体質

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陰虚陽亢:東洋医学における不均衡の理解

- 陰虚陽亢とは -# 陰虚陽亢とは 東洋医学では、人間の体は「陰」と「陽」という相反する二つの要素が調和することで健康が保たれると考えられています。陰は静かで冷たく、潤いを与えるエネルギーを象徴し、夜や休息、月などを連想させます。一方、陽は活動的で温かく、万物を成長させるエネルギーを象徴し、昼や活動、太陽などを連想させます。 健康な状態であれば、体の中の陰陽はバランスを保っています。しかし、過労やストレス、睡眠不足、偏った食事、加齢などの要因によって、このバランスが崩れることがあります。その中でも、体の潤いや栄養を蓄える「陰」が不足し、相対的に熱を生み出す「陽」が過剰になってしまう状態を「陰虚陽亢」と呼びます。 陰虚陽亢になると、体に様々な不調が現れます。代表的な症状としては、のぼせ、ほてり、顔が赤い、寝汗、不眠、イライラしやすい、動悸、めまい、耳鳴り、口や喉の渇き、便秘などが挙げられます。 陰虚陽亢は、そのまま放置すると、さらに体のバランスを崩し、様々な病気を引き起こす可能性があります。そのため、東洋医学では、陰虚陽亢の状態を改善するために、不足した「陰」を補い、「陽」の過剰な働きを抑える治療を行います。具体的には、食事療法、漢方薬、鍼灸治療などを組み合わせて、体質改善を目指します。
体質

陰虚火旺:体内のバランスの乱れが招く症状

- 陰虚火旺とは -# 陰虚火旺とは 東洋医学では、健康な状態を保つためには、体内の「陰」と「陽」のバランスがとれていることが重要だと考えられています。「陰」は体を冷まし潤す作用を、「陽」は体を温め活力を与える作用を担っており、この二つのバランスが崩れると様々な不調が現れると考えられています。 「陰虚火旺」は、この陰陽バランスが崩れ、陰が不足し、相対的に陽である「火」が過剰になっている状態を指します。分かりやすく例えると、体内の潤いが不足し、まるで体が乾燥した状態のように熱がこもってしまっている状態と言えるでしょう。 この状態は、様々な不快な症状を引き起こす原因となります。例えば、顔や体がほてりやすい、手足の裏が熱く感じる、眠りが浅い、めまい、耳鳴り、口や喉が渇く、便秘がちといった症状が現れます。また、精神的なイライラしやすくなったり、不安を感じやすくなることもあります。 陰虚火旺は、過労やストレス、睡眠不足、不適切な食生活、加齢など、様々な要因によって引き起こされると考えられています。現代社会においては、これらの要因にさらされやすい生活を送っている方が多いため、陰虚火旺の状態に陥りやすいと言えるかもしれません。
漢方の診察

陽虚証:身体の芯から冷えを感じるときに

- 陽虚証とは -# 陽虚証とは 東洋医学では、人間の体は「気・血・水」のバランスによって健康が保たれていると考えられており、体の様々な機能を動かすエネルギーとして「気」が重要視されています。 この「気」の中でも、温める、動かす、守るといった働きをするものを「陽気」と呼びます。 陽虚証とは、この陽気が不足した状態を指します。 例えるならば、太陽の光が弱まってしまったように、体全体が冷えやすく、エネルギー不足を感じやすい状態と言えるでしょう。 具体的には、次のような症状が現れます。 * 冷え性手足の先やお腹が冷えやすい。 * 疲れやすい少し動いただけですぐに疲れてしまう。 * 顔色が悪い顔色が青白く、生気が感じられない。 * 食欲不振食欲がなく、食事量が減ってしまう。 * 便秘がち便が硬く、排便が困難になる。 * むくみやすい特に夕方になると足がむくみやすい。 * 下痢特に朝方に、水のような下痢をすることがある。 これらの症状は、陽気が不足することで、体の機能が低下し、水分代謝が悪くなるために起こると考えられています。 陽虚証は、生まれつきの体質や生活習慣、加齢などが原因で引き起こされます。 冷えやすい環境で過ごしたり、冷たいものを摂りすぎたり、睡眠不足や過労が続くと、陽気を傷つけてしまうため注意が必要です。
漢方薬

