漢方用語

漢方の治療

健脾: 消化力を高める東洋医学の知恵

- 健脾とは何か -# 健脾とは何か 健脾とは、東洋医学において、食べ物を消化吸収し、全身に栄養を届ける働きを担う「脾」の機能を高めるための治療法です。東洋医学では、「脾」は単なる臓器ではなく、消化吸収機能全体を司る重要な器官と考えられています。西洋医学の脾臓とは異なり、東洋医学の「脾」は、飲食物から栄養を吸収し、それをエネルギーに変換して全身に供給する役割を担っています。このエネルギーは「気」と呼ばれ、生命活動の源となると考えられています。 健脾治療では、食事療法、漢方薬、鍼灸、マッサージなど、さまざまな方法を用いて「脾」の働きを整えていきます。具体的には、消化しやすい温かい食事を心がけたり、脾の働きを助ける漢方薬を服用したりすることで、消化吸収機能の改善を促します。 健脾は、単に消化不良や食欲不振を改善するだけでなく、「脾」の機能を高めることで気血の生成を促し、全身の健康を維持することを目指します。気血が充実することで、顔色がよくなったり、疲れにくくなったり、免疫力が向上したりと、さまざまな健康効果が期待できます。
漢方の診察

痿躄:東洋医学が捉える筋力低下の概念

- 痿躄とは -# 痿躄とは 痿躄(いひ)とは、東洋医学において用いられる言葉で、脚に力が入らず歩行が困難な状態を指します。現代医学でいう筋萎縮や麻痺といった病名とは異なる視点から、体の不調をとらえた概念です。西洋医学では、主に筋肉や神経の異常を原因として病気を診断しますが、東洋医学では、人間の体は自然の一部であり、その調和が崩れることで病気が生じると考えます。痿躄も、この調和の乱れが原因で起こると考えられており、その要因は様々です。 東洋医学では、生命エネルギーである「気」や血液などの「血」の流れが滞ったり、不足したりすることで、体のバランスが崩れると考えられています。痿躄の場合、これらの要素が脚に十分に行き渡らなくなることで、筋力の低下や運動障害が生じると考えられています。 例えば、過労やストレス、冷えなどが原因で、「気」の流れが滞ると、栄養や酸素が筋肉に十分に行き渡らず、痿躄の状態を引き起こすと考えられています。また、加齢や栄養不足などによって「血」が不足すると、筋肉に栄養が行き渡らず、痿躄を引き起こすと考えられています。 このように、痿躄は単なる脚の症状ではなく、体の全体のバランスの乱れが表れた結果だと考えられています。そのため、東洋医学では、一人ひとりの体質や症状に合わせて、食事療法や鍼灸治療などを行い、体のバランスを整えることで、痿躄の改善を目指します。
漢方の診察

腎痿:腰の痛みと下肢の弱り

- 腎痿とは -# 腎痿とは 東洋医学では、生命エネルギーである「気」が全身を巡り、心身ともに健康な状態を保っているとされています。この「気」は、五臓六腑と呼ばれる体の各部位と密接に関わっており、特に腎は「気」を蓄え、成長や生殖、老化に関わる重要な臓腑とされています。 腎に関連する「気」の中でも、「陽気」は体を温め、活動的にするエネルギー源です。この腎の陽気が不足した状態を「腎痿」と呼びます。腎痿になると、全身を温めたり、動かしたりする力が弱まり、様々な不調が現れます。 特に影響を受けやすいのが下半身です。腎は腰に位置するため、腰や膝などに冷えを感じたり、痛みを生じたりします。また、重だるさや疲労感も特徴的な症状です。さらに症状が進むと、立ち上がったり歩いたりすることが困難になる場合もあります。 西洋医学の考え方では、腎痿は特定の病気と一対一に対応するものではありません。しかし、その症状から、腰痛、坐骨神経痛、変形性膝関節症などの疾患と関連付けられることがあります。これらの症状を抱えている場合、東洋医学的な観点から腎痿の可能性も考慮し、身体を温める、腎の働きを助ける養生法を取り入れることが大切です。
漢方の治療

