めまい

漢方の診察

清陽不升証:めまいと冷えの東洋医学的理解

- 清陽不升証とは -# 清陽不升証とは 東洋医学では、健康な状態を保つためには、体の中で「気」と呼ばれる生命エネルギーが滞りなく巡っていることが重要だと考えられています。この「気」の中でも、「清陽」は特に重要な働きを担っており、頭や上半身を温めたり、臓腑の働きを活発にしたり、意識や精神活動を支えたりしています。 「清陽不升証」とは、この清陽が体の上部にうまく昇らず、不足した状態を指します。まるで太陽の光が遮られ、地上が冷え込むように、清陽が不足すると、様々な不調が現れます。 具体的には、めまい、ふらつき、頭重感、顔面蒼白、冷え、倦怠感、無気力、抑うつ気分、食欲不振、下痢といった症状が現れやすくなります。 清陽不升証は、過労や睡眠不足、冷え、ストレス、加齢、慢性疾患などが原因で起こると考えられており、これらの要因を取り除くことが重要です。 東洋医学では、鍼灸治療や漢方薬を用いることで、清陽の働きを高め、症状の改善を図ります。また、普段の生活習慣を見直し、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけることも大切です。
漢方の診察

陽虚痰凝証:冷えと水滞の悪循環

- 陽虚痰凝証とは -# 陽虚痰凝証とは 「陽虚痰凝証」とは、東洋医学の考え方で、体の温かさの源である「陽気」が不足し、水分の代謝が滞ることで「痰」が生じ、様々な不調が現れる状態を指します。西洋医学的な病気とは異なり、いくつかの症状が組み合わさって現れることが特徴です。 「陽気」は、生命活動のエネルギー源となるものです。この「陽気」が不足すると、体が冷えたり、代謝が落ちたりします。 また、「陽気」は水分の代謝にも深く関わっており、「陽気」が不足すると、水がうまく運ばれずに体内に溜まってしまいます。この溜まった水が「痰」となり、様々な不調を引き起こすと考えられています。 「痰」といっても、喉に絡むものだけを指すのではありません。東洋医学では、「痰」は、体内に滞留した余分な水分や老廃物の総称であり、目に見えるものと見えないものがあります。 陽虚痰凝証では、冷えやむくみ、だるさ、食欲不振、下痢、めまい、頭痛、生理不順、関節痛など、様々な症状が現れることがあります。これらの症状は、「陽気」の不足と「痰」の滞りによって引き起こされると考えられており、体質や生活習慣、環境などによって個人差があります。 東洋医学では、単に症状を抑えるのではなく、体全体のバランスを整え、「陽気」を補い、「痰」の排出を促すことで、根本から改善することを目指します。
漢方の診察

陰陽両虚証:その複雑な不調の正体とは

- 陰陽両虚証とは -# 陰陽両虚証とは 東洋医学では、人間の体は「陰」と「陽」という相反する二つの要素から成り立っており、この二つが調和することで健康が保たれると考えられています。陰陽はそれぞれ、体質や体の機能、心の状態など、様々な面に影響を与えています。 例えば、陰は体の静かな状態や物質、冷やすエネルギーなどを表し、陽は活動的な状態や機能、温めるエネルギーなどを表します。健康な状態であれば、この陰陽はバランスを保っていますが、過労やストレス、加齢、不適切な食事など、様々な要因によってこのバランスが崩れることがあります。 陰陽両虚証とは、陰と陽のバランスが崩れ、どちらも不足している状態を指します。これは、長期間にわたる慢性的な病気や、加齢に伴い体力や気力が衰えてくることなどが原因で起こると考えられています。陰陽両虚証になると、体力や気力が低下し、疲れやすくなったり、冷えやむくみ、食欲不振、不眠などの症状が現れたりします。
漢方の診察

怒りやストレスで起きる体の変化:肝気上逆とは?

