脾胃俱虚:その原因と症状、そして改善策
東洋医学を知りたい
先生、『脾胃俱虛』ってどういう意味ですか?漢字だけ見ると、脾臓と胃が関係しているのは何となくわかるんですけど…
東洋医学研究家
いい質問ですね。『脾胃俱虛』は東洋医学の用語で、その名の通り脾臓と胃の両方が弱っている状態を指します。西洋医学の脾臓や胃とは少し考え方が違うので、注意が必要です。
東洋医学を知りたい
西洋医学とは違う考え方なんですか?具体的にどういう違いがあるんですか?
東洋医学研究家
西洋医学では、脾臓は主に免疫や血液に関わる臓器、胃は食べ物を消化する臓器と考えられていますよね。東洋医学では、脾臓は食べ物の栄養を吸収して全身に運ぶ働き、胃は食べ物を消化してエネルギーに変える働きを担うと考えられていて、互いに協力し合っていると考えられています。つまり『脾胃俱虛』は、これらの働きが両方とも弱っている状態を指すのです。
脾胃俱虛とは。
「脾胃俱虚」は、東洋医学で使われる言葉で、脾臓と胃の両方が弱っている状態を指します。この状態になると、胃が空っぽのような感覚や、息が上がりやすい、手足が冷える、水のような便が続くといった症状が現れます。
脾胃俱虚とは
– 脾胃俱虚とは
-# 脾胃俱虚とは
東洋医学において、人間の生命活動は「気・血・水」のバランスによって成り立っていると考えられています。そして、この重要な「気」を作り出す源となるのが、飲食物から栄養を吸収する「脾胃」という臓腑です。
脾胃俱虚とは、その名の通り脾と胃、両方の機能が低下している状態を指します。脾は主に消化吸収や水分代謝を、胃は飲食物を受け入れて消化する働きを担っていますが、これらの機能が衰えると、体内に十分な「気」を生み出すことができなくなります。
気は生命エネルギーの源であり、これが不足すると様々な体の機能が低下します。例えば、消化吸収がうまくいかずに食欲不振や下痢、胃もたれなどを引き起こしたり、体全体に栄養が行き渡らず、疲労感や倦怠感、息切れ、冷え症などを招いたりします。また、水分代謝が滞ることで、むくみや水太りにも繋がると考えられています。
このように、脾胃俱虚は単なる胃腸の不調ではなく、全身の健康状態に影響を及ぼす可能性があるのです。
項目 | 説明 |
---|---|
脾胃俱虚とは | 東洋医学において、脾と胃、両方の機能が低下している状態 脾と胃は「気」を作り出す源となる臓腑であり、これらの機能低下は全身の健康状態に影響を与える可能性がある |
脾の働き | 消化吸収、水分代謝 |
胃の働き | 飲食物を受け入れて消化する |
脾胃俱虚の症状 | 食欲不振、下痢、胃もたれ、疲労感、倦怠感、息切れ、冷え症、むくみ、水太りなど |
気 | 生命エネルギーの源であり、飲食物から栄養を吸収する「脾胃」によって作られる |
主な症状
– 主な症状
「脾胃俱虚」になると、消化吸収を司る働きが低下するため、様々な症状が現れます。
まず、胃の働きが弱まり、食事をなかなか受け付けなくなる、食事量が減ってしまうといった「食欲不振」が起こります。
また、少し食べただけでもお腹が一杯になったように感じたり、食後に胃がもたつく「胃もたれ」、ガスが溜まったような「膨満感」も現れやすくなります。
さらに、消化吸収機能の低下により、食べたものから栄養を十分に吸収することができなくなります。
その結果、顔色が悪くなったり、顔色が青白くなったり、いくら寝ても疲れが取れない、だるさが抜けないといった「疲労感」に悩まされることも少なくありません。
また、水分代謝の滞りも症状の一因です。
体内の水分をうまく処理できなくなり、余分な水分が溜まってしまうことで、顔がむくんだり、手足がむくんだりする「むくみ」が生じます。
また、反対に水分不足の状態になり、便が硬くなって排便が困難になる「便秘」や、反対に水分の多い便になる「下痢」を繰り返すこともあります。
その他にも、「脾胃俱虚」の特徴的な症状として、食後に強い眠気や倦怠感に襲われる、手足の冷えなどが挙げられます。
カテゴリ | 症状 |
---|---|
胃の機能低下 | 食欲不振 胃もたれ 膨満感 |
消化吸収機能の低下 | 顔色不良 疲労感 |
水分代謝の滞り | むくみ 便秘 下痢 |
その他 | 食後の強い眠気や倦怠感 手足の冷え |
原因
– 原因
脾胃の働きが衰える原因は実に様々ですが、現代人においては、食生活の乱れがその大きな要因の一つと言えるでしょう。冷たい食べ物や飲み物を頻繁に摂取したり、脂肪分の多い食事ばかりを摂っていると、脾胃に大きな負担がかかり、本来の機能を十分に発揮できなくなってしまいます。また、一度に食べ過ぎる、飲み過ぎるといった暴飲暴食や、決まった時間に食事を取らない不規則な食生活も、脾胃を弱らせる原因となります。