東洋医学における瘀血治療:散瘀とは

- 瘀血とその影響 東洋医学では、体の不調は、気・血・水のバランスが崩れることで起こると考えられています。その中でも、「瘀血(おけつ)」は様々な不調の原因となる要素の一つとして捉えられています。瘀血とは、文字通り「滞った血」を意味し、体の中をスムーズに流れるはずの血液が、何らかの原因で滞ってしまう状態を指します。現代医学の用語で例えるなら、血栓や動脈硬化、血行不良といった状態に近いと言えるでしょう。 私たちの体は、血液によって酸素や栄養が体の隅々まで届けられ、老廃物が回収されることで健康が保たれています。しかし、瘀血が生じるとこの重要な働きが滞り、様々な不調が現れます。 瘀血によって引き起こされる症状は多岐に渡ります。代表的なものとしては、肩や腰の凝りや痛み、冷え性、月経痛などが挙げられます。その他にも、肌のくすみやクマ、頭痛、めまい、手足の痺れ、動悸、息切れ、精神不安など、実に様々な症状が現れる可能性があります。 瘀血の原因としては、冷えや運動不足、食生活の乱れ、ストレス、加齢、怪我などが考えられます。これらの要因によって血液の流れが悪くなり、瘀血が生じやすくなるとされています。
漢方の治療

東洋医学における血流改善:活血のススメ

- 東洋医学と血流の関係 東洋医学では、健康を保つために体内の「気・血・水」の流れが滞りなくスムーズであることが重要だと考えられています。これらは互いに影響し合いながら、全身をくまなく巡り、生命活動を支えています。 その中の「血」は、西洋医学でいう血液と同じように、全身に栄養や酸素を届ける役割を担います。しかし東洋医学では、単なる血液としての機能だけでなく、精神活動や感情にも深く関わっていると考えられています。体と心を支えるエネルギー源として、生命活動の根幹を担っていると言えるでしょう。 この「血」の流れが滞ると、体に必要な栄養や酸素が行き渡らなくなり、様々な不調が現れると考えられています。冷えやむくみ、肩こり、腰痛、消化不良、生理不順、肌荒れなど、その症状は多岐に渡ります。 東洋医学では、このような不調の原因を特定の臓腑の機能低下と関連付けて考えることがあります。例えば、心臓は血液を全身に送り出すポンプのような役割を担っており、心臓の機能が低下すると、血液循環が悪くなり、冷えや動悸などの症状が現れやすくなると考えられています。 また、ストレスや不眠、食生活の乱れなども血流を悪化させる要因となります。東洋医学では、心身のバランスを保つことで、血流を改善し、健康な状態を維持できると考えられているのです。
漢方の診察

陰陽のバランスと健康:陰盛陽衰證を理解する

- 陰陽のバランスと健康 東洋医学では、健康を保つためには体内の陰と陽のバランスが大切だと考えられています。 陰陽とは、自然界にある相反する性質のことで、光と影、昼と夜、月と太陽のように、この世の全てのものに陰陽があるとされています。 陰は、静かで暗い、冷たいなどの性質を持つものとされ、物質でいうと水や月などがあてはまります。 一方、陽は、動的で明るい、温かいなどの性質を持つものとされ、物質でいうと火や太陽などがあてはまります。 この陰陽は、私たちの体にも当てはまります。 例えば、体の臓器でいうと、胃や腸などの消化器官は、食べ物を消化し栄養を体に吸収するという働きを持つため、活動的な陽の性質を持つ器官とされています。 反対に、心臓や肺は、栄養や酸素を体に巡らせるという働きを持つため、静的な陰の性質を持つ器官とされています。 このように、私たちの体も陰陽で成り立っており、健康な状態とは、体内の陰陽のバランスが取れている状態を指します。 しかし、過労やストレス、不規則な生活習慣、偏った食事などによって、体内の陰陽のバランスが崩れることがあります。 この状態が続くと、体の不調として現れるようになり、やがて病気になると考えられています。
漢方の診察

