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東洋医学における補血:血虚を改善する方法

- 補血とは -# 補血とは 東洋医学では、生命エネルギーである「気・血・水」が体内を巡り、心身が正常に機能していると考えられています。このうち、「血(けつ)」は、西洋医学の血液とは異なる概念です。西洋医学でいう血液の働きに加えて、全身に栄養を届け、潤いを与え、精神活動を支えるなど、生命活動の根源となる重要な役割を担うと考えられています。 この血が不足した状態を「血虚(けっきょ)」といいます。血虚になると、体全体に栄養や潤いが行き渡らなくなり、様々な不調が現れます。 代表的な症状としては、顔色が悪くなる、めまい、動悸、息切れ、疲れやすい、手足の冷え、不眠、肌の乾燥、髪がパサつく、爪が割れやすいなどが挙げられます。また、月経不順、月経痛、経血量が少ないなどの婦人科系のトラブルも、血虚が原因となることがあります。 補血とは、不足した血を補い、血の巡りを改善することで、これらの症状を改善する治療法を指します。具体的には、食事療法、漢方薬、鍼灸、マッサージなど、様々な方法が用いられます。 日頃から、バランスの取れた食事を心がけ、十分な睡眠をとり、適度な運動をすることで、血虚を予防することができます。また、血虚の症状が見られる場合は、自己判断せずに、専門家の診断を受けるようにしましょう。
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潜陽: 伝統医療における鎮静の知恵

- 潜陽とは 潜陽とは、東洋医学、特に漢方医学において、体のバランスが崩れて過剰に高まった熱を抑え、元の平穏な状態へと導く治療法のことを指します。 人間の体には、生命エネルギーとも言うべき「気」が流れています。この「気」には、温かく活動的な性質を持つ「陽」と、冷たく静かな性質を持つ「陰」の二つの側面があり、この二つが調和することで健康な状態が保たれています。 しかし、様々な要因によってこのバランスが崩れ、「陽」の気が過剰に高まってしまうことがあります。この状態を漢方医学では「肝陽上亢(かんようじょうこう)」と呼びます。「肝陽上亢」になると、めまい、頭痛、顔面紅潮、のぼせ、怒りっぽくなる、イライラしやすくなる、不眠などの症状が現れます。 このような症状に対して用いられるのが「潜陽」という治療法です。「潜」は「ひそめる」、「陽」は先に述べたように温かく活動的な「気」を表します。つまり、「潜陽」とは高ぶりすぎた「陽」の気を鎮め、体の中に潜ませることで、再び「陰陽」のバランスを整えることを目的とした治療法なのです。 具体的な方法としては、漢方薬の処方、鍼灸治療、食事療法、生活習慣の改善などが挙げられます。症状や体質に合わせて、これらの方法を組み合わせることで、より効果的に「陽」の気を鎮静化していきます。
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瘀血を逐う:逐瘀療法とは?

- 東洋医学における瘀血 東洋医学では、健康を保つために体内を「気」と呼ばれる生命エネルギーがスムーズに流れていることが重要だと考えられています。この気は、全身に栄養を届けたり、老廃物を排出したりするために不可欠なものです。 しかし、様々な要因によってこの気の巡りが滞ってしまうことがあります。この気の滞りを「瘀(お)」と呼びます。特に、血液の循環が悪くなり、滞っている状態を「瘀血(おけつ)」と言います。 瘀血は、体の様々な場所に影響を及ぼし、多岐にわたる不調の原因となると考えられています。例えば、月経痛や月経不順、肩こり、頭痛、冷え性、しびれ、肌のくすみなど、様々な症状が現れることがあります。これは、血液が滞ることで、体内の組織や器官に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなるためです。また、老廃物がうまく排出されずに体内に蓄積してしまうことも、瘀血による不調の一因と考えられています。 東洋医学では、瘀血の改善には、食生活や生活習慣の見直し、鍼灸治療、漢方薬の服用などが有効とされています。
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体の滞りを解消:活血化瘀のススメ

