乳房の炎症、乳發とは?
東洋医学を知りたい
先生、『乳發』って東洋医学の用語でどういう意味ですか?
東洋医学研究家
良い質問だね。『乳發』は、乳房がひどく化膿してしまって、そこから壊死したり、おできのようなものができたりする状態を指す言葉だよ。
東洋医学を知りたい
ひどく化膿するって、具体的にどんな感じですか?
東洋医学研究家
例えば、乳腺炎がさらに悪化して、乳房が赤く腫れ上がり、熱を持って激しく痛むような状態だね。重症化すると、膿が溜まって切開が必要になることもあるんだよ。
乳發とは。
乳發の概要
– 乳發の概要
乳發とは、乳房に生じる、膿がたまるほどの深刻な炎症のことを指します。細菌が乳腺組織に侵入し、増殖することで激しい痛みと腫れを引き起こします。
乳發は、母乳を作り出す乳腺組織と、母乳を乳頭まで運ぶ乳管に、細菌が感染することで起こります。細菌は、乳頭の傷や、乳汁が乳房内に溜まることなどから侵入し、炎症を引き起こします。
乳發は、授乳中の女性に多く見られます。これは、授乳により乳頭が傷つきやすく、細菌が侵入しやすくなるためです。また、母乳が乳房内に溜まりやすい状態も、細菌の増殖を促し、乳發のリスクを高めます。
授乳経験のない女性や男性でも、乳發を発症する可能性はあります。乳頭の傷や免疫力の低下、乳腺の詰まりなどは、性別を問わず乳發のリスク因子となります。
乳發は、適切な治療を行わないと、症状が悪化し、日常生活に支障をきたすこともあります。乳房に痛みや腫れを感じた場合は、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
項目 | 詳細 |
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定義 | 乳房に膿がたまる深刻な炎症 |
原因 | 乳腺組織と乳管への細菌感染
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リスク因子 |
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注意点 | 早期の医療機関への受診と適切な治療が必要 |
乳發の症状
– 乳發の症状
乳發とは、乳房に起こる炎症性疾患で、授乳期に多く見られます。主な症状としては、乳房の痛み、腫れ、熱感を伴う赤い発疹が挙げられます。これらの症状は、患部を押すとさらに強く感じることがあります。また、これらの局所症状に加えて、悪寒や高熱、体のだるさといった全身症状が現れることもあります。
さらに、乳汁の分泌にも影響が出ることがあります。具体的には、乳汁の分泌量が減ったり、乳汁に血液が混ざったりすることがあります。
症状が悪化すると、乳房内に膿が溜まり、皮膚表面が赤紫色に変色して激しい痛みを伴う腫瘍ができることがあります。これは「癰(よう)」と呼ばれるもので、乳發の重症化した状態を示しています。癰ができた場合は、早急に医師の診察を受ける必要があります。
症状 | 詳細 |
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局所症状 |
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全身症状 |
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乳汁への影響 |
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重症化 (癰) |
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乳發の原因
– 乳發の原因
乳發は、乳房に痛みや腫れを伴う症状で、授乳中の女性によく見られます。その主な原因は細菌感染であり、特に黄色ブドウ球菌と呼ばれる細菌が感染することで発症することが多くなっています。
細菌は、乳頭の傷口や乳管から乳腺組織に入り込み、炎症を引き起こします。乳汁は通常、乳腺で作られ、乳管を通って乳頭から分泌されますが、この過程が滞ると細菌が繁殖しやすくなります。例えば、乳汁の分泌不良や、乳児が十分に母乳を飲まないことによる乳汁の停滞などは、細菌感染のリスクを高める要因となります。
また、乳頭が傷ついている場合も細菌が侵入しやすくなるため、乳發のリスクが高まります。授乳中の女性は、乳児の吸い付き方や授乳姿勢に注意し、乳頭を傷つけないようにすることが大切です。
さらに、疲労やストレスなども免疫力の低下を引き起こし、乳發の発症を促す可能性があります。十分な休養と栄養を摂り、ストレスを溜め込まないようにすることが大切です。