体の渇きを潤す潤燥剤

- 潤燥剤とは 潤燥剤とは、東洋医学で用いられる漢方薬の一種で、その名の通り、体内の乾燥を取り除き、潤いを与えることを目的としています。東洋医学では、体内の水分バランスが乱れ、乾燥した状態を「燥」と呼びます。この「燥」の状態は、様々な不調を引き起こすと考えられており、潤燥剤は、このような「燥」の状態を改善するために用いられます。 体の潤いが不足すると、肌や髪が乾燥したり、目や口、喉の渇きを感じたりすることがあります。また、便秘や空咳、皮膚のかゆみなどの症状が現れることもあります。これらの症状は、体内の水分不足によって引き起こされると考えられています。 潤燥剤は、体質や症状に合わせて、様々な生薬を組み合わせることで、一人ひとりに合った漢方薬が作られます。例えば、乾燥による咳には杏仁や百合根、便秘には麦門冬や当帰などが用いられます。 潤燥剤は、体全体の水分バランスを整え、潤いを与えることで、乾燥による様々な不調を改善する効果が期待できます。しかし、自己判断で服用することは避け、必ず専門家の診断を受けてから服用するようにしましょう。
体質

肝風内動:東洋医学における不調のメカニズム

- 肝風内動とは -# 肝風内動とは 東洋医学では、心身ともに健康な状態を保つためには、「気」というエネルギーが体内をスムーズに巡っていることが重要だと考えられています。この「気」の流れが滞ったり、乱れたりすると、体に様々な不調が現れるとされています。 その中でも「肝風内動」は、感情や精神活動をつかさどる「肝」の働きと密接に関係する「風」の乱れによって引き起こされる状態を指します。 感情の一つである怒りは、肝の働きを活発化させる作用があり、過度な怒りやストレス、あるいは長期間にわたる精神的な緊張状態は、肝に大きな負担をかけてしまいます。 また、不規則な生活や睡眠不足、栄養バランスの偏った食生活、過労なども、肝の機能を低下させ、風の動きを乱す原因となります。 このようにして肝の機能が乱れ、風の動きが激しくなると、めまい、耳鳴り、頭痛、顔面紅潮、イライラしやすい、怒りっぽい、睡眠の質の低下など、様々な症状が現れます。 肝風内動は、放置すると高血圧や脳血管疾患などのリスクを高める可能性も指摘されており、早期に適切な養生法を行うことが大切です。
体質

怒りっぽさんの燃焼?肝陽化火を知ろう!

- 怒りと深い関係?肝陽化火とは 東洋医学では、感情と体の器官は密接な関係にあると考えられています。喜びや悲しみ、怒りといった感情は、時に体のバランスを崩す要因となりえます。特に、怒りやイライラの感情は「肝」と呼ばれる臓器と深い関わりがあると考えられています。「肝」は、西洋医学でいう肝臓の機能だけでなく、精神活動や自律神経の調節、血流の調整など、広範囲な役割を担うと考えられています。 この「肝」の働きが何らかの原因で過剰になり、熱を帯びた状態になることを「肝陽上亢(かんようじょうこう)」といいます。ストレスや過労、睡眠不足、不規則な生活習慣などが原因で起こるとされています。さらに、この肝陽上亢が進んで、まるで燃え盛る炎のように、体や心に強い熱症状が現れる状態を「肝陽化火(かんようかか)」といいます。 肝陽化火の状態になると、激しい怒りやイライラ、焦燥感に駆られやすくなります。また、顔が赤くなる、目が充血する、頭痛がする、めまいがする、口が苦い、便秘がちになる、などの症状が現れます。まるで、怒りやフラストレーションが体の中で燃え上がり、様々な症状を引き起こしているようなイメージです。 東洋医学では、このような状態に対して、体のバランスを整え、「肝」の熱を冷ますことが重要だと考えられています。
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肝陽上亢:その原因と症状