- 東洋医学における血瘀とは? 東洋医学では、健康を保つためには、体内の「気・血・水」という3つの要素が円滑に循環していることが重要だと考えられています。これらはそれぞれ生命エネルギー、栄養を運ぶ血液、そして体液を指し、互いに影響し合いながら体の機能を支えています。 このうち、「血」の流れが滞ってしまう状態を「瘀血(おけつ)」と言います。「瘀」は「滞る」という意味があり、血瘀とは、血液がスムーズに流れず、滞っている状態を指します。 血液は、体中に酸素や栄養を運び、老廃物を回収する役割を担っています。しかし、血瘀が起こると、この重要な働きが阻害されてしまいます。体内をスムーズに巡ることができなくなった血液は、やがてドロドロとした状態になり、血管を詰まらせたり、組織に栄養を届けにくくしたりする可能性があります。 東洋医学では、この血瘀が様々な体の不調の原因となると考えられており、その症状は多岐にわたります。例えば、血瘀によって引き起こされる痛みは、刺すような鋭い痛みであることが多いと言われています。また、血瘀は冷えや肩こり、腰痛、しびれ、月経不順、肌のくすみ、便秘など、様々な症状を引き起こす可能性があります。 さらに、血瘀は心の状態とも密接に関係していると考えられています。精神的なストレスや緊張が続くと、血瘀が生じやすくなると言われています。逆に、血瘀によってイライラしやすくなったり、不安を感じやすくなったりすることもあります。
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漢方医学における破気:気鬱滞を解消する力強い治療法

- 気滞とは? 東洋医学では、目には見えないけれど、私たちが生きていくために必要なエネルギーが存在すると考えており、これを「気」と呼びます。この「気」は、体の中をくまなく巡り、様々な働きを助ける役割を担っています。 「気滞」とは、この「気」の流れが、まるで水路を水がスムーズに流れなくなるように、体内で滞ってしまう状態を指します。これは、過度な緊張や精神的な負担、不規則な生活習慣、食生活の乱れなど、様々な要因によって引き起こされます。 「気」は全身を巡りながら、心身の活動を支えているため、「気滞」が起こると、その影響は体の様々なところに現れます。 例えば、「気」の流れが滞ると、イライラしやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりと、精神的に不安定になりやすいと言われています。また、「気」は体の痛みとも密接に関わっており、「気滞」によって肩こりや頭痛、めまいなどが引き起こされることもあります。 さらに、「気」は消化吸収とも深く関わっているため、「気滞」になると、食欲不振や胃もたれ、便秘などを引き起こしやすくなるとも考えられています。 このように、「気滞」は一見、関係ないように思える様々な症状を引き起こす可能性があります。
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咳や痰に?消導剤の働きを解説

- 消導剤とは? 呼吸器系のトラブルを抱え、咳や痰に悩まされる時、漢方薬の世界では「消導剤」と呼ばれる種類の薬草を用いることがあります。 この消導剤は、その名の通り、体内に溜まった不要な水分や痰などの「導」き出すべきものを「消」化し、呼吸器系の働きをスムーズにすることを目的としています。 消導剤が効果を発揮するのは、主に粘り気の強い痰が絡む咳が出るときや、息苦しさを感じる時です。 これらの症状は、風邪や気管支炎、喘息など、様々な原因で引き起こされますが、いずれの場合も、呼吸器系に過剰な水分が溜まり、その結果として痰が発生している状態だと考えられます。 消導剤に含まれる生薬の働きによって、痰を薄くして排出しやすくする効果、炎症を抑えて咳を鎮める効果、気道の緊張を和らげて呼吸を楽にする効果などが期待できます。 具体的には、麻黄(マオウ)、杏仁(キョウニン)、桔梗(キキョウ)などが、それぞれの特性を生かして、呼吸器系の不調改善に貢献します。 ただし、消導剤はあくまでも対症療法であり、根本的な病気の治療を行うものではありません。 自己判断で安易に使用せず、必ず専門家の診断のもと、適切な処方を受けるようにしましょう。
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咳や痰にさようなら!:除痰剤のスッキリ効果

