七情の一つ「思」:脾気を滞らせる思考の働き

東洋医学を知りたい
先生、『思』って東洋医学でどういう意味ですか?なんか難しそうでよくわからないです。

東洋医学研究家
なるほどね。『思』は東洋医学では、過剰に考え込むこと、つまり心配や不安、緊張といった感情を表しているんだ。そして、この『思』が過剰になると、体の働きを司る『気』の流れが滞ってしまうんだよ。

東洋医学を知りたい
『気』の流れが滞るとどうなるんですか?

東洋医学研究家
『気』の流れが滞ると、体の色々な場所に影響が出てしまうんだ。特に『思』は『脾』という、消化吸収を担う臓器と関係が深いと考えられていて、『脾』の働きが弱ってしまうと、食欲不振や消化不良などを起こしやすくなるんだよ。
思とは。
東洋医学では、人の感情は体に大きな影響を与えると考えられています。喜怒哀楽を含めた七つの感情の一つに「思」というものがあります。「思」とは、考えすぎたり、くよくよしたりすることを指します。度が過ぎると、胃腸の働きが弱り、食べ物の消化や栄養の吸収がうまくいかなくなることがあります。
七情と五臓の関係

– 七情と五臓の関係
東洋医学では、人間の喜怒哀楽といった感情は、ただ心に湧き上がるものではなく、身体の機能と密接に関係していると考えられています。これらの感情は「七情」と呼ばれ、具体的には「喜(喜び)」「怒(怒り)」「憂(憂い)」「思(思い煩い)」「悲(悲しみ)」「恐(恐怖)」「驚(驚き)」の七つに分類されます。そして、これらの感情は五臓、すなわち「肝」「心」「脾」「肺」「腎」とそれぞれ対応関係を持っていると考えられています。
例えば、「怒り」の感情は「肝」と深い関わりがあります。怒りを感じると顔が赤くなる、呼吸が荒くなるといった経験は誰にでもあるでしょう。これは、怒りによって肝の働きが活発になりすぎている状態だと考えられています。肝は、東洋医学では「気」の流れを調整する役割を担っており、怒りによってこの機能が乱れると、めまい、頭痛、目の充血、イライラしやすくなる、生理不順といった症状が現れることがあります。
また、「喜び」は「心」に、「思い煩い」は「脾」に、「悲しみ」は「肺」に、「恐怖」は「腎」に対応するとされています。それぞれの感情が過剰になると、対応する臓腑に負担がかかり、その機能が低下してしまうと考えられています。逆に、臓腑の働きが弱ると、対応する感情が表れやすくなることもあります。
このように、東洋医学では心と身体を別々のものとして考えるのではなく、感情と身体は密接に繋がっているという考え方に基づいています。七情と五臓の関係性を理解し、感情のバランスを整え、臓腑の働きを健やかに保つことが、心身の健康に繋がると考えられています。
| 感情(七情) | 臓腑(五臓) | 感情の偏りによる影響 |
|---|---|---|
| 喜(喜び) | 心 | – |
| 怒(怒り) | 肝 | めまい、頭痛、目の充血、イライラしやすくなる、生理不順 |
| 憂(憂い) 思(思い煩い) |
脾 | – |
| 悲(悲しみ) | 肺 | – |
| 恐(恐怖) 驚(驚き) |
腎 | – |
「思」の働き

– 「思」の働き
「思」は、喜怒哀楽の感情表現に加え、思考や考えをめぐらすといった、より高次な精神活動を司ります。これは、私たちが日々行っている学習や仕事、複雑な人間関係など、あらゆる場面で必要とされる重要な働きです。
「思」が適切に働くと、物事を深く理解し、状況に合わせて適切な判断を下せるようになります。例えば、仕事で新しい課題に取り組む際に、過去の経験や知識を元に多角的に検討することで、より良い解決策を見出すことができます。また、人間関係においても、相手の気持ちを推し量りながら言葉を選び、円滑なコミュニケーションをとることができます。
しかし、過剰な「思」は、心身に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、仕事や勉強のし過ぎで常に頭を使いすぎたり、悩み事や不安な気持ちが頭から離れなかったりする場合です。このような状態が続くと、心身のバランスを崩し、胃腸の不調や不眠、イライラしやすくなるといった症状が現れることがあります。
東洋医学では、心と体は密接に繋がっているとされており、精神的なストレスは身体的な不調として現れると考えられています。つまり、「思」の働きが過剰になると、気の流れが滞り、様々な不調を引き起こすと考えられています。
心身の健康を保つためには、「思」の働きを適切に保つことが重要です。日頃からストレスを溜め込まないように意識し、適度な休息や気分転換を取り入れるように心がけましょう。
| 働き | 適切な場合 | 過剰な場合 |
|---|---|---|
| 感情表現 思考・考えをめぐらす 学習・仕事 複雑な人間関係 |
物事を深く理解できる 状況に合わせて適切な判断ができる 仕事でより良い解決策を見出す 円滑なコミュニケーションをとる |
心身に悪影響を及ぼす 胃腸の不調 不眠 イライラしやすくなる |
「思」と脾の関係