- 肝陽上亢とは 東洋医学では、人間の身体は「気・血・水」の三つの要素で成り立っているとされ、これらがバランスを保つことで健康が維持されると考えられています。この考え方に基づくと、肝陽上亢とは、五臓六腑の「肝」と密接な関係を持つ「陽」の気が必要以上に上昇してしまう状態を指します。 肝は、東洋医学において「疏泄(そせつ)」という重要な役割を担っています。これは、体内に滞りなく気を巡らせ、精神活動や血の巡り、消化機能などを円滑にする働きです。しかし、ストレスや過労、睡眠不足、不適切な食事などの様々な要因によって肝の働きが弱まると、この疏泄がうまく機能しなくなります。その結果、コントロールを失った陽の気が上昇してしまう状態、すなわち肝陽上亢を引き起こしてしまうのです。 肝陽上亢になると、上昇した陽の気が頭に上りやすくなるため、のぼせや顔面紅潮、めまい、耳鳴り、イライラしやすくなる、怒りっぽくなるといった症状が現れます。また、不眠や頭痛、口が苦く感じる、便秘などの症状を伴うこともあります。肝陽上亢は、高血圧や脳血管疾患などのリスクを高めるとも考えられているため、注意が必要です。
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東洋医学における「肝気盛」:その影響と改善策

- 「肝気盛」とは何か 「肝気盛」とは、東洋医学において、感情や精神活動を司るとされる「肝」の働きが亢進し、気の流れが乱れている状態を指します。 東洋医学では、目には見えない生命エネルギーである「気」が、体内をスムーズに巡っている状態を健康であると考えます。しかし、過度なストレスや不規則な生活習慣、感情の激しい変動などによって、この「気」の流れが滞ることがあります。 「肝」は五臓六腑の一つであり、西洋医学の肝臓とは異なる概念です。東洋医学では、「肝」は血液を貯蔵し、全身に栄養を送り出す働きに加え、精神状態や感情のバランスを整える役割を担うと考えられています。 「肝気盛」の状態になると、「気」の流れが滞り、「肝」の働きが過剰になります。その結果、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったり、情緒不安定に陥りやすくなります。また、「気」の滞りは、体の様々な部位に影響を及ぼし、頭痛、めまい、目の充血、肩こり、便秘、生理不順などの症状が現れることもあります。 「肝気盛」は、病気というよりは、体のバランスが崩れた状態を示すサインと言えます。日常生活の中で、ストレスを溜め込まない、十分な睡眠をとる、バランスの取れた食事を心がけるなど、生活習慣を見直すことが大切です。
体質

東洋医学における水氣:その原因と症状

- 水氣とは -# 水氣とは 東洋医学では、体の中で水分がうまく巡らず、皮膚の下などに余分な水分が溜まってしまう状態を「水氣」と呼びます。この水氣は、現代医学の考え方とは異なる概念ですが、むくみや水腫といった症状と関連付けられています。 東洋医学では、体の中を巡り、生命活動の源となる「気」の働きによって、体内の水分も適切に代謝され、全身に栄養が届けられると考えられています。しかし、何らかの原因で「気」の働きが弱まると、水分の代謝が滞り、不要な水分が体に溜まってしまうのです。 この不要な水分は、単なる水ではなく「津液(しんえき)」と呼ばれます。津液とは、血液の元となる栄養豊富な液体のことですが、これがうまく巡らずに体に滞ってしまうことが、水氣の根本原因だと考えられています。 水氣は、体質や生活習慣、気候など、様々な要因によって引き起こされると考えられており、東洋医学では、その原因を特定し、「気」の流れを整えることで、水分の代謝を促し、水氣の症状を改善していくことを目指します。
漢方の診察