- 咳と痰の関係 咳は、空気の通り道である気道に、ウイルスや細菌、埃などの異物や、煙や冷気などの刺激を感じた際に、それを体外へ強制的に排出する、人間の持つ重要な防御反応です。咳をすることで、気道への侵入者を排除し、健康を守っています。 一方、痰は、気道で産生される粘液のことを指します。痰は、気道に入った異物を絡めとったり、気道の表面を潤して乾燥を防いだりするなど、重要な役割を担っています。つまり、痰自体は決して悪いものではなく、むしろ体を守るために必要不可欠な存在と言えます。 しかし、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかったり、タバコの煙や大気汚染などの刺激にさらされたりすると、体を守るために痰が過剰に分泌されることがあります。その結果、痰が絡みやすくなり、咳とともに排出されるようになります。 咳や痰は、一時的なものであれば心配ありませんが、長引いたり、息苦しさや発熱などの症状を伴う場合は、肺炎や気管支炎などの呼吸器疾患のサインである可能性も考えられます。自己判断せずに、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
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咳や痰に悩むあなたへ:祛痰剤の世界

- 祛痰剤とは -# 祛痰剤とは 「祛痰剤」とは、文字通り痰を取り除くための薬のことを指します。痰は、呼吸器の病気によって引き起こされることもありますが、東洋医学では、体のバランスが崩れた時に現れるサインの一つとして捉えます。そのため、ただ単に痰を排出するのではなく、その原因を突き止め、根本から治療することを目指します。 西洋医学では、痰の粘り気を弱めて排出を促す薬が一般的ですが、東洋医学では、患者の体質や症状に合わせて、様々な生薬を組み合わせた漢方薬を用います。例えば、風邪の初期症状で、寒気を感じ、透明で水っぽい痰が出る場合には、体を温めて発汗を促す作用を持つ「麻黄湯(まおうとう)」などが用いられます。一方、喉が乾燥して、粘り気のある黄色い痰が出る場合には、熱を取り除き、潤いを与える「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」などが有効です。 このように、東洋医学における祛痰剤は、体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目的としています。自己判断で服用せず、必ず専門家の診断を受けてから使用しましょう。
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熱を鎮める力強い味方 – 瀉火剤

- 熱を制する瀉火剤とは -# 熱を制する瀉火剤とは 東洋医学では、健康を保つためには体内の陰陽のバランスが重要だと考えられています。このバランスが崩れ、熱が過剰になると、様々な不調が現れると考えられています。この過剰な熱を取り除き、陰陽のバランスを整えるために用いられるのが瀉火剤です。 瀉火剤は、その名の通り、体内の余分な熱を冷ます効果に優れた生薬や処方を指します。私たちの身体は、暑さや湿気、過労やストレス、不適切な食事など、様々な要因によって熱を帯びることがあります。この熱が過剰になると、喉の痛みや咳、口内炎、動悸、不眠、イライラ、便秘といった症状が現れます。 瀉火剤は、これらの症状を改善するために、熱を取り除き、炎症を抑え、身体を冷やす作用があります。また、精神的な興奮を抑え、心を落ち着かせる効果も期待できます。 ただし、瀉火剤は体質や症状に合わない場合、かえって体調を崩す可能性もあります。自己判断で使用せず、必ず専門家の診断のもと、適切な処方を受けてください。
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東洋医学における清熱劑:熱を冷ます知恵

- 清熱劑とは -# 清熱劑とは 東洋医学では、健康を保つためには体内の陰陽のバランスが重要だと考えられています。このバランスが崩れ、熱が過剰に生じた状態を「熱証」と言います。熱証になると、発熱やのどの痛み、皮膚の炎症、便秘、イライラなど、様々な不調が現れると考えられています。 このような熱証を改善するために用いられるのが、清熱劑と呼ばれる漢方薬です。清熱劑は、体内の余分な熱を取り除き、炎症を鎮め、体のバランスを整える働きがあるとされています。 熱は、体内で様々な原因によって生じます。例えば、風邪やインフルエンザなどの感染症、過労、ストレス、睡眠不足、食生活の乱れなどが挙げられます。また、体質的に熱がこもりやすい人もいます。 清熱劑は、熱の発生源や症状に合わせて、様々な生薬を組み合わせて作られます。そのため、自己判断で服用するのではなく、漢方医の診断のもと、自分の体質や症状に合ったものを処方してもらうことが大切です。 清熱劑は、熱を取り除くだけでなく、体の免疫力を高め、自然治癒力を向上させる効果も期待できます。体の不調を感じたら、早めに専門家に相談し、適切な処置を受けるようにしましょう。
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生命の危機に瀕した時に用いる漢方治療「回陽救逆」

