東洋医学から考える乳房の結核：乳癆

東洋医学から考える乳房の結核：乳癆

乳癆とは

– 乳癆とは

-# 乳癆とは

乳癆とは、東洋医学における病名の一つで、現代医学でいう乳房結核を指します。その名の通り、乳房に硬いしこりができる病気です。乳房にしこりができる病気は様々ありますが、乳癆の場合は、触ると痛みを伴うことが特徴として挙げられます。

現代医学では、結核菌の感染によって発症すると考えられており、実際に乳房から結核菌が検出されることもあります。有効な治療法として、抗結核薬が用いられています。

一方、東洋医学では、気・血・水の巡りの滞りが身体の不調につながると考えます。乳房は特に、気の巡りや血の巡りが滞りやすい場所とされており、感情の起伏やストレス、冷え、過労、栄養不足などが原因で、気・血・水の巡りが滞り、乳癆を発症すると考えられています。

また、東洋医学では、身体の抵抗力が弱まっている状態で、外部から邪気が侵入し、発症すると考えられています。

乳癆の治療において、東洋医学では、身体のバランスを整え、自然治癒力を高めることを重視します。具体的には、鍼灸治療や漢方薬を用いることで、気・血・水の巡りを改善し、身体の内側から健康な状態へと導きます。

乳房にしこりを感じたら、自己判断せずに、医療機関を受診しましょう。そして、西洋医学、東洋医学、両方の観点から治療法を検討することで、より効果的な治療が期待できます。

乳癆の原因と症状

– 乳癆の原因と症状

乳房に発生する様々な不調を総称して、東洋医学では乳癆と呼びます。この乳癆の原因は、体内の気・血・水の巡りである「気血運行」が深く関係しており、様々な要因によってこの流れが滞ってしまうことで、乳房に余分なものが溜まり、不調を引き起こすと考えられています。

乳癆を引き起こす主な要因として、東洋医学では以下の３つを挙げます。

* -情志不舒（じょうしふしょ）- これは、精神的なストレスや抑鬱、過度の緊張などによって、気の流れが滞ってしまうことを指します。現代社会において、仕事や人間関係のストレスは避けられないものですが、過剰なストレスは自律神経のバランスを崩し、気血運行にも悪影響を及ぼします。その結果、乳房に気滞が生じ、乳癆の症状として現れることがあります。

* -飲食不節（いんしょくふせつ）- これは、偏った食事や、冷たい食べ物や飲み物の摂り過ぎなど、暴飲暴食によって脾胃（消化器系）に負担をかけ、気血の生成を阻害してしまうことを指します。東洋医学では、脾胃は「後天の基」と呼ばれ、生命活動を維持する上で非常に重要な役割を担っています。この脾胃が弱ってしまうと、気血の生成が滞り、乳房にも栄養が行き届かなくなり、乳癆の原因となります。

* -寒邪侵襲（かんじゃしんしゅう）- これは、冷えやすい体質や、冷気や湿気の多い環境への暴露などによって、身体に冷えが侵入し、気血運行を阻滞させることを指します。冷えは万病の元と言われるように、身体を冷やすことは、気血運行を悪くする大きな原因となります。特に、身体が冷えると、温かい血液を乳房に送ろうとするため、血液循環が悪くなり、乳房に瘀血が生じやすくなります。これが、乳癆の原因の一つと考えられています。

これらの要因によって引き起こされる乳癆の初期症状としては、乳房にしこりが触れる、乳房の張りや痛み、生理不順などが見られます。さらに病状が進行すると、しこりが大きくなり、痛みも強くなることがあります。また、乳房の皮膚が赤く腫れ上がったり、膿が出たりすることもあります。

乳癆の東洋医学的治療

– 乳癆の東洋医学的治療

乳癆は、東洋医学では、気滞（きたい）や瘀血（おけつ）、痰湿（たんしつ）などが原因で、乳管に水が溜まり、しこりができる症状だと考えられています。そのため、治療は、これらの原因を取り除き、身体全体のバランスを整えることを目的として、漢方薬の服用、鍼灸治療、食事療法、生活習慣の改善などを組み合わせて行います。

