風厥:肝の働きと突然の意識消失

東洋医学を知りたい
先生、『風厥』って東洋医学の言葉でどういう意味ですか?

東洋医学研究家
いい質問だね。『厥』は、一時的に意識を失うことを指すんだ。では、『風厥』はどんな時に起こると思う?

東洋医学を知りたい
えーっと、風ってことは、体の外側からくるものと関係あるんですか?

東洋医学研究家
惜しいな。『風厥』は、体の内側、特に肝の働きが乱れて『気』が正常に流れず、上にのぼってしまうことで起こると考えられているんだ。感情の起伏が激しい時などに起こりやすいんだよ。
風厥とは。
東洋医学で用いられる言葉である「風厥」は、肝の働きに関係する「気」の乱れによって、意識がなくなったり、体がしびれたりする状態を指します。
風厥とは

– 風厥とは
-# 風厥とは
風厥とは、東洋医学において、まるで風に吹かれたように突然意識を失い、倒れてしまう病のことを指します。これは、現代医学でいうところの一時的な意識消失、つまり失神に相当します。
東洋医学では、人間の生命活動を支えるエネルギーとして「気」という概念を重要視します。この「気」は、心、肝、脾、肺、腎という五臓六腑それぞれに宿り、それぞれ独自の働きを持つと考えられています。
風厥は、この「気」の中でも、特に肝に深く関わる「肝気」の乱れによって引き起こされると考えられています。肝は、東洋医学では「疏泄(そせつ)」という、気の巡りをスムーズにする働きを担うと考えられています。しかし、怒りやストレス、疲労などによって肝の働きが阻害されると、この「疏泄」がうまくいかなくなり、気が滞ってしまうことがあります。この状態が「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼ばれるものです。
肝気鬱結が起きると、気が上に逆流し、頭に上ってしまうことがあります。その結果、意識を司る機能が乱され、風厥のように突然意識を失ってしまうと考えられています。
風厥は、症状が現れるスピードが速く、激しいため、「風」の字が当てられています。まるで強い風が吹き抜けるように、突然意識を失い倒れてしまう様子が目に浮かびます。
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 風厥 | 東洋医学において、まるで風に吹かれたように突然意識を失い、倒れてしまう病のこと。現代医学の失神に相当する。 |
| 気 | 人間の生命活動を支えるエネルギー。心、肝、脾、肺、腎という五臓六腑それぞれに宿り、それぞれ独自の働きを持つ。 |
| 肝気 | 肝に宿る気。特に「疏泄(そせつ)」、気の巡りをスムーズにする働きを担う。 |
| 肝気鬱結 | 怒りやストレス、疲労などによって肝の働きが阻害され、「疏泄」がうまくいかず気が滞った状態。 |
肝気と風化

– 肝気と風化
東洋医学では、肝は「疏泄(そせつ)」を主るとされています。これは、肝が全身の気の流れを調整し、スムーズにする働きを指します。この疏泄作用は、血液循環や情緒、消化活動など、様々な身体の機能を正常に保つために非常に重要です。
しかし、過度なストレスや疲労、睡眠不足、不規則な生活、暴飲暴食といった不摂生が続くと、肝の疏泄作用が低下し、気の流れが滞ってしまうことがあります。この状態を「肝気鬱滞(かんきうつたい)」と言い、精神的なイライラや抑うつ、胸や脇腹の張り、ため息、生理不順、食欲不振など、様々な不調が現れます。
さらに肝気鬱滞が進むと、滞っていた気が反転して激しく上昇してしまう「肝陽上亢(かんようじょうこう)」という状態に陥ります。この上昇した気が「風」を生み出し、脳に影響を与えることで、めまい、耳鳴り、頭痛、顔面紅潮、怒りっぽくなるなどの症状が現れます。
そして、この風がさらに強まると、突然意識を失ってしまう「風厥(ふうけつ)」を引き起こすと考えられています。風厥は、現代医学でいうところの一過性の意識消失発作と類似しており、脳への血液供給が一時的に不足することで起こるとされています。
このように、東洋医学では、肝の働きと気の流れが、心身の健康に深く関わっていると捉えています。肝の疏泄作用を正常に保つためには、日頃からストレスを溜め込まない、十分な休養を取る、バランスの取れた食事を心がけるなど、規則正しい生活習慣を送り、心身をいたわることが大切です。
| 状態 | 説明 | 症状 |
|---|---|---|
| 肝気鬱滞(かんきうつたい) | ストレスなどにより肝の疏泄作用が低下し、気の流れが滞った状態。 | 精神的なイライラ、抑うつ、胸や脇腹の張り、ため息、生理不順、食欲不振など |
| 肝陽上亢(かんようじょうこう) | 肝気鬱滞が進むと、滞っていた気が上昇し、頭に風が生じた状態。 | めまい、耳鳴り、頭痛、顔面紅潮、怒りっぽくなるなど |
| 風厥(ふうけつ) | 肝陽上亢がさらに悪化し、脳への血液供給が一時的に不足した状態。 | 突然の意識消失 |
風厥の症状

