漢方の治療

東洋医学における『下気』:逆流する気を整える

- 『下気』とは何か 東洋医学では、人間の身体には『気』と呼ばれる生命エネルギーが流れており、この『気』の流れがスムーズであることが健康を保つためにとても重要だと考えられています。 この『気』は、全身を循環していますが、その流れには様々な種類があり、その一つに『下気』と呼ばれるものがあります。 『下気』とは、肺や胃に存在する『気』が、重力に従って上から下へと下降していく自然な流れのことを指します。 呼吸をする際には、まず肺に空気を吸い込みますが、この時、肺にある『気』も同時に取り込まれます。そして、この『気』が下がる力によって、吸い込んだ空気を体全体に行き渡らせたり、食べたものを胃で消化しやすくしたりするのです。 つまり、『下気』は、私たちが生きていく上で欠かせない呼吸や消化吸収といった重要な体の機能を支えるために、無くてはならない働きをしていると言えるでしょう。
漢方の治療

東洋医学における降気の概念

- 降気とは -# 降気とは 東洋医学では、目には見えない「気」というエネルギーが体の中を循環することで、健康が保たれると考えられています。この気の流れが、何らかの原因で乱れてしまうことがあります。その中でも、肺の気と胃の気が本来下降すべきところを、逆に上昇してしまう状態を「気逆」と呼びます。「降気」とは、この気逆の状態を改善し、肺と胃の気を本来あるべき下降方向へ導き、正常な状態に戻すことを意味します。 私たちの体の中では、気は絶えず循環しており、それぞれ特定の方向へ流れることで健康が保たれています。呼吸によって肺に取り込まれた清気は、全身へと送られるために下降していきます。一方、飲食物から作られる胃の気は、栄養を全身に送るために下降し、消化を助ける働きをしています。このように、肺と胃の気はどちらも下降するのが自然な状態です。しかし、ストレスや過労、暴飲暴食、冷えなど、様々な要因によってこの流れが逆行してしまうことがあります。これが「気逆」と呼ばれる状態で、咳、喘息、しゃっくり、嘔吐といった症状として現れます。 降気を促すためには、生活習慣の見直しや、漢方薬、鍼灸、マッサージなどの東洋医学的な治療法が用いられます。これらの治療法を通じて、気の流れを整え、肺と胃の気を下降させることで、健康な状態を取り戻すことを目指します。
漢方の治療

東洋医学における降逆下気:肺と胃の気の逆流を整える

- 降逆下気とは -# 降逆下気とは 降逆下気とは、東洋医学において重要な治療法の一つです。その名の通り、「逆らう気を降ろし、気を下す」という意味を持ちます。私たちの体には、「気」と呼ばれる生命エネルギーが流れていると考えられており、この気は常に一定方向に流れることで健康が保たれています。しかし、過労やストレス、暴飲暴食など、様々な要因によってこの流れが乱れることがあります。気が正常な方向とは逆に上昇してしまうことを「気逆」と呼び、吐き気やげっぷ、咳、動悸、めまいなど、様々な不調を引き起こすとされています。 降逆下気は、まさにこの乱れた気の流れを正常な状態に戻すためのアプローチです。主に、肺や胃の気が上昇してしまうことで起こる症状を改善する目的で行われます。具体的には、漢方薬の服用や鍼灸治療、ツボ押し、食養生など、様々な方法が用いられます。 現代社会はストレスが多く、生活習慣も乱れがちです。そのため、知らず知らずのうちに体に負担をかけてしまい、気逆の状態に陥っている人も少なくありません。降逆下気は、このような現代人にとって非常に重要な養生法と言えるでしょう。
内臓