陽虚水泛証:むくみの原因とその対策

- 陽虚水泛証とは? 陽虚水泛証とは、東洋医学において、体内の水分代謝がうまくいかず、体に余分な水が溜まってしまう状態を指します。むくみや尿量の減少、冷えなどを伴うのが特徴です。 東洋医学では、生命活動のエネルギーである「気」の中でも、特に体を温め、臓器の働きを活発にするものを「陽気」と呼びます。陽虚水泛証は、この陽気が不足することで引き起こされます。 陽気を生み出す源である「腎」と、体内の水分代謝を司る「脾」という臓器は、互いに協力し合って健康な状態を保っています。しかし、腎の陽気が不足すると、脾の陽気も弱まり、水分の代謝が滞ってしまうのです。 その結果、水は温められずに冷え、体内で停滞しやすくなります。この状態が陽虚水泛証です。水は高いところから低いところへ流れるように、体の上半身に溜まりやすく、顔や手足のむくみとして現れます。また、尿は体内の余分な水分を排出する役割を担いますが、陽虚水泛証では、この機能も低下するため、尿量が減ったり、排尿がスムーズにいかないなどの症状が現れます。 さらに、陽虚水泛証は冷えも伴います。これは、陽気が不足することで体の温める力が低下するためです。冷えは、胃腸の働きを悪くしたり、血行不良を引き起こしたりするため、様々な不調の原因となります。
漢方薬

東洋医学における清熱劑:熱を冷ます知恵

- 清熱劑とは -# 清熱劑とは 東洋医学では、健康を保つためには体内の陰陽のバランスが重要だと考えられています。このバランスが崩れ、熱が過剰に生じた状態を「熱証」と言います。熱証になると、発熱やのどの痛み、皮膚の炎症、便秘、イライラなど、様々な不調が現れると考えられています。 このような熱証を改善するために用いられるのが、清熱劑と呼ばれる漢方薬です。清熱劑は、体内の余分な熱を取り除き、炎症を鎮め、体のバランスを整える働きがあるとされています。 熱は、体内で様々な原因によって生じます。例えば、風邪やインフルエンザなどの感染症、過労、ストレス、睡眠不足、食生活の乱れなどが挙げられます。また、体質的に熱がこもりやすい人もいます。 清熱劑は、熱の発生源や症状に合わせて、様々な生薬を組み合わせて作られます。そのため、自己判断で服用するのではなく、漢方医の診断のもと、自分の体質や症状に合ったものを処方してもらうことが大切です。 清熱劑は、熱を取り除くだけでなく、体の免疫力を高め、自然治癒力を向上させる効果も期待できます。体の不調を感じたら、早めに専門家に相談し、適切な処置を受けるようにしましょう。
漢方薬

東洋医学における「解表剤」:その役割と効果

- 解表剤とは? -# 解表剤とは? 東洋医学では、風邪やインフルエンザなど、体表面に症状が現れる初期段階の病気を「表証(ひょうしょう)」と呼びます。 そして、この表証を改善するために用いられる漢方薬の一種を「解表剤」と言います。 解表剤は、発汗を促すことで、体の表面に侵入した「風邪(ふうじゃ)」と呼ばれる病原性の邪気を体外に追い出す働きをします。 風邪とは、東洋医学において、風邪やインフルエンザなどの感染症を引き起こすと考えられている、目に見えない病因のことです。 解表剤は、配合されている生薬の種類や組み合わせによって、その作用や効果が異なります。例えば、寒気を伴う風邪には体を温める作用の強い解表剤を、発熱や喉の痛みが強い風邪には熱を冷ます作用の強い解表剤を用いるなど、その人の症状に合わせて使い分けられます。 自己判断で安易に服用するのではなく、漢方医や薬剤師などの専門家に相談し、自分の体質や症状に合った解表剤を選ぶことが大切です。
漢方の診察