- 回陽救逆とは -# 回陽救逆とは 回陽救逆とは、今にも命が途絶えそうなほど危険な状態にある患者に対して行う、緊急性の高い治療法です。「陽気を回して逆境を救う」という言葉が表すように、意識がはっきりしなくなったり、体が冷えきったりするなど、生命力が著しく低下した状態を改善することを目指します。 西洋医学の考え方では、ショック症状や心肺停止といった状態に対応する治療法と言えます。具体的には、意識がなくなったり、呼吸が止まったり、脈が触れなくなったりした場合に、一刻も早く生命を維持するために施されます。その緊急性から、主に救急医療の現場や、症状が急変した際に用いられます。 回陽救逆は、単一の治療法を指すのではなく、状況に応じて鍼灸、お灸、マッサージなどを組み合わせて行われます。これらの手法を用いることで、気や血の巡りを改善し、低下した体の機能を回復させることを目指します。西洋医学とは異なる視点を持つ回陽救逆ですが、日本では古くから伝承されてきた治療法であり、現代においてもその有効性が認められています。近年では、西洋医学と東洋医学を組み合わせた統合医療の観点からも注目されています。
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体の乾燥対策に:治燥剤のススメ

- 体の乾燥とは? -# 体の乾燥とは? 秋の気配が濃くなり、心地よい風が吹き始めると、同時に肌の乾燥が気になる方も多いのではないでしょうか。 東洋医学では、このような乾燥状態を「燥(そう)」と捉え、体の内側と外側の両面から影響を受けていると考えます。 外的な要因としてまず挙げられるのは、秋になり湿度が下がることで空気が乾燥し、肌から水分が奪われやすくなることです。 また、冷たい風が肌に直接当たることも、乾燥を加速させる要因の一つです。 一方、内的な要因としては、体内の水分不足が考えられます。 夏の間に冷たい飲み物や食べ物を多く摂っていたり、暑さによる発汗で水分が失われていたりすることで、秋になると体の水分量が不足しやすくなります。 また、年齢を重ねるにつれて、体内の水分量を調整する機能が低下することも、乾燥を引き起こす要因となります。 乾燥は、肌のかさつきや喉の渇きといった症状だけでなく、咳や便秘、冷え性など、様々な不調を引き起こす可能性があります。 東洋医学では、これらの症状を改善するために、体の内側と外側の両方からアプローチしていくことが大切だと考えられています。
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体の渇きを潤す潤燥剤

- 潤燥剤とは 潤燥剤とは、東洋医学で用いられる漢方薬の一種で、その名の通り、体内の乾燥を取り除き、潤いを与えることを目的としています。東洋医学では、体内の水分バランスが乱れ、乾燥した状態を「燥」と呼びます。この「燥」の状態は、様々な不調を引き起こすと考えられており、潤燥剤は、このような「燥」の状態を改善するために用いられます。 体の潤いが不足すると、肌や髪が乾燥したり、目や口、喉の渇きを感じたりすることがあります。また、便秘や空咳、皮膚のかゆみなどの症状が現れることもあります。これらの症状は、体内の水分不足によって引き起こされると考えられています。 潤燥剤は、体質や症状に合わせて、様々な生薬を組み合わせることで、一人ひとりに合った漢方薬が作られます。例えば、乾燥による咳には杏仁や百合根、便秘には麦門冬や当帰などが用いられます。 潤燥剤は、体全体の水分バランスを整え、潤いを与えることで、乾燥による様々な不調を改善する効果が期待できます。しかし、自己判断で服用することは避け、必ず専門家の診断を受けてから服用するようにしましょう。
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体の余分な水分を取り除く! 祛湿剤のススメ