東洋医学における肝火犯肺:怒りと呼吸の関係

- 肝火犯肺とは 東洋医学では、私たちの心と体は深く結びついており、その調和が保たれていることが健康の根本だと考えられています。しかし、様々な要因によってこのバランスが崩れると、体に不調が現れるようになります。そのバランスを崩す原因の一つに「肝火犯肺」という状態があります。 「肝火犯肺」とは、文字通り肝に生じた過剰な熱が、肺を攻撃することを意味します。東洋医学では、感情の変化やストレスは「肝」と密接な関係があるとされています。過度な緊張や怒り、 frustration などの感情を抱え続けると、「肝」に「火」の性質を持つ「気」が過剰に生じてしまいます。この熱が上昇し、隣接する「肺」に影響を及ぼすことで、咳や痰、喉の痛み、息切れなどの呼吸器症状が現れると考えられています。 現代社会は、ストレスや不眠、過労など、「肝火犯肺」を引き起こしやすい要因が多く存在します。特に、長時間労働や人間関係の悩み、将来への不安などは、「肝」に大きな負担をかけるため注意が必要です。バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を心掛けることはもちろんのこと、自分なりのストレス解消法を見つけるなど、心身の安定を保つことが「肝火犯肺」を防ぐためには重要です。
漢方の治療

肺を温め、寒さを散らす:温肺散寒

- 温肺散寒とは -# 温肺散寒とは 温肺散寒とは、東洋医学における治療法の一つで、冷えによって引き起こされる肺の不調を改善することを目的としています。 肺は呼吸をつかさどる重要な臓器ですが、東洋医学では、外から侵入した寒邪が肺の機能を低下させ、咳や痰、息切れ、鼻水などの症状を引き起こすと考えられています。 この温肺散寒という治療法は、文字通り「肺を温め、寒さを散らす」という意味を持ちます。具体的には、ショウガやネギ、シナモンなど、体を温める効果のある食材や生薬を用いることで、肺に溜まった冷えを取り除き、その機能を正常な状態へと導いていきます。 温肺散寒は、風邪の初期症状や、冷えやすい体質の方、慢性的な気管支炎などに効果が期待できます。 ただし、熱がこもっている状態や、炎症が強い場合には適さない場合もあるため注意が必要です。自己判断せず、必ず専門家の診断のもとで治療を受けるようにしましょう。
漢方の治療

肺の冷えを取り除く: 温肺療法

- 温肺とは -# 温肺とは 温肺とは、東洋医学における治療法の一つで、その名の通り「肺を温める」ことを目的としたものです。 東洋医学では、肺は呼吸をつかさどるだけでなく、体内の気の流れや水分の代謝にも深く関わっているとされています。 そして、寒さや冷えの影響を受けやすい臓器と考えられています。 冷たい空気の吸入や、身体の冷えなどによって肺が冷えると、その機能が低下し、様々な不調が現れると考えられています。 例えば、咳、痰、息切れ、鼻水、くしゃみなどの呼吸器症状だけでなく、風邪を引きやすくなったり、アレルギー症状が悪化したりすることもあります。さらに、むくみや冷え性などの症状が現れることもあります。 このような場合に用いられるのが温肺という治療法です。具体的には、ショウガやネギ、ニンニクなど、身体を温める性質を持つ食材や生薬を積極的に摂ることで、肺を温め、その機能を高めていきます。 また、鍼灸やマッサージなどの方法で、肺と関連の深い経穴(ツボ)を刺激することでも、温肺の効果が期待できます。 温肺は、肺の機能を高めることで、様々な症状の改善を促すと考えられています。 ただし、症状や体質によっては、温肺が適さない場合もあるため注意が必要です。 気になる症状がある場合は、自己判断せずに、専門家の診断を受けるようにしましょう。
内臓

