東洋医学における平肝潜陽

東洋医学を知りたい
先生、『平肝潛陽』ってどういう意味ですか?漢字を見ると、肝臓を穏やかにするイメージはあるのですが…

東洋医学研究家
いいところに気がつきましたね。『平肝潛陽』は東洋医学の用語で、興奮しやすい肝の働きを鎮め、陽気を静める治療法を指します。

東洋医学を知りたい
興奮しやすい肝の働きって?肝臓って解毒とかする臓器ですよね?

東洋医学研究家
東洋医学では、肝は精神活動や自律神経の働きにも関わり、怒りっぽい感情とも関係が深いと考えられています。『平肝潛陽』は、そうした肝の興奮状態を鎮めることで、のぼせやイライラ、めまいなどを改善する効果があるとされています。
平肝潛陽とは。
東洋医学の言葉である『平肝潜陽』は、簡単に言うと、体の陰の気を補い血を養う薬と、鉱物や貝殻から作られた薬を使って、活発になりすぎた肝臓の働きを抑える治療法のことです。
平肝潜陽とは

– 平肝潜陽とは
-# 平肝潜陽とは
「平肝潜陽」とは、東洋医学における治療法の一つで、イライラしやすかったり、怒りっぽくなったり、顔が赤くなるなどの興奮しやすい状態や、高血圧、めまい、耳鳴り、不眠といった症状を改善することを目指します。これらの症状は、東洋医学では「肝陽上亢(かんようじょうこう)」と呼ばれる状態に起因すると考えられています。
東洋医学では、人間の身体には「気・血・水」と呼ばれる重要な物質が循環しており、これらが滞りなく流れることで健康が保たれると考えられています。そして、心・肝・脾・肺・腎という五臓が、それぞれ独自の働きによってこの流れを調節していると考えられています。
「肝」は、東洋医学においては精神活動や自律神経の働き、血液の貯蔵、気の循環をスムーズにする働きなど、多岐にわたる役割を担うと考えられています。このうち「疏泄(そせつ)」と呼ばれる機能は、精神状態や情志の安定、気の円滑な循環に深く関わっています。
「肝陽」とは、この肝の機能である「疏泄」が過剰になり、上昇してしまうことを指します。これは、ストレスや過労、睡眠不足、不摂生などが原因で自律神経のバランスが崩れ、気が上昇してしまうことで起こると考えられています。
平肝潜陽は、亢進した肝の陽気を鎮静化し、落ち着かせることで、気の流れを正常な状態へと導くことを目的とした治療法です。具体的には、漢方薬の処方や鍼灸治療、食事療法、運動療法などを組み合わせて行います。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 平肝潜陽とは | 興奮しやすい状態や、高血圧、めまい、耳鳴り、不眠といった症状を改善する東洋医学の治療法 |
| 対象となる症状 | イライラ、怒りっぽい、顔が赤くなる、高血圧、めまい、耳鳴り、不眠など |
| 原因 | 肝陽上亢(かんようじょうこう):肝の疏泄機能が過剰になり、陽気が上昇した状態。ストレス、過労、睡眠不足、不摂生などが原因で起こると考えられる。 |
| 治療目的 | 亢進した肝の陽気を鎮静化し、落ち着かせることで、気の流れを正常な状態へと導く |
| 治療法 | 漢方薬の処方、鍼灸治療、食事療法、運動療法など |
治療のメカニズム

– 治療のメカニズム
「平肝潜陽」は、その名の通り肝の働きを鎮め、過剰に上昇した陽気を降ろす治療法です。そのメカニズムは、大きく分けて「補陰」と「潜陽」の二つの側面から成り立っています。
「補陰」とは、体内の潤いとなる「陰」を補うことで、相対的に亢進している「陽」を鎮める方法です。私たちの体は、「陰」と「陽」のバランスによって健康が保たれています。例えば、暑がりで汗をかきやすい、顔が赤くなりやすいといった状態は「陽」が亢進していると考えられます。このような場合に、体内の潤いを補うことでバランスを整え、過剰な熱を冷ます効果が期待できます。
一方、「潜陽」は、鎮静作用を持つ生薬を用いることで、上昇した陽気を穏やかに引き下げる方法です。これは、高ぶった感情を落ち着かせたり、興奮状態を鎮めたりする効果があります。まるで、風に吹かれて激しく波打つ海面に、静かに錨を下ろしていくように、陽気を鎮め、穏やかな状態へと導いていきます。
平肝潜陽は、この「補陰」と「潜陽」、二つのアプローチを組み合わせることで、肝の陽気を調整し、心身のバランスを整えていきます。肝の働きが整うことで、イライラや怒りっぽいといった感情の起伏を抑え、穏やかな精神状態へと導くと考えられています。
| 平肝潜陽のメカニズム | 説明 |
|---|---|
| 補陰 | 体内の潤い(“陰”)を補うことで、亢進した”陽”を鎮める。 例:暑がり、汗かき、顔面紅潮を改善する。 |
| 潜陽 | 鎮静作用のある生薬で、上昇した陽気を引き下げる。 例:高ぶった感情、興奮状態を鎮静する。 |
使用される生薬