- 東洋医学における湿邪とは? 東洋医学では、私達の体や心は自然界と密接に繋がっていると考えられています。そして、その自然界には、風・寒・暑・湿・燥・火の六つの気候要素が存在し、これらが体内に過剰に入ってくることで、体のバランスを崩し、様々な不調を引き起こすと考えられています。この六つの要素を「六淫(りくいん)」と言い、その中の一つに「湿邪(しつじゃ)」があります。 湿邪とは、文字通り、体に余分な湿気が溜まっている状態を指します。まるで、じめじめとした梅雨の時期のように、体の中が重だるく、気の流れや水分の代謝が滞ってしまうイメージです。この状態が続くと、体に様々な不調が現れます。 例えば、頭が重だるく感じたり、体がむくんだり、食欲がなくなったり、消化不良を起こしやすくなります。 また、湿気は下に溜まりやすい性質を持つため、下半身がだるくなったり、足がむくみやすくなったり、下痢をしやすいといった症状が現れることもあります。さらに、関節に湿気が溜まると、関節の痛みを引き起こしたり、皮膚に影響して湿疹などの皮膚トラブルを引き起こすこともあります。 湿邪は、食生活の乱れや、冷えやすい体質、運動不足などが原因で引き起こされやすくなると考えられています。特に、冷たい飲み物や生もの、甘いもの、脂っこいものなどを過剰に摂取すると、体の中に湿気が溜まりやすくなります。また、ストレスや不眠なども、湿邪を助長する要因の一つです。
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夏の暑さ対策に! 祛暑剤のススメ

夏の強い日差しと高い湿度は、私たち人間にとって大変厳しいものです。このような気候条件は、ただ不快なだけでなく、時に健康を損ねる原因にもなりかねません。東洋医学では、夏の暑さを単なる気温の上昇として捉えるのではなく、「暑邪(しょじゃ)」という、健康を害する要因の一つとして捉えています。この「暑邪」が体に過剰に侵入すると、体内のバランスが崩れ、様々な不調が現れると考えられています。 具体的には、熱中症や夏バテ、食欲不振、倦怠感、イライラしやすくなる、めまい、吐き気など、夏の暑さに伴いやすい症状は、この「暑邪」の影響を受けている可能性があります。また、「暑邪」は湿度の高い環境と結びつきやすい性質を持つため、日本の高温多湿な夏は、「暑邪」の影響をより受けやすいと言えるでしょう。このような夏の暑さによる不調を防ぐためには、「暑邪」を体内に溜め込まない生活習慣を心がけることが大切です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、心身ともに健康な状態を保つようにしましょう。
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東洋医学における「解表剤」:その役割と効果

- 解表剤とは? -# 解表剤とは? 東洋医学では、風邪やインフルエンザなど、体表面に症状が現れる初期段階の病気を「表証(ひょうしょう)」と呼びます。 そして、この表証を改善するために用いられる漢方薬の一種を「解表剤」と言います。 解表剤は、発汗を促すことで、体の表面に侵入した「風邪(ふうじゃ)」と呼ばれる病原性の邪気を体外に追い出す働きをします。 風邪とは、東洋医学において、風邪やインフルエンザなどの感染症を引き起こすと考えられている、目に見えない病因のことです。 解表剤は、配合されている生薬の種類や組み合わせによって、その作用や効果が異なります。例えば、寒気を伴う風邪には体を温める作用の強い解表剤を、発熱や喉の痛みが強い風邪には熱を冷ます作用の強い解表剤を用いるなど、その人の症状に合わせて使い分けられます。 自己判断で安易に服用するのではなく、漢方医や薬剤師などの専門家に相談し、自分の体質や症状に合った解表剤を選ぶことが大切です。
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潤下剤:乾燥による便秘を解消する漢方

- 潤下剤とは -# 潤下剤とは 潤下剤とは、漢方医学において便秘の解消を目的として用いられる処方の一つです。\n「潤」は「潤す」、「下」は「下に通す」という意味があり、その名の通り、乾燥した腸に潤いを与え、便をスムーズに排出する効果が期待できます。 人の体は、適切な水分バランスが保たれていることで、健康な状態を維持することができます。しかし、ストレスや食生活の乱れ、加齢など様々な要因によって、体内の水分バランスが崩れ、腸が乾燥してしまうことがあります。このような状態になると、便が硬くなってしまい、排便が困難になります。\n潤下剤は、このような乾燥による便秘を改善するために用いられます。\n潤下剤は、単に便を柔らかくするだけでなく、腸に潤いを与えることで、便秘を根本から改善することを目指します。\nまた、自然由来の生薬を使用しているため、体への負担が少なく、安心して使用できるという利点もあります。ただし、潤下剤はあくまでも対症療法であり、便秘の根本的な原因を解消するものではありません。食生活の改善や運動不足の解消など、生活習慣の見直しも併せて行うことが大切です。\n便秘が改善しない場合は、自己判断せずに、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。\n
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温下剤:冷えからくる便秘を解消する漢方薬