上寒下熱:体の中の寒熱のせめぎ合い

- 上寒下熱とは -# 上寒下熱とは 上寒下熱とは、その名の通り体が上下で異なる温度を感じている状態を指します。具体的には、上半身、特に胸から上が冷えを感じやすく、反対に下半身、特に腰から下が温かく感じる、あるいはほてりや炎症といった熱の症状が現れる状態です。 東洋医学では、体は「気」「血」「水」のバランスによって健康が保たれていると考えます。このバランスが崩れると、様々な不調が現れると考えられており、上寒下熱もその一つです。 上半身は「心」「肺」といった臓器と関連が深く、下半身は「肝」「腎」といった臓器と関係が深いと考えられています。上寒下熱は、「気」や「血」の流れが滞り、上半身に十分な「気」や「血」が巡らず冷えを感じ、下半身に「気」や「血」が滞って熱がこもる状態だと考えられます。 例えば、ストレスや不眠、冷え性などが原因で「気」が滞ると、上半身が冷えやすくなります。また、過労や食生活の乱れ、加齢などが原因で「腎」の働きが弱まると、体に必要な「水」が不足し、下半身がほてったり、炎症を起こしやすくなると考えられています。 上寒下熱は、単なる冷え性の悪化や、一時的な体調不良ではなく、体のバランスが崩れているサインと言えます。そのため、上半身を温めたり、下半身を冷やすといった対処療法だけでなく、根本的な原因を突き止め、「気」「血」「水」のバランスを整えることが大切です。
漢方の診察

上熱下寒:体内のアンバランスを知る

- 上熱下寒とは -# 上熱下寒とは 上熱下寒とは、東洋医学の世界で用いられる言葉で、体の状態を表す言葉の一つです。 その名の通り、上半身には熱っぽさや顔のほてり、のぼせといった熱の症状が現れる一方で、下半身には冷えやだるさ、むくみといった寒の症状が現れる状態を指します。一見すると、熱と寒という正反対の症状が同時に現れるため、矛盾しているように感じるかもしれません。 東洋医学では、人間の体には「気・血・水」と呼ばれる生命エネルギーが循環しており、この流れが滞りなく巡っている状態が健康であると考えられています。しかし、様々な要因によってこの流れが阻害されると、体に様々な不調が現れると考えられています。上熱下寒も、このエネルギーの流れが滞ってしまうことで起こると考えられています。 具体的には、冷えやストレス、食生活の乱れなどによって体の機能が低下し、下半身でエネルギーがうまく巡らなくなってしまうことで、下半身の冷えが生じます。 一方、その状態を改善しようと体が過剰に働きかけることで、上半身に熱がこもってしまうと考えられています。 上熱下寒は、決して珍しい症状ではなく、現代社会においては多くの人が経験する可能性があります。特に、デスクワークなどで長時間座りっぱなしの生活を送る人や、ストレスを抱えやすい人、冷え性の人などは、注意が必要です。
体質

複雑な体調不良?それは「寒熱錯雜」かも

- 東洋医学における「寒熱錯雜」とは? 東洋医学では、健康を保つ上で体内における「寒」と「熱」のバランスが非常に重要であると考えられています。この「寒」と「熱」は、気温や体感温度のような単純なものではなく、体内のエネルギー状態や機能の状態を表す概念です。 このバランスが崩れ、体に様々な不調が現れる状態を「寒熱錯雜」と言います。 「寒熱錯雜」は、一見矛盾するような症状が現れることが特徴です。例えば、上半身は熱っぽく感じられるのに、下半身は冷えている、顔は赤らんでいるのに手足は氷のように冷たい、あるいは体の表面は冷えているのに、内側は熱っぽく感じるといった状態です。さらに、頭痛、めまい、肩こり、不眠、便秘、下痢など、様々な症状を伴うこともあります。 現代医学では、このような複雑な症状を一つの病名で捉えることは難しいかもしれません。しかし、東洋医学では、これらの症状を「寒」と「熱」のバランスの乱れとして捉え、「寒熱錯雜」と診断します。そして、個々の体質や症状に合わせて、食事療法や鍼灸治療などを行い、「寒」と「熱」のバランスを整えることで、健康な状態へと導いていきます。
体質