東洋医学における「支飮」:その原因と症状

- 「支飮」とは? 東洋医学では、人体を流れる「気・血・水」のバランスが健康を維持する上で重要と考えられています。このうち、「水」は体液全般を指し、その流れが滞ると様々な不調が現れるとされています。 「支飮」は、この「水」の停滞が肺で起こることで生じる病態です。 肺は、西洋医学においても呼吸をつかさどる重要な臓器ですが、東洋医学では肺は単なる呼吸器官ではなく、「気」を全身に巡らせる働きや、体内の水分を調節する働きも担っていると考えられています。体内の水分は、「津」や「液」といった形で全身を巡り、組織に栄養を与えたり、老廃物を排出したりする役割を担っています。 「支飲」は、この「津」が肺に過剰に溜まってしまった状態を指します。原因としては、肺の機能低下や、脾胃の機能低下による水分の代謝異常などが挙げられます。 症状としては、咳や痰、呼吸困難、むくみなどが現れます。西洋医学では、これらの症状は気管支炎や肺炎、心不全などと診断されることがあります。
漢方の治療

呼吸を楽にする!東洋医学の瀉肺平喘とは?

{東洋医学では、病気の原因となる要素をまとめて「邪」と呼びます。この邪には、風邪、暑邪、湿邪、燥邪、寒邪の五種類があり、これらが体に侵入することで様々な不調を引き起こすと考えられています。 呼吸が苦しくなる症状を引き起こす肺の病邪は、主に風邪、寒邪、湿邪などが肺に侵入し、蓄積することで起こるとされています。 例えば、冷たい外気に触れたり、冷えたものを飲食したりすることで寒邪が体に侵入し、肺に影響を与えることがあります。また、雨や湿度の高い環境に長くいることで体内に湿気がたまり、それが原因で肺の働きが低下することもあります。さらに、風邪をひいた際に、体内に侵入した風邪の邪気が肺に影響を及ぼし、呼吸困難を引き起こすこともあります。 これらの邪が肺の働きを阻害することで、呼吸が浅くなったり、息苦しさを感じたりといった症状が現れます。 東洋医学では、呼吸困難の症状に対して、その原因となっている邪の種類や状態を把握した上で、漢方薬の処方や鍼灸治療など、体に負担の少ない方法で治療を行います。
漢方の治療

肺を労り咳を鎮める斂肺止咳

- 東洋医学における咳と肺の関係 東洋医学では、咳は単なる呼吸器系の症状としてではなく、体全体のバランスの乱れ、特に肺の機能と深く結びついていると考えられています。 肺は、東洋医学では「五臓六腑」の一つに数えられ、「気」を体内に取り込む重要な役割を担っています。 「気」とは、生命エネルギーのようなもので、呼吸によって肺から取り込まれ、全身に送られます。この「気」の流れがスムーズであれば健康な状態と言えますが、何らかの原因で肺の機能が低下すると、「気」の流れが滞り、様々な不調が現れると考えられています。 咳は、この「気」の流れが滞り、肺の機能が正常に働かなくなった時に起こるサインの一つです。 特に、乾燥した空気や冷たい空気などによって肺が乾燥すると、「気」の通り道である「気道」も乾燥し、咳が出やすくなると考えられています。 また、東洋医学では、咳は大きく分けて「熱」「寒」「燥」「虚」の4つの状態に分類され、それぞれの状態に合わせて治療法が異なります。例えば、「熱」による咳には熱を冷ます効果のある薬草、「寒」による咳には体を温める効果のある薬草が使われます。 このように、東洋医学では、咳の原因や症状に合わせて、体全体のバランスを整えることで、根本から咳を改善することを目指します。 単に咳を止めるのではなく、その背景にある肺の機能低下や「気」の乱れに着目することで、より根本的な治療が可能になると考えられています。
漢方の治療