- 肝気上逆とは -# 肝気上逆とは 東洋医学では、目に見えない生命エネルギーともいえる「気」が、全身をくまなく巡っていると考えられています。この「気」の流れが滞りなく行われることで、私たちは心身ともに健康な状態を保つことができるとされています。 この「気」の流れを司る臓器の一つに「肝」があります。西洋医学における肝臓とは役割が異なり、東洋医学の「肝」は、精神活動や感情の調整、そして「気」の流れをスムーズにする「疏泄(そせつ)」という働きを担っています。 しかし、過剰なストレスや怒り、焦りなどが続くと、この「肝」の働きが乱れて「気」が正常な流れを阻害され、上半身、特に頭の方へ逆流してしまうことがあります。これが「肝気上逆」と呼ばれる状態です。 「肝気上逆」は、精神的なストレスや感情の乱れが主な原因と考えられていますが、その他にも、睡眠不足や過労、不規則な生活習慣、食生活の乱れなども影響するとされています。
体質

心身のバランスを崩す「心肝火旺」とは

- 心肝火旺とは何か -# 心肝火旺とは何か 東洋医学では、人間の身体は自然の一部であり、自然界と同様に「木・火・土・金・水」の五つの要素(五行)のバランスの上に成り立っていると考えられています。この考え方は、心身の健康を維持するためには、体内のエネルギーの流れである「気」のバランスを整え、五臓六腑の働きを調和させることが重要であるというものです。 「心肝火旺」とは、この五行のバランスが崩れ、五臓の「心」と「肝」に「火」のエネルギーが過剰に溜まっている状態を指します。東洋医学では、「火」は生命活動の源となるエネルギーですが、必要以上に高まりすぎると、熱くなりすぎたり、燃え尽きてしまったりするように、心身に様々な不調をもたらすと考えられています。 この「火」のエネルギーは、過労やストレス、睡眠不足、不規則な生活習慣、辛いものの摂り過ぎなどによって高まりやすく、現代社会においては多くの人が心肝火旺の状態に陥りやすいと言えるでしょう。 心肝火旺の状態になると、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、不安や焦燥感を抱えやすくなったりします。また、不眠や動悸、めまい、頭痛、顔面紅潮、口内炎、便秘などの症状が現れることもあります。
漢方の診察

東洋医学が診る「心血不足」:その原因と症状

- 心血不足とは 心血不足とは、東洋医学において、心身に十分な血液が送られていない状態を指します。西洋医学の貧血とは異なり、心の機能と深く関連している点が特徴です。 東洋医学では、心は単なる臓器ではなく、精神活動や意識、思考などをつかさどる重要な役割を担うと考えられています。 喜怒哀楽といった感情、思考力、判断力、睡眠など、私たちの精神活動はすべて心の働きによるものとされています。 この心の働きを支えているのが「血(けつ)」です。「血」は、西洋医学でいう血液としての役割だけでなく、全身に栄養を運び、心身を潤す働きも担っています。 心に十分な「血」が巡っている状態であれば、心は健やかに活動し、精神は安定し、思考も明晰になります。 しかし、様々な要因で心に必要な「血」が不足すると、心は栄養不足に陥り、その機能が低下してしまいます。これが心血不足と呼ばれる状態です。 心血不足になると、動悸、息切れ、不眠、不安感、焦燥感、物忘れなど、様々な症状が現れます。 心の働きが弱っている状態であるため、精神的な症状だけでなく、身体的な症状が現れることもあります。
虚弱体質

東洋医学における心臓と心の密接な関係: 心血虚

- 心臓と心のつながり -# 心臓と心のつながり 東洋医学では、心臓は単なる血液を循環させる臓器としてではなく、生命エネルギーである「気」を生み出し全身に送る重要な役割を担うと考えられています。この「気」は、私たちの身体的な活動だけでなく、精神活動や感情にも深く関わっています。 心は、東洋医学では思考や意識を司る場とされ、心臓から送られる「気」によってその働きが支えられています。心臓が活発に動けば「気」の流れもスムーズになり、心は安定し、思考も明晰になります。逆に、心臓の働きが弱まると「気」の流れが滞り、精神が不安定になったり、思考力が低下したりすると考えられています。 この心臓と心の密接な関係は、東洋医学の根本的な考え方のひとつです。心臓の健康を保つことは、すなわち心の健康を保つことにも繋がると考えられており、東洋医学では、食事療法や運動療法、鍼灸治療などを通して心身のバランスを整え、心臓と心の両面から健康を維持することを目指します。
頭痛