治りにくい飲みに注意!:留飲とは

- 留飲とは何か 「留飲」とは、東洋医学において、体内の水分の代謝が滞り、不要な水が体内に溜まってしまう状態を指します。 この滞った水は「飲」と呼ばれ、特に長期間に渡って体内に留まっているものを「留飲」と呼びます。これは、まるで水が流れずに留まっているような状態をイメージすると理解しやすいでしょう。 東洋医学では、体内の水分代謝がスムーズに行われている状態を健康な状態と考えます。 しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れると、水分の代謝が滞り、体に不要な水が溜まってしまうことがあります。これが「留飲」の状態です。 留飲は、単に水が溜まっているだけでなく、体に様々な不調を引き起こす原因となると考えられています。 例えば、むくみや冷え、だるさ、めまい、吐き気、食欲不振、関節痛、頭痛など、様々な症状が現れることがあります。 留飲は、その原因や症状によって細かく分類されます。 例えば、冷えが強くみられる場合は「寒飲」、熱っぽく炎症を伴う場合は「熱飲」といったように、その状態に合わせて適切な治療法が選択されます。
漢方の治療

温活の原点:温裏療法のススメ

- 冷えは万病の元 東洋医学では「冷えは万病の元」という言葉があるように、冷えは様々な体の不調を引き起こす根源と考えられています。これは現代社会においても同様です。冷房の効いた室内で長時間過ごしたり、冷たい飲食物を過剰に摂取したりする現代人の多くが、体の冷えを感じています。 体の冷えは、手足の冷えだけでなく、様々な症状となって現れます。例えば、常に手足の先が冷えている、お腹が冷えやすく、下痢や便秘になりやすい、腰や足がだるく、重く感じる、肩や首が凝りやすい、生理痛がひどい、頭痛やめまいがするといった症状も、体が冷えているサインかもしれません。 これらの症状を放置すると、血行不良による肩こりや腰痛、自律神経の乱れによる不眠やイライラ、免疫力の低下による風邪を引きやすくなるなど、更に深刻な不調につながる可能性があります。冷えは、体の機能を低下させ、健康を損なう大きな要因になり得るのです。 日頃から体の冷えを感じている方はもちろん、今は特に自覚症状がない方も、生活習慣を見直し、体を温める工夫をすることが大切です。
漢方の治療

冷えを感じやすいあなたへ:温裏散寒のススメ

- 体の奥底に潜む冷え裏寒証とは? 東洋医学では、冷えは単なる寒がり屋の性質とは捉えず、体の不調のサインと捉えます。特に、体の芯から冷えている状態を「裏寒証」と呼び、様々な不調の原因となると考えられています。 裏寒証とは、体内で熱を生み出す力が弱まっている状態を指します。これは、車で例えると、エンジンが冷え切ってしまい、十分なパワーが出せない状態に似ています。エンジンが温まらないと車はスムーズに走れません。同じように、体内に十分な熱が作られないと、様々な機能が低下してしまうのです。 裏寒証の原因は、食生活の乱れや冷えやすい食品の摂り過ぎ、過労や睡眠不足、ストレスなど様々です。これらの要因によって、体のエネルギー循環が悪くなり、熱を生み出す力が弱まってしまうと考えられています。 裏寒証の代表的な症状としては、冷えやすい、疲れやすい、お腹が冷える、顔色が悪い、手足が冷えるなどがあります。また、肩こりや腰痛、便秘、下痢などを引き起こすこともあります。 裏寒証を改善するには、体を温める食材を積極的に摂り、体を冷やす食品を控えることが大切です。また、適度な運動や十分な睡眠、ストレスを溜めない生活習慣を心がけることも重要です。体が本来持つ温める力を高め、健康な状態を目指しましょう。
漢方薬