肺の冷えと水はけを改善: 温肺化飲療法

- 温肺化飲とは -# 温肺化飲とは 温肺化飲とは、東洋医学に基づいた治療法の一つで、その名の通り「肺を温め、停滞した水分を正常な状態に戻す」ことを目的としています。 東洋医学では、風邪や冷え、体内の水分の循環が悪くなることで、肺に余分な水分が溜まってしまう状態を「寒飲(かんいん)」と呼びます。温肺化飲は、この寒飲を改善するために用いられる治療法です。 具体的には、咳や痰、息苦しさといった呼吸器系の症状が見られる際に、その原因が寒飲であると判断された場合に、温肺化飲が選択されます。 温肺化飲では、肺を温める効果のある生薬と、水分の代謝を促す効果のある生薬を組み合わせた漢方薬が処方されます。 これらの生薬の効果によって、肺に溜まった余分な水分が排出され、呼吸器系の症状が改善すると考えられています。 ただし、自己判断で温肺化飲の漢方薬を使用することは大変危険です。症状が出ている場合は、必ず専門の医師または薬剤師に相談し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。
漢方の治療

東洋医学における温肺化痰:肺の寒痰を解消する方法

- 温肺化痰とは -# 温肺化痰とは 温肺化痰とは、東洋医学に基づいた治療法の一つで、肺に冷えが原因で生じた痰の蓄積を取り除くことを目的としています。 その名の通り、「肺を温め、痰を変化させる」という意味を持ち、咳や痰、息切れ、喘鳴といった呼吸器症状の改善に用いられます。 東洋医学では、肺は呼吸をつかさどるだけでなく、体内の水分代謝にも深く関わっているとされています。 そして、冷えによって肺の機能が低下すると、水分の代謝が滞り、体内に余分な水分が溜まって痰が発生すると考えられています。 温肺化痰では、肺を温める性質を持つ生薬を用いることで、肺の機能を回復させ、痰の排出を促します。 具体的には、麻黄や乾姜、細辛といった生薬が用いられます。これらの生薬は、単独で用いられることもあれば、他の生薬と組み合わせて、症状や体質に合わせて処方されます。 温肺化痰は、特に冷えやすい体質の方や、冬の寒い時期に呼吸器症状が悪化する方に向いている治療法です。 しかし、熱がこもっている状態や、乾燥が強い場合には適さない場合もあるため、自己判断で使用するのではなく、必ず専門家の診断を受けるようにしてください。
漢方の診察

東洋医学における陽水とは?

- 陽水という概念 東洋医学では、体の水分調節がうまくいかず、余分な水分が体に溜まってしまうことでむくみが起こると考えられており、これを「水腫」と呼びます。水腫は、その原因や症状から「陽水」と「陰水」の二つに分類されます。今回は、体の表面に近い部分に生じる水腫である「陽水」について詳しく解説していきます。 -# 陽水の原因 陽水は、主に体の防衛機能をつかさどる「気」の働きが弱まり、水分の代謝が滞ることが原因で起こると考えられています。風邪や疲労、冷え、暴飲暴食などが引き金となり、体の「気」を消耗させてしまうことで、陽水は引き起こされます。 -# 陽水の症状 陽水の特徴は、むくみが比較的やわらかく、指で押すとへこみやすい点にあります。また、顔や手足など体の表面に近い部分に症状が現れやすく、朝方に症状が強く、夕方になると軽くなる傾向があります。さらに、尿量は少なく、色は薄いという特徴も挙げられます。 -# 陽水の改善策 陽水を改善するには、弱った「気」の働きを取り戻し、水分の代謝を促すことが重要です。 * 食生活では、むくみを排出する効果のある豆類や野菜、きのこ類などを積極的に摂り入れましょう。また、冷たい飲み物や生ものは体を冷やすため控えめにし、温かい食事を心がけましょう。 * 日常生活では、適度な運動やストレッチを行い、「気」の循環を促しましょう。また、十分な睡眠をとり、体を休めることも大切です。 ただし、症状が改善しない場合や、他に気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診するようにしましょう。
漢方の治療