東洋医学が考える『めまい』の原因と治療法

- めまいとは -# めまいとは 東洋医学では、めまいは単なる症状ではなく、体内の調和が乱れたしるさと捉えます。視界がぐるぐる回ったり、体がふらつく感覚は、まさに体の均衡が失われている状態を表しています。西洋医学では、メニエール病や良性発作性頭位めまい症などが主な原因として挙げられますが、東洋医学では、その背景にある体質や生活習慣、心の乱れまでを総合的に判断します。 めまいは、主に「気」「血」「水」のバランスの乱れから生じると考えられています。「気」は生命エネルギー、「血」は血液とその循環、「水」は体液を指します。過労やストレス、睡眠不足などは「気」を消耗させ、めまいやふらつきを引き起こすことがあります。また、貧血や冷え性は「血」の巡りが悪くなっている状態であり、めまいの原因となることがあります。さらに、水分の代謝異常は「水」の偏りを生じ、めまいや頭痛を伴うことがあります。 東洋医学では、めまいの治療として、鍼灸治療や漢方薬を用いて、体のバランスを整えていきます。鍼灸治療は、経穴と呼ばれる体の特定のポイントに鍼や灸を施すことで、気の流れを調整し、体の不調を改善します。漢方薬は、患者の体質や症状に合わせて、生薬を組み合わせて処方されます。めまいの原因となる「気」「血」「水」のバランスを整え、根本的な改善を目指します。 めまいを予防するためには、規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、「気」「血」「水」のバランスを整えることが大切です。また、ストレスを溜め込まないように、自分に合ったリフレッシュ方法を見つけることも重要です。
頭痛

東洋医学が解き明かす「めまい」の世界

- めまいとは? めまいは、周囲がぐるぐる回転しているような感覚や、自分自身が回転しているような感覚を覚える不快な状態です。まるで、遊園地のアトラクションに乗った後のように、平衡感覚を失い、立っていられないような感覚に襲われることもあります。 めまいは、多くの場合、吐き気やふらつきを伴います。ひどい場合には、嘔吐してしまうこともあります。また、立っていることさえ困難になり、その場にしゃがみこまざるを得ないこともあります。このような状態は、日常生活に大きな支障をきたします。仕事や家事はおろか、外出することさえ困難になる場合もあるでしょう。 また、めまいは視覚にも影響を及ぼすことがあります。物が二重に見えたり、視野が揺れ動くような感覚を覚えることもあります。視界が不安定になることで、さらに平衡感覚を失い、不安や恐怖を感じやすくなることもあります。 めまいは、その原因によって様々な種類に分けられます。原因を特定するために、医師の診察を受け、適切な検査や治療を受けることが大切です。
漢方の診察

東洋医学が考える『めまい』の原因と対処法

- めまいとは -# めまいとは 東洋医学では、めまいは単なる立ちくらみとは捉えず、体内のバランスが崩れたサインとして重視します。東洋医学では、人体を流れる目に見えないエネルギーである「気」、血液である「血」、そして体液である「水」、この3つの要素が調和を保つことで健康が維持されていると考えます。めまいは、特にこの気・血・水の巡りが滞ることによって引き起こされると考えられています。 では、なぜ気・血・水の巡りが滞ってしまうのでしょうか?その原因は、過労やストレス、不眠、食生活の乱れなど、現代社会に潜む様々な要因が考えられます。長時間労働や人間関係のストレス、過剰な情報による脳の疲労、睡眠不足、栄養バランスの偏った食事や冷たい飲食物の摂り過ぎなどは、いずれも気・血・水のバランスを崩し、めまいを引き起こす原因になり得ます。 東洋医学では、めまいの症状が出ている場合は、その背後に潜む根本的な原因を探ることから治療が始まります。そして、食事療法や鍼灸治療、漢方薬の処方など、患者様の体質や状態に合わせて、気・血・水のバランスを整え、体の内側から自然治癒力を高めることを目的とした治療を行っていきます。
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東洋医学が考える「頭重脚軽」とは?

- 「頭重脚軽」の意味 「頭重脚軽」とは、その名の通り頭部に重だるい感覚があり、足の方は軽くてフワフワと地に足がついていないような感覚を指します。まるで頭の中に霧が立ち込め、思考が鈍くなったり、ボーッとしたり、スッキリしない状態です。東洋医学では、この状態は単なる一時的な感覚ではなく、身体のバランスが崩れているサインと捉えられています。 東洋医学では、気・血・水のバランスが健康を維持するために重要と考えられています。 「気」は生命エネルギー、「血」は血液とその循環、「水」は体液を指し、これらが滞りなく全身を巡っている状態が理想です。 「頭重脚軽」は、「気」や「血」が上半身、特に頭に偏り、下半身が不足している状態を示していると考えられています。その結果、頭部に熱がこもり、重だるい感覚が生じます。同時に、下半身への「気・血」の流れが悪くなるため、足腰は冷えやすく、力が入りにくいと感じます。 このような状態は、過労や睡眠不足、ストレス、不摂生などによって自律神経のバランスが乱れ、「気・血・水」の循環が滞ることが原因として挙げられます。 また、デスクワークなどで長時間同じ体制を続けることや、運動不足なども「気・血」の巡りを悪くする要因となります。
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鼻詰まりとだるさ?それは「気虚」かも!

