知られざる病『脈痹』とは
東洋医学を知りたい
先生、『脈痹』って東洋医学の言葉でどういう意味ですか?血管の病気の一種だって聞いたんですけど…
東洋医学研究家
良い質問だね。『脈痹』は、まさに君が言うように血管と関係が深いんじゃ。東洋医学では、気・血・津液の通り道である『経脈』の機能が滞ってしまうことを『痹』と呼ぶんだ。その中でも、『脈痹』は特に血管に関係する『痹』のことなんだよ。
東洋医学を知りたい
なるほど。『経脈』の働きが滞るんですね。具体的にはどんな症状が出るんですか?
東洋医学研究家
血管が詰まったり、硬くなったりすることで、手足のしびれや痛み、冷えなどが起こると考えられているよ。現代医学でいう動脈硬化や脳梗塞なども、この『脈痹』の範疇に入る場合があると考えられているんだ。
脈痹とは。
東洋医学で「脈」という言葉が使われている「脈痹(みゃくひ)」は、血管に関係する「痹病(ひびょう)」という病気の一種です。
脈痹の概要
– 脈痹の概要
脈痹とは、東洋医学で使われる言葉で、体の様々な場所に痛みやしびれが現れる病気のことを指します。西洋医学の特定の病気とは完全に一致しませんが、動脈硬化や末梢血管疾患などと関連付けられることもあります。
東洋医学では、体の中を「気・血・水」と呼ばれる生命エネルギーが常に巡っているとされており、この流れが滞ると体に様々な不調が現れると考えられています。この流れが滞ることを「瘀血(おけつ)」といい、脈痹もこの瘀血が原因で起こると考えられています。
脈痹は、特に血管の働きが低下することが原因で起こると考えられています。血管は、血液を全身に送り届ける重要な役割を担っていますが、加齢や生活習慣の乱れなどによって血管が硬くなったり、血管の内側にコレステロールなどが溜まったりすると、血液の流れが悪くなってしまいます。その結果、栄養や酸素が体の隅々まで行き渡らなくなり、痛みやしびれなどの症状が現れると考えられています。
脈痹の症状は、痛みやしびれの他に、冷え、こわばり、むくみ、皮膚の色が変化するなど、様々なものがあります。これらの症状は、どの血管にどの程度瘀血が生じているかによって異なります。そのため、東洋医学では、脈や舌の状態、お腹の状態などを総合的に判断し、その人に合った治療法を検討していきます。
項目 | 説明 |
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定義 | 東洋医学用語。体の様々な場所に痛みやしびれが現れる病気。西洋医学の特定の病気とは完全に一致しない。 |
原因 | 東洋医学では「気・血・水」の滞り、特に「瘀血(おけつ)」が原因と考えられている。 血管の働き低下(加齢、生活習慣の乱れによる血管の硬化やコレステロール蓄積など)で、血液循環が悪くなることが原因とされる。 |
症状 | 痛み、しびれ、冷え、こわばり、むくみ、皮膚の色の変化など。瘀血が生じている血管や程度によって異なる。 |
診断 | 脈診、舌診、腹診などを総合的に判断する。 |
脈痹の原因
– 脈痹の原因
東洋医学では、脈痹は、体の内と外からくる様々な要因が重なり合って発症すると考えられています。
まず、寒さの影響は非常に大きく、冷えは体の陽気を損ない、気血の流れを滞らせます。特に、手足の末端まで温める力が弱まると、冷えが血管を縮めてしまい、血液循環が悪化し、痺れや痛みが生じやすくなります。
また、過労や湿気も脈痹の大きな要因となります。過労は体のエネルギーである「気」を消耗させ、気血の巡りを悪くします。湿気は体に余分な水分を溜め込み、気血の流れを阻害する原因となります。
さらに、食生活の乱れも脈痹に深く関わっています。暴飲暴食や偏った食事は、胃腸に負担をかけ、気血を生み出す働きを弱めてしまいます。また、脂っこいものや甘いものの摂り過ぎは、体内に余分な湿気を生み出し、脈痹を悪化させる可能性があります。
その他にも、長期間にわたる不規則な生活や強いストレス、過剰な飲酒や喫煙なども、体のバランスを崩し、脈痹を引き起こす要因となりえます。
このように脈痹は、単一の原因ではなく、様々な要因が複雑に絡み合って発症することを理解しておくことが大切です。
原因 | 説明 |
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寒さ | 冷えは陽気を損ない、気血の流れを滞らせる。特に、手足の冷えは血管を縮めてしまい、血液循環が悪化し、痺れや痛みが生じやすくなる。 |
過労 | 体のエネルギーである「気」を消耗させ、気血の巡りを悪くする。 |
湿気 | 体に余分な水分を溜め込み、気血の流れを阻害する。 |
食生活の乱れ | 暴飲暴食や偏った食事は、胃腸に負担をかけ、気血を生み出す働きを弱めてしまう。脂っこいものや甘いものの摂り過ぎは、体内に余分な湿気を生み出し、脈痹を悪化させる。 |
不規則な生活、ストレス、過剰な飲酒や喫煙 | 体のバランスを崩し、脈痹を引き起こす要因となる。 |
脈痹の症状
– 脈痹の症状
脈痹は、体の末梢に向かって流れる気や血の巡りが滞ってしまうことで起こる病証です。その症状は、四肢のしびれや冷え、痛み、むくみなど、実に様々です。
初期段階では、朝起きた時に手足がしびれる、なんとなく冷えるといった、比較的軽い症状がみられます。しかし、病状が進むにつれて、しびれや冷えは徐々に強くなり、日中でも感じるようになります。さらに悪化すると、手足に力が入りにくくなって歩行が困難になったり、感覚が鈍くなって痛みを感じにくくなったりすることもあります。