東洋医学における瀉肺: 熱を冷ます知恵

- 瀉肺とは -# 瀉肺とは 瀉肺とは、東洋医学における治療法の一つで、肺に溜まった余分な熱を取り除き、呼吸器の働きを整えることを目的としています。 東洋医学では、人間の身体は自然界と調和することで健康を保つと考えられており、そのバランスが崩れることで体調を崩すとされています。このバランスを乱す要因の一つに、「邪気」の侵入があります。邪気には様々な種類があり、その中でも熱の性質を持つ「火邪」は、肺に溜まりやすく、咳、痰、喉の痛み、発熱といった様々な呼吸器症状を引き起こすと考えられています。 このような症状が見られる場合に、瀉肺という治療法が用いられます。瀉肺は、肺に溜まった熱を冷まし、呼吸機能を高める効果があるとされています。具体的には、鍼灸 therapyで特定のツボを刺激したり、漢方薬を用いることで、身体の内側から熱を取り除き、肺の機能を正常な状態へと導いていきます。 瀉肺は、風邪や気管支炎、喘息など、様々な呼吸器疾患の治療に用いられます。しかし、自己判断で瀉肺を行うことは大変危険です。症状が気になる場合は、専門知識を持った東洋医学の医師に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。
漢方の治療

東洋医学における宣肺化痰:呼吸を楽にする知恵

- 呼吸を楽にする東洋医学の考え方 東洋医学では、健康を保つためには体内の「気」というエネルギーの流れがスムーズであることが重要だと考えられています。この「気」は、全身を巡り、体の機能を維持するために欠かせないものです。呼吸器の健康においても、「気」の流れは非常に重要です。 肺は、東洋医学では「気」を体内に取り込む主要な器官だと考えられています。新鮮な空気と共に「気」を吸い込み、全身に送り届ける役割を担っています。しかし、肺の働きが弱ったり、風邪などの影響で「気」の流れが滞ると、呼吸に悪影響が出ると考えられています。 例えば、呼吸が浅くなったり、息苦しさを感じたりするのは、「気」が不足している状態かもしれません。また、痰が絡む、咳が止まらないといった症状は、「気」の流れが滞り、体に不要なものが溜まっている状態を表している可能性があります。 東洋医学では、このような呼吸器の不調を改善するために、食事療法、鍼灸治療、漢方薬の処方など、様々なアプローチで「気」の流れを整え、肺の機能を高めることを目指します。
漢方の治療

呼吸を楽にする!宣肺平喘のススメ

- 宣肺平喘とは -# 宣肺平喘とは 「宣肺平喘」は、東洋医学において、呼吸器系のトラブルを改善するための大切な治療法です。\n「肺」は呼吸をつかさどる臓器を指し、「宣」は滞りを散らし、スムーズにすること、「平喘」は息切れや喘息などを鎮めることを意味します。\nつまり、宣肺平喘とは、肺の機能を正常化し、呼吸を楽にするための治療法と言えるでしょう。 現代社会は、ストレスや環境汚染、食生活の乱れなど、呼吸器系に負担をかける要因が多く存在します。\nそのため、息苦しさや咳、痰などの症状に悩まされる人が後を絶ちません。\nこのような症状に対して、東洋医学では、単に症状を抑えるのではなく、その根本原因にアプローチすることを大切にします。 宣肺平喘は、肺の機能を高めることで、こうした呼吸器系のトラブルを改善に導きます。\n具体的には、身体に溜まった余分な水分や熱を取り除き、気の流れをスムーズにすることで、呼吸機能の回復を促します。\nさらに、宣肺平喘は、自然治癒力を高める効果も期待できます。\n東洋医学では、病気は身体のバランスが崩れた状態だと考えます。\n宣肺平喘によって肺の機能が正常化すると、身体全体のバランスも整い、本来の健康な状態を取り戻せると考えられています。
漢方の治療