- 東洋医学における鼻詰まり 東洋医学では、体の不調は単なる症状としてではなく、体全体の調和の乱れとして捉えます。例えば、鼻詰まりは西洋医学では鼻の炎症と診断されますが、東洋医学では「気・血・水」のバランスの乱れ、特に「気」の不足が原因の一つと考えられています。 「気」は、生命エネルギーとも呼ばれ、体を温めたり、栄養を全身に巡らせたり、外部からのウイルスや細菌を防ぐ働きがあります。この「気」が不足すると、鼻の粘膜の機能が低下し、ウイルスや細菌への抵抗力が弱まります。その結果、鼻水や鼻詰まりといった症状が現れやすくなります。 また、東洋医学では、鼻詰まりの原因は「風邪(ふうじゃ)」、「寒邪(かんじゃ)」などの外邪の侵入や、体質、ストレス、食生活の乱れなども関係すると考えられています。体質によって「気」が不足しやすい、ストレスによって「気」の流れが滞る、冷たい食べ物や飲み物の摂り過ぎで体が冷えるなどが考えられます。 東洋医学では、鼻詰まりを改善するために、「気」の巡りを良くするツボ療法や、体を温める食材を積極的に摂る食事療法、適度な運動、十分な睡眠、ストレスを溜めない生活習慣などを心がけることが大切だと考えられています。
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氣虛耳鳴:その原因と東洋医学的アプローチ

- 氣虛耳鳴とは? 東洋医学では、人間の生命活動の源となるエネルギーを「氣」と捉え、この「氣」が不足することを「氣虛」と呼びます。 氣虛耳鳴とは、この「氣虛」が原因で起こる耳鳴りのことを指します。 東洋医学では、耳は単なる聴覚器官ではなく、全身の健康状態を反映する鏡のような存在だと考えられています。そのため、體のどこかに不調があると、耳鳴りとして現れることがあるのです。 氣虛耳鳴の場合、生命エネルギーである「氣」が不足することで、体の上半身、特に頭部への血液や栄養の巡りが悪くなります。その結果、耳の機能が低下し、耳鳴りや難聴といった症状が現れると考えられています。 氣虛耳鳴の特徴的な症状としては、静かな場所で「キーン」という高い音や「ジー」という低い音が聞こえる、セミが鳴いているような音がする、「ゴー」という風の音や波の音がする、耳が詰まった感じがするなど、様々なものが挙げられます。 また、氣虛は精神状態とも深く関わっており、氣虛耳鳴の患者さんの中には、不安感や憂鬱感、イライラしやすくなる、といった精神的な症状を併発する方も多く見られます。 もし、このような症状にお悩みの方は、自己判断せずに、専門知識を持った医師や鍼灸師に相談することをお勧めします。
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めまいと耳の不調:痰湿犯耳證って?

めまいや耳の不快感は、多くの人が日常で経験するありふれた症状です。現代医学では様々な原因が考えられますが、東洋医学では体の水分代謝の乱れに着目します。 東洋医学では、体内の水分代謝が滞ると、「湿」と呼ばれる余分な水分が体に溜まると考えられています。さらに、この「湿」が長期間にわたって体内に停滞すると、「痰」へと変化し、「痰湿」と呼ばれる病的な状態を引き起こすとされています。 この「痰湿」が耳の周辺に影響を及ぼすと、耳鳴りやめまいなどの不快な症状が現れると考えられており、この状態を「痰湿犯耳證」と呼びます。めまいは、自分が回転しているように感じる回転性めまい、 フワフワと浮いているような浮動性めまい、 頭が重く感じられるクラクラするようなめまいなど、さまざまなタイプがあります。「痰湿犯耳證」では、これらのめまいに加えて、耳の閉塞感や耳鳴り、音が響く、難聴などの症状がみられることがあります。また、「痰湿」は消化機能とも深く関係しており、食欲不振や吐き気、胃もたれ、軟便などの消化器症状を伴うこともあります。さらに、「痰湿」は体の巡りを滞らせやすい性質があるため、頭が重だるい、体が重い、眠気などの症状が現れることもあります。 「痰湿犯耳證」は、日常生活における食習慣や生活習慣が深く関わっているとされ、特に脂っこい食事や甘いものの過剰摂取、冷え、運動不足などが発症のリスクを高めると考えられています。
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耳のトラブルと怒りっぽさ:肝火燔耳證とは?