さらに、過労や睡眠不足、精神的なストレスなども、脾胃の働きを低下させる要因となります。現代社会においては、仕事や人間関係などでストレスを抱える人が多く、また、夜遅くまで活動したり、睡眠時間が十分に取れないといった生活習慣を送る人も少なくありません。このような生活は、自律神経のバランスを崩し、内臓機能の低下に繋がると考えられています。
さらに、年齢を重ねるにつれて、体の様々な機能が衰えるように、脾胃の働きも低下しやすくなります。そのため、高齢者は特に脾胃の健康に気を配り、生活習慣を見直すなどの対策を講じることが大切です。
原因 | 詳細 |
---|---|
食生活の乱れ | 冷たいもの、脂っぽいもの、暴飲暴食、不規則な食事 |
過労や睡眠不足、精神的なストレス | 自律神経のバランスを崩し、内臓機能の低下 |
加齢 | 体の様々な機能が衰える |
日常生活での対策
– 日常生活での対策
「脾胃俱虚」を改善するには、毎日の生活習慣を見直すことが非常に大切です。 食生活の改善は特に重要で、胃腸に負担をかけずに消化しやすい、温かいものを積極的に摂るように心がけましょう。
具体的には、ご飯をよく炊いて柔らかくしたり、野菜スープや煮物など、温かく消化しやすい調理法を取り入れると良いでしょう。また、よく噛んで、ゆっくりと時間をかけて食事をすることも大切です。早食いは胃腸に負担をかけるだけでなく、食べ過ぎにも繋がりやすいため注意が必要です。
反対に、冷たいものや、辛いもの、油っこいものなど、胃腸を刺激するものはできるだけ避けましょう。 これらの食べ物は、胃腸に負担をかけ、脾胃虚弱の症状を悪化させる可能性があります。
さらに、食べ過ぎや、空腹時のドカ食いは避け、腹八分目を心がけるようにしましょう。これは、胃腸に負担をかけないために非常に重要なことです。
食生活以外にも、質の高い睡眠を十分に取る、自分に合った運動を継続する、過度なストレスを溜めないなど、健康的なライフスタイルを心がけることが、脾胃の機能回復を助けることに繋がります。
項目 | 具体的な対策 |
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食事 |
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生活習慣 |
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養生法
– 養生法
-# 養生法
東洋医学では、健康を保つためには、病気になってから治療するのではなく、日頃から病気になりにくい身体づくりや生活習慣を心がける「養生」が重要だと考えられています。
特に、食べ物を消化吸収し、全身に栄養を届ける「脾胃(ひい)」の働きは、健康の根幹を担っています。脾胃が弱ると、食欲不振や消化不良、疲労感、冷え症など、様々な不調が現れやすくなります。
この脾胃の働きが弱った状態を「脾胃虚弱」といい、東洋医学では、食事療法、漢方薬、鍼灸治療などを組み合わせて、脾胃の機能を高める治療を行います。
食事療法では、脾胃を温め、消化吸収を助ける食材を積極的に摂ることが大切です。例えば、かぼちゃや山芋、もち米などの穀物は、身体を温める性質があり、胃腸に負担をかけずに消化しやすい食材です。また、鶏肉は消化がよく、胃腸を温める効果も期待できます。
さらに、生姜やネギなどの香味野菜は、身体を温め、消化を促進する効果があります。これらの食材を、煮込み料理やスープなど、胃腸に優しい調理法で食べるように心がけましょう。
漢方薬や鍼灸治療は、個々の体質や症状に合わせて、身体の内側から脾胃の機能を整えていくことができます。自己判断で漢方薬を使用したり、鍼灸治療を受けたりするのではなく、必ず専門家の指導のもと、適切な治療を受けるようにしましょう。
東洋医学の考え方 | 具体的な方法 | 効果・特徴 |
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病気になってから治療するのではなく、日頃から病気になりにくい身体づくりや生活習慣を心がける「養生」が重要 | 食事療法、漢方薬、鍼灸治療 | 健康を保つ |
食べ物を消化吸収し、全身に栄養を届ける「脾胃(ひい)」の働きを高める |
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脾胃虚弱(食欲不振や消化不良、疲労感、冷え症など)を改善する |
個々の体質や症状に合わせて、身体の内側から脾胃の機能を整える | 漢方薬、鍼灸治療 | 専門家の指導のもと、適切な治療を受ける |