咳を鎮め、呼吸を楽にする「宣肺止咳」

- 呼吸器の不調と東洋医学 息苦しさや咳は、私たちが日常で経験するよくある症状です。これらの症状が現れると、呼吸が浅くなり、十分な酸素を体に取り込むことが難しくなります。その結果、倦怠感や集中力の低下など、様々な不調につながることがあります。 西洋医学では、これらの症状の原因を特定するために、レントゲン検査や血液検査などを行います。そして、細菌感染が原因であれば抗生物質を、アレルギーが原因であれば抗ヒスタミン剤を処方するなど、原因に合わせた薬物治療が行われます。 一方、東洋医学では、身体全体の調和とバランスを重視し、特に「気」という生命エネルギーの流れに着目します。「気」は、全身を巡り、心身の活動を支えていると考えられています。この「気」の流れが、何らかの原因で滞ってしまうと、様々な不調が現れると考えられています。 呼吸器の不調の場合、東洋医学では肺における「気」の停滞が原因の一つとして考えられています。肺の「気」が滞ると、呼吸が浅く、息苦しくなったり、咳が出やすくなると考えられています。 東洋医学では、症状を抑えるだけでなく、根本的な原因を改善することを目指します。呼吸器の不調に対しては、鍼灸治療や漢方薬を用いることで、肺の「気」の流れをスムーズにし、呼吸機能の改善を促します。また、生活習慣の改善や食事療法なども合わせて行うことで、身体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目指します。
漢方の治療

宣肺止咳平喘:呼吸を整え、健やかな肺へ

- 呼吸器系の不調と漢方 咳や息切れ、喘鳴といった呼吸器系の不調は、私たちの日常生活で頻繁に起こり、時に大きな苦痛をもたらします。これらの症状に対して、病院で薬を処方してもらうなどの西洋医学的な治療が一般的ですが、近年では、東洋医学、特に漢方も注目されています。 漢方では、身体をひとつの繋がったものとして捉え、病気の原因はその人の体質や生活習慣、周囲の環境などが複雑に絡み合って現れると考えます。そのため、同じような症状であっても、その原因や体質に合わせた漢方薬が処方されます。 例えば、「咳」ひとつをとっても、乾燥した咳、痰を伴う湿った咳、発作のように起こる咳など、様々な種類があります。漢方では、これらの症状に加えて、舌の状態や脈の打ち方などを診ながら、身体の内側から不調の原因を探り、その人に合った治療法を見つけていきます。 呼吸器系の不調は、風邪やインフルエンザなどの感染症だけでなく、アレルギーやストレス、生活習慣の乱れなど、様々な要因によって引き起こされます。漢方治療は、こうした様々な原因から身体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで、根本的な改善を目指します。
漢方の治療

呼吸を楽に!宣肺療法のススメ

- 宣肺とは -# 宣肺とは 宣肺とは、東洋医学における治療法の一つで、肺の機能を高めることを目的としています。 肺は、体中に酸素を送り込み、不要な二酸化炭素を排出する、いわば呼吸の門戸です。この重要な働きを担う肺ですが、風邪や喘息、あるいはストレスや生活習慣の乱れなど、様々な要因によってその機能が低下することがあります。 東洋医学では、肺の機能低下は、気の流れが滞り、呼吸機能がスムーズに行かなくなる状態だと考えられています。これを「肺気虚」や「痰湿阻滞」などと呼びます。このような状態を改善するために、肺の気を巡らせ、呼吸を楽にする効果が期待できるのが宣肺です。 具体的には、鍼灸や漢方薬を用いることで、肺の働きを活性化し、気の流れをスムーズにすることを目指します。例えば、背中の特定のツボ(風門や肺兪など)に鍼灸を施したり、麻黄や杏仁など、肺の機能を高める効果のある生薬を含む漢方薬を服用したりします。 宣肺は、呼吸器系の症状の改善だけでなく、免疫力の向上や体全体のバランスを整える効果も期待できます。
内臓