質の高い眠りのための知恵:臨睡服のススメ

- 夜ぐっすり眠るための習慣睡眠の質を高める「臨睡服」のススメ 一日の終わりに布団に入っても、なかなか寝付けなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりする経験はありませんか?現代社会では、仕事や人間関係のストレス、スマートフォンやパソコンの光による刺激、不規則な生活習慣などにより、多くの人が睡眠に悩みを抱えています。睡眠不足は、日中の集中力や仕事の能率を低下させるだけでなく、心身に不調をきたし、健康を害する可能性も孕んでいます。 そこで今回は、東洋医学の知恵に基づいた睡眠の質を高める方法の一つ、「臨睡服」についてご紹介します。「臨睡服」とは、就寝時に着用する衣服のこと。パジャマと表現されることもありますが、ただ寝る時に着るだけでなく、睡眠の質を高めるために考え抜かれた衣服のことを指します。 東洋医学では、身体は「気・血・水」のバランスで成り立っていると考えます。このバランスが崩れると、様々な不調が現れ、睡眠にも悪影響を及ぼします。良質な睡眠を得るためには、身体を温め、「気・血・水」の巡りを良くすることが大切です。 臨睡服を選ぶ上では、以下の点に注意しましょう。 * -素材- 吸湿性・通気性の良い綿や絹など、天然素材を選びましょう。化学繊維は、身体に静電気を帯びさせ、「気」の巡りを悪くする可能性があります。 * -デザイン- ゆったりとしたデザインのものを選び、身体を締め付けないようにしましょう。締め付けは、「血」の巡りを悪くする原因となります。 * -色- 暖色系の色は、気持ちをリラックスさせ、安眠に導く効果があります。 睡眠の質を高めるためには、質の高い睡眠をとるための環境づくりも重要です。寝る前にスマートフォンを見るのを控えたり、部屋の照明を落とすなど、リラックスできる睡眠環境を整えるように心がけましょう。 毎日の睡眠に悩んでいる方は、ぜひ一度「臨睡服」を試してみてはいかがでしょうか?
漢方の治療

潤燥化痰:乾燥による痰の対処法

- 潤燥化痰とは -# 潤燥化痰とは 東洋医学では、病気の症状だけを抑えるのではなく、その原因から解消することを大切にします。体の不調は、気・血・水の流れが滞ることによって起こると考えられており、潤燥化痰は、乾燥によって生じる痰(燥痰)を取り除くための治療法です。 秋から冬にかけての乾燥した季節は、体内の水分も失われがちになり、様々な不調が現れやすくなります。特に、空気が乾燥すると、喉や鼻などの呼吸器も影響を受けやすく、咳や痰などの症状が現れやすくなります。この時、痰がねばねばと絡みつくように感じる場合は、燥痰の可能性があります。 東洋医学では、燥痰は体内の乾燥によって、気の流れが滞り、体液がうまく巡らないことで生じると考えられています。そこで、潤燥化痰では、乾燥した状態を改善するために、体内に潤いを与え、気の流れをスムーズにすることで、痰の発生を抑え、排出しやすくします。 具体的には、梨や百合根、蜂蜜など、体を潤す効果のある食材を積極的に摂ることや、杏仁や麦門冬、沙参などの生薬を用いた漢方薬が有効です。また、乾燥した室内では加湿器を使用するなど、生活環境を整えることも大切です。 潤燥化痰は、単に症状を抑えるのではなく、体質から改善していくことを目指します。専門家の指導のもと、自分に合った方法で体の内側から潤いを与えることで、乾燥による不調を予防し、健康な状態を保つことが期待できます。
漢方薬

