湿邪が脾を傷つけるメカニズム

湿邪が脾を傷つけるメカニズム

東洋医学を知りたい

先生、『濕傷脾陰』ってどういう意味ですか?なんだか難しくてよくわからないです。

東洋医学研究家

そうだね。『濕』は体の中の水分、『脾』は消化吸収などをつかさどる機能のことだよ。この言葉は、体の中に余分な水分が溜まってしまうことで、『脾』の働きが弱ってしまう状態を表しているんだ。

東洋医学を知りたい

余分な水分が溜まると、なんで『脾』の働きが弱くなっちゃうんですか?

東洋医学研究家

例えば、ジメジメした部屋に長くいると、体がだるくなったり、食欲がなくなったりするよね?東洋医学では、それと同じように、体の中に余分な水分が溜まると、『脾』の働きが低下して、消化不良や倦怠感などを引き起こすと考えているんだよ。

濕傷脾陰とは。

東洋医学では、「湿」という言葉は体の中の水分がうまく巡っていない状態を指します。「湿傷脾陰」とは、体の中に溜まった余分な水分が、熱を持つことで体に悪い影響を与える状態を指します。そして、この熱によって「脾陰」という、消化や水分代謝を司る機能が低下してしまうのです。

湿邪とは

湿邪とは

– 湿邪とは

東洋医学では、自然界には「風」「寒」「暑」「湿」「燥」「火」という六つの気があり、これらが私たちの健康に影響を与えていると考えられています。これらは六淫と呼ばれ、通常は自然のバランスを保っていますが、何らかの原因でバランスが崩れ、これらの気が過剰になると、体に悪影響を及ぼすとされています。

その中でも「湿」は、梅雨の時期など、湿度が高く、ジメジメした環境で悪影響を及ぼしやすいため、特に注意が必要です。「湿邪」とも呼ばれるこの湿の気は、体内に侵入すると、まるで重たい水が体に染み込むように、停滞しやすく、体の様々な機能を低下させます。

湿邪が体に過剰に溜まると、倦怠感や重だるさ、食欲不振、むくみ、下痢、関節痛など、様々な不調が現れます。さらに厄介なことに、湿邪は他の邪気と結びつきやすい性質を持っているため、寒邪と結びつけば「冷え」や関節痛を、暑邪と結びつけば、むくみやだるさをさらに悪化させることもあります。

このように、湿邪は私たちの体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。梅雨の時期はもちろんのこと、湿気の多い環境では、湿邪の対策を心がけることが大切です。

項目 内容
湿邪とは 東洋医学で、六淫の一つである「湿」の邪気が体に過剰に侵入した状態。

梅雨の時期など、湿度が高くジメジメした環境で悪影響を及ぼしやすく、体に停滞しやすい性質を持つ。
湿邪の症状 倦怠感、重だるさ、食欲不振、むくみ、下痢、関節痛など。

他の邪気と結びつきやすく、
寒邪と結びつくと冷えや関節痛、
暑邪と結びつくとむくみやだるさを悪化させる。
注意点 湿気の多い環境では、湿邪の対策を心がけることが重要。

湿から生まれる熱

湿から生まれる熱

– 湿から生まれる熱

-# 湿から生まれる熱

じめじめとした湿気は、私たちの体に様々な不調をもたらします。東洋医学では、これを湿邪と呼びます。湿邪は、体内に長く留まることで、まるで古くなった水が腐敗するように、体に悪影響を及ぼします。

さらに厄介なことに、この湿邪は、体内に長期間滞留することで、熱を生み出すことがあります。これは、湿気がこもって蒸発し、熱に変化することに例えられます。まるで、蒸し暑い部屋に長時間いると、体がだるく、熱っぽくなるようなものです。この熱を「湿熱」と呼び、湿邪単独の場合よりも、症状が重くなる傾向があります。

湿熱になると、体が重だるい、食欲がない、といった湿邪の症状に加えて、高熱が出たり、黄色味がかった濃い鼻水が出たり、口が渇いたり、尿の量が減ったり、下痢をしたりといった症状が現れます。