肺脹:息苦しさの原因となる肺の病気

- 肺脹とは -# 肺脹とは 肺脹とは、肺に空気が過剰に溜まってしまう病気です。 私たちは、呼吸をすることで、肺の中に空気を取り込み、体の中に酸素を送り込み、そして不要になった二酸化炭素を体外に排出しています。この大切な呼吸活動の中心となるのが肺であり、肺の中には、肺胞と呼ばれる小さな空気の袋が無数に存在しています。 この肺胞は、まるで風船のように、呼吸をするたびに膨らんだり縮んだりすることで、効率よく酸素と二酸化炭素を交換しています。 しかし、肺脹になると、この肺胞が傷つけられたり、その壁が薄くなったりすることで、弾力を失ってしまいます。 その結果、肺胞は十分に膨らんだり縮んだりすることができなくなり、肺の中に空気が過剰に溜まってしまうのです。 この状態が続くと、呼吸が苦しくなったり、動悸がしたり、疲れやすくなったりと、様々な症状が現れるようになります。
漢方の診察

東洋医学における虚喘:その原因と症状

- 虚喘とは 虚喘は、東洋医学の考え方に基づいた病名の一つで、呼吸が浅く速くなってしまう状態を指します。これは、肺と腎という臓腑の働きが衰えているために起こると考えられています。 西洋医学の病気のように、特定の病気と完全に一致するわけではありませんが、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった呼吸器の病気と関連がある場合があります。 -# 虚喘の症状 虚喘の主な症状は、息切れです。少し動いただけで息が切れてしまい、安静にしていても呼吸が浅く速いため、息苦しさを感じます。呼吸をする際に、ヒューヒューやゼーゼーといった音が聞こえることもあります。 また、動悸や疲労感、めまい、顔色が悪くなるといった症状も現れることがあります。 これらの症状は、慢性的に長く続くことが特徴です。 -# 虚喘の原因 東洋医学では、虚喘は肺と腎の機能低下が原因と考えられています。 肺は呼吸をつかさどる臓腑ですが、この働きが弱まると、呼吸が浅く速くなってしまいます。また、腎は体内の水分代謝を調節する働きを担っていますが、この機能が低下すると、体内の水分バランスが乱れ、呼吸にも影響を及ぼすと考えられています。 虚喘は、これらの臓腑の機能低下に加えて、過労やストレス、不適切な食事、冷えなども発症に関わっていると考えられています。
漢方の診察

東洋医学における熱哮:原因と症状

- 熱哮とは -# 熱哮とは 熱哮とは、東洋医学において、肺に熱がこもることで起こる呼吸器疾患の一つです。激しい咳や喘鳴、呼吸困難などの症状が現れ、現代医学の喘息と共通する部分もありますが、東洋医学ではその原因や治療法が異なります。 熱哮は、主に肺に熱がこもり、気道の炎症を引き起こすことで発症すると考えられています。この熱は、風邪などの外邪が原因となる場合や、暴飲暴食、過労、ストレスなどによって体内に熱が生じる場合があります。また、辛いものや脂っこいものなど、熱を生みやすい食事も原因の一つとされています。 熱哮の特徴的な症状として、粘り気のある黄色や緑色の痰が挙げられます。これは、東洋医学で「熱痰」と呼ばれるもので、肺に熱がこもることで発生すると考えられています。その他、咳や喘鳴、呼吸困難、胸の痛み、発熱などの症状が現れることもあります。 熱哮の治療は、肺の熱を取り除き、呼吸機能を改善することを目的とします。そのため、東洋医学では、患者さんの体質や症状に合わせて、漢方薬の処方や鍼灸治療などが行われます。また、日常生活においても、辛いものや脂っこいもの、甘いものなどを控えるなど、食生活の改善が重要です。さらに、適度な運動や十分な休息を心がけ、ストレスを溜めないようにすることも大切です。
内臓