知っておきたい漢方服用術:平旦服のススメ

- 漢方における服用時間の重要性 漢方医学では、ただ薬を飲むだけでなく、いつ飲むのかということも非常に重要だと考えられています。自然のリズムや体の変化に合わせて薬を飲むことで、漢方の力を最大限に引き出すことができるのです。 私たちの体は、時間帯によって状態や働きが異なります。朝は活動を始め、夜は休息に入るというように、自然とリズムを刻んでいるのです。漢方薬も、この体のリズムに合わせて吸収や働きかけ方を変えると考えられています。 例えば、胃腸の働きが活発な食間や食前に飲むと効果的な漢方薬もあれば、空腹時に飲むと胃に負担をかけてしまう漢方薬もあります。また、眠気を誘う作用がある漢方薬は、就寝前に飲むことで、より効果的に作用します。 このように、漢方薬を飲むタイミングを意識することで、より効果を実感しやすくなるだけでなく、不要な作用を避けることにも繋がります。漢方薬を処方された際には、医師や薬剤師に相談し、自分にとって最適な服用時間をしっかりと守ることが大切です。
漢方薬

知っておきたい漢方の飲み方: 食遠服

- 食遠服とは -# 食遠服とは 「食遠服」とは、読んで字の如く、食事を遠ざけて薬を服用する方法です。食事の影響を受けにくい時間帯に漢方薬を飲むことで、その効能を最大限に引き出すための知恵と言えるでしょう。 漢方薬は、自然界の生薬を組み合わせて作られており、私たちの体に優しく穏やかに作用します。その効き目を最大限に発揮するためには、胃腸の状態や吸収のされ方を考慮することが大切です。食後は、消化吸収のために胃腸に負担がかかり、漢方薬の成分が十分に吸収されにくくなってしまいます。 そこで、食遠服の出番となります。具体的には、食後2時間以上の時間をおいてから服用する方法と、反対に食前2時間以上の時間をおいてから服用する方法があります。空腹時に服用することで、胃腸への負担を軽くし、漢方薬の成分が効率良く吸収されると考えられています。 食遠服は、漢方薬の効果を最大限に引き出すための、昔からの知恵です。漢方薬を服用する際は、食前・食後のどちらが良いのか、医師や薬剤師によく相談し、自身の体質や症状に合わせた服用方法を見つけることが大切です。
漢方薬

知っておきたい漢方の基礎知識:飯後服

- 漢方薬の服用タイミング 漢方薬は、自然の草や木の実などを組み合わせた生薬から作られ、体の状態に合わせて効果を発揮するように作られています。そのため、西洋薬のように決まった時間に服用すれば良いというわけではなく、効果を最大限に引き出すために適切な服用タイミングが重要となります。 漢方薬の服用タイミングは、主に「食前」「食間」「食後」の3つに分けられます。 * -食前-食事の30分~1時間前に服用します。 * 食欲不振や消化不良など、胃腸の働きを高める効果が期待できます。 * 食事の影響を受けずに、薬効成分を効率よく吸収させたい場合にも有効です。 * -食間-食事と食事の間、食後2時間後くらいに服用します。 * 食前や食後に服用すると胃に負担がかかる場合や、薬効成分の吸収を高めたい場合に適しています。 * -食後-食事の後、30分以内に服用します。 * 胃腸が弱い方や、漢方薬による胃の不快感を軽減したい場合に有効です。 * 食事と一緒に摂取することで、薬効成分の吸収を穏やかにする効果も期待できます。 漢方薬を処方された際は、医師や薬剤師から服用タイミングの指示があるはずです。自己判断で服用タイミングを変更すると、効果が得られないばかりか、副作用のリスクも高まります。必ず指示に従い、疑問点があれば気軽に相談するようにしましょう。
漢方薬