– 風厥の症状
風厥は、まるで風に吹かれたように突然意識を失って倒れてしまう、恐ろしい病気として知られています。その名の通り、まるで突風が吹き抜けたかのように、一瞬にして意識が遠のき、周囲の人が驚くほど急に倒れてしまうのが特徴です。
意識を失っている時間は、人によって様々です。多くの場合、数秒から数分程度で意識を取り戻し、その後は普段通りの生活を送ることができます。しかし、中には意識消失が長く続く場合や、意識が回復した後も、身体に様々な症状が現れる場合があります。
例えば、手足が突っ張ったり、逆に力が入らなくなってしまったりすることがあります。また、顔が歪んだり、言葉がうまく話せなくなったりする人もいます。これらの症状は、一時的なものであることが多く、時間が経つにつれて自然と回復していきます。
風厥は、一度発症すると、その後も繰り返し起こる可能性があります。そのため、風厥を疑わせる症状が現れた場合には、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。そして、普段からストレスを溜め込まないように、規則正しい生活を心がけ、心身ともに健康な状態を保つことが大切です。
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 意識消失 | – 突然意識を失い倒れる – 数秒から数分程度で回復することが多い – 場合によっては意識消失が長く続くことも |
| 神経学的症状 | – 手足の痙攣、または脱力 – 顔面麻痺 – 言語障害 – これらの症状は一時的なものであることが多い |
| その他 | – 風厥は再発の可能性がある |
風厥の治療

– 風厥の治療
風厥は、東洋医学では肝の機能が深く関係していると考えられています。そのため、治療の焦点は、滞ってしまった「気」の流れをスムーズにし、肝の働きを整えることにあります。
そのための手段として、主に鍼灸治療と漢方薬が用いられます。
鍼灸治療では、体のエネルギーの通り道である「経絡」に沿って存在する特定のツボを刺激します。風厥の場合、特に肝や胆の働きに関連する経絡上のツボが使われます。これらのツボに鍼を打ったり、お灸で温めたりすることで、肝の機能を活性化し、滞っていた「気」の流れを促します。
一方、漢方薬では、患者の体質や症状に合わせて、複数の生薬を組み合わせた処方が用いられます。風厥の治療では、「疏肝理気(そかんりき)」と呼ばれる、肝の働きを助けて「気」の流れを調整する効果を持つ生薬が中心となります。代表的な処方としては、「柴胡疏肝散(さいこそかんさん)」や「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などが挙げられます。
これらの治療法を組み合わせることで、風厥の症状を改善し、再発を予防することが期待できます。ただし、自己判断での治療は危険を伴うため、必ず専門家の診断のもとで治療を受けるようにしてください。
| 治療法 | 概要 | 詳細 |
|---|---|---|
| 鍼灸治療 | 経絡上のツボを刺激し、「気」の流れを整える | 肝や胆の働きに関連する経絡上のツボに鍼を打ったり、お灸で温めたりする |
| 漢方薬 | 患者の体質や症状に合わせた生薬の組み合わせを処方 | 「疏肝理気」の効果を持つ生薬が中心。 代表的な処方:柴胡疏肝散、加味逍遥散 |
日常生活での注意点

– 日常生活での注意点
風厥は、体に風が侵入することで起こると考えられており、特に肝の働きが深く関わっています。 肝は、東洋医学では気の疏泄(そせつ)を司る臓器と考えられており、これは精神状態や感情のバランス、そして気血の流れをスムーズにする働きを指します。この疏泄作用が滞ると、体に風が侵入しやすくなり、風厥が生じやすくなるとされています。
風厥を予防するためには、日常生活の中で、肝の負担を減らし、疏泄作用を高めることが大切です。
まず、十分な睡眠をとり、規則正しい生活を心がけましょう。 睡眠不足や不規則な生活は、肝に負担をかけ、疏泄作用を低下させる原因となります。
また、過度なストレスは肝の疏泄作用を阻害するため、注意が必要です。 ストレスを溜め込まずに、適度な運動や趣味など、リラックスできる時間を取り入れるようにしましょう。軽い運動や散歩は、気の巡りを良くし、ストレス解消にも効果が期待できます。
食生活においても、肝の負担を減らすように心がけましょう。 暴飲暴食は避け、消化の良いものを食べるように心がけてください。特に、脂っこいものや辛いものは肝に負担をかけるため、控えめにした方が良いでしょう。また、アルコールは過剰に摂取すると肝機能を低下させるため、注意が必要です。
これらの点に注意し、肝の疏泄作用を高めることで、風厥を予防し、健康な状態を保つことができるでしょう。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 生活習慣 |
|
| 食生活 |
|