- 肝火燔耳證の概要 肝火燔耳證とは、東洋医学において、過剰な怒りやストレスなどの感情的な upset によって体内に「熱」が生じ、その熱が耳に影響を及ぼすことで発症すると考えられている耳の病気です。 西洋医学の特定の病気と完全に一致するわけではありませんが、症状としては、耳鳴り、耳の痛み、耳だれ、耳閉感、難聴、めまいなどが挙げられます。これらの症状は、西洋医学でいう急性中耳炎、外耳炎、メニエール病、突発性難聴などと共通する部分があります。 現代社会は、仕事や人間関係におけるストレス、過労、睡眠不足、不規則な生活習慣などにより、体に「熱」がこもりやすい状況にあります。この「熱」は、東洋医学では「肝火」と表現され、過剰になると上昇する性質を持つため、体の高い位置にある耳に症状が現れやすいと考えられています。 肝火燔耳證は、単なる耳の病気ではなく、体のバランスが崩れている状態を示すサインとも言えます。 普段からストレスをため込まない、十分な睡眠をとる、バランスの取れた食事を心がけるなど、生活習慣を見直すことが重要です。また、東洋医学に基づいた治療法として、鍼灸治療や漢方薬の服用なども有効と考えられています。専門家の指導のもと、適切な治療を受けるようにしましょう。
漢方の診察

痰濁が招く頭の症状

- 東洋医学における「痰濁」とは 東洋医学では、健康な状態を保つためには、体内の気・血・水のバランスがとれていることが重要だと考えられています。このうち、「水」の巡りが悪くなり、不要な水分や老廃物が体内に溜まった状態を「痰濁(たんだく)」と呼びます。 「痰濁」と聞くと、咳や喉に絡む痰をイメージされるかもしれませんが、東洋医学における「痰濁」はもっと広い意味を持ちます。呼吸器系だけでなく、消化器系、循環器系など、体の様々な場所に影響を及ぼすと考えられており、その症状は多岐に渡ります。 例えば、消化不良や水分の過剰摂取、冷えなども「痰濁」の原因となります。また、現代医学でいうところの、むくみや代謝の低下、粘液の過剰分泌といった状態も、「痰濁」と関連付けられます。 「痰濁」は、体質や生活習慣によって溜まりやすい場所や症状が変わってきます。そのため、東洋医学では、「痰濁」の状態を詳しく見極め、その人に合った治療法を行うことが大切だとされています。
頭痛

瘀血犯頭證:頭部外傷後の症状と東洋医学的理解

瘀血犯頭證とは 瘀血犯頭證とは、東洋医学の考え方において、頭部に受けた打撲や衝撃などの外傷によって血液の循環が悪くなり、頭痛やめまい、吐き気といった様々な症状が現れる状態を指します。 この瘀血犯頭證は、単に物理的な損傷だけでなく、東洋医学の根幹をなす考え方である「気」の流れとも密接な関係があります。 「気」とは、目には見えない生命エネルギーのようなもので、この「気」が滞ることによって、血液の循環も悪くなると考えられています。 つまり、瘀血犯頭證は、外傷によって頭部に「瘀血(おけつ)」と呼ばれる滞った血液が生じ、さらにこれが「気」の流れを阻害することで、様々な症状を引き起こすと考えられているのです。 瘀血犯頭證の症状としては、頭痛やめまい、吐き気の他に、耳鳴りや難聴、顔色の悪化、意識障害などが挙げられます。 これらの症状は、受傷直後に出現することもあれば、数年経ってから現れることもあるため、注意が必要です。
体質