寒包火:冷えと熱が織りなす複雑な病態

- 東洋医学における寒包火とは 東洋医学では、健康を保つために体内のエネルギーである「気」が滞りなく循環していることが重要だと考えられています。しかし、この「気」の流れを阻害する要因の一つに、「邪気」があります。「邪気」は、風邪や冷え、暑さなど、様々な要因で身体に侵入してきます。その中でも、冷えの性質を持つ「寒邪」と熱の性質を持つ「火熱」が複雑に絡み合った状態を、「寒包火」と呼びます。 寒包火は、一見すると矛盾した状態に思えるかもしれません。冷えを感じているのに、体の一部には熱感があったり、のぼせたりするなど、相反する症状が現れることがあります。これは、体内に侵入した寒邪が、身体の防御反応として火熱を生み出すために起こると考えられています。つまり、表面は冷えているように見えても、内側に熱がこもっている状態なのです。 このような状態になると、冷えと熱の両方の症状が現れるため、適切な対処が難しくなります。例えば、冷えを感じて温めすぎると、内側の熱がさらに高まってしまう可能性があります。反対に、熱を冷ますことばかりに気を取られると、根本にある冷えが悪化してしまうこともあります。寒包火を改善するには、身体を温めながら、同時に内側の熱を適切に発散させることが大切です。そして、そのための方法として、東洋医学では、食事療法、漢方薬、鍼灸治療など、様々なアプローチが用いられます。
虚弱体質

表裏俱虛:複雑な体の不調

- 表裏俱虛とは何か 東洋医学では、人の体は「気」「血」「水」といった目に見えないエネルギーで成り立っており、これらが滞りなく循環することで健康が保たれると考えられています。 そして、体の状態を様々な角度から捉え、より的確な診断と治療を行うために、様々な概念を用います。その一つに、「表裏」といった概念があります。これは、体の表面を指す「表」と、体の内部を指す「裏」に分けて考えるものです。 健康な状態では、「衛気」と呼ばれるエネルギーが体の表面を巡り、外敵の侵入を防いでいます。同時に、「営気」と呼ばれるエネルギーが体の内部を巡り、内臓の働きを助けています。 しかし、この「衛気」と「営気」の両方が不足してしまう状態を「表裏俱虛」と呼びます。 表裏俱虛の状態になると、まず、外敵の侵入を防ぐ力が弱まるため、風邪などの感染症にかかりやすくなります。 また、冷えを感じやすくなったり、少しの運動でも息切れがしたりといった症状が現れます。さらに、体の内部のエネルギーも不足するため、内臓の働きが低下し、消化不良や食欲不振、疲労感、倦怠感なども引き起こします。 このように、表裏俱虛は体の内外両方に影響を及ぼすため、注意が必要です。
漢方の診察

東洋医学における表熱裏寒:複雑な不調の正体とは?

- 表熱裏寒とは -# 表熱裏寒とは 「表熱裏寒」とは、東洋医学で使われる言葉で、体の表面は熱を帯びているのに、内側は冷えている状態を指します。まるで、熱いお風呂に入っているのに、足元だけが冷えているような感覚です。 風邪の初期症状によく見られ、例えば、熱っぽく感じられ、のどが痛む、頭が痛いといった熱の症状が出ているにもかかわらず、手足は冷たく、下痢をするといった冷えの症状も同時に現れます。 東洋医学では、体のバランスが崩れ、気や血の流れが滞ってしまうことで、このような状態に陥ると考えられています。風邪の初期症状だけでなく、過労やストレス、冷え症、自律神経の乱れなどが原因となることもあります。 現代医学の視点では、自律神経の乱れや免疫力の低下などが関係していると考えられています。 表熱裏寒を改善するには、体のバランスを整え、気や血の流れをスムーズにすることが大切です。 例えば、体を温める食材を積極的に摂ったり、体を冷やす食べ物を避けたりするなど、食生活を見直してみましょう。また、軽い運動やストレッチ、マッサージなども効果的です。 症状が重い場合は、無理をせず、医療機関を受診するようにしてください。
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見過ごせない体の冷え:裏寒とは