その他、糖尿病などの基礎疾患がある場合も、免疫力が低下するため、乳發を発症しやすくなることがあります。基礎疾患がある場合は、医師に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。
乳發の原因 | 詳細 |
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細菌感染 |
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乳汁の停滞 |
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乳頭の傷 | 細菌が侵入しやすくなる |
疲労やストレス | 免疫力の低下を引き起こし、発症を促す可能性 |
基礎疾患 | 糖尿病などの基礎疾患があると免疫力が低下し、発症しやすくなる |
乳發の治療
– 乳發の治療
乳發は、乳腺に細菌が入り込み炎症を起こす病気で、授乳中の女性に多くみられます。治療は、炎症の原因や症状の重さによって異なってきます。
細菌感染が原因で起こる乳發の場合、治療の中心となるのは抗生物質の使用です。 抗生物質は、飲み薬として服用したり、血管に直接投与したりします。症状が重い場合は、入院して集中的に治療を行うこともあります。
乳房の痛みや発熱などの症状を和らげるために、痛み止めや解熱鎮痛剤が処方されることもあります。 また、炎症を抑え、痛みを軽減するために、乳房を冷やすことも有効です。冷やし方は、氷嚢や冷湿布などを患部に当てる方法があります。
乳房に膿が溜まっている場合は、切開して膿を外に出す処置が必要になることがあります。 この処置は、局所麻酔をしてから行います。
乳發を予防するためには、日頃から乳頭の清潔を保つことが大切です。授乳の前後には、石鹸と水で丁寧に乳頭を洗いましょう。また、乳児に正しい方法で授乳することも大切です。乳児が乳頭を深くくわえられていないと、乳腺が傷つき、細菌感染のリスクが高まります。
授乳中は、十分な休息と栄養を摂るように心がけましょう。睡眠不足や栄養不足は、体の抵抗力を低下させ、乳發のリスクを高める可能性があります。
乳房に痛みや腫れ、赤みなどの症状が出た場合は、自己判断せずに、早めに医療機関を受診しましょう。 早期に適切な治療を開始することで、症状の悪化を防ぐことができます。
症状・原因 | 治療法 |
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細菌感染 | ・抗生物質の服用 ・抗生物質の点滴静注 ・症状が重い場合は入院 |
乳房の痛みや発熱 | ・痛み止めや解熱鎮痛剤の服用 ・冷罨法(氷嚢、冷湿布など) |
乳房に膿が溜まっている場合 | ・切開排膿(局所麻酔) |
東洋医学的な視点からの乳發
東洋医学では、体の不調は、気・血・水のバランスが崩れることで起こると考えます。乳腺炎も、この考え方に基づいて捉えられます。
乳腺炎は、東洋医学的には「乳癰(にゅうよう)」と呼ばれ、主に「肝気鬱結(かんきうっけつ)」、「気滞血瘀(きたいけつお)」、「熱毒壅盛(ねつどくようせい)」といった病態が原因と考えられています。
「肝気鬱結」は、ストレスや精神的な緊張が続き、気の流れが滞ってしまう状態です。イライラしやすくなったり、胸が張ったり、気分が落ち込みやすくなったりします。
「気滞血瘀」は、気の滞りが長引くことで、血の流れも悪くなってしまう状態です。乳房にしこりができたり、痛みが生じたりします。
「熱毒壅盛」は、体内に熱がこもり、炎症を引き起こしている状態です。乳房が赤く腫れ上がったり、熱を持ったり、痛みが激しくなったりします。
東洋医学では、これらの病態に合わせて、鍼灸治療や漢方薬の処方、食事療法、生活習慣の改善などを行います。
鍼灸治療は、身体のツボに鍼やお灸を施すことで、気・血・水のバランスを整え、症状の改善を図ります。漢方薬は、個々の体質や症状に合わせて処方され、身体の内側から不調を改善していきます。
また、バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動などの生活習慣の改善も、乳腺炎の予防や改善に役立ちます。
病態 | 説明 | 症状 |
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肝気鬱結(かんきうっけつ) | ストレスや精神的な緊張で気の流れが滞る | イライラ、胸の張り、気分の落ち込み |
気滞血瘀(きたいけつお) | 気の滞りが長引き血の流れも悪くなる | 乳房のしこり、痛み |
熱毒壅盛(ねつどくようせい) | 体内に熱がこもり炎症を起こす | 乳房の赤み、腫れ、熱、激しい痛み |