- 温下剤とは -# 温下剤とは 温下剤は、冷えによって引き起こされる便秘を改善する漢方薬です。 その名の通り、身体を温めながら便通を促す効果があります。一般的な便秘薬とは異なり、温下剤は、単に便を排出させるのではなく、冷えからくる便秘の根本原因に対処することを目的としています。 漢方の考え方では、身体の冷えは様々な不調の原因となるとされています。特に、消化器官の働きが低下すると、便がうまく作られなかったり、腸の動きが鈍くなったりして便秘になりやすくなります。温下剤は、このような冷えによって滞った消化機能を温めて活性化し、身体の内側から便秘を改善していく効果が期待できます。 また、温下剤は、体質や症状に合わせて処方を変えることができるのも特徴です。冷えの程度や、便秘に伴う他の症状(腹痛、食欲不振、肩こりなど)に合わせて、適切な生薬を組み合わせることで、より効果的に症状を改善することができます。 自己判断で使用するのではなく、漢方の専門家である医師や薬剤師に相談の上、自身の体質や症状に合った温下剤を選ぶことが大切です。
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熱を冷まし滞りを流す:寒下剤の働き

- 東洋医学における寒下剤とは 東洋医学では、健康は、気・血・津液と呼ばれる生命エネルギーが体内をスムーズに巡り、バランスを保つことで維持されると考えられています。このエネルギーの流れが滞ったり、バランスが崩れたりすると、体に様々な不調が現れます。 このような不調を改善するために用いられる漢方薬の一つに、寒下剤があります。 -# 東洋医学における寒下剤とは 寒下剤は、その名の通り、冷やす作用(寒性)を持ち、体内の熱や毒を、便や尿として下方に排出する(下剤)作用を持つ生薬を配合した漢方薬です。 東洋医学では、便秘やニキビ、頭痛、肩こり、めまい、のぼせ、炎症など、体に熱がこもっている状態で起こる症状に対して用いられます。熱がこもる原因は、暴飲暴食や過労、ストレスなど様々です。 寒下剤は、これらの原因で生じた余分な熱を冷まし、便や尿として排泄することで、体のバランスを整え、症状を改善へと導きます。 ただし、寒下剤は、冷やす作用が強いため、体質や症状によっては、逆効果になる場合もあります。例えば、冷え性の人や、下痢気味の人が服用すると、症状が悪化する可能性があります。 そのため、寒下剤を服用する際は、自己判断せずに、必ず専門の医師や薬剤師に相談し、自分の体質や症状に合った漢方薬を処方してもらうことが大切です。
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東洋医学における攻下剤の役割

- 攻下剤とは -# 攻下剤とは 攻下剤は、東洋医学において、体内に蓄積した不要な物質を体外へ排出するために用いられる治療法です。 主な役割を担うのは下剤で、便秘の解消だけでなく、熱を下げたり、毒物を排泄したり、体内の水分バランスを整えたりと、様々な効果が期待できます。 東洋医学では、病気の原因の一つとして、体内の老廃物や毒素の蓄積が考えられています。 これらの不要な物質が体内に留まることで、気の流れが滞り、様々な不調を引き起こすとされています。攻下剤は、これらの不要物を積極的に排出することで、気の流れをスムーズにし、身体のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目的としています。 しかし、攻下剤は、その人の体質や症状に合わせて慎重に用いられるべきものです。 体力が低下している場合や、症状が重い場合には、攻下剤の使用によって体力をさらに消耗させてしまう可能性もあるため、注意が必要です。 また、自己判断で攻下剤を使用することは大変危険です。必ず、専門知識を持った漢方医や薬剤師に相談し、適切な指導を受けるようにしましょう。
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東洋医学における瀉下剤:自然な排泄を促す