- 裏寒体の奥に潜む寒さ 「裏寒」という言葉をご存知でしょうか。これは、東洋医学の考え方で、体の表面ではなく、奥深くで冷えが生じている状態を指します。冬の寒い日に、手足の先だけが冷えて辛い、という場合は「冷え性」と呼ぶのが一般的です。しかし、裏寒の場合は、体の芯が冷えていると感じます。 裏寒は、自覚症状が少ない点が特徴です。そのため、自分は冷え性ではないと思っている人でも、実は裏寒を抱えている可能性があります。体の芯が冷えると、様々な不調が現れやすくなると言われています。例えば、消化不良や便秘、下痢、むくみ、生理不順、免疫力の低下などが挙げられます。 裏寒の原因は、生まれつきの体質や加齢、冷えやすい生活習慣などが考えられます。冷房の効いた部屋に長時間いることや、冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎること、薄着なども、体を冷やす原因となります。 裏寒を改善するためには、体の芯から温めることが大切です。毎日の生活の中で、体を温める習慣を取り入れていきましょう。
体質

東洋医学における「陽虚」:その理解と対策

- 陽虚とは -# 陽虚とは 陽虚とは、東洋医学において重要な概念の一つであり、体の「陽気」が不足している状態を指します。 この「陽気」とは、単に太陽の熱や光を意味するのではなく、私たちが生きていくために必要な生命活動のエネルギー源のようなものです。 太陽の光を浴びて植物が成長するように、私たち人間も陽気によって体を温めたり、臓器を働かせたりしています。 陽気が不足すると、体全体の機能が低下し、様々な不調が現れます。 例えば、体が冷えやすく、手足が冷たくなったり、顔色が悪くなったりします。 また、疲れやすく、元気が出ない、食欲不振、消化不良、下痢などを起こしやすくなります。 さらに、陽虚が進むと、むくみや冷え性、生理不順、不妊症、EDなど、深刻な症状が現れることもあります。 陽虚は、体質や生活習慣、環境など、様々な要因によって引き起こされます。 特に、冷食や生野菜の過剰摂取、冷たい飲み物の飲み過ぎ、過度なダイエット、運動不足、睡眠不足、ストレスなどは、陽気を損傷する原因となります。 陽虚を改善するためには、体を温める食材を積極的に摂り、適度な運動を行い、十分な睡眠をとるなど、生活習慣を見直すことが大切です。
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陰虚陽亢:陰陽のバランスと健康

- 陰陽のバランスと健康 東洋医学では、健康を保つためには体内の陰と陽のバランスが重要であると考えられています。陰陽論は、古代中国発祥の自然哲学思想であり、森羅万象、宇宙のあらゆる事象は、陰と陽という相反する二つの側面から成り立つと考えます。 陰と陽は、それぞれ相反する性質を持ちながらも、互いに影響し合い、調和することで、宇宙の秩序とバランスが保たれていると考えます。 昼と夜、光と影、熱と冷、男と女、天と地など、自然界や人間の身体、心のあらゆる現象は、陰と陽のどちらかに分類されます。 例えば、昼は陽、夜は陰、太陽は陽、月は陰といったように、私たちの身の回りには陰陽の考え方が深く根付いています。 この陰陽の考え方を人体に当てはめると、身体の活動的な状態や温かい状態は陽、休息している状態や冷たい状態は陰に分類されます。 東洋医学では、この陰陽のバランスが崩れると、身体に様々な不調が現れると考えます。 例えば、陰が不足すると、身体が熱っぽくなったり、不眠やイライラしやすくなったりします。反対に、陽が不足すると、身体が冷えたり、疲れやすくなったり、元気がなくなったりします。 健康を維持するためには、食事や生活習慣を整え、陰陽のバランスを保つことが大切です。 自然のリズムに合わせて生活し、栄養バランスのとれた食事を心がけることで、心身ともに健康な状態を保つことができると考えられています。
体質