-# 漢方薬による体質改善

乳癆の治療に用いる漢方薬は、患者さんの体質や症状に合わせて、気・血・水の巡りを改善し、痰濁（たんだく）を解消するものが選ばれます。例えば、気滞が強い方には、気を巡らせる効果のある漢方薬を、瘀血が強い方には、血の巡りを良くする漢方薬を用いるといった具合です。

-# 鍼灸治療で気血の巡りを促進

鍼灸治療では、身体のツボに鍼を打ったり、お灸を据えたりすることで、経絡の詰まりを取り、気血の循環を促進します。これにより、乳房の炎症を抑え、しこりの縮小を目指します。

-# 食事療法と生活習慣の改善

食事療法では、栄養バランスの取れた食事を心がけ、身体を温める作用のある食材を積極的に摂るようにします。反対に、身体を冷やすものや刺激物は控えましょう。また、十分な睡眠、適度な運動、ストレスを溜めない生活習慣を心がけることも大切です。

乳癆は、早期発見、早期治療が大切です。乳房にしこりを感じたら、自己判断せずに、早めに専門医に相談しましょう。

日常生活での注意点

– 日常生活での注意点

乳房の健康を守るためには、日々の生活習慣を見直し、身体の内側から健康な状態を保つことが大切です。

-# ストレスを溜め込まない

現代社会において、ストレスは完全に避けることが難しいものです。しかし、過度なストレスは心身に悪影響を及ぼし、身体の様々な機能を低下させてしまいます。その結果、免疫力の低下にも繋がり、乳房の健康にも影響を及ぼす可能性があります。

趣味や散歩、音楽鑑賞など、自分なりのストレス解消法を見つけ、心身を休ませる時間を取り入れましょう。また、十分な睡眠は、身体の疲労回復や免疫力維持に欠かせません。質の高い睡眠を心がけ、心身ともにリラックスできる時間を確保することが重要です。

-# 冷え対策

身体が冷えると、血行が悪くなり、身体の様々な機能が滞ってしまいます。特に、女性は冷えやすいと言われていますので、日頃から冷え対策を心がけましょう。

温かい服装を心がけ、外出時はマフラーや手袋などを活用して、身体を冷やさないようにしましょう。また、入浴は身体を芯から温める効果があります。ゆっくりと湯船に浸かり、身体を温めましょう。シャワーだけで済ませずに、湯船に浸かる習慣をつけることが大切です。

-# バランスの取れた食事

免疫力を高め、健康な身体を維持するためには、バランスの取れた食事が欠かせません。様々な食材をバランス良く摂取し、栄養バランスを心がけましょう。

特に、野菜や果物には、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。積極的に摂取することで、免疫力を高め、身体の抵抗力を高める効果が期待できます。

-# 適度な運動

適度な運動は、血行促進やストレス解消に効果があり、心身の健康維持に役立ちます。激しい運動である必要はありません。軽いウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられる運動を習慣に取り入れましょう。

これらの生活習慣の改善は、乳房の健康だけでなく、全身の健康維持にも繋がります。日々の生活の中で、自分自身の身体と向き合い、健康的な習慣を心がけましょう。

早期発見と適切なケアを

乳腺の病気は、早期発見と適切なケアによって、症状の進行を遅らせたり、健康な状態を取り戻せる可能性があります。乳房に違和感、例えばしこりを感じたり、皮膚に変化が見られたり、いつもと違うと感じたら、自己判断はせずに、速やかに専門医の診察を受けましょう。

西洋医学では、検査によって病気の原因を特定し、手術や薬物療法など、症状に合わせた治療を行います。

東洋医学では、乳房の病気は、身体全体のバランスが崩れることで起こると考えます。そのため、身体の内側から健康な状態へと導くために、食事療法、鍼灸治療、漢方薬の処方などを行います。これらの治療法は、身体のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目的としています。

乳腺の病気の治療には、西洋医学と東洋医学、それぞれの利点を活かした統合的なアプローチが効果的です。西洋医学の長所である早期発見と迅速な治療に加え、東洋医学の考えを取り入れることで、身体全体のバランスを整え、病気の根本的な改善と再発予防を目指します。患者さん一人ひとりの体質や症状に合わせた、最適な治療法を選択することが大切です。