東洋医学から見る完穀下痢
東洋医学を知りたい
先生、『完穀下利』ってどんな意味ですか?漢字を見ると、穀物が関係してそうだけど、よくわかりません。
東洋医学研究家
なるほど。『完穀下利』は、消化されていない穀物が混じった、水っぽい便がたくさん出る状態を指す言葉だね。
東洋医学を知りたい
消化されていない穀物が混ざった便が出るということは、消化不良ってことですか?
東洋医学研究家
その通り!東洋医学では、胃腸が弱っているために、食べた物がうまく消化されずに、このような症状が出ると考えられているんだよ。
完穀下利とは。
東洋医学で『完穀下利』というのは、食べたものが消化されずにそのままの形で水のような便として何度も出てしまうことです。
完穀下痢とは
– 完穀下痢とは
-# 完穀下痢とは
完穀下痢とは、摂取した食物が十分に消化されないまま、未消化物の状態で便として排出される症状を指します。わかりやすく言えば、食べた物が消化されずに、そのままの形で排泄される下痢のことです。通常の軟便とは異なり、便の中に、食べた米粒や野菜などが未消化のまま混ざっており、目で見てはっきりと確認できることが特徴です。
これは、食べ物が胃や腸で十分に消化吸収される前に、腸を急速に通過してしまうために起こります。原因はさまざまで、暴飲暴食や冷えによる一時的な消化不良から、胃腸などの消化器官の機能低下、または消化器官の病気のサインである可能性も考えられます。
完穀下痢が続く場合は自己判断せず、医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。医師は、問診や身体診察、便検査などを通して原因を特定し、適切な治療法を提示します。自己判断で市販薬を使用する場合は、必ず薬剤師に相談し、用法・用量を守って服用することが大切です。食生活の見直しも重要で、消化の良い食事を心がけ、暴飲暴食を避け、よく噛んで食べるようにしましょう。また、身体を冷やさないようにすることも大切です。
症状 | 原因 | 対策 |
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摂取した食物が未消化物の状態で便として排出される。 便の中に、食べた米粒や野菜などが未消化のまま混ざっている。 |
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東洋医学的な考え方
– 東洋医学的な考え方
東洋医学では、健康であるためには、体内の「気・血・水」の流れが滞りなく、バランスが取れていることが重要だと考えられています。これは、自然界と同様に、人体もまた、陰陽五行説という考え方に基づいて成り立っているという考え方によるものです。
この考え方に基づくと、西洋医学でいうところの完穀下痢は、「脾虚(ひきょ)」と呼ばれる状態と関連付けられます。「脾」とは、西洋医学の脾臓とは異なる概念で、主に消化吸収機能全般を司ると考えられています。
「脾虚」とは、この「脾」の機能が低下している状態を指します。つまり、「脾虚」の状態になると、食べ物の消化吸収がうまくいかず、栄養を体内に取り込む力が弱まってしまうのです。その結果、未消化の食べ物がそのまま排出されてしまうと考えられており、これが完穀下痢の症状として現れると考えられています。
東洋医学では、このように症状の原因を特定の臓器の機能低下と関連付けて考えることで、体全体のバランスを整える治療を目指します。
東洋医学の概念 | 説明 | 完穀下痢との関連 |
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気・血・水 | 健康には、体内の「気・血・水」の流れが滞りなく、バランスが取れていることが重要 | – |
陰陽五行説 | 自然界と同様に、人体もまた、陰陽五行説という考え方に基づいて成り立っているという考え方 | – |
脾 | 西洋医学の脾臓とは異なる概念で、主に消化吸収機能全般を司ると考えられている | 「脾」の機能低下(脾虚)が完穀下痢と関連 |
脾虚(ひきょ) | 「脾」の機能が低下している状態。食べ物の消化吸収がうまくいかず、栄養を体内に取り込む力が弱まっている状態 | 脾虚により、未消化の食べ物がそのまま排出されてしまうと考えられており、これが完穀下痢の症状として現れる |
主な原因
– 主な原因
東洋医学では、消化器官の働き全体を司る「脾」という概念が非常に重要です。
「脾」は、食べた物を消化し、体内に必要な栄養を吸収する役割を担っています。そして、この「脾」の働きが弱まり、正常に機能しなくなった状態を「脾虚(ひきょ)」と呼びます。完穀下痢は、この「脾虚」が主な原因であると考えられています。
では、何が「脾虚」を引き起こすのでしょうか?