陰虚とは:東洋医学の観点から

- 陰虚とは -# 陰虚とは 東洋医学では、人間の身体は「陰」と「陽」という相反する二つの要素が調和することで健康が保たれると考えられています。この考え方を陰陽論といい、陰陽のバランスが崩れると様々な不調が現れると考えられています。 陰虚とは、この陰陽論に基づいた考え方の一つで、身体を潤し、冷まし、栄養を与える「陰」の要素が不足した状態を指します。 陰は、私たちの身体にとって欠かせない水分や栄養、潤いなどを司ると考えられています。この陰が不足すると、身体は乾燥し、熱っぽく感じます。まるで植物に水が足りなくなると、葉がしおれてしまうように、私たちの身体もまた、陰の不足によって潤いを失い、様々な不調が現れてしまうのです。 具体的には、のぼせやほてり、寝汗、不眠、動悸、めまい、耳鳴り、肌の乾燥、便秘などが陰虚の代表的な症状として挙げられます。 陰虚は、体質的なものに加え、過労やストレス、睡眠不足、偏った食事、加齢などによっても引き起こされると考えられています。特に、現代社会はストレスや不規則な生活など、陰を消耗しやすい要因が多く、陰虚に悩む人が増えているとも言われています。
体質

東洋医学における「痰湿」:その原因と影響

- 「痰湿」とは何か 東洋医学では、健康を保つためには、「気」「血」「水」のバランスが重要であると考えられています。このバランスが崩れると、様々な不調が現れると考えられており、その原因の一つとして考えられているのが「痰湿(たんしつ)」です。 痰湿とは、文字通り「痰」と「湿」が組み合わさった状態を指します。ここでいう「痰」は、呼吸器系に関係するものではなく、体内の水分の代謝が滞ることによって生じる、粘り気のある老廃物のことを指します。咳や鼻水といった形で排出されるものだけでなく、体内に蓄積して様々な不調を引き起こすと考えられています。一方「湿」とは、体内に余分な水分が溜まっている状態を指します。 つまり痰湿とは、体内の水分代謝が滞り、余分な水分が粘り気のある老廃物と結びついた状態といえます。この状態が続くと、気や血の流れも滞り、様々な不調が現れると考えられています。 例えば、身体が重だるい、むくみやすい、食欲不振、胃もたれ、下痢、軟便、咳や痰が出る、めまい、頭痛、関節痛などが挙げられます。また、肌荒れやニキビ、脂っぽくなる、髪がべたつくといった症状が現れることもあります。 痰湿は、食生活の乱れや運動不足、冷え、ストレスなどが原因で引き起こされると考えられています。特に、脂っこい食事や甘いものの摂り過ぎは、痰湿を助長する大きな原因となります。
その他

東洋医学が考える「酒癖」

- 酒癖とは -# 酒癖とは お酒を楽しく味わう程度であれば問題ありませんが、「酒癖が悪い」と周囲に思われる場合は、単なるお酒好きを超えて、アルコールに依存する傾向にあると言えるでしょう。医学的には「アルコール依存症」と呼ばれる状態であり、放置すると身体的にも精神的にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。 アルコール依存症は、お酒を飲む量や頻度を自分でコントロールすることが難しくなる病気です。最初は楽しい気分になるお酒も、飲み続けるうちに、次第に量が増え、飲酒のコントロールを失っていきます。 その結果、仕事や家庭、社会生活に支障をきたすようになり、周囲とのトラブルが増えたり、健康を害したりするリスクも高まります。また、飲酒による記憶の喪失や、感情のコントロールが難しくなるなど、自分自身でも思いがけない行動をとってしまうことも少なくありません。 「酒癖が悪い」と感じたら、それはアルコール依存症のサインかもしれません。早めに専門機関に相談し、適切なアドバイスや治療を受けることが大切です。一人で抱え込まず、周囲のサポートも得ながら、健康的な生活を取り戻しましょう。
女性の悩み