- 瀉下剤とは何か -# 瀉下剤とは何か 「瀉下剤」とは、東洋医学において、主に便秘の解消を目的として用いられる生薬や処方のことを指します。現代医学で用いられる下剤と似た側面もありますが、東洋医学では、単に便通を促すことだけが目的ではありません。東洋医学では、便秘は体内のバランスが崩れた結果として捉えられ、その根本原因を改善することが重要だと考えられています。 瀉下剤は、熱や冷えなど、体内の気・血・水の巡りを阻害している原因を取り除きながら、自然な排便を促すことを目的としています。そのため、患者さんの体質や症状に合わせて、様々な生薬が単独、あるいは組み合わせて用いられます。例えば、熱を取り除く効果のある生薬、冷えを取り除く効果のある生薬、腸の動きを活発にする効果のある生薬などが、症状に合わせて選択されます。 東洋医学における治療では、患者さん自身の自然治癒力を高めることを重視します。瀉下剤の使用も、一時的な便秘解消ではなく、体質改善や根本治療の一環として行われます。自己判断で瀉下剤を使用することは避け、必ず専門家の診断のもと、適切な処方を受けるようにしましょう。
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冷え知らずの体へ:祛寒剤のススメ

- 体の芯から温める力 -# 体の芯から温める力 「冷えは万病の元」という言葉があるように、 冷えは体に様々な不調を引き起こす可能性があります。 体の表面が冷たいだけならまだしも、内側から冷えを感じ、なかなか温まらないといった深刻な冷えに悩まされている方も少なくないでしょう。 そんな冷えやすい体質を改善するために、 古くから東洋医学では様々な方法が用いられてきました。 その中でも注目すべきは、体の内側から温める力を持つ漢方薬です。 これらの漢方薬は、「祛寒剤(きょかんざい)」と総称され、 冷えを感じやすい、冷えやすいといった症状に悩まされている方にとって、まさに救世主のような存在と言えるでしょう。 体の冷えは、単に気温が低いことだけが原因ではありません。 ストレスや食生活の乱れ、睡眠不足など、現代社会には体を冷やす要因が多く潜んでいます。 祛寒剤は、これらの要因によって乱れた体のバランスを整え、 冷えにくい体作りをサポートしてくれるのです。 冷えに悩まされがちな方は、ぜひ一度、東洋医学の知恵が詰まった祛寒剤を試してみてはいかがでしょうか。
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風邪薬だけじゃない?知っておきたい「治風剤」の世界

- 治風剤とは? 東洋医学では、風邪を引いた時に用いる漢方薬のことを「治風剤」と呼びます。 風邪薬と似た印象を持つかもしれませんが、両者には違いがあります。一般的な風邪薬は、熱や鼻水といった症状を抑えることを目的としているのに対し、治風剤は風邪の原因そのものに働きかけ、身体の根本から治癒することを目指します。 東洋医学では、風邪は「風」の邪気が身体に侵入することで起こると考えられています。この「風」は、自然界に存在する風の力強さや変わりやすさを持ち合わせており、時に寒さや熱、湿気などを伴って私たちの身体を攻撃します。 治風剤は、このような「風」の邪気を体外に排出し、身体のバランスを整えることで、風邪を根本から治癒へと導きます。漢方薬は自然の生薬を組み合わせることで、様々な症状に対応できるのも大きな特徴です。そのため、一人ひとりの体質や症状に合わせて処方を変えることで、より効果的に風邪を治療することができます。
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風邪を取り除く漢方薬:祛風剤

- 風の邪気と漢方 漢方医学では、ありとあらゆる病気の原因は、体内の気のバランスが崩れることだと考えられています。そして、その気のバランスを崩す原因の一つに、「邪気」の侵入があります。邪気とは、自然界に存在する目に見えない邪悪なエネルギーのようなもので、気温や湿度の変化、風の強さなどによって、私たちの体に侵入してきます。 風邪は、その名の通り「風の邪気」によって引き起こされると考えられています。風の邪気は、特に体の表面から侵入しやすく、鼻や喉などの呼吸器に影響を与えやすいのが特徴です。そのため、くしゃみや鼻水、喉の痛みといった症状が現れます。また、風の邪気は動きが速いため、頭痛や発熱、関節痛など、全身に症状が現れることもあります。 漢方では、その人の体質や症状に合わせて、風邪の原因である風の邪気を追い出す漢方薬を選んでいきます。葛根湯や小青竜湯など、様々な漢方薬があり、自己判断ではなく、漢方の専門家に相談することが大切です。