– 使用される生薬
「平肝潜陽」は、その名の通り肝の陽気を鎮め、正常な状態に導く治療法です。この治療法には、大きく分けて「補陰薬」と「潜陽薬」という二種類の生薬が用いられます。
まず補陰薬についてですが、私たちの体にとって大切な潤いである「陰液」を補い、体の機能を円滑にする働きがあります。陰液が不足すると、体に熱がこもりやすくなり、のぼせやイライラ、不眠といった肝陽上亢の症状が現れやすくなります。
そこで、陰液を補う生薬として代表的なものが「当帰」や「芍薬」です。当帰は、血の巡りを良くする作用があり、冷え性や月経不順の改善にも用いられます。一方、芍薬は筋肉の緊張を和らげ、痛みを鎮める効果があります。これらの生薬は、不足した陰液を補い、体の潤いを保つことで、肝陽上亢によって引き起こされる様々な症状を和らげるのです。
一方、潜陽薬は、高ぶった陽気を鎮静化し、落ち着かせる働きがあります。「竜骨」や「牡蠣」、「代赭石」といったものが代表的な潜陽薬です。竜骨や牡蠣は、貝殻を加工した生薬で、その重みで陽気を鎮め、安定させる効果があるとされています。また、代赭石は、赤褐色の鉱物で、熱を冷まし、心を落ち着かせる効果があります。
このように、平肝潜陽に用いられる生薬は、それぞれ異なる働きを持つ二つの種類に分けられます。そして、これらの生薬を組み合わせることで、肝の陽気を効果的に調整し、心身のバランスを整えていくのです。
| 種類 | 生薬 | 効能 |
|---|---|---|
| 補陰薬 | 当帰 | – 血の巡りを良くする – 冷え性や月経不順の改善 – 不足した陰液を補い、体の潤いを保つ |
| 芍薬 | – 筋肉の緊張を和らげ、痛みを鎮める – 不足した陰液を補い、体の潤いを保つ |
|
| 潜陽薬 | 竜骨・牡蠣 | – 陽気を鎮め、安定させる |
| 代赭石 | – 熱を冷まし、心を落ち着かせる |
期待される効果

– 期待される効果
「平肝潜陽」とは、東洋医学の考え方において、興奮状態にある肝の働きを鎮め、上昇した気を降ろすことで、体のバランスを整える治療法を指します。
この治療法によって、めまいや耳鳴り、頭痛といった頭部の不快感や、不眠、イライラといった精神的な不安定症状、さらに高血圧といった、いずれも「肝陽上亢」と呼ばれる状態が原因で起こるとされている症状の改善が期待できます。
肝陽上亢とは、簡単に言うと、自律神経の乱れやストレスなどにより、体の上部に熱や気が偏った状態を指します。平肝潜陽はこの状態を改善することで、体全体の陰陽のバランスを整え、本来体が持つ自然治癒力を高め、病気に対する抵抗力を高める効果も期待できます。
しかし、平肝潜陽は、あくまで一時的に症状を抑える対症療法であることを忘れてはなりません。根本的な体質改善を目指すには、日々の生活習慣の見直しや、体質に合った食事療法を取り入れるなど、多角的なアプローチが重要となります。
| 治療法 | 期待される効果 | 適応症状 | 注意事項 |
|---|---|---|---|
| 平肝潜陽 | 興奮状態にある肝の働きを鎮め、上昇した気を降ろすことで体のバランスを整える。体全体の陰陽のバランスを整え、本来体が持つ自然治癒力を高め、病気に対する抵抗力を高める。 | めまい、耳鳴り、頭痛、不眠、イライラ、高血圧など「肝陽上亢」と呼ばれる状態が原因で起こるとされている症状 | 一時的に症状を抑える対症療法であり、根本的な体質改善には、日々の生活習慣の見直しや、体質に合った食事療法など、多角的なアプローチが必要 |
注意点

– 注意点
「平肝潜陽」は、肝の働きを整え、陽気を鎮める効果効能を持つ漢方薬です。しかし、その人の体質や症状によっては、期待する効果が得られないばかりか、体に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。例えば、消化機能の低下や倦怠感といった症状が現れる場合があります。
漢方薬は、自然由来の生薬を組み合わせているため、副作用が少ないというイメージを持たれがちですが、決して安全な薬ではありません。自己判断で服用するのではなく、必ず漢方の専門家である医師や薬剤師に相談し、適切な指導を受けるようにしましょう。
特に、妊娠中の方や、持病をお持ちの方は、服用前に必ず医師に相談することが重要です。漢方薬の中には、胎児に影響を及ぼす可能性のあるものや、服用中の薬との相互作用が懸念されるものも存在します。自己判断は避け、専門家の指示に従うようにしてください。
「平肝潜陽」の効果を最大限に引き出し、安全に服用するためにも、自己判断は禁物です。専門家の指導のもと、自身の体質や症状に合った治療法を選択することが大切です。