静かなる燃焼:肝腎陰虚証を理解する

- 陰陽のバランスと肝腎陰虚証 東洋医学では、健康とは体の中の陰と陽が調和している状態を指します。自然界のありとあらゆる物事に存在する、相反する二つの要素である陰陽は、私たちの体の中でも生命活動の維持に深く関わっています。 陰は、例えるなら体の土台となる物質や栄養のようなもので、静けさや冷たさなどを象徴し、その貯蔵庫となるのが腎です。一方、陽は体を動かすエネルギーや熱のようなもので、活動や温かさを象徴します。そして、肝は陰と陽のバランスを調整するという重要な役割を担っています。 この陰陽のバランスが崩れ、体にとって重要な陰が不足してしまうと、相対的に陽が強くなってしまい、様々な不調が現れます。この状態を東洋医学では「陰虚」と言います。 特に、生命エネルギーの源である腎の陰(腎陰)と、その働きを助ける肝の陰(肝陰)の両方が不足してしまう状態を「肝腎陰虚証」と呼びます。肝腎陰虚証では、体の潤いが失われ、ほてりやのぼせ、寝汗、不眠といった症状が現れやすくなります。また、イライラしやすくなったり、不安を感じやすくなるなど、精神面にも影響が出ることがあります。
漢方の診察

肝胃不和とは?その症状と原因を探る

- 肝胃不和の概要 東洋医学では、体の様々な器官は単独で機能しているのではなく、互いに密接に関連し合いながら、全体として調和を保っていると考えられています。この調和が崩れた状態は「証」と呼ばれ、様々な不調を引き起こすとされています。数ある「証」の中でも、「肝胃不和」は特に重要な概念の一つです。 「肝胃不和」とは、東洋医学における五臓六腑の考え方において、肝と胃の機能的なつながりが乱れている状態を指します。西洋医学的な病名とは異なりますが、肝の疏泄機能(精神状態や情緒の安定、気の流れの調整など)と、胃の受納機能(飲食物を受け入れて消化する機能)が互いに影響し合い、様々な症状が現れると考えられています。 具体的には、精神的なストレスや不規則な生活、過度な飲酒などが原因となり、胃の消化機能が低下したり、食欲不振、吐き気、胸やけなどの症状が現れます。また、肝の機能が亢進することで、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、不眠やめまい、頭痛といった症状が現れることもあります。 このように、「肝胃不和」は心身の両面に影響を与える可能性のある複雑な証であり、その症状や原因も人によって様々です。そのため、東洋医学では、個々の体質や状態に合わせて、食事療法や漢方薬、鍼灸治療などを組み合わせながら、肝と胃のバランスを整え、全身の調和を取り戻すことを目指します。
漢方の診察

怒りが身体に及ぼす影響:肝火犯肺證とは

- 怒りと体の関係 東洋医学では、心と体は密接に関係していると考えられています。感情の変化や精神状態は、体の状態に影響を与え、逆に体の不調が心に影響を与えることもあります。これは、心が体に、体が心に繋がっているという考え方によるものです。 感情の中でも、特に怒りは体に大きな影響を与えるとされています。怒りを感じると、呼吸が荒くなり、脈が速くなり、体温が上昇するなど、体に様々な変化が現れます。これは、怒りによって体内のエネルギーのバランスが乱れるために起こると考えられています。 東洋医学では、怒りは「肝」と呼ばれる臓腑と深い関わりがあるとされています。「肝」は、体内のエネルギーの流れを調整する役割を担っており、怒りによって「肝」の働きが乱れると、気の流れが滞り、様々な症状が現れると考えられています。 この「肝」の乱れが、他の臓腑にも影響を与えることで、さらに様々な症状が現れることがあります。例えば、「肝」の乱れが「肺」に影響を与えると、「肝火犯肺証」と呼ばれる状態になります。 「肝火犯肺証」になると、咳や痰、息切れ、喉の痛み、声のかすれなどの呼吸器系の症状が現れます。また、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、不眠などの精神的な症状が現れることもあります。 このように、怒りは体に様々な影響を与える可能性があります。日頃からストレスをため込まず、怒りの感情を上手にコントロールすることが大切です。
漢方の診察