{「思」と脾の関係}
東洋医学では、感情、思考、意識といった精神活動は五臓の働きと密接に関わっていると捉え、「思」は五臓の「脾」と深い関係があると考えられています。
脾は、主に消化吸収を担う臓器であり、私たちが口にする飲食物から「気」と「血」を生み出す重要な役割を担っています。
この「気」は生命エネルギーの源であり、全身に栄養を運び、臓腑を温め、身体を動かすための動力となります。
また、「血」は全身に栄養を運搬し、身体を潤す働きをします。
脾は単に消化吸収を行うだけでなく、全身に「気」を巡らせ、臓腑の働きを維持する源ともなっているのです。
そのため、脾の働きが弱まると、消化不良や食欲不振、倦怠感、集中力低下、冷え性など、様々な不調が現れます。
そして、「思慮」や「心配事」といった「思」を過剰に働かせると、この脾の働きを阻害してしまう可能性があります。
これは、過度な思考が脾の「気」を消耗させ、脾の働きを低下させてしまうためです。
つまり、「思」が過剰になると、脾の働きが弱まり、消化吸収機能の低下や気血の不足を引き起こし、様々な身体的・精神的な不調につながる可能性があるのです。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| 脾の働き | – 消化吸収 – 「気」と「血」を生み出す – 全身に「気」を巡らせる – 臓腑の働きを維持 |
| 脾の働きが弱まるとどうなるか | – 消化不良 – 食欲不振 – 倦怠感 – 集中力低下 – 冷え性など |
| 「思」が脾に与える影響 | – 「思慮」や「心配事」といった「思」を過剰に働かせると、脾の働きを阻害する – 過度な思考が脾の「気」を消耗させ、脾の働きを低下させる |
脾気滞滞とは

– 脾気滞滞とは
-# 脾気滞滞とは
「思」は東洋医学において、考えすぎることや悩みすぎることを指し、過剰になると体の様々な機能に影響を及ぼすとされています。 特に、消化吸収を担う「脾」の働きを阻害し、「脾気滞滞(ひきたいたい)」と呼ばれる状態を引き起こします。これは、脾の「気」の流れが滞ってしまう状態を指します。
脾気滞滞になると、まず消化吸収機能が低下し、食欲不振や胃もたれ、便秘、下痢などの消化器症状が現れます。 食べ物が適切に消化されずに体内に滞ってしまうため、吐き気やげっぷ、腹部の膨満感といった症状が現れることもあります。
さらに、脾気滞滞は、身体だけでなく心にも影響を及ぼします。「脾」は「気」を生み出すと同時に、精神活動にも深く関わっているとされており、脾気滞滞になると、気の流れが滞り、精神活動が不安定になります。 その結果、憂鬱感や不安感、イライラしやすくなるなどの症状が現れやすくなります。
また、東洋医学では、脾は「湿」を調整する役割も担うと考えられています。脾気滞滞の状態では、この湿の調整機能が低下するため、身体に余分な水分を溜め込みやすくなります。 その結果、むくみや冷え症が悪化したり、体が重だるく感じたりすることがあります。
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| 消化器症状 | 食欲不振、胃もたれ、便秘、下痢、吐き気、げっぷ、腹部の膨満感など。消化吸収機能の低下により、食べ物が適切に消化されずに体内に滞ってしまう。 |
| 精神症状 | 憂鬱感、不安感、イライラしやすくなるなど。気の流れが滞り、精神活動が不安定になる。 |
| 水滞症状 | むくみ、冷え症の悪化、体の重だるさなど。湿の調整機能が低下し、身体に余分な水分を溜め込みやすくなる。 |
「思」のバランスを整える

– 「思」のバランスを整える
-# 「思」のバランスを整える
東洋医学では、心と身体は密接に関係しており、心の働きは「五臓六腑」の「脾」と深く関わっていると考えられています。「思」は、思考や記憶、想像といった精神活動を指しますが、過剰な「思」は「脾」に負担をかけ、心身のバランスを崩してしまうことがあります。
心身の健康を保つためには、「思」の働きを適切に保つことが重要です。そのためには、まずは過剰な思考を避け、心身のリラックスを心がけることが大切です。考え事をしすぎてしまう場合は、一度頭の中を整理し、心を落ち着けるように意識してみましょう。ストレスを溜め込まず、十分な睡眠をとることも重要です。
また、適度な運動や趣味、リラックスできる時間を取り入れることも「思」のバランスを整える効果があります。軽い運動や散歩などで気分転換をしたり、好きなことに熱中することで、過剰な思考から意識を離し、「脾」の負担を軽減することができます。
食事も「脾」の働きに影響を与えます。消化の良い温かい食事を心がけ、胃腸に負担をかけないようにすることが大切です。また、東洋医学では、米や芋、かぼちゃなどの甘みのある食材は「脾」の働きを助けるとされています。これらの食材を積極的に食事に取り入れてみましょう。
「思」のバランスを整え、「脾」の健康を保つことは、心身の調和を保ち、健康的な毎日を送るために大切なことです。
| 要素 | 詳細 |
|---|---|
| 過剰な「思」の影響 | 「脾」に負担をかけ、心身のバランスを崩す |
| 「思」のバランスを整える方法 |
|
| 効果 | 心身の調和、健康的な毎日 |