健康を脅かす寒毒の正体

- 寒毒とは -# 寒毒とは 東洋医学では、病気の原因となる邪気の一つに「寒邪」という概念が存在します。寒邪とは、その名の通り「寒さ」を意味しますが、単に気温が低いことを指すのではありません。私たちの体に悪影響を及ぼす、病的な寒さの性質を持つものを指します。そして、この寒邪の中でも、特に毒性の強いものを「寒毒」と呼びます。 寒毒は、まるで毒のように体に侵入し、体内の気血の流れを阻害したり、臓腑の機能を低下させたりすると考えられています。その結果、様々な不調が現れると考えられています。 寒毒は、冬の厳しい寒さや冷房の効きすぎた部屋に長時間いるなど、体に冷えが蓄積されることで発生しやすくなります。また、冷たい飲み物や食べ物の摂り過ぎも、寒毒を招き入れる原因となります。 寒毒が体に蓄積すると、次のような症状が現れることがあります。 * 冷え性 * 肩こり * 腰痛 * 関節痛 * 頭痛 * めまい * 便秘 * 生理痛 * 生理不順 * 不妊 これらの症状は、寒毒が体の深部にまで入り込み、気血の流れを悪くすることで起こると考えられています。
漢方の診察

秋の乾燥に注意!温燥とは?

- 温燥とは -# 温燥とは 秋の乾燥した空気は、東洋医学では「燥邪」と呼ばれる邪気の一つと考えられています。この燥邪が体に侵入することで、様々な不調を引き起こすことがあり、これを「温燥」と呼びます。温燥は、風邪のような症状を伴わない空咳や、皮膚や粘膜の乾燥、便秘などを特徴とする、秋によく見られる不調です。 燥邪は、文字通り「乾燥」を意味し、体内の水分を奪い、潤いを失わせる性質を持っています。そのため、温燥の症状は、主に呼吸器や皮膚、腸など、外界と接する部分に現れやすいとされています。 例えば、乾燥した空気を吸い込むことで、喉の渇きや空咳、痰が絡むなどの症状が現れます。また、皮膚の乾燥やかゆみ、髪の毛のパサつきなども、温燥の特徴的な症状です。さらに、腸の水分も奪われるため、便秘になりやすくなることもあります。 温燥は、単独で現れることもありますが、風邪などの他の病気と併発することもあります。特に、秋に風邪をひいた際に、咳が長引いたり、皮膚の乾燥がひどくなったりする場合は、温燥を併発している可能性も考えられます。 東洋医学では、体の状態に合わせて、食事療法や生活習慣の改善、漢方薬などを用いて、温燥の治療を行います。
体質

東洋医学における「湿濁」とは?

- 湿濁の概要 「湿濁(しつだく)」とは、東洋医学において、体内に不要な水分や老廃物が溜まっている状態を指します。まるで、じめじめとした梅雨空の下のように、体が重だるく感じたり、気分が晴れなかったり、食欲がわかなかったりすることがありませんか? また、むくみやすくなったり、体がだるくてやる気が出なかったり、消化不良を起こしやすくなったりするのも、湿濁のサインかもしれません。 東洋医学では、私たちの体は自然のリズムと深くつながっていると捉え、特に、梅雨の時期は、湿気が多く体に水分が溜まりやすいと考えられています。 このような時季に、体の水分代謝機能がうまく働かないと、体内に余分な水分や老廃物が溜まってしまい、湿濁の状態になると考えられています。 湿濁は、単なる水分過剰ではなく、「水はけ」の悪さが根本的な原因と考えられています。体内の水分バランスが崩れることで、様々な不調が現れると考えられています。そのため、湿濁を改善するためには、溜まった水分や老廃物を排出するだけでなく、水分代謝機能を高めることが重要です。