、日中に様々な不調が現れます。 例えば、日中の倦怠感や集中力の低下、イライラしやすくなるといった精神的な影響も少なくありません。また、睡眠不足は、身体の免疫力を低下させ、様々な病気のリスクを高めることにも繋がります。 不眠の原因は、ストレスや不安、生活習慣の乱れ、環境の変化など、実に様々です。一時的な不眠であれば、それほど心配する必要はありませんが、慢性的に不眠が続く場合は、専門医に相談し、適切な治療を受けることが大切です。 東洋医学では、不眠の原因を心身のバランスの乱れと捉え、その根本的な原因を改善していくことを目指します。鍼灸治療や漢方薬を用いることで、自律神経のバランスを整えたり、血流を改善したりすることで、自然な眠りを誘います。