原因 状態 症状
湿邪が長期的に体内に滞留 湿邪→湿熱
  • 体が重だるい
  • 食欲不振
  • 高熱
  • 黄色味がかった濃い鼻水
  • 口の渇き
  • 尿量の減少
  • 下痢

脾陰への影響

脾陰への影響

– 脾陰への影響

東洋医学では、脾は食べ物の消化吸収を担い、全身に栄養を送り届ける重要な役割を担っています。 健康を保つためには、脾の働きが常に良好であることが大切です。しかし、脾は湿気に弱い性質があり、外界の湿った空気や、水分の摂り過ぎなどによって、湿邪の影響を受けやすい臓腑と言われています。

湿邪が脾の働きを阻害すると、食欲がなくなったり、食べても消化不良を起こしやすくなります。また、体が重だるく、疲れやすい、便が軟らかくなるなどの症状が現れます。さらに、湿邪は体内で熱を生み出す性質があり、この湿邪から生じた熱を湿熱と言います。 湿熱は、脾の陰液を傷つけ、様々な不調を引き起こす原因となります。

陰液とは、私たちの体を潤す、いわば冷却水のような役割を持つ大切な体液です。脾陰は、この陰液の中でも、脾の働きを正常に保つために欠かせないものです。脾陰が不足すると、口が渇きやすくなる、便が硬くなる、皮膚が乾燥するなどの症状が現れます。 これらの症状は、私たちの体が乾燥している状態であることを示しており、放置すると、様々な病気の原因となる可能性があります。

要素 説明 症状
– 食べ物の消化吸収
– 全身に栄養を送り届ける
– 食欲不振
– 消化不良
– 体のだるさ、疲れやすさ
– 軟便
湿邪 – 脾の働きを阻害する
– 体内で熱を生み出す(湿熱)
– 食欲不振
– 消化不良
– 体のだるさ、疲れやすさ
– 軟便
湿熱 – 脾の陰液を傷つける – 口の渇き
– 便秘
– 皮膚の乾燥
脾陰 – 脾の働きを正常に保つために必要な陰液 – 口の渇き
– 便秘
– 皮膚の乾燥

湿傷脾陰への対策

湿傷脾陰への対策

– 湿傷脾陰への対策

じめじめとした湿気の多い季節は、とかく体調を崩しやすくなります。東洋医学では、このような時期に体に侵入し悪影響を及ぼす「湿邪(しつじゃ)」という概念があります。湿邪は、特に消化吸収を司る「脾(ひ)」の働きを弱らせ、体に余分な水分を溜め込みやすくなります。

この湿邪によって引き起こされるのが「湿傷脾陰(しつしょうひいん)」という状態です。脾の働きが弱ると、食欲不振、消化不良、倦怠感、むくみといった症状が現れます。

湿傷脾陰を防ぐには、まずは湿気をため込まない生活習慣を心がけることが大切です。具体的には、湿度が高い環境を避け、除湿機や換気を活用して、住まいの湿度を適切に保ちましょう。また、適度な運動も効果的です。軽い運動でも汗をかくことで、体内の水分代謝を促し、湿気を排出することができます。

食事にも気を配りましょう。東洋医学では、食養生は健康の基礎と考えられています。脾の機能を高める食材を積極的に摂り入れることが湿傷脾陰対策には重要です。例えば、薏苡仁(ヨクイニン)や白扁豆(ビャクヘンズ)、茯苓(ブクリョウ)などは、利水作用や健脾作用があるとされ、古くから湿邪対策に用いられてきました。

湿傷脾陰は、日常生活の中で少し意識を変えることで予防できるものです。自身の体質や体調に合わせて、今回ご紹介した対策法を実践してみてください。

湿傷脾陰への対策 具体的な方法
住環境
  • 湿度が高い環境を避ける
  • 除湿機や換気を活用する
運動 適度な運動で汗をかく
食事
  • 脾の機能を高める食材を摂る
  • 薏苡仁(ヨクイニン)、白扁豆(ビャクヘンズ)、茯苓(ブクリョウ)などを活用する
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