漢方服用術:飯前服のススメ

- 飯前服とは 漢方薬の効果を最大限に引き出すためには、飲むタイミングが非常に大切です。多くの漢方薬のパッケージには、「食前」「食間」「食後」といった服用時間の指示が記載されています。その中でも「飯前服」は、食事の約1時間前に薬を飲むことを意味します。 では、なぜ食事の1時間前に飲む必要があるのでしょうか?それは、空腹時の胃に直接薬を届けることで、吸収を良くし、より早く効果が現れるようにするためです。 食事をすると、胃の中では食べ物を消化するために胃液が分泌され、胃の動きも活発になります。この状態では、漢方薬と食べ物が混ざり合ってしまい、薬の吸収が妨げられたり、効果が薄れてしまったりする可能性があります。 一方、空腹時は胃の中が空っぽなので、漢方薬は胃液に溶けやすく、速やかに吸収されます。また、胃の動きも穏やかなので、薬が体全体に行き渡りやすくなるという利点もあります。 ただし、漢方薬の種類によっては、空腹時に飲むとお腹を壊してしまう場合もあります。そのため、漢方薬を服用する際には、必ず医師や薬剤師の指示に従うようにしましょう。自己判断で服用時間を変更することは避けましょう。
漢方薬

漢方薬の煎じ方: 先煎とは?

- はじめに 漢方薬と聞いて、独特の香りと苦みを伴う、じっくりと煮出した煎じ薬を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 漢方薬の煎じ薬は、自然の草根木皮などの生薬を、長い時間をかけて煮出すことで、自然の力を最大限に引き出したものです。 生薬の有効成分を効率良く抽出することで、体に優しく、それでいて確かな効果をもたらすとされています。 しかし、一口に煎じ薬と言っても、使用する生薬の種類や組み合わせによって、最適な煎じ方が異なります。 漢方薬の効果を最大限に引き出すためには、それぞれの生薬に適した煎じ方をすることが非常に重要です。 今回は、数ある煎じ方のうち、「先煎」と呼ばれる煎じ方について詳しく解説していきます。
漢方の診察

東洋医学における石水:下腹部の特徴的な浮腫

- 石水とは 石水とは、東洋医学において、下腹部に特徴的なむくみが見られる状態を指す言葉です。まるで石のように硬く、冷たく感じられることから「石水」と名付けられました。 この症状は、主に体の「気」と「水」の循環が滞ることによって引き起こされると考えられています。「気」は生命エネルギー、「水」は血液やリンパ液などの体液を指し、これらがスムーズに巡ることで健康が保たれています。しかし、冷えや疲労、ストレスなどが原因で「気」が滞ると、「水」の流れも悪くなり、体の下部に溜まってしまうことがあります。これが石水のむくみの正体です。 石水は西洋医学の特定の病気と直接結びつくわけではありませんが、腹水や腫瘍、リンパ節の腫れなど、様々な病態が考えられます。そのため、自己判断せずに、石水の症状が見られた場合は、医療機関を受診し、適切な検査を受けることが大切です。 石水の治療には、東洋医学に基づいた漢方薬の処方や鍼灸治療などが用いられます。これらの治療法は、「気」の流れを改善し、「水」の代謝を促すことで、むくみを解消していくことを目的としています。また、日常生活では、体を冷やさないように温めること、適度な運動で血行を促進すること、バランスの取れた食事を心がけることなどが大切です。
漢方の治療

東洋医学における水毒治療:攻逐水飮とは?

- 体内の水の滞り水毒とは 東洋医学では、健康な状態を保つためには、体内の「気・血・水」のバランスが整っていることが重要だと考えられています。このうち「水」は、体内の水分全般を指し、血液、リンパ液、細胞間液などを含みます。そして、この水の巡りが滞り、体に余分な水分が溜まっている状態を「水毒(すいどく)」と呼ぶのです。 水は、私たちが生きていく上で欠かせないものですが、体に必要な量を適切な場所に保つことが大切です。水毒は、体内の水のバランスが崩れ、余分な水分が体内に溜まってしまうことで起こると考えられています。 水毒の原因は、主に以下の3つが挙げられます。 1. -水分代謝機能の低下- 加齢や運動不足、冷えなどにより、体内の水分代謝機能が低下すると、水分をうまく排出できなくなり、水毒を引き起こしやすくなります。 2. -過剰な水分摂取- 一度に大量の水分を摂取したり、冷たい飲み物を飲みすぎたりすると、胃腸に負担がかかり、水分の代謝が追いつかずに、水毒になることがあります。 3. -食生活の乱れ- 水分の代謝には、タンパク質やビタミン、ミネラルなど様々な栄養素が関わっています。そのため、偏った食事やインスタント食品の食べ過ぎなどで栄養バランスが乱れると、水毒のリスクが高まります。 水毒になると、むくみやだるさ、冷え、めまい、頭痛、食欲不振、吐き気、下痢、便秘、尿量減少、関節痛、肌荒れなど、様々な不調が現れることがあります。
漢方の治療

