その他 忘れられた脅威:天然痘
- 歴史の中の恐怖天然痘は、人類の歴史に暗い影を落とす恐ろしい感染症として、長い間人々を苦しめてきました。幾世紀にもわたり、世界各地で猛威を振るい、流行するたびに多くの人々の命を奪っていったのです。たとえ命を落とさずに済んだとしても、後遺症として残る酷い痘痕は、生き残った人々の心身に深い傷跡を残しました。天然痘の症状は、まず高熱と激しい頭痛に襲われることから始まります。そして、全身の皮膚に特徴的な発疹が現れ、それが膿疱へと変化していくのです。その姿は見るも無残であり、人々にとって天然痘は恐怖と死の象徴でしかありませんでした。流行の知らせは、人々を恐怖に陥れ、社会全体を混乱に陥れたのです。衣服や寝具を共用することが多かった時代、天然痘は人から人へと容易に感染しました。特に、衛生状態の悪い地域では、感染拡大を防ぐことは困難を極めました。人々は、有効な治療法がないまま、ただ恐怖におびえながら、この恐ろしい病魔と対峙しなければなりませんでした。しかし、長い年月を経て、人々の天然痘に対する戦いは新たな局面を迎えます。18世紀末、イギリスの医師ジェンナーによって種痘法が発見されたのです。これは、牛の痘瘡を用いることで、天然痘に対する免疫を獲得するという画期的な方法でした。種痘法の普及は、その後、天然痘の撲滅に大きく貢献し、1980年にはWHOによって、ついに根絶宣言が出されました。天然痘は、人類にとって長い間、克服すべき大きな脅威でした。その歴史は、感染症の脅威と、それと戦い続けた人類の努力を私たちに語りかけています。