心身の不調に潜む「心肝血虚証」とは

- 心肝血虚証とは -# 心肝血虚証とは 心肝血虚証とは、東洋医学の考え方で使われる体の状態を表す言葉の一つです。 東洋医学では、人の体は「気・血・水」のバランスで成り立っているとされ、このバランスが崩れると様々な不調が現れると考えられています。 心肝血虚証は、その名の通り、心と肝という臓腑に「血」が不足している状態を指します。 東洋医学では、心は精神活動を、肝は血液を蓄え全身に巡らせる働きを担うと考えられています。 そのため、心肝血虚証になると、 * 心に十分な血液が行き渡らなくなることで、不安感や不眠、動悸、物忘れなどの精神的な不調が現れやすくなります。 * 肝に十分な血液が行き渡らなくなることで、めまい、立ちくらみ、顔色が悪い、爪がもろくなるなどの身体的な不調が現れやすくなります。 このように、心肝血虚証は心と肝の両方に影響を及ぼすため、精神的な症状と身体的な症状が同時に現れることが特徴です。
漢方の診察

東洋医学における心肺気虚証:症状と特徴

- 心肺気虚証とは -# 心肺気虚証とは 東洋医学では、人間の生命活動の源となるエネルギーは「気」だと考えられています。この「気」が不足した状態を「気虚」といい、特に心臓と肺、体の重要な機能を担う二つの臓器において「気」が不足している状態を「心肺気虚証」と呼びます。 心臓は、全身に血液を送り出すポンプのような役割を担い、精神活動にも深く関わるとされています。一方、肺は呼吸をつかさどり、体内に酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を排出する役割を担っています。東洋医学では、この二つの臓器は互いに密接な関係にあり、「心」は体の活動を、「肺」は体外とのエネルギー交換を司ると考えられています。 心肺気虚証になると、心臓と肺の機能が低下し、様々な不調が現れます。例えば、動悸、息切れ、疲労感、倦怠感、顔色が悪い、めまい、食欲不振、冷え性などが挙げられます。また、精神面では不安感、抑うつ感、不眠などを引き起こすこともあります。 心肺気虚証は、過労、睡眠不足、偏った食事、ストレス、加齢などによって引き起こされると考えられています。
漢方の診察

心腎不交の理解

- 心腎不交とは -# 心腎不交とは 東洋医学では、人の体は、臓腑と呼ばれる器官がそれぞれ密接に関係し合いながら、バランスを保って機能していると考えられています。このバランスが崩れると、様々な不調が現れると考えられており、その一つに「心腎不交」があります。 「心腎不交」は、その名の通り、心と腎の働きがうまく連携しなくなっている状態を指します。西洋医学では、心と腎はそれぞれ独立した臓器として捉えられますが、東洋医学では、「心」は精神活動や血液循環を、「腎」は成長、発育、生殖機能やホルモンバランス、水分代謝など、より広範な機能を司ると考えられています。 心腎不交は、これらの機能のバランスが崩れ、心と腎のエネルギーがうまく循環しなくなっている状態を意味します。 例えば、精神的なストレスや緊張が続くと、心のエネルギーが過剰に活発になり、相対的に腎のエネルギーが不足することがあります。すると、動悸、不眠、不安感、めまい、耳鳴り、腰や膝の痛み、冷え、むくみなどの症状が現れることがあります。 逆に、加齢や過労、病気などによって腎のエネルギーが衰えると、心のエネルギーを支きれなくなり、精神的な不安定、不眠、物忘れ、倦怠感、息切れなどの症状が現れることがあります。 このように、心腎不交は心と腎、どちらか一方の問題ではなく、両者のバランスが崩れることで様々な不調を引き起こすと考えられています。
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生命力の源、腎気とは?

- 腎気とは何か 東洋医学では、人間の生命エネルギーを「気」と捉えます。この「気」は、全身をくまなく巡り、私たちの健康状態や生命活動を支える、いわば生命の根源と言えるでしょう。 そして、「腎気」とは、この「気」の中でも、特に腎に宿るとされるエネルギーを指します。腎は、西洋医学でいうところの腎臓だけでなく、もっと広範囲な機能を司るものであり、東洋医学では生命エネルギーの貯蔵庫と考えられています。 腎気は、人間の成長や発育、そして生殖など、生命活動の根幹を担う重要な役割を担っています。例えるならば、腎気は人体という大樹の根っこのようなものです。根は、生命力にあふれた豊かな土壌から栄養を吸収し、それを幹や枝、葉へと送り届けます。同様に、腎気は私たちが生まれながらに持っている先天的なエネルギーを蓄え、全身に巡らせることで、生命を維持し、健やかに成長することを助けているのです。 腎気が不足すると、成長や発育の遅れ、生殖機能の低下、老化現象の促進など、様々な不調が現れると考えられています。