知っておきたい体の異常:疝について
東洋医学を知りたい
先生、『疝』ってどういう意味ですか?東洋医学の用語らしいんですけど…
東洋医学研究家
なるほど、『疝』は簡単に言うと『あるべき場所から飛び出ちゃうこと』を表す用語だね。例えば…お腹の中にあるはずの腸の一部が、本来あるべき場所から飛び出してしまっている状態を指すことが多いかな。
東洋医学を知りたい
ええっ!?お腹の中のものが出てきちゃうんですか?!痛くないんですか?
東洋医学研究家
そうだね、痛むこともあるし、見た目にも変化が現れることもあるよ。お腹だけじゃなくて、足の付け根や、へそなど、体の色々な場所で起こりうるんだ。
疝とは。
東洋医学の言葉である『疝』とは、本来あるべき場所にある臓器や組織の一部が、周りの組織を突き破って体の空洞部分からはみ出してしまうことを指します。
疝とは何か
疝とは、体の内部にある臓器や組織が、本来あるべき位置から飛び出してきてしまう症状を指します。人の体は、筋肉や組織の壁によって様々な臓器が正しい位置に収まるようにできています。しかし、この壁が何らかの原因で弱くなってしまうと、その部分から臓器が押し出されるように飛び出してしまい、皮膚の下にポコッと膨らみが生じることがあります。これが疝と呼ばれる状態です。
疝は、お腹にできることが多く、特に太ももの付け根にある「鼠径部」という部分にできやすい傾向があります。鼠径部は、足の血管や神経が通る通路であると同時に、お腹と足の筋肉の境目でもあり、構造的に弱い部分であるため、疝が発生しやすくなっています。
また、おへその周りにも疝はできやすく、これは「臍ヘルニア」とも呼ばれます。おへそは、胎児期に母親から栄養や酸素を受け取るための血管である「臍帯」という管が通っていた跡であり、他の部位に比べて組織が薄くなっているため、疝が起こりやすいのです。
疝は、自然に治ることはほとんどなく、手術によって飛び出した臓器を元の位置に戻し、弱くなった筋肉の壁を補強する必要があります。放置すると、飛び出した臓器が締め付けられて血流が悪くなったり、腸閉塞などの深刻な合併症を引き起こす可能性もあるため、早期の治療が重要です。
症状 | 原因 | 発生しやすい部位 | 治療法 |
---|---|---|---|
体の内部にある臓器や組織が、本来あるべき位置から飛び出してくる。皮膚の下に膨らみが生じる。 | 筋肉や組織の壁が弱くなるため。 | ・鼠径部:足の血管や神経が通る通路であり、お腹と足の筋肉の境目でもあるため構造的に弱い。 ・おへその周り(臍ヘルニア):胎児期に臍帯が通っていた跡であり、組織が薄い。 |
自然に治ることはほとんどないため、手術が必要。 |
疝の種類と症状
– 疝の種類と症状
疝は、体の組織の一部が、本来あるべき位置から飛び出してしまう症状で、発生する部位によっていくつかの種類に分けられます。
代表的な疝として、鼠径部(足の付け根)に発生する鼠径ヘルニアが挙げられます。鼠径ヘルニアは、男性に多くみられる傾向があり、脱腸としても知られています。また、おへその周囲に現れる臍ヘルニアは、乳幼児や妊娠経験のある女性に多くみられます。その他、過去に手術を受けた腹部などの傷口から腸などが飛び出す瘢痕ヘルニアも挙げられます。
疝の症状は、初期段階では、軽い膨らみや違和感を感じる程度で、自覚症状がない場合もあります。しかし、進行すると、飛び出した部分が押されて痛みを感じたり、腸などの働きに影響が出て、便秘や吐き気などの症状が現れることがあります。さらに悪化すると、飛び出した部分が締め付けられて、血液の流れが悪くなることがあります。このような状態を嵌頓(かんとん)といい、緊急手術が必要となる場合もあります。
疝は、自然に治癒することはほとんどありません。そのため、少しでも異常を感じたら、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
疝の種類 | 主な症状 | 備考 |
---|---|---|
鼠径ヘルニア | 足の付け根に膨らみ、違和感、痛み | 男性に多い、脱腸とも呼ばれる |
臍ヘルニア | おへその周囲に膨らみ、違和感、痛み | 乳幼児、妊娠経験のある女性に多い |
瘢痕ヘルニア | 手術の傷口に膨らみ、違和感、痛み | 過去に手術を受けた場所に発生 |
疝になりやすい人
– 疝になりやすい人
疝は、腹壁の筋肉や組織の一部が弱くなり、内臓が飛び出してしまう病気です。誰にでも起こる可能性がありますが、生活習慣や体質によって、なりやすい人とそうでない人がいます。
-# 重い物を持ち上げる仕事をしている人
重い物を持ち上げる作業は、腹部に大きな負担をかけます。繰り返し負荷をかけることで、筋肉や組織が損傷し、疝のリスクが高まります。特に、腰を落として持ち上げる、息を止めて力むといった間違った持ち上げ方をしている場合は、注意が必要です。
-# 慢性的な咳がある人
咳をすると、腹部に圧力がかかります。そのため、慢性的な咳がある人は、腹壁に負担がかかり続け、疝になりやすくなります。特に、喫煙習慣がある人は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患のリスクも高いため、注意が必要です。
-# 妊娠中や肥満の方
