東洋医学が考える「燥屎」と体のサイン
- 東洋医学における燥屎とは
東洋医学では、毎日の体調や体質を判断する上で、便の状態を観察することは非常に重要です。その見た目、色、臭いなどを分析することで、体内の状態を総合的に判断します。便は、東洋医学では「五穀の精華」が変化したものと考えられており、その状態はそのまま体の状態を反映していると考えられています。
「燥屎」とは、その名の通り、乾燥して硬い便のことを指します。これは、体内の水分が不足している状態、つまり「燥」の状態を示しています。このような便は、スムーズに排出することが難しく、残便感や腹部の張り、痛みなどを伴うことがあります。また、排便時に過度にいきむことで、肛門に負担がかかり、痔の原因となることもあります。
東洋医学では、燥屎は、主に「腸の潤い不足」が原因だと考えられています。腸の潤いが不足すると、便が硬くなり、スムーズな排泄が阻害されます。この「潤い不足」を引き起こす要因としては、食生活の乱れ、ストレス、睡眠不足、冷えなどが挙げられます。例えば、脂っこいものや甘いもの、刺激物の摂り過ぎは、胃腸に負担をかけ、潤いを奪う原因となります。また、ストレスや睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、腸の働きを低下させます。冷えは、体内の血液循環を悪くし、腸に十分な栄養や水分が行き渡らない原因となります。
燥屎を改善するためには、腸の潤いを補い、スムーズな排泄を促すことが大切です。水分をこまめに摂取すること、食物繊維を豊富に含む野菜や海藻類を積極的に食べること、発酵食品や温かいものを食べることなどが有効です。また、適度な運動や十分な睡眠、ストレスを溜めないようにすることも大切です。