東洋医学における肺咳:その原因と治療法

- 肺咳とは -# 肺咳とは 東洋医学では、咳は単なる病気の症状ではなく、体が外部からの刺激や体内の異物を排除しようとする自然な反応だと考えています。 その中でも「肺咳」は、肺の働きと密接に関係しています。 東洋医学では、目には見えない「気」というエネルギーが全身を巡り、生命活動を維持しているとされています。この「気」は、呼吸をつかさどる肺と深く関わっており、「肺気」と呼ばれます。 健康な状態では、肺気は体の上部から下部へスムーズに流れていますが、風邪や寒さ、乾燥、過労、精神的なストレスなどが原因でこの流れが乱れると、肺気が上逆し、咳を引き起こすと考えられています。 これが「肺咳」と呼ばれるものです。 つまり、肺咳は肺の機能が低下し、気の流れが乱れることで起こる咳といえます。西洋医学でいう気管支炎や肺炎、喘息など、様々な病気が肺咳の原因となりえます。 肺咳の治療では、肺気の乱れを整え、正常な流れに戻すことが重要になります。そのために、漢方薬の服用や鍼灸治療、食事療法、生活習慣の改善など、様々なアプローチが行われます。
漢方の診察

東洋医学が考える咳嗽の原因と治療

- 咳嗽とは 咳嗽とは、肺や気道への刺激をきっかけに、反射的に息を吐き出すことを指します。激しい咳の場合には、胸部に痛みを感じたり、呼吸が苦しくなったりすることがあります。西洋医学では、主に呼吸器系の病気と捉えられますが、東洋医学では少し違った視点で捉えます。 東洋医学では、咳嗽は体のバランスが崩れたサインだと考えられています。体内の気、血、水の流れが滞ったり、過剰になったりすることで、肺に影響を及ぼし、咳が出ると考えます。そのため、咳の原因を特定するために、患者さんの体質や生活習慣、症状などを総合的に判断します。 例えば、風邪の初期症状としてみられる咳は、寒さや乾燥によって体の防衛機能が低下し、肺に邪気が侵入することで起こると考えられています。一方、慢性的な咳は、胃腸の働きが弱っていたり、ストレスや疲労が溜まっていたりすることが原因として考えられます。 東洋医学では、咳嗽の治療には、体のバランスを整えることを重視します。具体的には、鍼灸や漢方薬を用いて、気、血、水の巡りを改善し、肺の機能を高めることで、咳の症状を和らげます。また、食事療法や生活習慣の改善など、患者さん一人ひとりの体質や症状に合わせた総合的な治療を行います。
体質

七情と健康:悲しみが体に及ぼす影響

- 七情とは -# 七情とは 東洋医学では、人間の感情は「喜・怒・悲・憂・思・驚・恐」の七つに分類され、これらを総称して七情と呼びます。人の心は常に揺れ動くものであり、この七つの感情も状況や環境によって変化します。七情は、人間の精神活動や身体機能と密接に関係しており、心身のバランスを保つ上で重要な役割を担っています。 それぞれの感情は、適切な範囲内であれば健康に良い影響を与えるとされます。例えば、「喜」は心を開放し、気の流れをスムーズにすることで、心身に活力を与えます。また、「怒」は stagnated energy を発散させ、行動力を高める効果も期待できます。 しかし、感情が過剰になると、心身に悪影響を及ぼし、様々な不調を引き起こすと考えられています。例えば、過度の「喜」は気が緩みすぎることで、集中力散漫や落ち着きのなさにつながる可能性があります。「怒」が過ぎれば、気の流れが乱れ、頭痛やめまい、さらに高血圧などの原因となることもあります。 「悲」や「憂」は気を消耗させ、気力が減退することで、意欲低下や食欲不振、消化不良などを招くことがあります。「思」は考えすぎによって気の流れを滞らせ、胃腸の働きを弱めたり、睡眠の質を低下させたりする可能性があります。「驚」や「恐」は気が乱れることで、動悸や息切れ、不安感などを引き起こすことがあります。 このように、七情は心身に大きな影響を与えるため、東洋医学では、感情のバランスを保つことを重要視しています。感情をコントロールし、心身の安定を図ることで、健康な状態を維持できると考えられています。