妊娠中は、大きくなった子宮が腹部に圧迫を加えるため、疝のリスクが高まります。また、肥満も、腹部に脂肪が蓄積することで腹圧が上昇し、疝を引き起こしやすくなる要因となります。
-# 加齢による影響
加齢に伴い、筋肉や組織は弾力を失い、弱くなってしまいます。そのため、高齢者は、若い人に比べて疝になりやすい傾向があります。
疝は、放置すると症状が悪化することがあります。日頃から予防を心がけ、少しでも異変を感じたら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
疝になりやすい人 | 理由 |
---|---|
重い物を持ち上げる仕事をしている人 | 重い物を持ち上げる作業は腹部に負担をかけ、筋肉や組織を損傷させるため。特に、腰を落として持ち上げる、息を止めて力むといった間違った持ち上げ方は注意が必要。 |
慢性的な咳がある人 | 咳をすると腹部に圧力がかかり、腹壁に負担がかかり続けるため。特に、喫煙習慣がある人は注意が必要。 |
妊娠中や肥満の方 | 妊娠中は大きくなった子宮が、肥満は腹部に蓄積した脂肪が、それぞれ腹部に圧迫を加えるため。 |
高齢者 | 加齢に伴い、筋肉や組織が弾力を失い弱くなるため。 |
疝の治療法
– 疝の治療法
疝, いわゆる脱腸の治療法は、その症状の程度や患者さんの状態によって大きく異なります。
初期の段階で症状が軽く、日常生活に支障がない場合は、経過観察を選択する場合があります。この場合、飛び出した臓器が元の位置に戻るように腹部に圧力をかける「腹帯」と呼ばれる医療用コルセットを装着することがあります。腹帯によって患部を固定することで、疝の悪化を防ぎ、痛みや不快感を軽減することができます。また、生活習慣の改善も重要です。重いものを持つことや、お腹に力を入れることは疝の悪化につながるため、できるだけ避けるようにします。食生活においても、便秘は腹圧の上昇を招くため、食物繊維を多く摂取するなどして、規則正しい排便を心がけることが大切です。
しかし、疝が進行し、痛みや不快感が強くなったり、吐き気や嘔吐、発熱などの症状が現れた場合は、手術が必要となります。特に、飛び出した臓器が腸などの場合、血流が阻害され、壊死してしまう可能性もあるため、早急な対応が必要です。手術では、切開手術もしくは腹腔鏡手術が行われます。切開手術では、鼠径部などを切開し、飛び出した臓器を元の位置に戻した後、弱くなった筋肉の壁をメッシュと呼ばれる人工物で補強します。一方、腹腔鏡手術は、お腹に小さな穴をいくつか開け、そこからカメラや手術器具を挿入して行う手術法です。切開手術に比べて傷口が小さく、術後の痛みが少ないという利点があります。
いずれにしても、疝は自然に治ることはなく、放置すると症状が悪化する可能性があります。そのため、少しでも異常を感じたら、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
症状の程度 | 治療法 | 詳細 |
---|---|---|
初期段階 日常生活に支障がない |
経過観察 腹帯装着 生活習慣の改善 |
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疝が進行 痛みや不快感が強い 吐き気、嘔吐、発熱 |
手術 (切開手術または腹腔鏡手術) |
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疝を予防するために
– 疝を予防するために
疝(ヘルニア)は、お腹の中の臓器が、それを包んでいる筋肉や組織の隙間から飛び出してしまう病気です。完全に防ぐことは難しいですが、日々の生活習慣に気を配ることで、発症のリスクを減らすことはできます。
-# 重い物を持ち上げる際は要注意
重い物を持ち上げる際は、腰を落として膝を使うようにし、腹圧を上げすぎないようにしましょう。背中を丸めた無理な姿勢での持ち上げは、お腹に大きな負担をかけるため避けるべきです。また、重い荷物を持つ場合は、無理せず、周りの人に手伝ってもらうことも大切です。
-# 便秘解消で腹圧を下げる
便秘になると、排便時に腹圧が過剰にかかり、疝のリスクが高まります。食物繊維を豊富に含む野菜や海藻、きのこなどを積極的に摂り、腸の働きを整え、スムーズな排便を心がけましょう。水分をこまめに摂ることも効果的です。
-# 適度な運動を習慣に
適度な運動は、腹筋や体幹を鍛え、お腹周りの筋肉を強化するため、疝の予防に効果があります。激しい運動は逆に負担になる可能性があるため、ウォーキングや軽い筋トレなど、無理のない運動を継続することが大切です。
予防策 | 具体的な方法 |
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重い物を持ち上げる際の注意点 |
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便秘解消 |
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適度な運動 |
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