東洋医学が考える乾癬とそのケア

東洋医学が考える乾癬とそのケア

乾癬とは何か

– 乾癬とは何か

乾癬は、皮膚が赤く盛り上がり、その上に銀白色の鱗屑（フケのようなもの）が付着してポロポロとはがれ落ちる、慢性の皮膚疾患です。かゆみを感じることも多く、症状が現れたり消えたりを繰り返すのが特徴です。

西洋医学では、乾癬は自己免疫疾患の一つと考えられており、免疫の異常によって皮膚細胞が過剰に増殖することで発症するとされています。

一方、東洋医学では、乾癬は単なる皮膚の病気としてではなく、体全体のバランスの乱れが皮膚に現れたものと考えます。

具体的には、「気・血・水」のバランスが崩れ、「熱」「風」「湿」「燥」などの邪気が体に侵入することで発症すると考えられています。

例えば、精神的なストレスや過労、睡眠不足などが原因で「気」の巡りが滞ると、体に「熱」がこもりやすくなり、それが皮膚に影響して乾癬の症状が現れることがあります。

また、食生活の乱れや冷えによって「血」の巡りが悪くなると、皮膚に栄養が行き届かなくなり、乾燥や炎症を起こしやすくなります。

このように、東洋医学では、乾癬の根本原因を探り、体全体のバランスを整えることで症状の改善を目指します。

東洋医学における乾癬の原因

– 東洋医学における乾癬の原因

東洋医学では、乾癬は体の内側からくる不調が肌に現れたものと考えます。
そして、その原因は主に「血熱」「血燥」「血瘀」と呼ばれる３つの状態が複雑に絡み合って起こると捉えています。

「血熱」とは、体内に余分な熱がこもり、血液の循環が悪くなっている状態を指します。この状態になると、肌に炎症が起こりやすくなり、赤みや発疹、かゆみなどの症状が現れます。

「血燥」は、文字通り、血液が不足していたり、乾燥している状態のことです。
体内の潤いが不足することで、肌は乾燥し、カサカサとした状態になり、ひび割れや粉吹きが起こりやすくなります。

「血瘀」とは、血液の流れが滞っている状態を指します。
血行不良が起こると、肌に必要な栄養や酸素が行き渡らず、肌の再生機能が低下し、皮膚のターンオーバーが乱れてしまいます。

これらの状態を引き起こす要因としては、以下のようなものが挙げられます。

* 食生活の乱れ 脂っこいものや甘いもの、刺激物などの過剰摂取は、体内に熱を生み出しやすく、「血熱」の原因となります。また、栄養バランスの偏りは、「血燥」を招きやすくなります。

* 精神的なストレス ストレスは自律神経のバランスを崩し、血行不良を引き起こすため、「血瘀」の原因となります。また、ストレスを感じると、体に熱がこもりやすくなるため、「血熱」にもつながります。

* 過労 過労もまた、体に熱をため込み、「血熱」の原因となります。さらに、疲労を回復させるために、体内の潤いが消費され、「血燥」を引き起こしやすくなります。

* 冷え 体が冷えると、血行が悪くなり、「血瘀」の原因になります。東洋医学では、冷えは万病の元と言われているように、乾癬だけでなく、様々な体の不調につながると考えられています。

このように、東洋医学では、乾癬の原因を体質や生活習慣、環境など、様々な角度から総合的に判断します。

乾癬の症状

– 乾癬の症状

乾癬は、皮膚に多彩な症状が現れる疾患です。乾癬の主な症状として、皮膚に盛り上がった赤い斑点が生じます。この斑点は境界がはっきりとしていることが特徴です。そして、その赤い斑点の上には、銀白色の鱗屑と呼ばれる、乾燥して剥がれ落ちやすい角質が付着します。この鱗屑は、軽く触れただけでも容易に剥がれ落ち、フケのように見えることもあります。

また、多くの場合、患部には強い痒みを伴います。この痒みは、衣服との摩擦や乾燥によって悪化することがあります。そのため、患部を掻いてしまい、症状が悪化してしまうケースも少なくありません。さらに、掻き壊しによって患部から出血したり、細菌感染を起こしたりする可能性もあります。

乾癬の症状が現れる部位は人によって異なり、頭部、肘、膝、腰など、体の様々な場所に現れる可能性があります。症状が悪化すると、全身に広がる場合もあります。

東洋医学的な乾癬へのアプローチ

– 東洋医学的な乾癬へのアプローチ

乾癬は、皮膚に赤い発疹や白い鱗屑が現れる、慢性の皮膚疾患です。西洋医学では、免疫異常が関与しているとされていますが、その原因は完全には解明されていません。一方、東洋医学では、乾癬は体内のバランスの乱れが皮膚に現れたものと考えます。そのため、単に皮膚の症状を抑えるのではなく、体質から改善することで、乾癬を根本的に治療することを目指します。

東洋医学では、患者さん一人ひとりの体質や症状に合わせて、治療法を組み合わせる「 individualized なアプローチ」を重視します。具体的には、「食事療法」「漢方薬」「鍼灸治療」などが挙げられます。

食事療法では、体の熱を冷ます食材や、血の巡りを良くする食材を積極的に摂ることが推奨されます。例えば、豆腐や白菜などの涼性の食材、鮭やいわしなどの血液をサラサラにする効果のある食材が効果的です。逆に、アルコールや香辛料など、体を温める性質のあるものや、脂っこい食事は控えましょう。

漢方薬は、生薬を組み合わせることで、患者の体質や症状に合わせた治療効果が期待できます。熱を取り除く、血の巡りを良くする、皮膚の炎症を抑えるなどの効果のある生薬が、症状に合わせて処方されます。

鍼灸治療は、身体の特定のツボに鍼を刺したり、お灸で温めたりすることで、気や血の流れを調整し、体の自然治癒力を高めます。特に、免疫機能の調整や、炎症を抑える効果が期待できます。

東洋医学的なアプローチは、乾癬の症状を緩和するだけでなく、再発を防ぎ、健康な状態を維持するためにも有効です。専門家の指導のもと、自分に合った方法を試してみて下さい。

日常生活での注意点

– 日常生活での注意点

乾癬は、皮膚に症状が現れますが、その改善には、外側からのケアだけでなく、内側からのケア、つまり日常生活におけるセルフケアも非常に大切です。

毎日の食事は、体の内側から健康を作るための基本です。刺激の強い香辛料や脂っこいものは控え、野菜や果物を中心としたバランスの良い食事を心がけましょう。 特に、緑黄色野菜には、皮膚の健康維持に欠かせないビタミン類が豊富に含まれています。

十分な睡眠は、体の疲れを癒し、免疫力を高めるために重要です。 睡眠不足は、ストレスや自律神経の乱れに繋がり、乾癬の症状悪化を招く可能性があります。

ストレスは、心身に悪影響を及ぼし、乾癬の悪化因子の一つと考えられています。 趣味やリラックスできる時間を持つなど、自分なりのストレス解消法を見つけ、心身ともに健康な状態を保つように心がけましょう。

乾癬の皮膚は、乾燥しやすく、外部からの刺激に敏感になっています。 お風呂上がりには、時間をおかずに、セラミド配合の保湿剤などで、肌の潤いを保つことが重要です。 熱すぎるお湯は、皮膚の乾燥を悪化させるため、ぬるめのお湯にしましょう。

飲酒や喫煙は、体の免疫機能を低下させ、血行不良を引き起こすため、乾癬の症状を悪化させる可能性があります。 規則正しい生活習慣を送り、心身ともに健康な状態を保つことが、乾癬の改善へと繋がります。