東洋医学の知恵:釜底抽薪とは?

- 症状を抑えるのではなく、根本から解決する 現代医学では、風邪をひいたり熱が出たりすると、そのつらい症状を一時的に抑えるために薬を飲むことが一般的です。これは、まるで燃えている炎に水をかけ続けるようなもので、根本的な解決にはなっていません。 一方、東洋医学では、症状は体からのサインだと捉えます。例えば、風邪は体の免疫力が低下しているサイン、熱は体内に溜まった毒素を排出するために体が一生懸命働いているサインだと考えます。 そこで東洋医学では、症状を抑えるのではなく、その原因を探り、根本から解決することを目指します。この考え方を象徴する言葉が「釜底抽薪」です。 釜の下で燃える薪が体の不調の原因だとすれば、釜底抽薪は、薪を取り除くことで、火を消すことを意味します。 つまり、東洋医学では、体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで、病気になりにくい体作りをサポートしていくのです。
漢方薬

漢方処方の基礎:偶方の世界

- 漢方処方とは 漢方薬というと、生薬という自然由来の素材を乾燥させて作られたものを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、漢方治療の真髄は、ただ生薬を単体で使うのではなく、複数の生薬を組み合わせた「漢方処方」にあります。 漢方処方は、まるでジグソーパズルのピースのように、それぞれの生薬が持つ特有の力を組み合わせることで、より大きな効果を発揮するように作られています。例えば、ある生薬は体の熱を冷ます力に優れていても、冷えすぎてしまうという側面も持ち合わせています。そこで、もう一つの生薬を組み合わせることで、冷えすぎを抑えながら、体の熱を適切な状態へと導くことができるのです。 このように、漢方処方は生薬同士が互いに影響し合い、その効果を高め合ったり、副作用を打ち消し合ったりすることで、穏やかで奥深い効き目を生み出します。 漢方処方は、患者さんの体質や症状に合わせて、まるでオーダーメイドのように選択・調整されます。そのため、同じような症状であっても、体質や病状の進行具合によって、処方が異なる場合もあるのです。漢方治療は、まさに一人ひとりの状態に寄り添った、きめ細やかな医療と言えるでしょう。
漢方薬

東洋医学における奇方とは?

- 奇方の定義 奇方とは、東洋医学、特に漢方医学において、奇数の種類の生薬を配合して作られる処方のことを指します。または、そのように作られた薬そのものを指す場合もあります。 漢方薬では一般的に、二種類の生薬を組み合わせたものを「対薬」、四種類や六種類など偶数の種類の生薬を組み合わせたものを「偶数方」と呼びます。これは、古代中国の陰陽思想に基づいており、偶数は陰陽のバランスが取れた安定した状態を表すと考えられています。 一方、奇数は偶数とは対照的に、変化や動きを象徴するとされています。そのため、奇数の種類の生薬を組み合わせた奇方は、身体に何らかの変化をもたらし、病気を治癒へと導くと考えられているのです。 奇方には、その独特な配合から、強い効能を持つものが多く存在します。そのため、奇方を用いる場合は、専門家である漢方医の診断のもと、適切な処方を用いることが非常に重要です。自己判断での使用は避けるようにしましょう。