東洋医学では、暴飲暴食や冷たい物の摂り過ぎ、過労、冷え、そして精神的なストレスなどが「脾」の機能を低下させると考えられています。
例えば、冷たい食べ物や飲み物は、その冷たさによって「脾」の働きを鈍らせ、消化吸収能力を低下させてしまいます。
また、過労やストレス、冷えなども「脾」に負担をかけ、「脾虚」を招きやすくなります。
つまり、普段の生活習慣や環境が「脾」に影響を与え、完穀下痢の発症につながる可能性があるのです。
完穀下痢の原因 | 具体的な原因 |
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脾虚(ひきょ) | 脾(消化器官全体を司る)の働きが弱まり、正常に機能しなくなった状態 |
脾虚を引き起こす要因 | 暴飲暴食、冷たい物の摂り過ぎ、過労、冷え、精神的なストレスなど |
体質と完穀下痢の関係
– 体質と完穀下痢の関係
東洋医学では、人の体質は一人ひとり異なり、それは生まれ持ったものや生活習慣によって作られると考えられています。そして、この体質の違いが、消化吸収を司る「脾(ひ)」の働きに影響を与え、穀物の消化不良による下痢、「完穀下痢」の起こりやすさにも関わってくると考えられています。
例えば、冷え性で疲れやすく、顔色が優れないといった特徴を持つ「気虚(ききょ)」体質の人は、「脾」の機能が生まれつき弱く、穀物の消化吸収がスムーズに進みにくい傾向があります。そのため、白米に比べて消化に負担がかかる玄米などの未精製の穀物を摂取すると、胃腸に負担がかかり、下痢を起こしやすくなってしまうのです。
一方、体力があり、活動的な「実証(じっしょう)」体質の人は、「脾」の機能が比較的強く、多少消化に負担がかかるものでも、問題なく消化吸収することができます。そのため、「気虚」体質の人に比べて、玄米などの未精製の穀物を食べても、下痢を起こしにくいと考えられています。
このように、東洋医学では、体質によって「脾」の強さが異なり、完穀下痢の起こりやすさも異なるという考え方があります。自分の体質を理解し、体質に合った食生活を送ることが、健康維持には大切です。
体質 | 特徴 | 脾の機能 | 完穀下痢の起こりやすさ | 玄米摂取 |
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気虚 | 冷え性、疲れやすい、顔色が優れない | 弱く、穀物の消化吸収がスムーズに進みにくい | 起こしやすい | 胃腸に負担がかかり、下痢を起こしやすい |
実証 | 体力があり、活動的 | 比較的強く、消化吸収が得意 | 起こしにくい | 問題なく消化吸収できる |
日常生活での対策
– 日常生活での対策
東洋医学では、消化しきれていない食べ物が原因で起こる下痢を改善するには、「脾(ひ)」の機能を高めることが重要だと考えられています。「脾」は、現代医学の脾臓とは異なり、消化吸収機能全般を指し、全身に栄養を届ける大切な役割を担っています。
「脾」の働きが弱ると、消化吸収がうまくいかず、下痢を起こしやすくなると考えられています。そこで、日常生活では「脾」の働きを助ける養生法を心がけましょう。
まず、食事は消化しやすい温かいものを選びましょう。冷たい飲み物や生ものは「脾」の働きを弱らせるため、控えめにすると良いでしょう。また、よく噛んで食べること、腹八分目を心がけることも大切です。
次に、身体を冷やさないように気を付けましょう。特に、腹部や下半身を温めるように心がけてください。温かい服装をしたり、お風呂にゆっくりと浸かったりすることが効果的です。
そして、十分な睡眠をとり、「脾」の回復を促しましょう。睡眠不足は「脾」の働きを低下させる原因の一つです。
さらに、「脾」の働きを助ける食材を積極的に食事に取り入れてみましょう。米、かぼちゃ、山芋、生姜、ネギなどがおすすめです。
適度な運動も「脾」の機能を高める効果が期待できます。激しい運動は避け、ウォーキングなどの軽い運動を習慣的に行うと良いでしょう。
これらの日常生活の工夫によって、「脾」の機能を高め、消化機能の回復を目指しましょう。
項目 | 具体的な対策 |
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食事 |
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身体の冷やし対策 |
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睡眠 |
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運動 |
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