また、脈痹は血管の病変を伴う場合もあるため、放置すると動脈硬化が進行し、心臓病や脳卒中などの重篤な病気を引き起こす可能性も否定できません。
このように、脈痹は初期症状が軽いため、つい放置してしまいがちですが、重症化すると日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、命に関わる危険性も孕んでいます。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要となります。少しでも気になる症状があれば、早めに専門医に相談するようにしましょう。
段階 | 症状 |
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初期 |
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中期 |
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後期 |
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脈痹の治療法
– 脈痹の治療法
脈痹は、東洋医学では体の気や血の流れが滞ることによって、手足のしびれや痛み、感覚の異常などが現れると考えられています。その治療法は、単に症状を抑えるのではなく、体の根本的な原因を改善することに重点が置かれています。
脈痹の治療には、主に鍼灸治療、漢方薬の処方、食事療法、運動療法など、様々な方法を組み合わせることが一般的です。
鍼灸治療では、体のエネルギーの通り道である「経絡」上に点在する「経穴(ツボ)」と呼ばれる特定の部位に鍼や灸で刺激を与えます。これにより、気血の流れをスムーズにし、痺れなどの症状を和らげていきます。
漢方薬は、患者の体質や症状に合わせて、生薬を組み合わせた漢方薬が処方されます。体の内側から脈痹の原因に働きかけ、体質改善を目指します。
食事療法では、体を冷やす食べ物を避け、体を温める効果のある食材を積極的に摂ることが重要です。冷え性は気血の流れを滞らせ、脈痹を悪化させる要因となるためです。
また、適度な運動も効果的です。運動によって血行が促進され、気血の流れが改善されることで、痺れの緩和や予防につながります。
脈痹の治療は、患者さん一人ひとりの体質や症状に合わせた、オーダーメイドの治療が大切です。専門家のアドバイスのもと、自分に合った治療法を見つけていきましょう。
治療法 | 説明 |
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鍼灸治療 | 経穴に鍼や灸で刺激を与え、気血の流れをスムーズにする。 |
漢方薬 | 患者の体質や症状に合わせた生薬の組み合わせで、体の内側から脈痹の原因に働きかける。 |
食事療法 | 体を温める効果のある食材を積極的に摂り、冷え性を改善する。 |
運動療法 | 適度な運動により血行を促進し、気血の流れを改善する。 |
脈痹の予防
– 脈痹の予防
脈痹は、初期段階では自覚症状が現れにくいため、気づかぬうちに進行してしまうことがあります。しかし、放置すると重篤な病気を引き起こす可能性もあるため、日頃から予防を心がけることが大切です。
脈痹を防ぐためには、まず体の冷えに注意することが重要です。東洋医学では、冷えは万病の元と考えられており、脈痹の大きな要因の一つとされています。冷たい飲み物や食べ物は控え、体を温める食材を積極的に摂るように心がけましょう。生姜やネギ、にんにく、羊肉などは、体を温める効果が高いと言われています。
また、バランスの取れた食事を心がけることも重要です。栄養バランスの偏りは、体の免疫力や自然治癒力を低下させ、脈痹のリスクを高める可能性があります。肉、魚、野菜、海藻など、様々な食材をバランスよく食べることが大切です。
適度な運動も、脈痹の予防に効果的です。運動によって血行が促進され、体の冷えの改善や免疫力の向上が期待できます。激しい運動である必要はなく、ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられる運動を生活に取り入れてみましょう。
そして、十分な睡眠も欠かせません。睡眠不足は、体の免疫力や自然治癒力を低下させ、脈痹だけでなく、様々な病気のリスクを高める原因となります。質の高い睡眠を十分に取るように心がけましょう。
さらに、ストレスを溜め込まない、禁煙するなど、生活習慣を改善することも大切です。ストレスや喫煙は、血行不良や免疫力低下を招き、脈痹のリスクを高める要因となります。
脈痹は、初期段階での発見が難しい病気ですが、日頃から生活習慣に気を配り、予防に取り組むことが大切です。
脈痹予防のポイント | 具体的な方法 |
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体の冷えを防ぐ |
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バランスの取れた食事 | 肉、魚、野菜、海藻など様々な食材をバランス良く食べる |
適度な運動 |
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十分な睡眠 | 質の高い睡眠を十分に取る |
生活習慣の改善 |
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